親権の判断基準

離婚後に子の親権者を誰にするかは夫婦間の話し合いで決められますが、最終的には裁判所が判断します。

今回は、裁判所が親権者を決める際の判断基準について解説します。

 

◆ 子どもの利益が最優先

親権を父母のいずれが取得するかは、様々な要素を総合的に考慮して判断されます。何かひとつの基準だけで決まるわけではありません。

以下で個々の判断基準を紹介しますが、基本的な考えは「子の利益になるか」です。両親の都合ではなく、「子どもの成長のためにどうすべきか」との観点から判断されます。

 

◆ 父母側の事情

父母の側の事情としては、以下の要素が考慮されます。

  • これまでの監護状況
  • 現在の監護状況
  • 監護能力(年齢、健康状態、経済力、生活環境、実家の援助、監護意欲、子どもへの愛情の程度など)
  • 面会交流に協力的か

「収入が少ない自分が親権をとれるのか」と気にする方がいますが、相手に養育費の支払い義務が生じる以上、過度に心配する必要はありません。また、不貞行為をした側であっても、子どもへの影響が少ない場合には親権の獲得が可能です。

 

◆ 子ども側の事情

子どもの側の事情としては、以下が挙げられます。

  • 年齢・性別
  • 心身の発育状況
  • 兄弟姉妹との関係
  • 現在の環境への適応状況
  • 環境変化への適応性
  • 父母との結びつき
  • 子ども自身の意思

 

◆ 特に重視される点

考慮要素を網羅的に挙げましたが、特に知っておいて欲しいのは以下の観点です。

 

・監護の継続性

現在監護している親のもとで安定した生活ができていれば、現状が重視されます。環境が変化しないことが子の利益になると考えられるためです。

もっとも、違法に子どもを連れ去って手元に置いている場合には、この限りではありません。

 

・母性優先 

特に乳幼児の場合には母親の役割が重要と考えられており、母が親権を得るケースが多いです。

ただし「必ず母親になる」というわけではありません。性別だけで決めるのではなく、メインで面倒を見ていた側が監護を続けるのがよいと考えられています。

 

・子の意思

一定以上の年齢であれば、子の意思も重要です。

子どもが15歳以上のときには、裁判所が判断する際に子の意見を聴かなければならないと法律上定められています。実務上は、15歳未満であっても、10歳程度以上であれば意思を確認しています。

 

・兄弟姉妹不分離 

兄弟姉妹がいるときには、なるべく親権者を分けない方がよいとされています。兄弟姉妹は精神面のつながりが強いと考えられるためです。

もっとも、長年別々に生活してきた、ある程度成長しているといった状況であれば、あまり重視されません。

 

・面会交流への寛容さ

面会交流に寛容であるかも、ひとつの判断基準とされています。子の成長にとっては、親権者でない親との交流も重要であるためです。

面会交流に協力的な姿勢を示せば、親権獲得のために多かれ少なかれプラスになります。

 

 

以上が親権の判断基準です。様々な要素を紹介しましたが、総合的に判断されるのであり、ひとつの理由だけで決まるわけではありません。気になる方は、弁護士に相談してみるとよいでしょう。

当事務所では離婚の初回相談を無料としています。「自分は親権をとれるのか」と不安・疑問をお持ちの方は、お気軽にお問い合わせください。