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2026.04.09更新

事故車の評価損(格落ち)

事故車の評価損(格落ち)

 

交通事故で車を修理すると、「評価損(格落ち)」が損害として認められる場合があります。

今回は評価損について解説します。

 

評価損(格落ち)とは?

評価損(格落ち)とは、修理によって車両の価値が下落する損害です。交通事故により壊れた部分を修理した際に、車両の価値が下がったことを理由に損害賠償が認められるケースがあります。

評価損には、以下の2種類があります。

・技術上の評価損:修理しても外観や機能に何らかの欠陥が生じること

・取引上の評価損:事故歴によりマイナスイメージを持たれ市場価値が下がること

実際に事故車両を売却していなくとも、車両の価値が低下した場合には評価損を請求できる可能性があります。

 

評価損が認定されるケース

現実には、評価損が認定されるケースは限られています。認定されやすくなる事情としては、以下が挙げられます。

 

判断要素

認定されやすくなる事情

車種

外国車、国産高級車、人気車種

登録年数

初度登録からの期間が短い(3~5年程度以内)

走行距離

少ない(4~6万km程度以内)

損傷箇所

骨格部分の損傷(フレーム・バンパーなど)

修理内容

大規模・広範囲

 

これらの事情を総合的に考慮して判断されるため、評価損が認められるかはケースバイケースです。

判例に基づくひとつの目安として、次の基準が挙げられます。

・外国車や国産人気車種:初度登録から5年程度以内・走行距離6万km程度まで

・国産車:初度登録から3年程度以内・走行距離4万km程度まで

 

ただし、実際に評価損を受け取るハードルは高いといえます。特に交渉段階では、保険会社が認めてくれないケースが多いです。訴訟をしても、裁判所が認めてくれるとは限りません。

なお、評価損が発生するのは、修理して使える状態であることが前提です。全損で買い替えが必要になる場合には、評価損は請求できません。

 

 

評価損の金額

評価損の金額の算定方法は、様々あります。

実務上多く用いられるのが、修理費の一定割合を評価損とする方法です。修理費の何パーセントとするかはケースバイケースです。おおむね10%~50%までと幅は大きいですが、30%程度になる場合が多いといえます。

ただし、明確な基準はありません。金額の見通しをつけるのは難しいといえます。

 

以上が評価損についての基礎知識です。保険会社が認めない場合が多く、明確な基準もないため、自力で請求するのは困難です。弁護士への相談をオススメします。

 

当事務所では、交通事故の初回相談を無料としております。事故に遭われた方は、お気軽にご相談ください。

 

 

 

投稿者: 松村法律事務所

2026.03.11更新

交通事故での車の修理代

交通事故での車の修理代

 

交通事故ではケガ・死亡による損害(人損)が大きいものの、物損も争いになる場合があります。特に車の修理費用は多くのケースで発生するため、問題になりやすいです。

今回は、交通事故での車の修理代について解説します。

 

修理代は賠償の対象

交通事故により車の修理が必要になった場合、多くのケースで相手方に修理代を請求できます。

修理費の金額は、修理工場で見積もりを出し、アジャスターが調査・確認し、それをもとに決定されるのが通常です。

なお、事故以前から存在したキズの修理や、必要のない部品交換などは、交通事故による損害とはいえず、相手方に請求できません。

 

修理代全額を受け取れるとは限らない

修理代は全額受け取れるとは限りません。

全額受け取れない場合として挙げられるのは、自身に過失があるケースです。自身の過失分については、相手方に請求できません。たとえば、修理代が50万円で過失割合が「8:2(相手8割、自身2割)」の場合には、50×0.8=40万円しか請求できません。

参考記事:過失割合とは?交通事故において持つ意味

また、相手方が任意保険に加入していない場合には、支払いを受けられない恐れがあります。法律上は請求権があるものの、相手がお金を持っておらず支払い能力がなければ、事実上踏み倒されてしまいかねません。なお、自賠責保険では物損は対象外です。

相手方から受け取れない場合でも、自身が車両保険に加入していれば補償を受けられます。ただし、車両保険を利用すると保険料が上がってしまいますので、損にならないかを確認しておくようにしましょう。

 

全損の場合には買替差額が補償される

全損の場合には、修理費ではなく買替差額が補償されます。

全損には「物理的全損」と「経済的全損」があります。

物理的全損とは、物理的に修理が不可能な場合です。経済的全損とは、修理は可能であるものの、修理費が車両時価と買替えに要する諸費用との合計を上回っていて、経済的に考えて修理するのが不相当な場合です。

物理的全損あるいは経済的全損の場合には、事故時の車両の時価相当額と売却代金との差額が、損害として認められます。時価は、レッドブックなどをもとに算定されます。購入時の価格ではなく、時間の経過に応じて価値が下落している点には注意してください。

加えて、実際の買替えに要した費用のうち、自動車税環境性能割、登録・車庫証明・廃車・納車等にかかる手数料、手続き代行手数料、リサイクル料金などが損害として認められます。

 

以上が交通事故の修理費に関する基礎知識です。細かい部分が争いになる場合もありますので、わからないことは弁護士にご相談ください。

 

当事務所では、交通事故の初回相談を無料としております。事故に遭われた方は、お気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2026.02.09更新

物損事故から人身事故に切り替える方法

交通事故に遭った方から、「物損事故(物件事故)から人身事故に切り替えた方がよいか」と聞かれることがあります。

早い段階であれば、物損から人身への変更は可能です。場合によっては切り替えを検討するとよいでしょう。

今回は、物損事故から人身事故への切り替えについてご説明します。

 

 

◆ 物損事故から人身事故への切り替えが問題になる場面

物損事故(交通事故証明書の記載では「物件事故」)とは、人が死傷せずに、車両等の物だけに損害が生じている事故です。人が死傷している「人身事故」とは別に扱われます。

交通事故では、事故直後には症状を感じておらず物損扱いにしていても、次第に症状が現れてくるケースが少なくありません。症状が出てから、人身事故扱いとすべきか悩む方がいます。

また、本来は人身事故であるのに、違反点数の加算や刑事責任の追及を避けたい相手方から「物損扱いにして欲しい」とお願いされ、応じる方もいるでしょう。

このように物損事故となっている場合に、人身事故に切り替えるべきなのでしょうか?

 

 

◆ 物損事故から人身事故に切り替えるべきケース

物損事故(物件事故)か人身事故かは、あくまで警察における分類です。実際にケガが生じているのであれば、損害賠償を求めることはできます。

既に相手方保険会社から治療費が支払われているときは、物損事故扱いのままでも、問題なく賠償を受けられる場合が多いです。もっとも、以下のケースでは、人身事故への切り替えを積極的に検討しましょう。

 

・過失割合が争いになっている・なりそう

過失割合が争いになっているときは、警察が作成する「実況見分調書」が有力な証拠になります。物損扱いだと、実況見分調書が作成されません。客観的な証拠を得るには、人身事故に切り替えて実況見分を行い、調書を作成してもらうのがよいでしょう。

参考記事:過失割合とは?交通事故において持つ意味

 

・後遺障害認定の可能性がある

物損扱いのままだと、軽い事故だと判断されてしまい、場合によっては後遺障害認定に不利に働くおそれがあります。

参考記事:後遺障害とは?後遺症との違いは?

 

 

◆ 物損事故から人身事故に切り替える方法

物損事故から人身事故に切り替えたいときは、まずは病院で診断書を取得してください。事故によるケガであると証明するためです。

診断書を取得したら、警察に出向いて切り替え手続きをします。他にも、運転免許証、車検証などの必要書類があるため、事前に管轄の警察署に確認し、訪問日時も決めておくとスムーズです。

切り替えの期限は明確には決まっていませんが、事故から1週間~10日程度までに行うのが望ましいです。遅れると事故とケガとの因果関係を疑われ、受け付けてもらえない可能性があります。早めの行動を心がけてください。

切り替えが完了したら、相手方の保険会社に連絡をしておきましょう。

 

 

以上が物損事故から人身事故への切り替えの概要です。切り替えるべきか迷っている方や、手続きに不安がある方は、お早めに弁護士にご相談ください。

 

当事務所では、交通事故の初回相談を無料としております。物損事故から人身事故への切り替えについてお悩みの方は、お気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2026.01.10更新

物損事故とは?人身事故との違い

物損事故とは、人がケガをせず、物だけに損害が生じる交通事故です。人身事故とは法的な扱いが異なります。

今回は物損事故の意味や人身事故との違いを解説します。

 

◆ 物損事故とは?

物損事故とは、死傷者がいない交通事故です。物だけに損害が生じている事故になります。

たとえば、自動車、建物、ガードレールなどが破損したものの、人的被害はなかったケースです。たとえ家族同然であったとしても、ペットは法的には物として扱われます。

人が死傷した事故は、人身事故と呼ばれます。人と物の両方に損害があった場合には、物損事故ではなく人身事故です。

物損事故は比較的軽微な場合もありますが、警察には必ず報告しなければなりません。警察においては、物損事故は「物件事故」という名称になります。当事者がケガをしていても、警察では物件事故として処理されるケースもあります。

 

◆ 物損事故で認められる損害

物損事故で生じ得る代表的な損害は以下の通りです。

  • 修理費(相当額)
  • 買い替え費用(登録に要する費用など)
  • 評価損(修理しても欠陥が残る、市場価値下落が見込まれる場合)
  • 代車使用料(修理・買い替えまでに代車を利用した場合)
  • 休車損(営業用車両の場合)
  • レッカー代、保管料

物損では、基本的に慰謝料(精神的な苦痛に対する賠償金)は支払われません。

 

◆ 物損事故と人身事故の違い

物損事故と人身事故の違いはいくつかあります。ここでは、刑事責任、行政処分(違反点数加算)、自賠責適用の有無について説明します。

まず、物損事故では、基本的に刑事罰には問われません。人身事故では「過失運転致死傷罪」などの犯罪に該当するとして、刑事裁判を通じて刑罰が科されるケースがあります。

次に、物損事故では通常は違反点数が加算されません。当て逃げなどの例外的な場合を除き、免許への影響はないということです。

損害賠償に関しては、物損事故では自賠責保険が適用されません。自賠責保険は人的損害のみを対象としています。相手方が任意保険に加入していない場合には、相手方本人への請求、あるいは自身の車両保険等を利用して補償を受ける必要があります。

 

以上が物損事故の意味や、人身事故との違いに関する基礎知識です。

物損事故では、人身事故と比べて補償が手薄になりやすいといえます。気になる点がある方は、弁護士にご相談ください。

当事務所では、交通事故の初回相談を無料としております。お気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2025.11.24更新

過失相殺と損益相殺の順序

過失相殺と損益相殺がともに必要なときは、どちらを先に行うかで支払額が変わります。細かい点に思えますが、意外と重要なポイントです。

今回は、過失相殺と損益相殺の順序についてご説明します。

参考記事:過失割合とは?交通事故において持つ意味

 

 

◆ 過失相殺と損益相殺の順番によって支払額が変わる

過失相殺とは、事故について被害者にも落ち度があるときに、受け取れる賠償金を減額することです。対して損益相殺とは、交通事故を理由として金銭的利益を得たときに、相手方に請求できる損害賠償金から差し引くことです。

過失相殺と損益相殺の両方が発生するケースはよくあります。

たとえば、被害者の過失が認められる事故において、被害者の治療費が保険会社から病院に直接支払われている(一括対応)ケースです。

両方が発生するときは、どちらを先にするかで最終的な支払い金額が変わります。

たとえば、以下のケースで考えましょう。

・損害総額:1000万円

・過失割合:9:1

・損益相殺額:200万円

このとき、過失相殺を先に行えば、被害者が相手方に請求できる金額は、

1000万円×0.9-200万円=700万円

です。

同じケースで、損益相殺を先に行うと、

(1000万円-200万円)×0.9=720万円

となります。

順序が異なるだけで、支払額に大きな差が生じます。一般的に、損益相殺を先に行った方が被害者に有利です。

 

◆ 過失相殺を先に行うもの

一般的に、損害の補てんとしてなされる給付・支払いの場合には、過失相殺が先に行われます。具体例は以下の通りです。

・加害者からの弁済

・自賠責保険や加害者側任意保険からの支払い

・労災保険からの給付(最高裁平成元年4月11日判決)

 

◆ 損益相殺を先に行うもの

損益相殺が先に行われるとされるのは、社会保障としてなされる給付です。健康保険からの給付が該当します。

したがって、被害者に過失があるケースでは、被害者は健康保険を利用した方が金銭面で有利になります。

参考記事:交通事故で使える保険

 

◆ 判断がわかれているもの

裁判例によって判断がわかれているものもあります。すなわち、国民年金や厚生年金からの給付では、過失相殺を先に行う裁判例と、損益相殺を先に行う裁判例が存在します。

被害者の立場であれば、損益相殺を先に行うよう主張すべきです。

 

 

以上が、過失相殺と損益相殺の順序になります。細かい話ですので、ご存じない方が多いかと思いますが、実際の支払額を左右するポイントです。

 

当事務所では、交通事故の初回相談を無料としております。過失相殺や損益相殺について疑問やお悩みがある方は、まずはお気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2025.10.30更新

損益相殺されるケース・されないケース

交通事故を理由としてお金を受け取っていると、相手方に請求できる賠償金が減額される場合があり、「損益相殺」と呼ばれます。

何が差し引かれるかわかりづらい部分もありますので、今回は損益相殺についてご説明します。

 

◆ 損益相殺とは?

損益相殺とは、交通事故を理由として金銭的利益を得たときに、相手方に請求できる損害賠償金から差し引くことです。法律に明確な定めはありませんが、判例で示されており、実務上は当然に行われています。

損益相殺がなされるのは、賠償金の二重取りを防ぐためです。

交通事故に遭うと、治療費や休業損害のといった損害が発生しますが、相手方からの支払いとは別に、給付金などを受け取れる場合があります。事故を原因として金銭を既に受け取っているのに、それと関係なく損害賠償を相手方に請求できるとなると、利益を受け過ぎていることになります。不公平が生じないように調整としてなされるのが、損益相殺です。

損益相殺がなされるかどうかは、受け取った給付等の種類によって変わります。

 

◆ 損益相殺されるケース

損益相殺がなされ、相手方に請求できる賠償金から差し引かれるものとしては、以下が挙げられます。

・自賠責保険金(政府補償事業によるてん補金も含む)

・公的制度(健康保険・年金・労災など)による給付金(例外あり)

・所得補償保険金

・人身傷害保険金

・加害者から支払われた弁済金

上記のお金については、相手方に請求する際には賠償額から除かなければなりません。

 

◆ 損益相殺されないケース

損益相殺がなされない給付等もあります。損害の補てんを目的としていないものや、定額で支払われるものなどです。

・見舞金、香典

・労災保険の特別支給金

・搭乗者傷害保険金

・生命保険金

これらについては、相手方に請求する金額から差し引く必要がありません。

 

以上が損益相殺に関する基礎知識になります。差し引かれるもの・差し引かれないものは細かく分かれており、一般の方にとっては区別が難しいでしょう。差し引く対象となる費目が決まっているなど、実際のルールはさらに複雑です。相手方に請求する際には、弁護士への相談をオススメします

 

当事務所では、交通事故の初回相談を無料としております。損益相殺で何が差し引かれるのかわからない方は、お気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2025.09.27更新

交通事故の過失割合に納得がいかないときはどうする?

「交通事故の過失割合に納得がいかない」という方は非常に多いです。過失割合は5%の違いであっても最終的に受け取れる賠償金額に大きな影響を与えます。納得がいかないのであれば、すぐに示談する必要はありません。

今回は、過失割合に納得がいかないときの対処法をご紹介します。過失割合の基礎知識は以下をご覧ください。

参考記事;過失割合とは?交通事故において持つ意味

 

◆ 保険会社と交渉する

まずは、相手方の任意保険会社と交渉するのが通常です。

保険会社は、契約者の言い分をもとに、最大限有利な割合を主張します。一方的な言い分であり、事実と異なることも少なくありません。主張の根拠を聞き、おかしい部分は適切に反論する必要があります。

事故態様に食い違いがあるときは、単にご自身の言い分を伝えるだけでなく、ドライブレコーダーの映像や実況見分調書などの客観的な証拠をもとに反論するのが理想です。

参考記事:交通事故において実況見分調書が持つ意味と入手方法

具体的な過失割合を主張する際には、「別冊判例タイムズ38号(民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準全訂5版)」という書籍を参照するのがよいでしょう。この本は、過去の裁判例をもとに、事故態様ごとの基本的な過失割合や修正要素をまとめたものです。保険会社の担当者も参照しているはずですので、知っておいて損はありません。

保険会社は、相手の足元をみて不合理な過失割合を主張する場合があります。もっとも、過失割合を一方的に決める権利は保険会社にありません。言われるがまま受け入れないようにしてください。

参考記事:交通事故の過失割合は誰が決める?どう決める?

 

◆ ADRを利用する

保険会社との交渉で合意できないときにとりうる方法として、ADRの利用が挙げられます。

ADRとは裁判外の紛争解決手続きです。交通事故に関するADRとしては、交通事故紛争処理センターが挙げられます。法律相談や和解あっせんができ、中立の立場で話し合いを仲介してくれます。

裁判よりはハードルが低い手続きであり、費用は無料です。とはいえ、書類の準備が必要になるなど手間はかかってしまい、一般の方にとって手軽な手続きとはいえないでしょう。

 

◆ 訴訟を提起する

最終的には裁判所に訴訟を提起します。最も強力な手段ですが、イメージされる通り、手続きが面倒であり慣れていない方にはハードルが高いです。

 

以上が、過失割合に納得がいかないときにとれる方法になります。ADRや訴訟は手続き面のハードルが高いです。とはいえ、交渉で保険会社に主張を認めさせるのは難しいでしょう。過失割合が争いになった際には、弁護士への依頼がオススメです。

 

当事務所では、交通事故の初回相談を無料としております。過失割合に納得がいかない方は、まずはお気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2025.08.11更新

過失割合に応じた賠償金の計算方法

交通事故では、過失割合によって相手に請求できる賠償金が大きく変わります。今回は、過失割合がどう賠償金の計算に影響してくるかについて、いくつかの例をもとに解説します。

 

◆ 「10対0」のとき

加害者に100%の過失があるときは話が単純です。被害者は、自身に生じた損害額をすべて加害者に請求できます。

ただし、過失がないケースでは、被害者が任意保険に加入していても保険会社の示談代行サービスを使えません。適正な賠償を受けるために、弁護士に依頼する必要性が高いです。

 

◆ 「9対1」のとき

加害者に9割、被害者に1割の過失があるときは、被害者が請求できる賠償金が減額されてしまいます。たとえば100万円の損害があっても、過失の1割が差し引かれるため、請求できるのは「100万円×0.9=90万円」です。

同じ事故で加害者にも50万円の損害が生じていれば、加害者から被害者にも過失分の1割を請求できます。すなわち、「50万円×0.1=5万円」の請求が可能です。(被害者が任意保険に加入していれば実際に負担するのは保険会社です。)

このとき、双方がそれぞれ90万円、5万円を相手方に支払う場合もあれば、差し引き85万円を加害者が被害者に支払う場合もあります。

 

◆ 「9対0」のとき

通常、過失割合は足して10になりますが、「9対0」のように足して10にならない場合もあります。「片側賠償(片賠)」と呼ばれる、加害者が請求権を放棄したケースです。

被害者の損害額が100万円であれば、加害者に請求できるのは90万円となり、この点は「9対1」のケースと同じです。ただし、片側賠償では加害者から被害者への請求は行われません。

片側賠償とすれば、被害者が賠償金を支払う必要はなくなります。加入している任意保険を使わずにすみ、保険等級が下がらず保険料が上がらない点がメリットです。また、高級車に乗っていたなど加害者側の損害が大きいと、被害者であるのに支払額が高額になってしまいますが、片側賠償ではそうした事態を回避できます。

ただし、片側賠償は双方の合意がなければできません。相手が応じることが前提になるので注意してください。

 

以上が過失割合に応じた賠償額の計算方法になります。ご自身の事故における過失割合や計算について詳しく知りたい方は、弁護士にご相談ください。

当事務所では、交通事故の初回相談を無料としております。過失割合についてお悩みの方は、まずはお気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2025.07.11更新

交通事故の過失割合は誰が決める?どう決める?

交通事故の過失割合は、受け取れる賠償金額に大きな影響を与えます。今回は、過失割合は誰がどのように決めるかを解説します。

 

◆ 当事者同士で話し合う

ほとんどの事故において、過失割合は当事者同士の話し合いで決まります。実際には被害者・加害者本人ではなく、加入している任意保険会社や当事者が依頼した弁護士が代わりに交渉を行う場合もよくあります。双方が任意保険に加入している場合には、保険会社同士の話し合いで決まるケースも多いでしょう。

具体的な割合は、「別冊判例タイムズ38号(民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準全訂5版)」という書籍にしたがって話し合われるのが一般的です。この本には、過去の裁判例をもとにした、事故類型ごとの基本的な過失割合や修正要素などが記載されています。交渉の際には、事故状況の認識をすり合わせてどの類型にあたるかを判断し、個々の事情に応じて修正がなされます。

 

◆ 相手方保険会社に言われた通りに応じる必要はない

ご自身で交渉していると、相手方保険会社から一方的に過失割合を通告される場合があります。もっとも、応じる義務はありません。

保険会社は、契約者から聞いた話をもとに、支払額を抑えるためにできる限り有利な割合を主張します。したがって、言われた通りにすると本来よりも不利な割合になる可能性が高いです。上で紹介した書籍を参照する、証拠を示す、専門家に相談するなどして、納得のいく限りご自身の主張をした方がよいでしょう。

保険会社に一方的に過失割合を決める権限はありません。言われるがまま応じる必要はない点を頭に入れておいてください。

 

◆ 最終的には裁判官が決める

話し合いがまとまらないときは訴訟になり、最終的には裁判官が判決により過失割合を決めます。確定した判決には従わなければなりません。

裁判では、当事者の主張だけでなく、実況見分調書、ドライブレコーダーなどの証拠が重視されます。

 

◆ 警察が決めるわけではない

勘違いされている方も多いのですが、警察が過失割合を決めるわけではありません。「民事不介入」の原則があり、警察は私的な紛争には口を出せないことになっています。

たしかに事故の際に警察が作成する実況見分調書は重要な証拠になりますが、警察には過失割合を決める権限はありません。たとえ口頭で「あなたは悪くない」などと言われたとしても、法的に意味はないので気をつけてください。

 

以上が過失割合を決める人や決め方に関する基礎知識です。基本的には当事者同士の話し合いで決まります。ご自身での交渉に不安をお持ちの方は、弁護士にご相談ください。

当事務所では、交通事故の初回相談を無料としております。過失割合についてお悩みの方は、まずはお気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2025.06.30更新

過失割合とは?交通事故において持つ意味

交通事故で争いになりやすいポイントのひとつが過失割合です。過失割合によって支払い金額が大きく左右されます。

今回は、過失割合の基礎知識をご説明します。

 

◆ 過失割合とは?

過失割合とは、交通事故における当事者の責任の大きさを割合で表したものです。

たとえば「9対1(90:10とも表されます)」であれば、一方の責任が9割、他方の責任が1割であることを意味します。数値が大きい方が加害者、小さい方が被害者です。

停車中に追突された場合や赤信号無視の場合などを除き、ほとんどのケースで被害者にも一定の過失があると認定されます。

 

◆ 過失割合が交通事故で重要な理由

過失割合は、交通事故において重要な意味を持ちます。相手方から受け取れる賠償金を大きく左右するためです。

たとえば、被害者に100万円の損害が生じた場合、過失割合が「10対0」であれば100万円全額を受け取れます。しかし「9対1」とされれば、90万円しか受け取れません。被害者の過失割合が大きくなればなるほど、損害額と実際に受け取れる金額に差が生じてしまうのです。この例では数十万円の差ですが、損害額が大きくなれば差もより拡大します。

支払額を左右するうえに、「自分の責任を認めたくない」と考える心理もあいまって、過失割合は非常に争いになりやすいです。

 

◆ 過失割合の例

基本的な過失割合は、事故のパターンによって類型化されています。たとえば四輪自動車同士の場合だと、次のような例があります。

・10対0:停車中に後ろから追突

・9対1:信号のない交差点で優先道路を走行する車と非優先道路から侵入した車が衝突

・8対2:双方青信号の交差点で直進車と右折車が衝突

これらは基本割合であり、合図の有無、徐行の有無、道路の見通し、著しい過失・重過失(わき見運転・飲酒運転等)の有無などにより修正されます。

事故類型別の過失割合に関する情報は「別冊判例タイムズ38号(民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準全訂5版)」という本にまとめられています。弁護士や裁判官など、交通事故を扱う専門家が実務上参照している本であり、一般の方でも購入が可能です。ご自身の事故における過失割合を知りたい方はご覧になるのもよいでしょう。

 

以上が過失割合に関する基礎知識になります。今後も何回かに分けて解説する予定ですので、もしよければご覧ください。

当事務所では、交通事故の初回相談を無料としております。相手の示す割合に納得がいかないなど、過失割合についてお悩みがある方は、まずはお気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所