交通事故において実況見分調書が持つ意味と入手方法
交通事故で過失割合が争いになった場合には「実況見分調書」が重要な証拠になります。今回は、実況見分調書の意味や入手方法をご紹介します。
◆ 実況見分調書とは?
実況見分とは、犯罪の捜査として、事件・事故が起きた現場の状況を調べることです。結果は「実況見分調書」という書面にまとめられます。
交通事故でも人が死傷すれば「過失運転致死傷罪」という犯罪になるため、実況見分が実施され、実況見分調書が作成されます。
交通事故での実況見分調書の主な記載内容は以下の通りです。
・実施日時、場所
・道路状況(路面状況、交通規制など)
・車両の状況(車種、大きさ、損害の部位・程度・状況など)
・立会人(被害者・加害者など)の説明内容
・現場の見取り図
実況見分調書では、現場の状況や立会人の説明などが客観的に記載されます。当事者の視点で語られる「供述調書」とは異なるものです。
なお、物損事故では基本的に実況見分調書は作成されません。「物件事故報告書」という簡易的な書類が作成されるだけです。
◆ 交通事故において実況見分調書が持つ意味
交通事故で実況見分調書が重要になるのは、主に過失割合が争いになったケースです。当事者の言い分が食い違っているときに、第三者である警察が作成した実況見分調書は信用できる証拠として扱われます。
過失割合が少し変わるだけでも、全体の支払額に及ぼす影響は大きいです。実況見分への当事者の立会いは強制ではありませんが、できるだけ立ち会い、自分の言い分を説明するようにしてください。「忙しい」といった理由で立会いをしないと、相手方に有利な調書が作成されてしまう恐れがあります。
◆ 実況見分調書の入手方法
そもそも実況見分調書は、犯罪捜査の一環として作成される書類です。民事上の示談交渉のために入手したいときには、一定の手続きを踏む必要があります。
不起訴処分となった後や、起訴され裁判の判決が確定した後の場合は検察庁に、裁判中の場合は裁判所に対して請求します。捜査中で起訴・不起訴が決まっていない段階では入手できません。事故直後の取り寄せはできないので注意してください。
実務上多いのは、不起訴処分の後に検察庁から入手するケースです。その場合、まずは交通事故証明書に記載された管轄警察署に対して送致先の検察庁、送致番号、送致日を問い合わせましょう。その上で検察庁に問い合わせをして必要事項を伝え、閲覧・謄写を請求します。予約を取ったうえで検察庁に出向く流れになります。地域によって扱いが異なりますので、指示に従ってください。
事故から時間が経つと廃棄される恐れがあるため、早めに請求しましょう。
以上が実況見分調書に関する基礎知識です。取り寄せる手続きは少し面倒ですが、弁護士に依頼できます。
当事務所では、交通事故の初回相談を無料としております。過失割合を争っているなど、実況見分調書が必要な場合にはお気軽にお問い合わせください。