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2024.03.21更新

後遺障害による逸失利益の計算方法

交通事故で後遺障害を負った場合には、逸失利益を相手方に請求できます。逸失利益は、交通事故の賠償金の中でも大きなウエイトを占め、重要な項目です。

今回は、後遺障害による逸失利益の計算方法について解説します。

 

◆ 後遺障害逸失利益とは?

後遺障害逸失利益とは、事故による後遺障害がなければ得られたであろう、将来の収入です。

事故で後遺障害が残ると、思うように体が動かずに労働に支障が出てしまい、収入が減少すると考えられます。そこで、将来にわたって続く減収分を「逸失利益」という費目で相手方に請求できます。

 

◆ 逸失利益の計算式

逸失利益の計算式は以下の通りです。

「 基礎収入 × 労働能力喪失率 × 労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数 」

3つの要素を掛け合わせれば計算できます。以下で各要素について解説します。

 

◆ 基礎収入

基礎収入は、原則として事故前年の年収です。

会社員については、源泉徴収票を確認して、事故前年の実際の収入を基礎収入とします。もっとも、30歳未満の若者については、現時点での賃金が低いため、全年齢平均の賃金センサスをベースとするケースがあります。

自営業者についても同様に事故前年の確定申告を基準にしますが、収入から必要経費は除かれるので注意してください。

その他、実際の収入がない人の扱いは以下の通りです。

 

・主婦・主夫

専業主婦(主夫)で収入がないとしても、家事労働に価値があります。したがって、女性の平均賃金を基礎収入として逸失利益の請求が可能です。兼業主婦(主夫)については、実際の収入と女性の平均賃金のうち高い方が基礎収入となります。

 

・子ども

まだ働いていない子どもについては、原則として全年齢の平均賃金を用います。男子については男性の、女子については男女合わせた平均賃金をもとに請求するのが一般的です。

 

・無職

無職であれば、基本的には逸失利益は認められません。ただし失業中であっても、今後働く可能性が高かったと認められれば、逸失利益の請求が可能です。

 

◆ 労働能力喪失率

労働能力喪失率は、後遺障害によって労働がしづらくなった程度を数値化したものです。基本的には、後遺障害等級によって以下の通り定められています。

 

後遺障害等級

労働能力喪失率

1級

100%

2級

100%

3級

100%

4級

92%

5級

79%

6級

67%

7級

56%

8級

45%

9級

35%

10級

27%

11級

20%

12級

14%

13級

9%

14級

5%

 

 

◆ 労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数

労働能力喪失期間は、原則として症状固定時から67歳までとされています。未就労であれば、基本的に18歳から67歳です。

もっとも、むちうちの場合には、12級で10年程度、14級で5年程度に制限されるケースが多いです。

賠償金は一括で支払われるため、受け取った後で運用が可能です。運用益を考えると、単に労働能力喪失期間を掛け合わせるだけだと、受け取る側に有利になり過ぎます。そこで、想定される運用益を除くために、ライプニッツ係数という数字を利用します。実際に計算する際には、以下を参考にしてください。

参考;就労可能年数とライプニッツ係数表|国土交通省

 

以上の3つの要素がわかれば、後遺障害逸失利益の金額を計算できます。もっとも、現実には「実際の収入は減っていない」「労働には影響がないはずだ」などと相手に主張され、逸失利益の有無や金額が争いになるケースは多いです。

当事務所では、交通事故の初回相談を無料としております。「逸失利益がいくらになるか知りたい」「相手方と争いになっている」といった方は、お気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2024.02.15更新

弁護士特約が使えないケース|使えないときの対処法も解説

交通事故で弁護士特約(弁護士費用特約)が利用できれば、多くのケースで自己負担ゼロで弁護士に依頼できます。交通事故に遭った方にとって、弁護士特約は大きな味方です。

しかし、弁護士特約が使えないケースもあります。今回は弁護士特約が使えないケースや対処法について解説します。

弁護士特約の使い方については、以下の記事を参照してください。

参考記事:交通事故での弁護士特約の使い方

 

◆ 弁護士特約が使えないケース

弁護士特約に加入していても、保険約款の定めにより利用できないケースがあります。弁護士特約を使えない主なケースは、以下の通りです。

  • 被保険者の故意・重大な過失による事故
  • 無免許運転、飲酒運転、薬物使用時に生じた事故
  • 闘争行為、自殺行為、犯罪行為により生じた事故
  • 自然災害(地震、噴火、津波、台風、洪水、高潮)
  • 戦争、革命、内乱など
  • 事故の相手方が家族(父母、配偶者、子など)
  • 自動車・バイク以外の事故(自転車など)
  • 事業用車両での事故(保険会社による)

これらは、多くの保険約款において弁護士特約が使えないとされるケースです。契約している保険によって異なる場合があるため、ご自身の保険をよくご確認ください。

また、弁護士特約を利用するには、事故時点で加入していなければなりません。事故後に加入しても補償は受けられないので注意してください。

 

◆ 弁護士特約が使えないときの対処法

上記のいずれかに該当して弁護士特約が使えなくても、弁護士に依頼した方がよいケースは多いです。賠償金増額や交渉の代行など、費用を支払ってでも弁護士への依頼には大きなメリットがあります。

ご自身に弁護士をつけるべきかわからない方は、無料法律相談を利用するとよいでしょう。状況を元に、弁護士に依頼するべきかをアドバイスしてもらえます。

参考記事;交通事故で弁護士に依頼するメリット

 

◆ 弁護士特約の利用を保険会社に断られたら?

意外と多いのが、弁護士特約を利用しようとしたものの、保険会社に嫌がられるケースです。

担当者が保険約款を誤解して、利用できないと判断している場合もあります。しかし、現実には使えないケースは例外的であり、十分な確認が必要です。

保険会社が弁護士費用の負担を避けたい、あるいは弁護士をつけるほどではないと考えているケースもあるでしょう。しかし、保険料を払っているのですから、遠慮する必要はありません。

 

以上が弁護士特約を使えないケースや対処法になります。実際には多くのケースで利用できますので、保険会社に難色を示されても諦めないでください。

当事務所では、交通事故の初回相談を無料としております。弁護士特約を使えない、あるいは使えるかわからない方も、お気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2024.01.25更新

弁護士特約のメリット・デメリット

交通事故で弁護士に依頼する際には、費用が心配な方も多いでしょう。

弁護士特約(弁護士費用特約)を利用できれば、多くのケースで自己負担なくご依頼いただけます。

今回は、弁護士特約のメリット・デメリットを解説します。

 

■ 弁護士特約のメリット① 多くのケースで自己負担がゼロになる

弁護士特約を利用すれば、ほとんどのケースで弁護士費用の全額が保険会社から支払われ、事故に遭った方に自己負担は生じません。

多くの弁護士特約では、法律相談費用10万円、弁護士費用300万円まで補償されます。

法律相談費用は1時間1万円程度が相場であるため、自分に合う弁護士を見つけるために複数相談するとしても十分な補償額です。

弁護士費用についても、300万円を超えるのは、一般的に賠償総額が数千万円に及ぶような重大事故に限られます。ケガが軽いケースや、物損のみのケースでは、まず限度額をオーバーしません。

通常であれば費用倒れになるケースであっても、弁護士特約を利用すれば自己負担なしで安心して依頼できます。もちろん、重大事故についても負担の軽減につながります。

 

■ 弁護士特約のメリット② 賠償金の増額が期待できる

弁護士へ依頼すれば、賠償金を増額できる可能性が高いです。

自分で相手と交渉した場合には、不当に低い「自賠責保険基準」や「任意保険基準」で示談を進められてしまいます。弁護士に依頼すれば高額な「弁護士基準」で請求し、結果的に増額できるケースが多いです。

上述の通り弁護士費用は多くのケースで発生しないため、高い水準の賠償金を丸々受け取れます。

 

■ 弁護士特約のメリット③ もらい事故でも交渉を任せられる

「相手方との交渉は自分の保険会社に任せておけばいい」とお考えになる方もいらっしゃるでしょう。

しかし、停車中の追突事故や加害者の信号無視など、被害者に過失がない「もらい事故」の場合には、保険会社は示談交渉を代行できません。被害に遭って大変な思いをしている中、自力で交渉をするのは精神的に大きなストレスです。

もらい事故であっても弁護士特約を利用すれば交渉を任せられるので、ストレスから解放されます。相手方との交渉を弁護士に任せられる点も、弁護士特約の大きなメリットです。

 

■ 弁護士特約に大きなデメリットはない

弁護士特約を利用するのに、大きなデメリットはありません。

たしかに、年数千円の保険料が追加でかかります。とはいえ、事故に遭った際に受けるメリットの方が大きいといえます。

勘違いされている方も多いですが、弁護士特約を利用しても保険の等級に影響はありません。今後の保険料アップにはつながらないので安心してください。

 

 

以上が弁護士特約のメリット・デメリットになります。大きなデメリットはないので、事故に遭われた方は、利用をご検討ください。

特約の利用方法については、以下の記事を参考にしてください。

参考記事:交通事故での弁護士特約の使い方

 

当事務所では、弁護士特約がない方についても初回相談は無料です。交通事故についてお困りの点、気になる点がある方は、お気軽にお問い合わせください。

 

投稿者: 松村法律事務所

2023.12.25更新

交通事故の弁護士費用の相場|相手に請求できる?費用倒れを防ぐには?

交通事故で弁護士に依頼すると、賠償金が増額する可能性が高いです。とはいえ、弁護士費用が気になる方も多いでしょう。

今回は、交通事故の弁護士費用について解説します。

 

◆ 交通事故における弁護士費用の相場

弁護士費用は、主に相談料、着手金、成功報酬などに分かれます。費目ごとに相場をご紹介します。

  • 相談料

相談料の相場は、30分で5000円程度です。相談だけで依頼しない場合にも支払いが必要です。

最近では、相談料を無料としている事務所も増えています。当事務所も、初回相談は無料です。時間制限は特に設けていないので、じっくりとお話を伺います。

  • 着手金

着手金は、依頼の際に最初にいただくお金です。結果にかかわらず返金はされません。

事故の大きさにもよりますが、交通事故の場合、着手金の相場は10~20万円程度です。交通事故については「着手金無料」としている事務所もあります。

当事務所でも、保険会社から示談金額の提示を受けているときには着手金を無料としております。

  • 成功報酬

成功報酬は、結果に応じて終了時にいただくお金です。通常は受け取った賠償金から差し引かれます。

交通事故では「獲得した金額」または「増加した金額」の10~20%程度が相場になります。着手金なしの完全成功報酬制の場合には、成功報酬の割合が高くなりやすいです。事務所によって差があるため、依頼の際には十分に確認してください。

  • その他

その他には、実費や日当がかかります。

実費は、交通費、印紙代、郵送代、コピー代など実際に要した費用です。日当は、裁判所や現地調査など事務所外で活動した場合に発生します。

 

◆ 弁護士費用を相手に請求できる?

交通事故で裁判をして勝訴した場合には、相手に弁護士費用を請求できます。実際に弁護士に払った費用ではなく、認められた損害額の10%程度が加算されます。

もっとも、裁判に至らずに示談交渉で解決した場合には、弁護士費用は受け取れません。多くのケースで裁判にはなりませんので、相手に弁護士費用を請求するのは困難です。

 

◆ 相談時に確認すれば費用倒れを防げる

弁護士費用を差し引いて手元に残った金額が、元々受け取れるはずだった金額よりも少なくなるのが「費用倒れ」です。

交通事故の場合には、費用倒れになる心配はほとんどありません。相談の段階で見通しを聞き、費用倒れになりそうな場合には依頼しなければいいのです。

ほとんどの弁護士は、費用倒れになりそうであれば伝えます。過度に費用倒れをおそれる必要はないので、まずはご相談ください。

 

◆ 弁護士費用特約を利用できれば自己負担がゼロになるケースが多い

弁護士費用特約を利用できるケースでは、300万円までの弁護士費用が保険会社から支払われます。

重傷でなければ300万円以内におさまり、自己負担はゼロのケースがほとんどです。費用の心配をせずに依頼できますので、弁護士費用特約がないかを必ず確認しましょう。

参考記事:交通事故での弁護士特約の使い方

 

以上が交通事故の弁護士費用に関する概要です。

弁護士費用は事務所によって異なります。必ず相談の際に確認し、疑問があったら遠慮せず聞くようにしてください。

当事務所では、交通事故の初回相談を無料としております。費用面を含めて見通しをお伝えしますので、交通事故に遭われた方はお気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2023.11.10更新

交通事故で弁護士に依頼するメリット

「弁護士に相談・依頼するのは、なかなかハードルが高い」という方は少なくないでしょう。

ですが、交通事故に遭った方にとっては、弁護士をつけるメリットが大きいです。「思い切って相談してよかった」とのお声もいただきます。

今回は、交通事故で弁護士に依頼する主なメリットを、5つに絞ってご紹介します。

 

◆ メリット①慰謝料を増額できる

弁護士に依頼すれば、慰謝料を増額できる可能性が高いです。

弁護士をつけていないと、相手方の保険会社は「自賠責保険基準」や「任意保険基準」で算定した慰謝料を提示してきます。しかし、弁護士が請求する際に用いる「弁護士基準」と比べると低い金額です。

弁護士が入って、慰謝料が2倍、3倍となるケースは珍しくありません。依頼した多くの方が、慰謝料増額のメリットを享受できます。

 

◆ メリット②適正な後遺障害等級を認定してもらえる

弁護士がついたことで、正しい後遺障害等級の認定を受けられるケースがあります。

保険会社に任せる「事前認定」の手続きでは、資料が不十分で、本来認められるべき等級が認定されない場合が少なくありません。弁護士に申請手続きを任せれば、有利な資料の添付ができ、認定の可能性を高められます。

より上位の等級の後遺障害が認められれば、慰謝料や逸失利益が増額します。

(参考記事)

後遺障害の認定を受けるメリット

後遺障害認定までの流れ|事前認定と被害者請求の違い

 

◆ メリット③治療についてもアドバイス・サポートを受けられる

後遺障害認定のためには、治療の頻度や検査内容も重要になります。

もちろん、治療方針を決めるのは医師です。しかし、医師は後遺障害認定には詳しくない場合が多いです。交通事故に精通した弁護士であれば、後遺障害認定をみすえて、通院頻度、受けるべき検査などをアドバイスできます。

加えて、相手方の保険会社から治療費打ち切りを宣告された場合でも、必要に応じて治療期間延長の交渉が可能です。

弁護士に依頼すれば、示談金の交渉だけでなく、事故直後から治療に関してサポートを受けられます。

 

◆ メリット④正しい過失割合を主張できる

交通事故では、過失割合が争いになるケースも多いです。相手から言われた割合に納得のいかない方も少なくないでしょう。

弁護士は、現地調査や捜査資料の取り寄せなどを通じて、正しい過失割合を主張します。過失割合によって、受け取れる賠償金が大きく変わる場合もあります。

 

◆ メリット⑤相手方とのやりとりを任せられる

相手方保険会社とのやりとりにストレスを抱えている方も多いでしょう。「難しい専門用語を使われた」「こちらの心情に配慮してくれない」といった声をよく耳にします。

弁護士に交渉を任せてしまえば、面倒なやりとりから解放されます。金銭面だけでなく、精神面でも弁護士に依頼するメリットは大きいです。

 

以上が、交通事故で弁護士に依頼するメリットになります。

弁護士費用の心配をされる方も多いですが、当事務所では、状況によっては着手金無料でご依頼いただけます。また、弁護士費用特約が利用できれば、ほとんどのケースで自己負担はゼロです。

(参考記事)

交通事故での弁護士特約の使い方

 

当事務所では、交通事故の初回相談を無料としております。

「提示された示談金が低すぎる」「後遺障害等級は正しいのか」「保険会社とのやりとりがストレス」など、疑問や不満をお持ちの方は、まずはお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2023.10.18更新

治療費打ち切りを宣告されたときの対処法

交通事故に遭われた方から「相手方の保険会社に治療費の支払いを打ち切ると言われた」とよく相談を受けます。

交通事故の治療費は、相手方の任意保険会社から病院に直接支払われ、窓口で自己負担をせずにすむケースが多いです。しかし、打ち切られてしまうと、窓口で支払いをしなければなりません。

今回は、治療費を打ち切られる理由や問題点を踏まえて、対処法を解説します。

 

◆ 治療費を打ち切られる理由

相手方の保険会社が治療費の支払いを打ち切ろうとするのは、自社の支払額を抑えるためです。

治療期間が長くなると、治療費のみならず、入通院慰謝料の額が大きくなります。また、後遺障害が認定されやすくなり、後遺障害慰謝料や逸失利益が発生する可能性もあります。

保険会社も営利企業である以上、支払い額を抑えたいと考えるのはある意味当然です。また、必要のない通院をして賠償金を増額させようとする方もいるため、対策として治療費を打ち切る側面もあるでしょう。

 

◆ 治療費打ち切りにより生じる問題

治療費の支払いを打ち切られてしまうと、必要な治療をやめてしまう問題があります。保険会社から支払いがなくても、治療を続けて構いません。しかし実際には、自己負担になると通院をやめてしまう方も多いです。

身体の問題だけでなく、受け取れる賠償金も減ってしまいます。入通院慰謝料は通院期間によって決まるため、途中で治療をやめると減少します。

より深刻なのは、後遺障害認定の問題です。たとえば、むち打ちで後遺障害が認定されるには、6か月以上の通院が必要とされます。保険会社の治療費打ち切りの宣告にしたがって6か月未満で通院をやめてしまうと、まず認定がおりません。治療を続けていれば認定されるケースであっても、後遺障害慰謝料や逸失利益を受け取れなくなってしまうのです。

 

◆ 治療費打ち切りへの対処法

本来であれば「治療を続けても症状の改善が見込めない状態」である症状固定までは、治療を続けるべきです。

治療費の打ち切りを打診されたら、即答せずに、まずは主治医に治療の継続が必要か相談してください。

「すでに症状固定である」との見解であれば、治療を打ち切り、後遺障害申請をするか、すぐに示談金の交渉に入るかを検討します。

症状固定に至っておらず治療の効果が見込めるようであれば、医師の意見をもとに保険会社に延長の交渉をする方法があります。ひとつのコツとしては、無期限ではなく、期間を区切って延長を求めることです。

それでも治療費を打ち切られるようであれば、健康保険などを利用した治療の継続も可能です。ただし、最終的に相手に支払ってもらえないリスクもある点には注意してください。

 

以上が治療費打ち切りに関する基礎知識になります。

実際には、治療費打ち切りの宣告に対して、ご自身だけで対応するのは困難です。弁護士に依頼して延長の交渉や、その後の後遺障害申請、示談交渉まで任せてしまうのがよいでしょう。

当事務所では、交通事故の初回相談を無料としております。「保険会社に治療費を支払わないと言われた」「今後治療を続けるべきかわからない」といった悩みをお持ちの方は、まずはお気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2023.09.25更新

合意分割と3号分割の違い

以前の記事で、年金分割の概要を紹介しました。

参考記事:年金分割は半分もらえるわけではない!離婚時の年金分割の基礎知識

年金分割とは、離婚に際して婚姻期間中の厚生年金の納付記録を分ける制度です。「合意分割」と「3号分割」の2種類があります。

「2つはどう違うの?」「併用できる?」といった疑問を耳にするので、今回はそれぞれの内容や違いを詳しく解説します。

 

◆合意分割とは?

合意分割は、夫婦で合意したうえでする年金分割です。主に共働きの場合に利用されます。

納付記録をいかなる割合で按分するかを、夫婦間の話し合いで決めなければなりません。2人の話し合いでまとまらなければ、家庭裁判所の調停や審判で決めます。実際には、按分割合は「0.5」、すなわち半分ずつとするケースがほとんどです。

婚姻期間中のすべての納付記録が合意分割の対象になります。合意内容を元に、離婚後2年以内に請求手続きをしなければなりません。

 

◆3号分割とは?

3号分割は、夫婦の一方が3号被保険者であったケースで、合意なしで年金分割できる方法です。

3号被保険者とは、公務員や会社員である配偶者の扶養に入っている人をいいます。専業主婦が典型例です。パートで収入があっても、扶養の範囲内であれば該当します。

2008年4月1日以降に3号被保険者であった場合には、3号分割の対象となります。分割割合は必ず2分の1であり、夫婦間での話し合いは不要です。ただし、自動的に分割されるわけではありません。離婚後2年以内の請求手続きは不可欠です。

 

◆合意分割と3号分割の違い

両者の違いをまとめると、以下の表の通りです。

 

◆合意分割と3号分割は併用できる?

両者は併用可能です。

そもそも、3号分割の対象になるのは、2008年4月以降の期間に限られます。専業主婦であっても、2008年4月よりも前の期間については合意分割が必要です。2008年3月以前に

婚姻し結婚生活が長い夫婦では、両者を併用します。

他にも、出産のために一時的に仕事を辞めて3号被保険者となり、子育てが一段落してから再就職して厚生年金に加入したケースでは、合意分割も必要です。

簡単にいえば「2008年4月以降に結婚し、ずっと扶養されていた」方は3号分割だけで済みます。それ以外の方は、合意分割も必要です。

もっとも、合意分割の請求をすれば、3号分割の対象期間については自動的に3号分割が請求されたとみなされます。したがって、分けて請求する必要はありません。

 

以上が合意分割と3号分割の概要です。「自分がどちらに該当するかわからない」「相手が合意分割に応じてくれない」といった方は、弁護士にご相談ください。

当事務所では、離婚の初回相談を無料としております。年金分割に限らず、離婚全般に関してお悩みの方は、お気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2023.09.11更新

症状固定が交通事故賠償において持つ意味

交通事故に遭われた方から「保険会社に症状固定と言われたが、どういう意味なの?」と聞かれる場合があります。

症状固定は、交通事故の賠償請求において重大な意味を持ちます。

 

◆症状固定とは?

症状固定とは、治療を続けても症状の改善が見込めない状態です。

交通事故のケガに対して治療をすると、当初は症状の改善が進みます。そのまま事故前の状態に戻り、治癒する場合もあります。

もっとも、完全には事故前の状態に戻らないケースも少なくありません。その場合、症状が改善しなくなり一進一退となった時点で「症状固定」とされます。

 

◆症状固定の持つ意味①治療費が打ち切られる

症状固定と判断されると、相手方が治療費を支払う義務がなくなります。症状固定後は治療の効果が見込めなくなるためです。

それまで任意保険会社から治療費が支払われていたとしても、打ち切られてしまいます。治療を続けても構いませんが、自己負担となります。負担額を抑えるために、健康保険の利用が可能です。

 

◆症状固定の持つ意味②休業損害が支払われなくなる

症状固定となると、休業損害も支払われなくなります。

症状固定後もケガの影響で働けない場合は「逸失利益」という費目で請求が可能です。もっとも、逸失利益を請求するには、後遺障害の認定を受けなければなりません。

後遺障害の認定対象になるのは、症状固定時に残っていた症状です。後遺障害申請をしないときには、示談交渉に進みます。

 

(参考記事)

後遺障害とは?後遺症との違いは?

後遺障害の認定を受けるメリット

後遺障害認定までの流れ|事前認定と被害者請求の違い

 

◆症状固定の持つ意味③入通院慰謝料の対象期間が決まる

症状固定日は、入通院慰謝料の対象期間を定める意味もあります。入通院慰謝料の金額は、事故から症状固定日までの入通院した期間によって決定されます。

症状固定後の精神的苦痛に対しては「後遺障害慰謝料」の請求が可能です。逸失利益と同様に、後遺障害等級の認定を受けなければなりません。

 

以上の通り、症状固定は交通事故の損害賠償請求において重大な意味を持ちます。

症状固定の時期を決めるのは、基本的には主治医です。保険会社が症状固定時期を伝えてきたときには、まず医師に確認してください。保険会社は、支払い金額を抑えるために、早めに症状固定にしたいと考えている可能性があります。

 

いずれにしても、症状固定は交通事故において大きな節目です。症状固定の時期、保険会社とのやりとり、後遺障害請求などについてお悩みの方は、弁護士にご相談ください。

当事務所では、交通事故の初回相談を無料としております。まずはお気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2023.08.08更新

交通事故で整骨院に行くときの注意点

交通事故に遭われた直後の方に「整骨院(接骨院)に行ってもいいのか?」と聞かれる場合があります。

交通事故の治療は、整形外科で受けるのが原則です。とはいえ、病院の診察時間に通院するのが難しい方や、自宅近くに整形外科がない方にとっては、整骨院の方が通いやすいでしょう。

病院に頻繁に行くのが難しい場合には、整骨院で施術を受けても構いません。

ただし、以下の点には注意してください。

 

◆事故直後は整形外科に行く

最初から整骨院に通うのは避けてください。

事故直後はケガの状態を詳しく調べ、的確な治療方針を決める必要があります。整骨院では十分な検査はできません。まずは病院に行き、正確な診断を受けるのが重要です。

検査の結果、思わぬケガが発覚するケースも少なくありません。ご自身で勝手に「大したケガではないから整骨院でいいや」と判断しないでください。

 

◆医師の許可を得る

整骨院への通院を希望するときには、医師の許可を得るのが望ましいです。

原則として、交通事故の治療は整形外科で行われます。整骨院で治療するには、必要性などが認められなければなりません。必要性がないのに整骨院に通うと、治療費の賠償を受けられないおそれがあります。

整骨院での治療の必要性は、医師の許可があれば認められやすいです。実際に整骨院に行く前に、通院を希望する旨を医師に伝えてください。

 

◆保険会社にも連絡する

医師に承諾を得たら、相手方の保険会社にも整骨院に通う旨を連絡しましょう。

保険会社に必要性を否定され、整骨院での治療費を支払ってもらえないケースがたびたびあります。後からトラブルが生じないように、事前に伝えておくのがよいでしょう。

 

◆病院にも定期的に通う

整骨院だけでなく、病院にも定期的に通ってください。

病院で診察を受けて治療の必要性を判断してもらわないと、整骨院の施術費を支払ってもらえないリスクがあります。

また、最終的に後遺障害の認定を求める場合には、継続的に医師に診てもらい、後遺障害診断書を書いてもらう必要があります。整骨院では診断書を作成してもらえません。

最低でも月に1回は病院に通院するようにしてください。

 

以上が、交通事故で整骨院に通う際の注意点になります。どうしても整骨院で治療を受けたいときには、段階を踏んで慎重に進めましょう。

当事務所では、交通事故の初回相談を無料としております。「整骨院に通っていいかわからない」「相手方に施術費を支払ってもらえない」といった悩みを抱えている方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2023.07.10更新

通院交通費はどこまで認められる?タクシーは利用可能?

交通事故でケガを負われた方が病院に通った際の通院交通費は、事故がなければ生じなかった費用であるため、損害として相手方に請求が可能です。

通院交通費に関して、以下の質問を受けることがあります。

  • タクシーは使っていいの?
  • 自家用車を利用したときはどうなる?
  • 付き添いした家族の交通費は払ってもらえる?

 

そこで今回は、交通事故の通院交通費に関してご紹介します。

 

◆公共交通機関を利用したとき

電車・バスといった公共交通機関で通院したときには、通常は問題なく交通費を支払ってもらえます。「通院交通費明細書」に利用区間・金額など必要事項を記載して、保険会社に提出してください。公共交通機関であれば金額は一律であるため、領収書の添付は不要です。

ただし、実際に負担した分しか賠償してもらえません。会社から通院したときには、会社から病院までのルートでかかった交通費が対象になります。

 

◆自家用車を利用したとき

公共交通機関が不便な地域では、自家用車で通院する場合も多いでしょう。自家用車での通院の場合には、ガソリン代などを請求できます。ガソリン代は実費ではなく、通常は1kmあたり15円で計算した金額が賠償されます。

高速料金や駐車料金もかかっていれば、別途請求が可能です。領収書の添付が必要になるので、捨てずに残しておいてください。

 

◆タクシーを利用したとき

ケガの状況によっては、通院にタクシーを利用される方もいらっしゃいます。しかし、タクシー料金の請求が認められるのは、必要性が認められるケースに限られます。

ケガによって歩行が困難であった、公共交通機関が著しく不便であるなど、タクシーを利用せざるを得ない状況でないと、支払ってもらえません。

タクシー利用については争いになりやすいため、希望するときには事前に保険会社に確認をとるのが望ましいです。認められた場合でも、請求する際には領収書が必要になります。

なお、事故の影響で公共交通機関による通勤が困難になったときには、タクシーで通勤した分についても支払いを受けられる可能性があります。

 

◆家族が付き添いしたとき

家族などが通院に付き添った場合についても、必要性が認められれば付き添いに要した交通費の賠償を受けられます。たとえば、被害者が幼い子どもや高齢者である場合や、ケガが重い場合です。

ただし、付添費が支払われているときには、別途交通費が支払われないケースもあります。

 

以上が通勤交通費の概要です。

たしかに、通院交通費は交通事故におけるメインの損害ではありません。しかし、ときに高額になり、支払いをめぐって相手方と争いになるケースも想定されます。

当事務所では、交通事故の初回相談を無料としております。通院交通費に限らず、疑問点やお困りの点がある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所