治療費打ち切りを宣告されたときの対処法

交通事故に遭われた方から「相手方の保険会社に治療費の支払いを打ち切ると言われた」とよく相談を受けます。

交通事故の治療費は、相手方の任意保険会社から病院に直接支払われ、窓口で自己負担をせずにすむケースが多いです。しかし、打ち切られてしまうと、窓口で支払いをしなければなりません。

今回は、治療費を打ち切られる理由や問題点を踏まえて、対処法を解説します。

 

◆ 治療費を打ち切られる理由

相手方の保険会社が治療費の支払いを打ち切ろうとするのは、自社の支払額を抑えるためです。

治療期間が長くなると、治療費のみならず、入通院慰謝料の額が大きくなります。また、後遺障害が認定されやすくなり、後遺障害慰謝料や逸失利益が発生する可能性もあります。

保険会社も営利企業である以上、支払い額を抑えたいと考えるのはある意味当然です。また、必要のない通院をして賠償金を増額させようとする方もいるため、対策として治療費を打ち切る側面もあるでしょう。

 

◆ 治療費打ち切りにより生じる問題

治療費の支払いを打ち切られてしまうと、必要な治療をやめてしまう問題があります。保険会社から支払いがなくても、治療を続けて構いません。しかし実際には、自己負担になると通院をやめてしまう方も多いです。

身体の問題だけでなく、受け取れる賠償金も減ってしまいます。入通院慰謝料は通院期間によって決まるため、途中で治療をやめると減少します。

より深刻なのは、後遺障害認定の問題です。たとえば、むち打ちで後遺障害が認定されるには、6か月以上の通院が必要とされます。保険会社の治療費打ち切りの宣告にしたがって6か月未満で通院をやめてしまうと、まず認定がおりません。治療を続けていれば認定されるケースであっても、後遺障害慰謝料や逸失利益を受け取れなくなってしまうのです。

 

◆ 治療費打ち切りへの対処法

本来であれば「治療を続けても症状の改善が見込めない状態」である症状固定までは、治療を続けるべきです。

治療費の打ち切りを打診されたら、即答せずに、まずは主治医に治療の継続が必要か相談してください。

「すでに症状固定である」との見解であれば、治療を打ち切り、後遺障害申請をするか、すぐに示談金の交渉に入るかを検討します。

症状固定に至っておらず治療の効果が見込めるようであれば、医師の意見をもとに保険会社に延長の交渉をする方法があります。ひとつのコツとしては、無期限ではなく、期間を区切って延長を求めることです。

それでも治療費を打ち切られるようであれば、健康保険などを利用した治療の継続も可能です。ただし、最終的に相手に支払ってもらえないリスクもある点には注意してください。

 

以上が治療費打ち切りに関する基礎知識になります。

実際には、治療費打ち切りの宣告に対して、ご自身だけで対応するのは困難です。弁護士に依頼して延長の交渉や、その後の後遺障害申請、示談交渉まで任せてしまうのがよいでしょう。

当事務所では、交通事故の初回相談を無料としております。「保険会社に治療費を支払わないと言われた」「今後治療を続けるべきかわからない」といった悩みをお持ちの方は、まずはお気軽にお問い合わせください。