交通事故における遅延損害金

遅延損害金とは、債務の履行が遅れた際に発生する賠償金です。交通事故でも、裁判で判決まで至ると支払われます。解決まで時間がかかった場合や賠償金額が大きい場合には、遅延損害金も高額になりえます。2020年の民法改正により利率が変更された点にも注意が必要です。

今回は、交通事故における遅延損害金について解説します。

 

 

◆ 交通事故の遅延損害金とは

一般に遅延損害金とは、支払いが遅れた際に発生する賠償金です。偶然発生し、当事者間に事前の取り決めがない交通事故においても遅延損害金は生じます。

交通事故により発生する治療費・休業損害等の損害は、日々積み重なっていくものです。しかし判例・実務上は、後遺障害分や弁護士費用も含めたすべての損害について、事故当日から遅延損害金が発生するものとされています。民法では一般的に「初日不算入」のルールがありますが、交通事故の遅延損害金には適用されません。

 

◆ 交通事故における遅延損害金の計算方法

交通事故の遅延損害金は、以下の計算式で計算します。

遅延損害金=賠償額×利率×事故日から支払日までの日数÷365

利率は法定利率を用います。以前は5%とされていましたが、法改正により、2020年4月1日以降に発生した事故については3%となりました。

たとえば、賠償額が1000万円、事故日から支払日までが365日の場合の遅延損害金は、1000万円×3%×365日÷365=30万円です。

 

◆ 交通事故で遅延損害金が支払われるケース

賠償総額や支払いまでの期間によっては、遅延損害金は高額になりえます。もっとも、実際に支払われるケースは限られます。

まず、当事者の交渉で示談になった場合には基本的に支払われません。交通事故紛争処理センターなどのADRで解決したときも同様です。

遅延損害金が支払われるのは、裁判で判決にまで至ったケースです。裁判中に和解したときは、「調整金」という名目で一部を受け取れる場合があります。

 

以上が交通事故の遅延損害金に関する基礎知識です。理論上は発生していても、実際に支払われるのは裁判になったケースに限られます。解決まで時間がかかっても遅延損害金を受け取るのがよいか、早期に解決した方がいいのかはケースバイケースです。弁護士に相談するのがよいでしょう。

当事務所では、交通事故に関する初回相談を無料としております。遅延損害金を含めた賠償金について疑問やお悩みがある方は、まずはお気軽にお問い合わせください。