交通事故 離婚 不貞 不倫 慰謝料 財産分与のことを種々記載しております。

2025.01.10更新

不倫相手に請求できるもの

夫や妻が不倫(法律上は「不貞行為」と呼ばれます)をしたときには、不倫相手に慰謝料をはじめとする金銭を請求できます。

今回は、不倫相手に請求できるものをご説明します。

 

◆ 慰謝料

まず考えられるのが慰謝料です。慰謝料とは、精神的苦痛に対して支払われる金銭をいいます。不倫による精神的なショックについては、配偶者だけでなく、不倫相手に対しても金銭による賠償を請求できます。

気になる慰謝料相場は、おおむね50~300万円程度です。不倫により夫婦関係が破綻したかどうかが金額を大きく左右します。別居あるいは離婚していないと50~100万円程度であり、別居や離婚にまで至っていれば高額になります。

他には、婚姻期間、不貞行為の回数・期間、未成年の子どもの有無などが金額に影響を及ぼす要素です。

参考記事;離婚慰謝料の相場と金額を決める要素について

 

◆ 慰謝料以外の金銭(調査費用、弁護士費用)

慰謝料がメインになりますが、他の費目で金銭を請求できるケースもあります。

たとえば、探偵や興信所に支払った調査費用です。ただし、調査費用の支払いを受けられる可能性があるのは、「調査を依頼しないと不倫を証明できなかった」といえるケースに限られます。しかも、実際に支払った金額の一部しか認められない場合が多いです。

他には、弁護士費用も請求できます。こちらも全額ではなく、訴訟をして判決まで至った場合に、「弁護士費用以外の損害」の1割が弁護士費用として認められるに過ぎません。損害が300万円と認定されれば、その1割の30万円が弁護士費用として認められるということです。実際に支払った金額には及ばないケースが大半でしょう。

 

◆ 金銭以外を要求できる?

お金以外に、謝罪や配偶者との接触禁止を求めたい方もいるでしょう。しかし、法律上は強制できません。交渉の中で相手に求めていけば、要求を受け入れてもらえる可能性はあります。

 

以上が不倫相手に請求できるものです。慰謝料が基本にはなりますが、交渉や訴訟の結果として、その他の金銭や金銭以外の要求を認めてもらえるケースもあります。そもそも請求できるか、できるとして内容がどうなるかはケースバイケースですので、まずはご相談ください。

当事務所では、離婚の初回相談を無料としております。配偶者に不倫されお悩みの方は、お気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2024.12.25更新

交通事故の時効期間と起算点・延長方法

交通事故による損害賠償請求権には、時効があります。物損については3年、人損については5年を経過すると、時効にかかって権利が消滅し、支払いを受けられなくなるおそれがあります。

今回は、交通事故の時効期間や起算点・延長方法について解説します。

 

◆ 交通事故の時効期間

交通事故により人的・物的損害が生じた場合には、法律上「不法行為に基づく損害賠償請求権」が発生します。しかし、請求権には消滅時効期間の定めがあり、経過すると賠償を受け取れなくなるおそれがあります。

時効期間は請求内容によって異なります。

車の修理代などの物損については、時効期間は3年です(民法724条1号)。

事故によるケガや死亡についての時効期間は5年です(民法724条の2)。かつては物損と同じく3年でしたが、民法改正に伴い2020年4月より5年に延長されました。

通常であれば、交通事故の時効期間は3年か5年です。ただし、物損・人損いずれについても、当て逃げ・ひき逃げで加害者がわからないときは20年となります(民法724条2号)。途中で加害者が判明したときは、そこから3年または5年で時効にかかります。

なお、上記は加害者に対する損害賠償請求権の時効期間です。自賠責保険に対する被害者請求権は3年で時効にかかるので注意してください。

 

◆ 交通事故の時効の起算点

時効を考える際には起算点、すなわち、いつからカウントをスタートするかが重要になります。起算点は請求内容により異なり、一般的には以下の通りです。

・物損                 :事故時(期間は3年)

・傷害分              :事故時(期間は5年)

・後遺傷害分       :症状固定時(期間は5年)

・死亡分              :死亡時(期間は5年)

後遺傷害に関する時効は症状固定時から進行すると考えられていますが、後遺障害の有無や症状固定日が争いになるおそれもあるため、事故日から5年と考えておく方が安全です。

症状固定については、以下の記事をお読みください。

参考記事:症状固定が交通事故賠償において持つ意味

 

◆ 交通事故の時効の延長方法

示談交渉が難航している、治療や後遺障害認定が長引いたなどの理由で時効が迫っているときには、延長する必要があります。延長方法としては以下が挙げられます。

・訴訟を提起する

・催告をする

・相手方に権利の存在を承認してもらう

いずれにしても、権利が消滅しないように対応しなければなりません。

 

以上が交通事故の時効に関する基礎知識になります。

実際には交通事故で時効が問題になるケースはさほど多くないため、慌てて示談する必要はありません。しかし、何らかの理由で解決まで時間を要している場合には注意が必要です。もちろん時効が迫っていなくても早期解決するメリットは大きいので、お早めに弁護士にご相談ください。

当事務所では、交通事故の初回相談を無料としております。まずはお気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2024.12.19更新

子の連れ去りへの対処法

別居中や離婚協議中などに、相手方に子を連れ去られてしまうケースがあります。子を取り返すにはどうすればいいのでしょうか?

今回は、子の連れ去りへの対処法をご紹介します。

 

◆ 子の連れ去りの違法性

「子の連れ去り」といっても、態様は様々考えられます。違法になるかはケースバイケースです。

別居時に子を連れていく行為は、一般的には違法になりづらいです。とりわけ、主に監護していた側が子を連れていくケースや、配偶者による虐待・DVがあったケースでは正当と考えられます。

別居後に相手の元から子を奪うと、違法になる可能性が高まります。特に、保育園に迎えに行って連れ去る行為や、相手から無理やり奪う行為は違法と判断されやすいです。

違法に連れ出す行為は、親権者を決定する際には不利に評価されます。他にも、精神的苦痛に対する慰謝料が発生したり、刑法上の未成年者略取罪が成立したりする可能性があります。

 

◆ 子を連れ去られたときの対処法

子を連れ去られたからといって、実力行使により取り戻してはなりません。強引に取り戻す行為が違法となります。自力で取り戻すのではなく、法的な手続きを利用してください。

考えられる法的手続きはいくつかありますが、連れ去りの場合に一般的なのは「子の引渡し審判」の申立てです。調停も考えられますが、話し合いのため時間を要します。迅速に取り戻すためには審判を申立てましょう。引き渡しが認められたにもかかわらず相手が応じなければ、強制執行が可能です。

また、早期の引き渡しを実現するために、審判とあわせて「審判前の保全処分」も申立ててください。認められれば、仮に子の引き渡しが命じられます。

加えて、「子の監護者指定の審判」も申立てましょう。子の監護者として認められるかは、親権と同様の基準で判断されます。

参考記事:親権の判断基準

他には、人身保護請求や未成年者略取罪での刑事告訴も考えられますが、ハードルは高いです。「子の引渡し審判+審判前の保全処分+監護者指定の審判」が一般的になります。

 

以上が子の連れ去りへの基本的な対処法です。とはいえ、連れ去りが違法になるか、いかなる対処法をとるべきかは、ケースバイケースです。いずれにせよ実力行使はしてはなりません。相手の元に子がいる状態が続くと親権決定の際に不利に働くおそれがあるため、お早めに弁護士にご相談ください。

当事務所では、離婚の初回相談を無料としております。子を連れ去られてお困りの方は、すぐにお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2024.11.20更新

後遺障害診断書とは?

交通事故における後遺障害認定の際に不可欠なのが「後遺障害診断書」です。後遺障害診断書の記載内容によって、認定結果は大きく左右されます。

今回は後遺障害診断書について解説します。そもそも後遺障害とは何かについては、以下の記事をお読みください。

参考記事:後遺障害とは?後遺症との違いは?

 

◆ 後遺障害認定に不可欠な書類

交通事故によって後遺症が残っても、後遺障害認定がおりないと適正な補償を受けられません。後遺障害の認定手続きにおいて必ず提出する書類が「後遺障害診断書」です。

正式名称は「自動車損害賠償責任保険後遺障害診断書」であり、様式が決まっています。書式は保険会社から受け取れますし、ネット上での入手も可能です。歯科用だけ書式が異なるので注意してください。

後遺障害診断書を作成するのは医師です。患者自身はもちろん、整骨院で施術をする柔道整復師でも作成できません。交通事故で整骨院を利用できますが、後遺障害認定を受けるには必ず病院に通院して、医師に後遺障害診断書を作成してもらう必要があります。交通事故で整骨院に行く際の注意点については、以下をお読みください。

参考記事:交通事故で整骨院に行くときの注意点

 

後遺障害認定は原則として書面審査であり、とりわけ後遺障害診断書の記載内容が重視されます。後遺障害の有無や認定される等級によって賠償総額が大きく変動するため、後遺障害診断書は非常に重要な書類です。

後遺障害の認定がおりた際に受け取れる賠償金については、以下の記事を参照してください。

参考記事:後遺障害の認定を受けるメリット

 

◆ 後遺障害診断書の作成時期

後遺障害診断書を作成するのは、症状固定後です。症状固定とは、それ以上治療を続けても症状の改善が見込めない状態をいいます。症状固定時に残った症状が後遺障害の認定対象になります。

症状固定について詳しくは、以下の記事をお読みください。

参考記事:症状固定が交通事故賠償において持つ意味

 

◆ 後遺障害診断書の作成費用

後遺障害診断書の作成費用は病院によって異なります。概ね5000円~1万円程度です。一般的には、後遺障害が認定されると相手方から作成費用が支払われます。

 

◆ 後遺障害診断書の記載内容

後遺障害診断書には、以下の内容が記載されます。

  • 被害者の基本情報(氏名・性別・住所・生年月日・職業など)
  • 受傷日時
  • 症状固定日
  • 入通院期間
  • 傷病名
  • 自覚症状
  • 部位ごとの後遺障害の内容(検査結果)
  • 今後の見通し

特に重要なのが検査結果です。認定に必要な検査がなされていない、記載が漏れているといった問題があると、正しく等級が認定されません。

また、自覚症状の欄も重要です。自覚症状は患者自身でないとわからないので、医師にしっかりと伝えて反映してもらいましょう。

作成してもらったら、他の必要書類とともに提出します。後遺障害認定の流れについては、以下の記事をお読みください。

参考記事:後遺障害認定までの流れ|事前認定と被害者請求の違い

 

以上が後遺障害診断書に関する基礎知識です。重要書類であるにもかかわらず、医師に適切に記載してもらえないケースが少なくありません。医師は後遺障害認定に詳しくない場合が多いため、交通事故に精通した弁護士にご相談ください。

当事務所では、交通事故の初回相談を無料としております。「医師に後遺障害診断書を書いてもらえない」「記載内容が適切かわからない」などとお困りの方は、まずはお気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2024.11.08更新

父親が親権を獲得できるケース

男性の方から「親権を取りたい」とご相談いただくケースがよくあります。現実問題として、父親が親権を取りづらいのは事実です。とはいえ、親権を獲得できるケースもあるので諦める必要はありません。

今回が、父親が親権を獲得できるケースについて解説します。親権の基礎知識を知りたい方は、以下の記事をお読みください。

参考記事:親権とは?内容や監護権との違い

 

◆ 父親が親権を取るのは難しい

離婚時の親権をいずれが得るかは、父母間の話し合いや調停などで決まります。実際には、母が親権を獲得するケースが多いです。裁判所での調停・審判においては、9割以上で母が親権者となっています(参考:令和5年司法統計年報 3家事編p.43|最高裁判所)。

父親が親権を取るのが難しい理由としては、以下が考えられます。

  • 母親の方が子と一緒にいる時間が長い
  • 特に乳幼児の場合、「母性優先」の考えが強い
  • 子が母を希望しやすい

父親の方が収入が多いとしても、養育費でカバーすればいいと考えられてしまい、経済力はさほど重要な要素にはなりません。

親権の判断基準については、以下の記事で詳しく解説しています。

参考記事:親権の判断基準

 

◆ 父親が親権を獲得できるケース

一般的には、父親が親権を得るハードルは高いです。とはいえ、以下のケースでは父親に親権が認められる可能性が高まります。

  • 父親が主に世話をしてきた
  • 母親がDVや育児放棄をしている
  • 母親が精神疾患など心身に深刻な問題を抱えている
  • 子が父の親権獲得を希望している(子が大きい場合)

これらの事情がある場合には、十分に可能性があります。

なお、「母親が不倫したから親権者にふさわしくないですよね」と質問される場合がありますが、不倫の事実は必ずしも親権の判断には直結しません。不倫相手に気をとられて育児放棄をしているようなケースでは考慮されます。

 

◆ 父親が親権を取るためにすべきこと

父親が親権を得られる可能性を上げるためには、以下が効果的です。

  • 「母親は親権者にふさわしくない」と証明するための証拠を集める
  • 養育実績を重ねる
  • 仕事を調整するなどして子といられる時間を確保する
  • 両親・兄弟など親族のサポートを得られる体制を構築する

具体的な方法はケースバイケースです。男性側の離婚に強い弁護士にご相談ください。

 

当事務所では、離婚の初回相談を無料としております。ご依頼いただき、男性の方が親権を獲得できた事例もございます。諦めずに、まずはお気軽にご相談ください。

投稿者: 松村法律事務所

2024.10.23更新

交通事故証明書とは?利用場面や取得方法

交通事故に遭ったことを公的に証明する書類が「交通事故証明書」です。事故の概要が記載されており、保険金請求の際に使われます。一般には馴染みが薄い書類かもしれません。

今回は交通事故証明書についてご説明します。

 

 

◆ 交通事故証明書とは?

交通事故証明書とは、交通事故が発生したことを公的に証明する書類です。「自動車安全運転センター」という機関が発行しています。

主な記載事項は以下の通りです。

  • 事故の発生日時・場所
  • 当事者の氏名・住所・生年月日
  • 車両の情報
  • 事故類型(例:「正面衝突」「追突」)
  • 人身事故か物件事故(物損事故)か

あくまで事故があったことを証明する書類であり、詳細な事故状況や過失割合は記載されていません。

 

◆ 交通事故証明書を利用する場面

交通事故証明書は、自賠責保険や任意保険に保険金を請求する際に必要です。他に、裁判所に訴訟を提起する際にも提出します。実況見分調書などの刑事記録を取り寄せるときにも、記載された情報を利用します。

いずれにせよ、交通事故で何らかの請求をする際には不可欠といえる書類です。ただし、警察に事故を届け出ていないと発行されません。事故に遭った際には、必ず警察に通報してください。

 

◆ 交通事故証明書のもらい方

交通事故証明書は、保険会社が取得してくれるのが通常です。とはいえ、任意保険に加入していなかったなど、自分で取り寄せるケースもあります。

取得方法は以下の3つです(参考:申請方法|自動車安全運転センター)。

  • 自動車安全運転センターの窓口

各地に所在する自動車安全センターの窓口で、必要事項を記載して申請できます。同一都道府県であれば原則として即日交付であり、最速で入手できる方法です。

  • ゆうちょ銀行・郵便局

ゆうちょ銀行・郵便局で手数料を支払って申請することも可能です。申込用紙は警察署・交番で入手できます。郵送で手元に届くまで10日程度要します。

  • インターネット

インターネットでも申請できます。申請できるのは本人に限られ、発生時に警察に届け出た住所と現住所が同じでなければなりません。書面が届くまで郵送で10日程度かかります。

 

 

以上が交通事故証明書の概要になります。あまり自分で申請するケースは多くありませんが、交通事故においては必須の書類です。警察への申告が前提になりますので、事故に遭った際は必ず通報してください。

当事務所では、交通事故に関する初回相談を無料としております。保険金請求などでお悩みの方は、まずはお気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2024.10.09更新

面会交流を拒否されたときの対処法

面会交流について話し合いや調停で取り決めたにもかかわらず、相手がルールを守ってくれない場合があります。

今回は、面会交流を拒否された際の対処法をご紹介します。面会交流に関する基本的な内容は以下を参照してください。

参考記事:面会交流の基礎知識

 

◆ 調停

父母の話し合いで面会交流について決めていたのに守られないときは、家庭裁判所に面会交流調停を申し立てる方法があります。

調停は、裁判所における話し合いです。調停委員を間に挟むため互いに冷静になれる点がメリットです。

調停で合意できれば裁判所により内容が書面化され、応じてもらえる可能性が高まります。合意できないときは審判手続きに移行し、裁判官による審判(判決のようなもの)が下されます。

なお、調停で決めたルールが守られないときは以下で紹介する方法が考えられますが、再度調停で話し合うことも可能です。

 

◆ 履行勧告

調停や審判で決まった内容が守られないときは、家庭裁判所に履行勧告をするよう求められます。裁判所は履行状況を調査したうえで、面会交流の義務を負っている人に対して、合意通りに義務を果たすように勧告します。

履行勧告には強制力はありません。とはいえ、裁判所から言われれば面会交流に応じてくれる場合もあります。

 

◆ 間接強制

より強力な手段が間接強制です。

いくら裁判所で決まった内容だとはいえ、子どもを無理やり連れてくるわけにはいきません。そこで、義務者に対して裁判所が「1回応じないごとに〇万円支払え」と命じて義務を果たすように促す方法がとられ、間接強制と呼ばれます。

強制的に履行を促す方法であるため、間接強制をするには、義務者が何をすればいいかが明確でなければなりません。調停条項において、面会交流の日時や頻度、時間の長さ、子どもの引き渡し方法などが特定されている必要があります。特定されていないケースでは間接強制はできません。

 

◆ 損害賠償請求

場合によっては、面会交流に応じないことを理由とした損害賠償請求ができます。認められる金額の相場は、数十万円から100万円程度です。

ただし、損害賠償が認められるのは、具体的なルールが存在しているうえに、拒否に合理的な理由がないケースに限られます。抽象的な取り決めしかない場合や、過去に虐待があったなど拒否に正当な理由がある場合は、損害賠償は認められません。

 

 

以上が面会交流を拒否されたときにできる対処法です。ケースに応じてとれる手段や実効性には差があります。ご自身で判断して手続きをするのは大変であるため、ぜひ弁護士にご相談ください。

当事務所では、離婚の初回相談を無料としております。面会交流に応じてもらえずにお困りの方は、まずはお気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2024.09.24更新

交通事故で使える保険

交通事故では、様々な保険を利用できる可能性があります。使い方によってご自身に有利になる場合もあるため、保険の知識は思いのほか重要です。

今回は交通事故で使える保険の種類、各保険の概要をご紹介します。

 

◆ 自賠責保険

まず知っておきたいのが自賠責保険です。自賠責保険への加入は、すべての自動車に義務付けられています。事故に遭った場合、相手方が加入している自賠責保険から支払いを受けられます。

限度額は次の通りです。

・死亡                 :3000万円

・後遺障害          :75万円~4000万円(等級による)

・傷害                 :120万円

強制保険であるため、補償内容は最低限です。対人のみの補償であり、物損は対象ではありません。自賠責保険でカバーできない損害については、他の保険を利用します。

 

◆ 任意保険

自賠責保険でまかなえない損害をカバーするために加入するのが任意保険です。

相手方が加入している任意保険の「対人責任賠償保険」や「対物賠償責任保険」から、自賠責の対象外となる損害について補償を受けられます。

また、自分が加入している任意保険から支払いを受けるとよい場合もあります。一般的な保険内容は以下の通りです。

 

・人身傷害保険

過失にかかわらず、死亡・ケガにより生じた損害に応じた金額を補償

・搭乗者傷害保険

死亡・ケガに対して定額で支払われる見舞金

・無保険車傷害保険

保険に加入していない車との事故やひき逃げ事故による死亡・後遺障害への補償

・車両保険

自分の車の損害に対する補償

・弁護士費用特約

弁護士の相談料、依頼費用を負担

 

これらのうち、よく利用されるのは人身傷害保険や弁護士費用特約です。

(参考記事)

交通事故での弁護士特約の使い方

弁護士特約のメリット・デメリット

弁護士特約が使えないケース|使えないときの対処法も解説

 

◆ 健康保険

交通事故でも健康保険が使えます。

健康保険を利用するメリットとしては、過失があるときに自己負担額を抑えられる、上限がある自賠責保険において治療費を圧縮できるといった点が挙げられます。

病院によっては「交通事故に健康保険は使えない」と言われる場合もあるようです。しかし、実際には「第三者行為による傷病届」を提出すれば健康保険を利用できます。

なお、次に紹介する労災保険の対象となる場合は、健康保険は使えません。

 

◆ 労災保険

業務中あるいは通勤中の事故については、労災保険が利用できます。

自賠責保険も使えるときは、通達では自賠責保険から先行して利用するものとされていますが、実際には労災保険から利用しても構いません。

慰謝料など、労災保険では補償されない部分もあります。しかし、過失に関係なく支払いを受けられる、治療費の上限がないといったメリットが存在します。うまく活用すれば利用価値が高いです。

 

 

以上が交通事故で使える保険の種類と概要になります。

状況によって各保険を効果的に活用すると、最大限の補償を受けられます。とはいえ、相手方が親切に教えてくれるわけではありません。弁護士にアドバイスを受けるのがオススメです。

当事務所では、交通事故の初回相談を無料としております。保険をどのように使えば有利かを知りたい方は、まずはお気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2024.09.12更新

面会交流調停の流れ

面会交流について父母だけで決められないときは、面会交流調停の場で話し合いができます。

今回は、面会交流調停の流れについてご説明します。

面会交流に関する基本的な事項については、以下の記事をお読みください。

参考記事:面会交流の基礎知識

 

◆ 面会交流調停とは?

面会交流調停とは、面会交流を行うか否か、行うとしてルールをどうするかを裁判所における話し合いで決める手続きです。

面会交流については、まずは父母の間で話し合いをします。父母だけで決められない場合の方法として一般的なのが、面会交流調停です。離婚後だけでなく、離婚前の別居期間中でも申立てができます。

面会交流調停の件数は、父親の育児参加や当事者の意識の高まりなどを背景に増加傾向にあります。

 

◆ 面会交流調停の流れ

面会交流調停は、おおむね以下の流れで進みます。

 

  • 申立て

一般的には、現在子と別居している側の親(非同居親)が、子と暮らしている親(同居親)に対して申立てます。同居親からの申立ても可能です。

申立て先は、通常は相手方の住所地を管轄する家庭裁判所です。たとえば、相手方が京都市に住んでいれば、京都家庭裁判所(本庁)になります。管轄裁判所はこちらのサイトから確認できます。

申立ての基本的な必要書類・費用は以下の通りです。

・申立書(書式・記入例

・子の戸籍謄本

・収入印紙1200円分(子1人につき)

・連絡用の郵便切手(種類・枚数は裁判所により異なる)

その他、裁判所によって提出書類が定められています。京都家庭裁判所については、こちらのサイトの「面会交流」の箇所をご確認ください。

 

  • 調停当日

調停は、男女各1名の調停委員を介して行われます。平日に2時間程度の枠をとり、30分程度ずつ交互に話を聞くのが通常です。時間が延びたり、片方の話を聞く時間が長かったりする場合もあります。基本的に当事者同士は顔を合わせません。

調停が行われるのは、法廷ではなく、会議室のような場所(調停室)です。過度に身構える必要はありません。

調停の終わりに次回の日程を決めます。頻度は通常1か月~1か月半に1回です。一般的には、終結するまで半年~1年程度かかります。

 

  • 調査官調査、試行的面会交流

調停と並行して、家庭裁判所調査官による調査が行われる場合も多いです。家庭裁判所調査官は行動科学の専門家であり、当事者・子との面談や家庭訪問などを行い、調査報告書が作成されます。

「試行的面会交流」が実施される場合もあります。これは、家庭裁判所の児童室などで、調査官が関与している中で非同居親と子が交流を行うものです。単に非同居親が子と会う機会になるだけでなく、調停やその後の審判の結果に大きな影響を与えます。

 

  • 調停の終了

話し合いの結果、面会交流のルールが決まれば合意事項を書面にして終了となります。作成した書面は「調停調書」と呼ばれ、具体的なルールが記載されていれば強制執行(間接強制)も可能になる効力を有します。

話し合いがまとまらなければ調停は不成立です。審判手続きに移行し、裁判官による審判(判決のようなもの)が下されます。審判内容に不服があれば、不服申し立ても可能です。

 

以上が面会交流調停の大まかな流れです。決定事項が守られなかった場合にとれる手段については、今後改めて解説します。

当事務所では、離婚に関する初回相談を無料としております。面会交流について話し合いができずにお困りの方は、まずはお気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2024.08.26更新

面会交流をしない方がいいケース

離れて暮らしている親(非同居親)との面会交流は、子どもの健全な成長にとって必要なものです。とはいえ、かえって悪影響が生じる場合には、子の利益になりません。

今回は、面会交流をしない方がいいケースについて解説します。

 

◆ 子に虐待をしていた

別居・離婚前に、非同居親が子に虐待をしていた場合には、面会交流はすべきではありません。

虐待には、身体的な暴力はもちろん、精神的な攻撃も含まれます。面会交流をすると虐待が繰り返され、子が暴行を受ける、精神的なダメージを受けるといったリスクが高いです。

虐待があったケースは、面会交流をしない方がよい典型例といえます。

 

◆ 配偶者にDVをしていた

非同居親が子には虐待をしていないものの、(元)配偶者にはDVをしていたケースもあります。DVにより心身に傷を負った被害者としては「あんな人と会わせたくない、連絡をとりたくない」と思うのはもっともです。

両親の間でDVがあると子どもにも精神的な傷が残り、非同居親と会えば記憶が喚起される恐れがあります。また、同居親にとっては、DV加害者と関わりを持つこと自体が大きな苦痛になるでしょう。

ただし、非同居親と子との関係に問題がなければ、子の成長のためには会わせるべきケースもあります。子ども本人への暴力と配偶者への暴力は少し性質が異なる点を頭に入れて、判断しなければなりません。

 

◆ 子を連れ去る恐れがある

過去に連れ去った事実があるなど、連れ去りのリスクが高いケースでは面会交流をすべきではありません。ただし、単に「連れ去りそうである」と主張するだけでは十分でなく、ある程度の根拠が必要です。

また、完全に預けるのではなく、同居親が立ち会う、第三者機関のもとで行うといった方法も考えられます。電話・メールなどでの間接交流も選択肢のひとつです。

 

◆ 子が拒絶している

子自身が非同居親と会うのを嫌がっているときにも、面会交流が適切でない場合があります。

注意して欲しいのが、子の本心であるかどうかです。「会いたくない」と口では言っていても、同居親に気を遣っているだけのケースは多いです。

また、子が会いたくないと考えていても、健全な成長のために会うべき場合もあります。「子どもが会いたがっていない」という理由のときは、本当に面会交流をすべきでないかをよく検討しなければなりません。

 

以上が面会交流をしない方がいい代表的なケースです。他にも、再婚した、アルコール依存症であるなど、是非を検討すべきケースは多々あります。

ただし、一律に「○○だから面会交流はしない」と決められるわけではありません。子の健全な成長の観点から判断されるべきです。なお、養育費の支払いは別問題ですので、「養育費を支払わないから会わせない」との主張は認められません。

直接会わずとも電話・メールなどでの交流を検討すべき場合もあります。ケースバイケースなので、まずは弁護士にご相談ください。

当事務所では、離婚に関する初回相談を無料としております。「面会交流を拒否したい」あるいは「相手が応じてくれない」とお悩みの方は、お気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所