交通事故 離婚 不貞 不倫 慰謝料 財産分与のことを種々記載しております。

2023.08.08更新

交通事故で整骨院に行くときの注意点

交通事故に遭われた直後の方に「整骨院(接骨院)に行ってもいいのか?」と聞かれる場合があります。

交通事故の治療は、整形外科で受けるのが原則です。とはいえ、病院の診察時間に通院するのが難しい方や、自宅近くに整形外科がない方にとっては、整骨院の方が通いやすいでしょう。

病院に頻繁に行くのが難しい場合には、整骨院で施術を受けても構いません。

ただし、以下の点には注意してください。

 

◆事故直後は整形外科に行く

最初から整骨院に通うのは避けてください。

事故直後はケガの状態を詳しく調べ、的確な治療方針を決める必要があります。整骨院では十分な検査はできません。まずは病院に行き、正確な診断を受けるのが重要です。

検査の結果、思わぬケガが発覚するケースも少なくありません。ご自身で勝手に「大したケガではないから整骨院でいいや」と判断しないでください。

 

◆医師の許可を得る

整骨院への通院を希望するときには、医師の許可を得るのが望ましいです。

原則として、交通事故の治療は整形外科で行われます。整骨院で治療するには、必要性などが認められなければなりません。必要性がないのに整骨院に通うと、治療費の賠償を受けられないおそれがあります。

整骨院での治療の必要性は、医師の許可があれば認められやすいです。実際に整骨院に行く前に、通院を希望する旨を医師に伝えてください。

 

◆保険会社にも連絡する

医師に承諾を得たら、相手方の保険会社にも整骨院に通う旨を連絡しましょう。

保険会社に必要性を否定され、整骨院での治療費を支払ってもらえないケースがたびたびあります。後からトラブルが生じないように、事前に伝えておくのがよいでしょう。

 

◆病院にも定期的に通う

整骨院だけでなく、病院にも定期的に通ってください。

病院で診察を受けて治療の必要性を判断してもらわないと、整骨院の施術費を支払ってもらえないリスクがあります。

また、最終的に後遺障害の認定を求める場合には、継続的に医師に診てもらい、後遺障害診断書を書いてもらう必要があります。整骨院では診断書を作成してもらえません。

最低でも月に1回は病院に通院するようにしてください。

 

以上が、交通事故で整骨院に通う際の注意点になります。どうしても整骨院で治療を受けたいときには、段階を踏んで慎重に進めましょう。

当事務所では、交通事故の初回相談を無料としております。「整骨院に通っていいかわからない」「相手方に施術費を支払ってもらえない」といった悩みを抱えている方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2023.07.20更新

年金分割は半分もらえるわけではない!離婚時の年金分割の基礎知識

離婚を考えている方(特に高齢の女性)から「年金分割で半分もらえるの?」と聞かれることがあります。

実際には、配偶者がもらえる年金の半額を受け取れるわけではありません。

今回は、少し制度がややこしい年金分割について、基礎知識を解説します。

 

◆年金分割とは?

年金分割とは、離婚時に婚姻期間中の厚生年金の記録を分ける制度です。主に高齢の専業主婦(夫)が、離婚した後の生活に困ってしまうのを防ぐために設けられています。

しかし、元配偶者が受け取れる年金の「半額」を分けてもらえる制度ではありません。

ポイントは「厚生年金」の「婚姻期間中」の納付記録を分ける点です。

 

◆厚生年金の記録を分ける→自営業者は対象外

年金分割は「厚生年金」の納付記録を分ける制度です。

大まかにいうと、日本の年金は、

  • 全国民が加入する「国民年金」(1階部分、基礎年金)
  • 会社員や公務員が加入する「厚生年金」(2階部分)

に分かれています。

年金分割の対象は、2階部分の厚生年金の納付記録になります。自営業者は厚生年金には加入していないため、対象外です。

したがって、夫が自営業者の場合には、そもそも年金分割を受けられません。

 

◆婚姻期間中の記録を分ける→結婚前は対象外

年金分割は「婚姻期間中」の納付記録を分ける制度です。

分割の対象になるのは婚姻期間中の記録だけであり、結婚前の期間は対象となりません。財産分与において、結婚前に築いた財産が対象にならないのと同様です。

 

◆合意分割と3号分割

年金分割には「合意分割」と「3号分割」の2種類があります。

合意分割とは、夫婦の合意に基づいて納付記録を分けることです。夫婦が共働きで2人とも厚生年金に加入しているケースや、2008年4月より前に結婚していたケースで利用されます。按分割合は夫婦で話し合いますが、通常は0.5、すなわち均等になります。

3号分割とは、夫婦の一方が「3号被保険者」であった場合の分割方法です。3号被保険者とは、配偶者が会社員や公務員で、自身は専業主婦(夫)あるいは扶養の範囲内で働いていた人をいいます。3号分割においては、話し合いは必要ありません。ただし、3号分割できるのは2008年4月以降の記録に限られます。

 

以上が年金分割に関する基礎知識です。単純に半分に分けるのではないとご理解いただけましたでしょうか?

なお、3号分割だとしても、離婚後2年以内に手続きが必要な点は忘れないでください。詳しい手続きや、合意分割と3号分割の細かい違いについては、機会を改めて解説します。

 

当事務所では、離婚の初回相談は無料です。年金分割に限らず、離婚に関して不安な点をご相談いただけます。お気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2023.07.10更新

通院交通費はどこまで認められる?タクシーは利用可能?

交通事故でケガを負われた方が病院に通った際の通院交通費は、事故がなければ生じなかった費用であるため、損害として相手方に請求が可能です。

通院交通費に関して、以下の質問を受けることがあります。

  • タクシーは使っていいの?
  • 自家用車を利用したときはどうなる?
  • 付き添いした家族の交通費は払ってもらえる?

 

そこで今回は、交通事故の通院交通費に関してご紹介します。

 

◆公共交通機関を利用したとき

電車・バスといった公共交通機関で通院したときには、通常は問題なく交通費を支払ってもらえます。「通院交通費明細書」に利用区間・金額など必要事項を記載して、保険会社に提出してください。公共交通機関であれば金額は一律であるため、領収書の添付は不要です。

ただし、実際に負担した分しか賠償してもらえません。会社から通院したときには、会社から病院までのルートでかかった交通費が対象になります。

 

◆自家用車を利用したとき

公共交通機関が不便な地域では、自家用車で通院する場合も多いでしょう。自家用車での通院の場合には、ガソリン代などを請求できます。ガソリン代は実費ではなく、通常は1kmあたり15円で計算した金額が賠償されます。

高速料金や駐車料金もかかっていれば、別途請求が可能です。領収書の添付が必要になるので、捨てずに残しておいてください。

 

◆タクシーを利用したとき

ケガの状況によっては、通院にタクシーを利用される方もいらっしゃいます。しかし、タクシー料金の請求が認められるのは、必要性が認められるケースに限られます。

ケガによって歩行が困難であった、公共交通機関が著しく不便であるなど、タクシーを利用せざるを得ない状況でないと、支払ってもらえません。

タクシー利用については争いになりやすいため、希望するときには事前に保険会社に確認をとるのが望ましいです。認められた場合でも、請求する際には領収書が必要になります。

なお、事故の影響で公共交通機関による通勤が困難になったときには、タクシーで通勤した分についても支払いを受けられる可能性があります。

 

◆家族が付き添いしたとき

家族などが通院に付き添った場合についても、必要性が認められれば付き添いに要した交通費の賠償を受けられます。たとえば、被害者が幼い子どもや高齢者である場合や、ケガが重い場合です。

ただし、付添費が支払われているときには、別途交通費が支払われないケースもあります。

 

以上が通勤交通費の概要です。

たしかに、通院交通費は交通事故におけるメインの損害ではありません。しかし、ときに高額になり、支払いをめぐって相手方と争いになるケースも想定されます。

当事務所では、交通事故の初回相談を無料としております。通院交通費に限らず、疑問点やお困りの点がある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2023.06.12更新

後遺障害の異議申し立て

交通事故によるケガについて後遺障害申請をしても、思ったより低い等級にされたり、非該当とされたりするケースがよくあります。

原因としては、

  • そもそも認定される症状がなかった
  • 後遺障害診断書の記載内容が不適切だった
  • 必要な検査をしていなかった
  • 資料が足りなかった

などが考えられます。

「後遺障害の認定結果に納得がいかない」という方が取り得る手段として最も一般的なのが「異議申立て」です。

 

 

◆異議申立ての方法

異議申立てとは、後遺障害の認定結果について、審査した「損害保険料率算出機構」に対して再審査を求めることです。

異議申立てをするには「異議申立書」を作成します。決まった書式はなく、保険会社から送られてきた書式を利用しても構いません。異議申立書には、認定されるべき等級やその理由などを記載してください。

申請方法としては、相手方の任意保険会社に提出する「事前認定」と、自賠責保険会社に提出する「被害者請求」があります。初回の申請が事前認定でも、異議申立てを被害者請求で行うことが可能です。

 

◆異議申立ての成功率は低い

異議申立ては何度でも可能です。しかし、成功率は低くなっています。理由が不十分なのに申立てをしても、結果は覆りません。

成功率を上げるためのポイントとしては、以下が挙げられます。

  • 認定されなかった理由を分析する
  • 新たな資料を用意する

新たな資料とは、医師の意見書や、事故状況を示す書類などです。結果を覆すには、認定を後押しする新たな資料が不可欠といえます。

 

◆異議申立てが認められなかったら?

異議申立てをしても認められなかった場合には「紛争処理申請」という方法があります。紛争処理申請は「自賠責保険・共済紛争処理機構」という第三者機関に対して行います。異議申立てと異なり1度しかできないため、入念に準備してください。

紛争処理申請でも納得のいく結果を得られなければ、最終手段として裁判所への訴訟提起が考えられます。訴訟はハードルが高く時間を要するケースが多いため、自力で進めるのは困難です。

 

 

後遺障害の認定結果に納得がいかなかった場合には、弁護士への相談をオススメします。

異議申立てが認められるには新たな資料が必要となりますが、法律に詳しくない方がご自身で用意するのは難しいです。また、そもそも認定が難しい場合には、早期解決のために、異議申立てをせずに示談交渉に進むのが得策といえます。

当事務所では、交通事故の初回相談を無料としています。後遺障害の認定結果に納得がいかず、異議申立てをすべきか迷っている方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2023.05.23更新

不倫の証拠になるもの

相談で「○○は不倫の証拠になりますか」とたびたび聞かれます。

不倫は、法律上「不貞行為」と呼ばれます。不貞行為とは「配偶者(妻や夫)以外の異性と、自由な意思に基づいて性的関係を持つこと」です。

いくら仲が良くても、性的関係がなければ不貞行為とはなりません。不倫の有力な証拠になるかのポイントは、性行為を証明できるか否かにあります。

具体的に証拠になり得るものとしては、以下が挙げられます。

 

◆メール・LINE

不倫の証拠として、メールやLINEでのやりとりを示す方は多いです。

たしかに、性的関係に言及しているメッセージは有力な証拠になります。しかし、日常的なやりとりだけでは、不貞行為の証拠としては不十分です。

仲の良さだけでなく、性的関係をうかがわせるメッセージがあるかがポイントになります。

 

◆写真・動画

写真や動画も、証拠として真っ先にイメージされるでしょう。

性行為をした場面が直接記録に残っていれば強力な証拠になりますが、そう簡単には入手できないかと思います。2人でホテルから出てきた際の写真や動画も、一般的には性的関係を推測させるため有力な証拠です。

これらに比べると、腕を組んでいる場面を捉えた写真が1枚ある程度では、証拠としては弱くなってしまいます。

 

◆相手が不倫の事実を認めた音声・書面

録音や念書など相手が不倫の事実を認めた証拠があれば、非常に有効です。不倫の事実を認めた際には、記録に残しておくようにしましょう。

もっとも「むりやり署名させられた」などと主張されるケースもあります。感情的になりすぎず、冷静に話すことが重要です。

 

◆興信所・探偵事務所の調査報告書

興信所や探偵事務所が作成した報告書は、強力な証拠になるケースが多いです。

ただし、一般的に調査費用が高額であり、不倫で慰謝料を受け取れたとしても損をしてしまう可能性もあります。これから依頼を考えている方は注意してください。

 

これらの他にも、SNSの投稿、レシート、クレジットカードの利用明細、通話履歴、交通系ICカードの利用履歴、カーナビの検索履歴、ドライブレコーダーの音声などが証拠になり得ます。ただし、性的関係を直接示せず、有力な証拠にはなりづらい場合もあります。もちろん、全く無意味なわけではないので、手元にある証拠は残しておいてください。

なお、証拠を集めたいとの思いが強すぎて、違法行為に及んでしまう方もいます。勝手に他人の住居に侵入したりしないようにしましょう。

 

「何が証拠になるの?」「手元にある証拠で証明できる?」といった疑問をお持ちの方は、お気軽に当事務所までご相談ください。

投稿者: 松村法律事務所

2023.05.11更新

離婚できる理由は?5つの法廷離婚事由

「○○を理由に離婚できますか」と相談の場でよく聞かれます。

お互いが合意できるのであれば、いかなる理由であっても離婚が可能です。もっとも、一方が拒否するときには、法律上定められた要件(法定離婚事由)を満たさないと離婚が認められません。

法定離婚事由は民法770条各号に規定されています。1号から順にご紹介します。

 

◆ 1号:不貞行為

不貞行為とは、配偶者(妻や夫)以外の異性と自由な意思に基づいて性的関係を持つことです。いわゆる不倫や浮気をイメージしてください。

法律上の不貞行為に該当するためには、性的関係が認められなければなりません。腕を組んだりキスしたりするだけでなく、性行為があったと判断できる必要があります。

現実には、性的関係を直接証明するのは困難です。ラブホテルから出てきた現場の写真や、性的関係をうかがわせるメッセージのやりとりなどがあれば、有力な証拠となります。

十分な証拠がなくても、5号の「婚姻を継続しがたい重大な事由」が認められるケースもあります。

 

◆ 2号:悪意の遺棄

悪意の遺棄とは、正当な理由なく、同居・協力・扶助という夫婦間の義務に反することをいいます。勝手に家を出て行く、収入があるのに生活費を一切渡さない、といったケースです。

単身赴任のために家を空けているなど、正当な理由があれば該当しません。

 

◆ 3号:3年以上の生死不明

配偶者の生死が3年以上わからないときも離婚できます。警察に捜索願を出したり友人や知人にたずねたりしたにもかかわらず、行方がつかめないケースです。

居場所がわからなくても、手紙や電話などで生きている事実がわかっている場合には該当しません。

なお、7年以上生死不明のときには失踪宣告制度の対象になります(民法30条)。失踪宣告がなされると死亡したとみなされて婚姻関係は解消され、相続が始まります(民法31条)。

 

◆ 4号:回復の見込みがない強度の精神病

配偶者が統合失調症などの重い精神病にかかっていて回復の見込みがなければ、離婚できる可能性があります。

もっとも、精神病になっている配偶者の生活に配慮が必要であるため、4号による離婚は簡単には認められません。

 

◆ 5号:その他婚姻を継続しがたい重大な事由

1~4号のいずれに該当しなくても「婚姻を継続しがたい重大な事由」が認められれば離婚が可能です。

認められる可能性がある例としては、以下が挙げられます。

  • 長期間の別居
  • DV・モラハラ
  • 性の不一致・セックスレス
  • 犯罪行為による服役
  • アルコール・薬物依存
  • 借金・ギャンブル・浪費
  • 過度な宗教活動

単に上記の事情があるだけでなく、それにより夫婦生活が破綻しているかがポイントになります。

とりわけ長期間(数年以上)の別居は、夫婦生活の破綻を裏付けるために重要な要素です。

よく「性格の不一致」が離婚理由として挙げられますが、人間同士である以上、多少性格が合わない事態は生じ得ます。裁判において性格の不一致だけで離婚が認められるのは、よほどの場合だけです。基本的には、他の要素と合わさって離婚の理由となり得るに過ぎません。

 

 

当事務所では、離婚の初回相談を無料としております。離婚理由があるかでお悩みの方は、お気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2023.04.26更新

離婚後の姓

ご相談の中で「離婚後は旧姓に戻した方がよいでしょうか?」と質問されることがあります。

今回は、結婚の際に女性が夫に姓を合わせていたケースを念頭に置いて、離婚後に姓がどうなるかを解説します。

 

◆離婚後は旧姓に戻るのが原則

婚姻により姓を変えていた人が離婚すると、旧姓に戻るのが原則です(民法767条1項)。多いのは、妻が結婚の際に夫の姓に改め、離婚により元の姓に戻るケースです。

離婚すると姓が変わるだけでなく、戸籍も別になります。妻が親の戸籍に戻るか、妻自身を筆頭者とする新たな戸籍を作成するかのいずれかになります。姓が変わらない夫の戸籍はそのままです。

両親が亡くなっていて戻る戸籍がないときには、新たな戸籍を作るしかありません。また、後述する通り、子の親権者となって子の姓も変えたいときには、新たな戸籍を作成してください。

旧姓に戻るときは、離婚届の該当欄に記入すれば手続きが済みます。

旧姓に戻るメリットとしては、以下が挙げられます。

  • 夫の姓を名乗らなくて済み、心機一転を図れる
  • 両親から受け入れてもらいやすい

他方で、姓を変えるデメリットもあります。

  • 離婚の事実が周囲に明らかになる
  • 各種名義変更の手続きが面倒である

 

 

◆離婚しても姓を変えたくないなら届出をする

離婚後も婚姻時の姓(夫の姓)をそのまま名乗ることも可能です。

離婚しても姓を変えないときには、離婚の日から3ヶ月以内に「離婚の際に称していた氏を称する届」を役所に提出しなければなりません(民法767条2項)。期限を過ぎてしまわないように、離婚届と同時に提出するとよいでしょう。

姓を変えないとしても、離婚すれば夫婦の戸籍は別になるため、妻は新しい戸籍を作成します。

姓を変えないメリットは以下の通りです。

  • 離婚を周囲に知られにくい
  • 名義変更手続きをしなくてよい
  • 子の姓を変更せずに済む

他方で、次のデメリットもあります。

  • 夫の姓を名乗ることへの心理的抵抗がある
  • 再婚後に2度目の離婚をした際に、旧姓(生まれたときの姓)には戻れない

 

 

◆離婚後しばらくして姓を変えたくなったら裁判所の許可が必要

離婚して時間が経った後に選んだ姓を変えたくなった場合には、家庭裁判所に申立てて許可を得なければなりません。

変更が認められるには「やむを得ない事由」が必要です(戸籍法107条1項)。一般的な氏の変更に比べると許可は出やすいですが、思い通りに変更できるとは限りません。

 

 

◆離婚後の子どもの姓

離婚時に旧姓に戻した妻が親権者であるときには、子の姓も自分の旧姓にしたいと考えるケースも多いでしょう。

もっとも、子の姓は何もしなければ元のままです。勘違いされている方もいますが、自動的に親権者と同じになるわけではありません。

子の姓も変更したければ、家庭裁判所に「子の氏の変更許可申立て」を行います。子が15歳未満のときは親権者が、15歳以上のときは子本人が申立ててください。許可そのものは簡単に認められます。

許可が出たら、役所に入籍届を提出して、母(元妻)と同じ戸籍に入れます。同じ戸籍に3世代が入ることはできないため、母(元妻)は離婚時に両親の戸籍に戻らず、自分を筆頭者とする戸籍を作っておくようにしてください。

 

 

以上が離婚と姓の関係です。時間が経ってから変更するのは面倒であるため、離婚時によく考えて選択するようにしましょう。

当事務所では、離婚の初回相談は無料としております。姓の問題に限らず、離婚についてお悩みの方はお気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2023.04.11更新

後遺障害の認定確率

交通事故に遭われた方から、よく「後遺障害は認定されそうですか」とご相談を受けます。

以下の参考記事でも紹介した通り、後遺障害が認定されると「後遺障害慰謝料」と「逸失利益」を受け取れるため、認定の有無や等級は重要になります。

参考記事:後遺障害の認定を受けるメリット

 

もっとも、後遺障害の認定確率は決して高くありません。

今回は、後遺障害の認定確率に加えて、認定されない理由や対処法を解説します。

 

 

◆後遺障害の認定確率は低い

後遺障害の認定確率は、一般的に非常に低いです。

2020年度のデータによると、自賠責保険の支払件数が89万8407件であるのに対し、何らかの後遺障害が認められたのは4万9267件に過ぎません(参考:2021年度自動車保険の概況|損害保険料率算出機構)。

支払件数には後遺障害申請をしていない事案もあるため正確な値ではないものの、認定確率は約5.5%です。例年おおむね5%程度で推移しており、後遺障害の認定確率は低いといえるでしょう。

 

 

◆後遺障害が認定されない理由

認定されるべき症状があるのに認定されなかった理由は、様々考えられます。

  • 後遺障害診断書の記載に不備があった
  • 認定に必要な検査をしていなかった
  • 治療期間、日数が不十分だった
  • 症状に一貫性がなかった

原因を特定するには専門知識が不可欠であるため、交通事故に精通した弁護士に相談してみるとよいでしょう。

そもそも「事故前の状態に戻っていないのになぜ後遺障害と認められないのか」と疑問をお持ちの方は、以下の記事をご参照ください。

参考記事:後遺障害とは?後遺症との違いは?

 

 

◆後遺障害が認定されなかったときの対処法

認定を受けられるはずの症状なのに非該当、あるいは想定より低い等級であった場合には、主に以下の対処法が考えられます。

  • 異議申立てをする
  • 紛争処理申請をする
  • 訴訟を提起する

まずは審査機関に異議申立てをして、結果が変わらないときに他の方法を検討するのが一般的です。いずれの方法をとるにせよ、結果を覆すだけの説得力のある証拠を揃えなければなりません。

 

 

後遺障害の認定確率は低く、等級を認めてもらうハードルは高いです。「認定を受けられるか知りたい」「非該当になったのはおかしい」などとお悩みであれば、弁護士にご相談ください。

当事務所では、交通事故の初回相談を無料としております。認定の見通しはもちろん、後遺障害以外の点もアドバイスが可能です。ぜひお気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2023.03.29更新

離婚の種類

離婚の種類は、手続きの段階によって大まかに以下の4つに分けられます。

 

◆協議離婚

協議離婚とは、夫婦の話し合いによる離婚です。夫婦間で合意して離婚届を出すだけでよいため、特別な費用はかからず手続き自体も難しくありません。離婚全体の9割近くが協議離婚になります(参考:令和4年度「離婚に関する統計」の概況|厚生労働省)。

協議離婚では、合意さえできれば財産分与、養育費などの条件は夫婦間の話し合いで決められます。条件を詰めずに離婚することも可能ですが、トラブルの元になるので避けてください。

決まった条件は必ず書面にして残しましょう。「公正証書」にしておくのがおすすめです。

離婚で公正証書を作成するメリットは、以下の記事で解説しています。

離婚協議の内容を公正証書にするメリット

 

◆調停離婚

調停離婚とは、裁判所における調停で決まった離婚です。調停とは、裁判所で調停委員が間に入ってする話し合いです。調停離婚の割合は全体の1割弱となっています。

法律上、いきなり裁判で離婚を争うことはできず、まずは離婚調停を申立てなければなりません。したがって、協議離婚ができないときには調停を申立てるのが通常です。

調停では、調停委員が間に入って交互に双方の言い分を聞いてくれます。顔を合わせなくてよいため、夫婦ふたりの話し合いよりも冷静になれる点がメリットです。合意すれば判決と同様の強制力を持つ調停調書が作成され、相手が約束を守らない事態にも備えられます。

デメリットは時間を要する点です。調停は1ヶ月に1回程度、平日に行われます。申立てから離婚まで、少なくとも数ヶ月、長ければ1年以上の時間がかかってしまいます。調停はあくまで話し合いであるため、双方が折り合えなければ離婚はできませせん。

 

◆審判離婚

調停離婚が成立しなくても、家庭裁判所の職権による「調停に代わる審判」で離婚が決まるケースがあり、審判離婚と呼ばれます。

細かい点に争いがあるだけであったり、当事者の出頭が難しかったりするケースなどで審判離婚となる可能性があります。ただし、件数としては少ないです。審判が出されても、2週間以内に異議申立てがあると訴訟(裁判)になります。

 

◆裁判離婚

調停離婚が成立しないときには、通常は裁判により離婚が争われます。裁判の判決で決まると裁判離婚となります。裁判離婚となるケースは、全体から見るとわずかです。

裁判離婚が認められるためには、民法770条1項に定められた離婚原因が存在する必要があります。判決が出れば、相手の合意がなくても離婚が可能です。離婚原因が存在しなければ、離婚は認められません。

なお、裁判の途中でも裁判官が間に入った話し合いにより離婚が成立するケースがあり、和解離婚と呼ばれます。また、数は非常に少ないものの、離婚を求められた側が相手の請求を全面的に認めたときは認諾離婚となります。

 

以上が離婚の種類になります。

夫婦間で話がつけば協議離婚ができますが、難しいときには調停など、裁判所を利用した手続きが必要です。裁判所での手続きには時間や手間がかかり、専門知識も必要であるため、自力で行うのが大変であれば弁護士にご相談ください。

当事務所では、離婚の初回相談は無料としております。もちろん、依頼は前提ではなく、ご相談だけでも構いません。離婚に関してお悩みの方はお気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2023.03.10更新

後遺障害認定までの流れ|事前認定と被害者請求の違い

交通事故でケガを負った方にとって、大きなポイントになるのが後遺障害の認定手続きです。

後遺障害が認定されるまでの流れは、おおむね以下の通りになります。

 

①症状固定

ケガの治療を続けていると、やがて「症状固定」という状態を迎えます。症状固定とは、治療を続けても症状の改善が望めない状態です。後遺障害認定は、症状固定時に残った症状を対象としてなされます。

注意して欲しいのが、相手方保険会社が一方的に「症状固定による治療費打ち切り」を宣告してきたケースです。症状固定でないのに治療をやめると、後遺障害認定が遠のく可能性があります。疑問があれば、まずは本当に症状固定といえるかを主治医に確認すべきです。

 

②後遺障害診断書作成

後遺障害申請をする際には「後遺障害診断書」の提出が必要です。後遺障害診断書は医師が作成する書類で、症状や検査結果などが記載されます。書式を保険会社から入手し、医師に作成をお願いしてください。

後遺障害診断書の内容は認定を左右しますので、間違いなく記載してもらうのが重要です。

 

③申請手続き

申請手続きには「事前認定」と「被害者請求」の2つの方法があります。

 

事前認定

事前認定とは、相手方の保険会社に手続きを任せる方法です。

後遺障害診断書を提出するだけでよく、他の手続きは保険会社に任せられるため、簡単な方法といえます。

もっとも、相手方の保険会社は一般的に等級獲得に積極的ではありません。被害者に有利な資料が提出されず、結果として、本来認められるべき等級が認定されない可能性もあります。

 

被害者請求

被害者請求とは、すべての手続きを被害者自身で行う方法です。

必要書類の収集と申請を自分で行うため、手間がかかります。

メリットは、提出書類を自分で決められる点です。プラスになる資料を提出できれば、等級認定の可能性を上げられます。

 

④結果の通知

申請がなされると、自賠責保険の調査機関により審査され、結果が通知されます。症状にもよりますが、数ヶ月で届くのが通常です。

結果を受け入れる場合には、そのまま示談金の交渉に進みます。納得がいかないときは「異議申立て」などの不服申立て手続きも可能です。最終的に訴訟まで争われるケースもあります。

 

以上が後遺障害認定までの流れです。

後遺障害認定についてお悩みの方は、弁護士にご相談ください。

弁護士は

□ 不当な治療費打ち切りへの対応

□ 後遺障害診断書の内容チェック

□ 被害者請求の代行

などでお役に立てます。

後遺障害認定には専門的な知識が必要であり、ご自身で対応するのは難しい側面があります。賠償総額に大きく関わるため、弁護士が関与するメリットは大きいです。

当事務所では、交通事故の初回相談を無料としております。後遺障害の認定手続きはもちろん、相手方とのやりとりなどに悩みをお持ちの方は、お気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

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