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2024.06.28更新

交通事故で死亡した際の葬儀費用

交通事故で亡くなった場合、死亡慰謝料や死亡逸失利益のほかに、葬儀費用も相手方に請求できます。

今回は、交通事故の葬儀費用について解説します。死亡慰謝料や死亡逸失利益については、以下の記事を参照してください。

交通事故の死亡慰謝料の相場

死亡逸失利益とは?計算方法を解説

 

◆ 死亡事故で葬儀費用は賠償の対象になる?

かつては「人は遅かれ早かれ亡くなるから、葬儀費用は事故と関係なくいずれ支払うものだ」との理由で、死亡事故における葬儀費用は賠償の対象外だとする考えもありました。

しかし、判例上は葬儀費用も賠償対象になると認められています。葬儀費用の支払いを受けられる点に問題はありません。

 

◆ 葬儀費用に含まれる範囲

葬儀そのものだけでなく、関係する費用の一部も「葬儀関係費用」として補償の対象です。

葬儀関係費用に含まれるものとしては、たとえば以下が挙げられます。

・葬儀そのものにかかる費用

・火葬費用

・読経代、戒名代、お布施

・法要にかかる費用(四十九日まで)

・墓碑建設費用

・仏壇・仏具購入費用

ただし、葬儀関係費用の範囲は明確でない部分もあります。墓碑建設費用、仏壇・仏具購入費用、遺体処置・搬送費用などについて、葬儀関係費用とは別に損害として認められたケースも存在します。

いずれにしても、領収書等をとっておき、支出を証明できるようにしておくのが重要です。

なお、受け取った香典の金額を差し引く必要はありません。その反面、香典返しの費用は損害には含まれないとされています。

 

◆ 交通事故で賠償される葬儀費用の金額

支出した金額が大きいからといって、全額を支払ってもらえるわけではありません。

実際に葬儀関係費用として支払ってもらえる金額は、自賠責基準では100万円です。任意保険会社が提示するのも100万円に近い金額となります。

対して、弁護士基準では150万円です(赤い本の場合)。上限が150万円であり、下回る場合は実際に支出した金額となります。

基本的には、150万円を超える部分については請求できません。ただし、社会的地位が高い、若年であるといった理由で葬儀が大規模になるのが妥当だと考えられ、150万円を超える金額が認められたケースは存在します。あくまで例外ですので、原則として弁護士に依頼しても上限は150万円になります。

とはいえ、弁護士基準で請求すれば、自賠責基準や任意保険基準に比べると高額です。加えて、弁護士に依頼すれば、死亡慰謝料や死亡逸失利益については大幅な上乗せが期待できます。

 

大切なご家族が亡くなったにもかかわらず、相手方に不誠実な対応をされている方も多いかと思います。当事務所では、交通事故の初回相談は無料です。悩みや疑問を抱えている方は、まずはご相談ください。

投稿者: 松村法律事務所

2024.06.13更新

親権者を変更できるケースと必要な手続き

離婚の際に決めた親権者を後から変更できるケースがあります。もっとも、両親だけで勝手に決めることはできず、裁判所での手続きを経なければなりません。

今回は、親権者を変更できるケースや必要な手続きについて解説します。そもそも親権とは何かを知りたい方は、以下を参照してください。

参考記事:親権とは?内容や監護権との違い

 

◆ 親権者を変更できるケース

離婚時に決めた親権者は変更が可能です。変更できる例としては、親権者に以下の事情があるケースが挙げられます。

  • 虐待・育児放棄している
  • 重大な病気で子育てを続けるのが難しい
  • 海外転勤で養育環境が大きく変わる

親権者をコロコロ変えるのは子どものためになりません。子どもの利益にかなう場合にのみ変更が認められるのであり、ハードルは必然的に高くなります。たとえば、単に相手の子育て方針が気に入らない、面会交流に応じないといった理由だけで親権者を自分にしてもらうのは困難です。

 

◆ 親権者を変更するための手続き

親権者を変更するためには、裁判所での手続きを踏む必要があります。たとえ両親が合意したとしても、勝手な変更は認められていません。離婚の際には両親の話し合いだけで決められますが、一度決めた親権者を離婚後に変更するときには裁判所への申立てが要求されるので注意してください。

変更を求める際には、裁判所に親権者変更調停を申立てます。調停とは、裁判所でする話し合いです。第三者である調停委員を間に挟んで、親権者を変える理由があるかどうかを、提出された資料などをもとに話し合います。両親の合意があればスムーズに進みますが、対立が激しければ時間を要します。

調停で結論が出ないときには審判に移行し、最終的には裁判官が判断をくだします。

調停や審判で「親権者を変更する」との結論が確定したときは、親権者になった人が役所に届出を提出しなければなりません。

 

親権者の変更を求める際には、変更するだけの十分な理由があると示す必要があります。ご自身だけで進めるのは難しい場合も多いので、弁護士に相談・依頼するのがオススメです。

当事務所では、離婚に関する初回相談を無料としています。アドバイスだけ受けて依頼しなくても構いません。「親権者を変更したい」「変更できるのか知りたい」といった方は、お気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2024.05.22更新

交通事故の死亡慰謝料の相場

交通事故で亡くなった本人やご遺族の苦しみ・悲しみは、計り知れないものかと思います。その精神的苦痛への賠償金として、ご遺族は死亡慰謝料を相手方に請求できます。

もちろん、すべてをお金で解決できるわけではありません。とはいえ、気持ちの整理をつけるためには、適正な慰謝料を受け取ることも重要になります。

今回は交通事故の死亡慰謝料について解説します。

 

 

◆ 交通事故における死亡慰謝料とは?

一般的に慰謝料とは、精神的苦痛に対する賠償金です。

死亡事故においては、2種類の死亡慰謝料があります。

 

 ・被害者本人の死亡慰謝料

 ・遺族固有の死亡慰謝料

 

「被害者本人の死亡慰謝料」は、思いもよらぬ形で亡くなった方が受けた精神的苦痛を賠償するものです。たとえ即死であったとしても発生します。

「遺族固有の死亡慰謝料」は、近親者を亡くしたご遺族の精神的苦痛に対する賠償金です。請求できるのは、民法上は父母・配偶者・子のみとなっています。もっとも、これらの親族と同等の関係があり、甚大な精神的苦痛を受けた人についても、遺族固有の死亡慰謝料が認められるケースがあります。たとえば、被害者と同居していた兄弟姉妹などです。

いずれの死亡慰謝料についても、ご遺族が相手方に請求できます。

 

◆ 交通事故の死亡慰謝料の相場

死亡慰謝料の相場は、誰が算出するかによって異なります。

自賠責保険の支払い基準においては、以下の通り定められています。

 

 ・被害者本人の慰謝料  400万円

 ・遺族固有の慰謝料
   請求者1人   550万円
   請求者2人   650万円
   請求者3人以上 750万円
   被扶養者がいる (上記に加え)200万円

 

被害者本人の慰謝料は一律400万円です。遺族固有の慰謝料は請求権者(父母・配偶者・子)の人数によって変わります。たとえば、家族を養っている夫が妻と子1人を残して亡くなった場合には「400万円(本人)+650万円(請求権者2人)+200万円(被扶養者あり)」で計1250万円です。

任意保険会社が提示してくる金額は、自賠責保険基準と同等か多少の上乗せをした程度に過ぎないケースが多いです。

 

弁護士は、過去の裁判例をもとに請求します。被害者の立場によって変わり、目安は以下の通りです。

 

 ・一家の支柱 2800万円

 ・母親、配偶者 2500万円

 ・その他(独身の男女、子どもなど) 2000~2500万円

 

上記は、本人と遺族固有の慰謝料を合わせた金額です。いずれの場合でも、自賠責保険基準に比べて大幅に高いとおわかりいただけるでしょう。あくまで目安ですので、個々の事情によって増額されるケースもあります。

 

 

以上が死亡慰謝料に関する基本的な知識です。死亡事故においては、死亡慰謝料の他にも、死亡逸失利益や葬儀費用なども請求できます。

賠償総額は高額になりますが、相手方が不当に低い金額を示してくるケースは非常に多いです。また、相手の不誠実な対応によって感情を害されている方もいらっしゃるでしょう。弁護士にご依頼いただければ、増額が期待できるとともに、相手とのやり取りによるストレスも軽減できます。

当事務所では、交通事故の初回相談を無料としております。まずはお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2024.05.08更新

親権の判断基準

離婚後に子の親権者を誰にするかは夫婦間の話し合いで決められますが、最終的には裁判所が判断します。

今回は、裁判所が親権者を決める際の判断基準について解説します。

 

◆ 子どもの利益が最優先

親権を父母のいずれが取得するかは、様々な要素を総合的に考慮して判断されます。何かひとつの基準だけで決まるわけではありません。

以下で個々の判断基準を紹介しますが、基本的な考えは「子の利益になるか」です。両親の都合ではなく、「子どもの成長のためにどうすべきか」との観点から判断されます。

 

◆ 父母側の事情

父母の側の事情としては、以下の要素が考慮されます。

  • これまでの監護状況
  • 現在の監護状況
  • 監護能力(年齢、健康状態、経済力、生活環境、実家の援助、監護意欲、子どもへの愛情の程度など)
  • 面会交流に協力的か

「収入が少ない自分が親権をとれるのか」と気にする方がいますが、相手に養育費の支払い義務が生じる以上、過度に心配する必要はありません。また、不貞行為をした側であっても、子どもへの影響が少ない場合には親権の獲得が可能です。

 

◆ 子ども側の事情

子どもの側の事情としては、以下が挙げられます。

  • 年齢・性別
  • 心身の発育状況
  • 兄弟姉妹との関係
  • 現在の環境への適応状況
  • 環境変化への適応性
  • 父母との結びつき
  • 子ども自身の意思

 

◆ 特に重視される点

考慮要素を網羅的に挙げましたが、特に知っておいて欲しいのは以下の観点です。

 

・監護の継続性

現在監護している親のもとで安定した生活ができていれば、現状が重視されます。環境が変化しないことが子の利益になると考えられるためです。

もっとも、違法に子どもを連れ去って手元に置いている場合には、この限りではありません。

 

・母性優先 

特に乳幼児の場合には母親の役割が重要と考えられており、母が親権を得るケースが多いです。

ただし「必ず母親になる」というわけではありません。性別だけで決めるのではなく、メインで面倒を見ていた側が監護を続けるのがよいと考えられています。

 

・子の意思

一定以上の年齢であれば、子の意思も重要です。

子どもが15歳以上のときには、裁判所が判断する際に子の意見を聴かなければならないと法律上定められています。実務上は、15歳未満であっても、10歳程度以上であれば意思を確認しています。

 

・兄弟姉妹不分離 

兄弟姉妹がいるときには、なるべく親権者を分けない方がよいとされています。兄弟姉妹は精神面のつながりが強いと考えられるためです。

もっとも、長年別々に生活してきた、ある程度成長しているといった状況であれば、あまり重視されません。

 

・面会交流への寛容さ

面会交流に寛容であるかも、ひとつの判断基準とされています。子の成長にとっては、親権者でない親との交流も重要であるためです。

面会交流に協力的な姿勢を示せば、親権獲得のために多かれ少なかれプラスになります。

 

 

以上が親権の判断基準です。様々な要素を紹介しましたが、総合的に判断されるのであり、ひとつの理由だけで決まるわけではありません。気になる方は、弁護士に相談してみるとよいでしょう。

当事務所では離婚の初回相談を無料としています。「自分は親権をとれるのか」と不安・疑問をお持ちの方は、お気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2024.04.25更新

死亡逸失利益とは?計算方法を解説

交通事故により亡くなってしまった場合には、本人に代わってご遺族が相手方に賠償金を請求します。死亡事故の際に相手に請求できる賠償金の費目のひとつが「死亡逸失利益」です。

今回は死亡逸失利益について解説します。

 

◆ 死亡逸失利益とは?

死亡逸失利益とは、事故により亡くならなければ得られたであろう、将来の収入です。

交通事故により亡くなると、今後得られるはずであった生涯分の収入を得られなくなってしまい、損害が生じます。そこで、得られなかった将来の収入を「死亡逸失利益」という費目で相手方に請求できます。

 

◆ 死亡逸失利益の計算方法

死亡逸失利益は以下の計算式で算出されます。

基礎収入×(1-生活費控除率)×就労可能年数に対応するライプニッツ係数

それぞれの要素について解説します。

 

●基礎収入

基礎収入は、基本的には事故前年の収入です。

会社員など給与所得者の方であれば、源泉徴収票から比較的簡単に明らかになるでしょう。自営業など事業所得者については、確定申告書などを確認します。

収入がない主婦(主夫)であっても家事労働をしていますので、女性の平均賃金をもとに請求が可能です。今後働く予定の子どもについては、一般的には男子は男性の、女子は男女合わせた平均賃金を基準にします。失業者であっても、今後働ける蓋然性が高い場合には、再就職によって得られる見込みの収入をもとに死亡逸失利益の請求が可能です。

 

●生活費控除率

亡くなった際には将来得られるはずの収入を失いますが、今後の生活費がかからなくなる側面もあります。「生活費控除率」とは、今後かかるはずであった生活費を除くための割合です。亡くなった方の立場によって、以下の通り割合が変わります。

被害者の立場

生活費控除率

一家の支柱(被扶養者1人)

40%

一家の支柱(被扶養者2人以上)

30%

女性(主婦・独身・幼児など)

30%

男性(独身、幼児など)

50%

 

●就労可能年数に対応するライプニッツ係数

就労可能年数は67歳までです。

計算する際には、就労可能年数をそのままは使いません。賠償金は一括で受け取り運用が可能であるため、運用益を除くためにライプニッツ係数という数値を利用します。年齢別の具体的な数値は、以下を参照してください。

参考;就労可能年数とライプニッツ係数表|国土交通省

 

これら3つを掛け合わせれば、死亡逸失利益を計算できます。

たとえば、30歳で基礎収入600万円の独身男性が死亡した場合の計算式は、以下の通りです。

600万円×(1-0.5)×22.167=6650万1000円

死亡逸失利益は金額が大きくなりやすく、基礎収入額などをめぐってトラブルになるケースも多いです。

 

以上が死亡逸失利益に関する基本的な知識になります。死亡事故においては、他に死亡慰謝料や葬儀費用なども請求できます。いずれの費目についても、相手方が不当に低額な賠償金を提示してくるケースが非常に多いです。

大切なご家族の命が奪われているにもかかわらず、相手方に不誠実な対応をされてしまい、追い打ちをかけられる方も少なくありません。当事務所では交通事故の初回相談を無料としております。お悩みや疑問点がある方は、まずはご相談ください。

投稿者: 松村法律事務所

2024.04.10更新

親権の決め方|決定するまでの流れ

離婚後の親権について法改正の議論が進んでいますが、現在の法律では離婚後は単独親権となります。親権を父母のいずれが取得するか争いになるケースは非常に多いです。

親権が決まるまでの流れは、大まかにいえば「協議→調停→裁判」です。以下で詳しく解説します。

 

◆ 夫婦での協議

まずは、夫婦間の話し合いによって離婚後に親権をどちらが取得するかを決めます。離婚届には親権者を記載する欄があり、親権者を決めないと離婚できません。

夫婦の協議によって決める際には、合意さえできればどちらが親権を取得するかは自由です。「小さい子だから母になる」「母は専業主婦でお金がないから父になる」といったルールはありません。

複数の子がいるときには、全員の親権を片方が持ってもいいですし、「長男は父、長女は母」などと分けることも可能です。

自由であるとはいえ、何より重要なのは子の成長や幸せです。子どもにとって何がよいかを考えて決めるようにしましょう。

 

◆ 調停

夫婦での話し合いがまとまらないときには、裁判所に調停を申立てます。調停とは、裁判所でする話し合いです。調停委員が間に入って別々に話を聞くため、冷静になりやすいです。

親権が争いになっている調停では、調停委員が双方の意見を聞いて調整するほか、家庭裁判所の調査官による調査が入るケースがあります。調査では、父母や子との面接、家庭や学校への訪問などを行い、報告書が作成されます。

ただし、調停はあくまで話し合いであるため、夫婦で合意できなければ親権者は決定しません。

 

◆ 裁判所による指定

調停でも話し合いがまとまらなければ、通常は裁判で決定します。調査官による報告書などを参考にして、最終的には裁判官が父母のいずれが親権者にふさわしいかを判断します。

判断要素は、これまでの養育実績、現状、今後の環境、子の年齢・意思などです。実際には母が獲得するケースが多いものの、父になるケースもあります。

 

以上が、親権が決まるまでの大まかな流れです。夫婦間の協議がまとまらなければ、裁判所を利用する流れになります。判断要素について詳しくは、また機会を改めて解説する予定です。

当事務所では、離婚の初回相談を無料としております。親権に関して疑問や悩みがある方は、お気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2024.03.21更新

後遺障害による逸失利益の計算方法

交通事故で後遺障害を負った場合には、逸失利益を相手方に請求できます。逸失利益は、交通事故の賠償金の中でも大きなウエイトを占め、重要な項目です。

今回は、後遺障害による逸失利益の計算方法について解説します。

 

◆ 後遺障害逸失利益とは?

後遺障害逸失利益とは、事故による後遺障害がなければ得られたであろう、将来の収入です。

事故で後遺障害が残ると、思うように体が動かずに労働に支障が出てしまい、収入が減少すると考えられます。そこで、将来にわたって続く減収分を「逸失利益」という費目で相手方に請求できます。

 

◆ 逸失利益の計算式

逸失利益の計算式は以下の通りです。

「 基礎収入 × 労働能力喪失率 × 労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数 」

3つの要素を掛け合わせれば計算できます。以下で各要素について解説します。

 

◆ 基礎収入

基礎収入は、原則として事故前年の年収です。

会社員については、源泉徴収票を確認して、事故前年の実際の収入を基礎収入とします。もっとも、30歳未満の若者については、現時点での賃金が低いため、全年齢平均の賃金センサスをベースとするケースがあります。

自営業者についても同様に事故前年の確定申告を基準にしますが、収入から必要経費は除かれるので注意してください。

その他、実際の収入がない人の扱いは以下の通りです。

 

・主婦・主夫

専業主婦(主夫)で収入がないとしても、家事労働に価値があります。したがって、女性の平均賃金を基礎収入として逸失利益の請求が可能です。兼業主婦(主夫)については、実際の収入と女性の平均賃金のうち高い方が基礎収入となります。

 

・子ども

まだ働いていない子どもについては、原則として全年齢の平均賃金を用います。男子については男性の、女子については男女合わせた平均賃金をもとに請求するのが一般的です。

 

・無職

無職であれば、基本的には逸失利益は認められません。ただし失業中であっても、今後働く可能性が高かったと認められれば、逸失利益の請求が可能です。

 

◆ 労働能力喪失率

労働能力喪失率は、後遺障害によって労働がしづらくなった程度を数値化したものです。基本的には、後遺障害等級によって以下の通り定められています。

 

後遺障害等級

労働能力喪失率

1級

100%

2級

100%

3級

100%

4級

92%

5級

79%

6級

67%

7級

56%

8級

45%

9級

35%

10級

27%

11級

20%

12級

14%

13級

9%

14級

5%

 

 

◆ 労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数

労働能力喪失期間は、原則として症状固定時から67歳までとされています。未就労であれば、基本的に18歳から67歳です。

もっとも、むちうちの場合には、12級で10年程度、14級で5年程度に制限されるケースが多いです。

賠償金は一括で支払われるため、受け取った後で運用が可能です。運用益を考えると、単に労働能力喪失期間を掛け合わせるだけだと、受け取る側に有利になり過ぎます。そこで、想定される運用益を除くために、ライプニッツ係数という数字を利用します。実際に計算する際には、以下を参考にしてください。

参考;就労可能年数とライプニッツ係数表|国土交通省

 

以上の3つの要素がわかれば、後遺障害逸失利益の金額を計算できます。もっとも、現実には「実際の収入は減っていない」「労働には影響がないはずだ」などと相手に主張され、逸失利益の有無や金額が争いになるケースは多いです。

当事務所では、交通事故の初回相談を無料としております。「逸失利益がいくらになるか知りたい」「相手方と争いになっている」といった方は、お気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2024.03.11更新

親権とは?内容や監護権との違い

離婚する際に親権が争いになるケースは多いです。

今回は、そもそも親権とは何かについて解説します。

 

◆ 親権とは?

親権とは、未成年の子どものために、世話をしたり、財産を管理したりする権利・義務です。子どもが一人前の大人になるために育てる権利・義務といえます。権利だけでなく、義務でもある点がポイントです。親権は、子どもの利益になるように行使しなければなりません。

2022年から成人年齢が18歳に引き下げられていますので、現在親権は18歳未満の子に対して行使できます。

親権者は基本的に父母です。結婚している間は、父母が協力して親権を行使します。

もっとも、離婚した後には単独親権とされ、片方の親だけが親権者となります。法改正の議論も進んでいますが、現在のルールでは離婚後の共同親権は認められておらず、親権者を決めないと離婚できません。一方にしか認められないがゆえに、親権をめぐって離婚時に争いになるケースは非常に多いです。

親権の内容は、大きく「財産管理権」と「身上監護権」に分けられます。それぞれについて詳しく解説します。

 

◆ 財産管理権

子の財産を管理する権利・義務です。親権者は、預金などの財産を管理するとともに、財産に関する法律行為を代わりに行います。

たとえば、お年玉や祖父母から子に贈与された財産を管理する、子どもの代わりにスマートフォンの利用契約をするといった行為が可能です。

 

◆ 身上監護権

子どもの世話や教育をする権利・義務です。親が子を身体的に保護するとともに、教育によって精神的に成長させる必要があります。民法では、子の住む場所を決められる「居所指定権」や子が仕事をする際の「職業許可権」も定められています。

以前は「懲戒権」も定められていましたが、児童虐待を正当化する根拠になっているとの批判があり、2022年の法改正により削除されました。また、かつては未成年者が結婚する際の同意権がありましたが、婚姻可能年齢が男女とも18歳となり成人年齢と同じになったため、削除されています。

 

◆ 親権者と監護権者は別にできる?

監護権は親権の一部です。ただし、離婚する際には、親権者とは別に監護権者を定める方法もとれます。そのため、争いがあった際に「親権者(財産管理)は父、監護権者は母」といった解決が提案されるケースもあります。

とはいえ、子どもの利益を考えると、普段世話をしている親が財産管理も含めて親権を行使するのが、スムーズであり望ましいです。裁判所においては、親権者と監護権者を分けるのを認めない傾向にあります。

 

以上が親権に関する基礎知識です。今後、親権の判断基準などについても詳しく解説します。

当事務所では、離婚の初回相談を無料としております。親権についてお悩みの方は、お気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2024.02.22更新

離婚時に決めること(子ありの場合)

未成年のお子さんをお持ちの方が離婚する場合、財産分与や慰謝料などのほかに、子どもに関して決めなければならないポイントがあります。

主に以下の3つの点について、夫婦で話し合いましょう。

 

①親権者

夫婦のどちらが子どもの親権者となるかを決めなければなりません。法改正の議論は進んでいますが、現在の法律では離婚後の親権者は父母の片方だけとされています。

親権はお金と異なり分けられないため、特に争いが激しくなりやすいです。夫婦で話し合いがまとまらないときには、調停など裁判所での手続きで決めます。

判断要素は様々ありますが、子どもにとってどちらが親権者になるのがよいかがポイントです。実際には母親が親権者になるケースが多いものの、父親の方がふさわしい場合もあります。

離婚届には親権者の記載欄があり、決めないと離婚できません。なお、離婚後の親や子の姓については、以下の記事を参考にしてください。

参考記事:離婚後の姓

 

②養育費

養育費の定めも必要です。子どもを引き取らなかった親にも、養育にかかる食費、学費、医療費などのお金を負担する義務があります。

養育費に関しては、以下の点を決めておきましょう。

  • 1ヶ月あたりの金額
  • 何歳まで支払うか
  • 支払方法

養育費をいくらにするかも争いになりやすいポイントです。両親の年収・子供の年齢・人数に応じて、裁判所が算定表を公表しています。参考にするとよいでしょう。

参考:平成30年度司法研究(養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究)の報告について|裁判所

また、離婚後に養育費が支払われずにトラブルになるケースも多いです。合意内容を公証役場で公正証書にしておくと、トラブル予防になります。

参考記事:離婚協議の内容を公正証書にするメリット

 

③面会交流

離婚後の面会交流についても定めておきましょう。離婚しても、親子である事実は変わりません。離れて暮らす親も、子と会う権利を有しています。

面会交流に関しては、以下の点を決めましょう。

  • 時間、頻度
  • 場所
  • 子の引き渡し方法
  • プレゼント・宿泊・学校行事など、その他のルール

親権者が決まっても、面会交流の方法をめぐってトラブルになるケースが少なくありません。子どものことを考えて、十分に話し合って決めてください。

 

以上が離婚時に子どもに関して決めておくべき事項になります。それぞれについて詳しくは、次回以降に解説します。

幼い子どもがいると、離婚の際に特に揉めやすいです。当事務所では離婚の初回相談を無料としております。子持ちで離婚に関してお悩みであれば、まずはお気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2024.02.15更新

弁護士特約が使えないケース|使えないときの対処法も解説

交通事故で弁護士特約(弁護士費用特約)が利用できれば、多くのケースで自己負担ゼロで弁護士に依頼できます。交通事故に遭った方にとって、弁護士特約は大きな味方です。

しかし、弁護士特約が使えないケースもあります。今回は弁護士特約が使えないケースや対処法について解説します。

弁護士特約の使い方については、以下の記事を参照してください。

参考記事:交通事故での弁護士特約の使い方

 

◆ 弁護士特約が使えないケース

弁護士特約に加入していても、保険約款の定めにより利用できないケースがあります。弁護士特約を使えない主なケースは、以下の通りです。

  • 被保険者の故意・重大な過失による事故
  • 無免許運転、飲酒運転、薬物使用時に生じた事故
  • 闘争行為、自殺行為、犯罪行為により生じた事故
  • 自然災害(地震、噴火、津波、台風、洪水、高潮)
  • 戦争、革命、内乱など
  • 事故の相手方が家族(父母、配偶者、子など)
  • 自動車・バイク以外の事故(自転車など)
  • 事業用車両での事故(保険会社による)

これらは、多くの保険約款において弁護士特約が使えないとされるケースです。契約している保険によって異なる場合があるため、ご自身の保険をよくご確認ください。

また、弁護士特約を利用するには、事故時点で加入していなければなりません。事故後に加入しても補償は受けられないので注意してください。

 

◆ 弁護士特約が使えないときの対処法

上記のいずれかに該当して弁護士特約が使えなくても、弁護士に依頼した方がよいケースは多いです。賠償金増額や交渉の代行など、費用を支払ってでも弁護士への依頼には大きなメリットがあります。

ご自身に弁護士をつけるべきかわからない方は、無料法律相談を利用するとよいでしょう。状況を元に、弁護士に依頼するべきかをアドバイスしてもらえます。

参考記事;交通事故で弁護士に依頼するメリット

 

◆ 弁護士特約の利用を保険会社に断られたら?

意外と多いのが、弁護士特約を利用しようとしたものの、保険会社に嫌がられるケースです。

担当者が保険約款を誤解して、利用できないと判断している場合もあります。しかし、現実には使えないケースは例外的であり、十分な確認が必要です。

保険会社が弁護士費用の負担を避けたい、あるいは弁護士をつけるほどではないと考えているケースもあるでしょう。しかし、保険料を払っているのですから、遠慮する必要はありません。

 

以上が弁護士特約を使えないケースや対処法になります。実際には多くのケースで利用できますので、保険会社に難色を示されても諦めないでください。

当事務所では、交通事故の初回相談を無料としております。弁護士特約を使えない、あるいは使えるかわからない方も、お気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所