交通事故 離婚 不貞 不倫 慰謝料 財産分与のことを種々記載しております。

2024.04.25更新

死亡逸失利益とは?計算方法を解説

交通事故により亡くなってしまった場合には、本人に代わってご遺族が相手方に賠償金を請求します。死亡事故の際に相手に請求できる賠償金の費目のひとつが「死亡逸失利益」です。

今回は死亡逸失利益について解説します。

 

◆ 死亡逸失利益とは?

死亡逸失利益とは、事故により亡くならなければ得られたであろう、将来の収入です。

交通事故により亡くなると、今後得られるはずであった生涯分の収入を得られなくなってしまい、損害が生じます。そこで、得られなかった将来の収入を「死亡逸失利益」という費目で相手方に請求できます。

 

◆ 死亡逸失利益の計算方法

死亡逸失利益は以下の計算式で算出されます。

基礎収入×(1-生活費控除率)×就労可能年数に対応するライプニッツ係数

それぞれの要素について解説します。

 

●基礎収入

基礎収入は、基本的には事故前年の収入です。

会社員など給与所得者の方であれば、源泉徴収票から比較的簡単に明らかになるでしょう。自営業など事業所得者については、確定申告書などを確認します。

収入がない主婦(主夫)であっても家事労働をしていますので、女性の平均賃金をもとに請求が可能です。今後働く予定の子どもについては、一般的には男子は男性の、女子は男女合わせた平均賃金を基準にします。失業者であっても、今後働ける蓋然性が高い場合には、再就職によって得られる見込みの収入をもとに死亡逸失利益の請求が可能です。

 

●生活費控除率

亡くなった際には将来得られるはずの収入を失いますが、今後の生活費がかからなくなる側面もあります。「生活費控除率」とは、今後かかるはずであった生活費を除くための割合です。亡くなった方の立場によって、以下の通り割合が変わります。

被害者の立場

生活費控除率

一家の支柱(被扶養者1人)

40%

一家の支柱(被扶養者2人以上)

30%

女性(主婦・独身・幼児など)

30%

男性(独身、幼児など)

50%

 

●就労可能年数に対応するライプニッツ係数

就労可能年数は67歳までです。

計算する際には、就労可能年数をそのままは使いません。賠償金は一括で受け取り運用が可能であるため、運用益を除くためにライプニッツ係数という数値を利用します。年齢別の具体的な数値は、以下を参照してください。

参考;就労可能年数とライプニッツ係数表|国土交通省

 

これら3つを掛け合わせれば、死亡逸失利益を計算できます。

たとえば、30歳で基礎収入600万円の独身男性が死亡した場合の計算式は、以下の通りです。

600万円×(1-0.5)×22.167=6650万1000円

死亡逸失利益は金額が大きくなりやすく、基礎収入額などをめぐってトラブルになるケースも多いです。

 

以上が死亡逸失利益に関する基本的な知識になります。死亡事故においては、他に死亡慰謝料や葬儀費用なども請求できます。いずれの費目についても、相手方が不当に低額な賠償金を提示してくるケースが非常に多いです。

大切なご家族の命が奪われているにもかかわらず、相手方に不誠実な対応をされてしまい、追い打ちをかけられる方も少なくありません。当事務所では交通事故の初回相談を無料としております。お悩みや疑問点がある方は、まずはご相談ください。

投稿者: 松村法律事務所

2024.04.10更新

親権の決め方|決定するまでの流れ

離婚後の親権について法改正の議論が進んでいますが、現在の法律では離婚後は単独親権となります。親権を父母のいずれが取得するか争いになるケースは非常に多いです。

親権が決まるまでの流れは、大まかにいえば「協議→調停→裁判」です。以下で詳しく解説します。

 

◆ 夫婦での協議

まずは、夫婦間の話し合いによって離婚後に親権をどちらが取得するかを決めます。離婚届には親権者を記載する欄があり、親権者を決めないと離婚できません。

夫婦の協議によって決める際には、合意さえできればどちらが親権を取得するかは自由です。「小さい子だから母になる」「母は専業主婦でお金がないから父になる」といったルールはありません。

複数の子がいるときには、全員の親権を片方が持ってもいいですし、「長男は父、長女は母」などと分けることも可能です。

自由であるとはいえ、何より重要なのは子の成長や幸せです。子どもにとって何がよいかを考えて決めるようにしましょう。

 

◆ 調停

夫婦での話し合いがまとまらないときには、裁判所に調停を申立てます。調停とは、裁判所でする話し合いです。調停委員が間に入って別々に話を聞くため、冷静になりやすいです。

親権が争いになっている調停では、調停委員が双方の意見を聞いて調整するほか、家庭裁判所の調査官による調査が入るケースがあります。調査では、父母や子との面接、家庭や学校への訪問などを行い、報告書が作成されます。

ただし、調停はあくまで話し合いであるため、夫婦で合意できなければ親権者は決定しません。

 

◆ 裁判所による指定

調停でも話し合いがまとまらなければ、通常は裁判で決定します。調査官による報告書などを参考にして、最終的には裁判官が父母のいずれが親権者にふさわしいかを判断します。

判断要素は、これまでの養育実績、現状、今後の環境、子の年齢・意思などです。実際には母が獲得するケースが多いものの、父になるケースもあります。

 

以上が、親権が決まるまでの大まかな流れです。夫婦間の協議がまとまらなければ、裁判所を利用する流れになります。判断要素について詳しくは、また機会を改めて解説する予定です。

当事務所では、離婚の初回相談を無料としております。親権に関して疑問や悩みがある方は、お気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所