症状固定が交通事故賠償において持つ意味

交通事故に遭われた方から「保険会社に症状固定と言われたが、どういう意味なの?」と聞かれる場合があります。

症状固定は、交通事故の賠償請求において重大な意味を持ちます。

 

◆症状固定とは?

症状固定とは、治療を続けても症状の改善が見込めない状態です。

交通事故のケガに対して治療をすると、当初は症状の改善が進みます。そのまま事故前の状態に戻り、治癒する場合もあります。

もっとも、完全には事故前の状態に戻らないケースも少なくありません。その場合、症状が改善しなくなり一進一退となった時点で「症状固定」とされます。

 

◆症状固定の持つ意味①治療費が打ち切られる

症状固定と判断されると、相手方が治療費を支払う義務がなくなります。症状固定後は治療の効果が見込めなくなるためです。

それまで任意保険会社から治療費が支払われていたとしても、打ち切られてしまいます。治療を続けても構いませんが、自己負担となります。負担額を抑えるために、健康保険の利用が可能です。

 

◆症状固定の持つ意味②休業損害が支払われなくなる

症状固定となると、休業損害も支払われなくなります。

症状固定後もケガの影響で働けない場合は「逸失利益」という費目で請求が可能です。もっとも、逸失利益を請求するには、後遺障害の認定を受けなければなりません。

後遺障害の認定対象になるのは、症状固定時に残っていた症状です。後遺障害申請をしないときには、示談交渉に進みます。

 

(参考記事)

後遺障害とは?後遺症との違いは?

後遺障害の認定を受けるメリット

後遺障害認定までの流れ|事前認定と被害者請求の違い

 

◆症状固定の持つ意味③入通院慰謝料の対象期間が決まる

症状固定日は、入通院慰謝料の対象期間を定める意味もあります。入通院慰謝料の金額は、事故から症状固定日までの入通院した期間によって決定されます。

症状固定後の精神的苦痛に対しては「後遺障害慰謝料」の請求が可能です。逸失利益と同様に、後遺障害等級の認定を受けなければなりません。

 

以上の通り、症状固定は交通事故の損害賠償請求において重大な意味を持ちます。

症状固定の時期を決めるのは、基本的には主治医です。保険会社が症状固定時期を伝えてきたときには、まず医師に確認してください。保険会社は、支払い金額を抑えるために、早めに症状固定にしたいと考えている可能性があります。

 

いずれにしても、症状固定は交通事故において大きな節目です。症状固定の時期、保険会社とのやりとり、後遺障害請求などについてお悩みの方は、弁護士にご相談ください。

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