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2025.10.07更新

婚姻費用はいつからいつまで発生する?

「婚姻費用はいつから(いつまで)発生するの?」と聞かれることがあります。婚姻費用は金額が大きくなりやすいため、支払われる時期は重要です。

今回は、婚姻費用の始まりと終わりについてご紹介します。婚姻費用の基礎知識は以下をご覧ください。

参考記事:婚姻費用とは?含まれるものや養育費との違い

 

◆ 婚姻費用はいつから?

夫婦が同居しているときは、通常であれば婚姻費用をめぐる争いは生じません。別居すると生活費が別々に発生するため、婚姻費用が問題になります。

婚姻費用は生活のために必要な費用である以上、素直に考えれば別居した時点から支払い義務が生じるはずです。もっとも実務上は、原則として請求時から支払われるものとされています。別居後に支払われていない期間があったとしても、過去にさかのぼっての請求はできません。

過去にさかのぼれないとされる理由は、請求されるまで扶養が必要だとわからない場合があり、後からまとめて多額の支払いを強いられるのは酷であるためです。請求する側は、別居したらすぐに請求するようにしましょう。

「請求時」とは、具体的には調停を申立てた時を指す場合が多いです。調停の申立てがあれば、請求の意思は明確といえます。調停申立て前に内容証明郵便やメール等で請求したと証明できるときには、その時点から発生します。

 

◆ 婚姻費用はいつまで?

婚姻費用は夫婦であるがゆえに発生する費用です。したがって、離婚が成立し夫婦でなくなった時点で発生しなくなります。

子どもがいて引き取った場合には、婚姻費用に代わって養育費の請求が可能です。ただし、配偶者自身の生活費が除かれる分、婚姻費用と比べて金額は少なくなります。

離婚が成立した場合のほか、別居を解消し同居を再開した場合にも、婚姻費用の支払いは終了します。

 

以上が婚姻費用の始期と終期になります。別居後に請求した時点(主に調停申立時)から発生し、離婚成立時(または別居解消時)に義務がなくなるのが通常です。

当事務所では、離婚の初回相談を無料としております。婚姻費用についてお悩みの方は、まずはお気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2025.09.27更新

交通事故の過失割合に納得がいかないときはどうする?

「交通事故の過失割合に納得がいかない」という方は非常に多いです。過失割合は5%の違いであっても最終的に受け取れる賠償金額に大きな影響を与えます。納得がいかないのであれば、すぐに示談する必要はありません。

今回は、過失割合に納得がいかないときの対処法をご紹介します。過失割合の基礎知識は以下をご覧ください。

参考記事;過失割合とは?交通事故において持つ意味

 

◆ 保険会社と交渉する

まずは、相手方の任意保険会社と交渉するのが通常です。

保険会社は、契約者の言い分をもとに、最大限有利な割合を主張します。一方的な言い分であり、事実と異なることも少なくありません。主張の根拠を聞き、おかしい部分は適切に反論する必要があります。

事故態様に食い違いがあるときは、単にご自身の言い分を伝えるだけでなく、ドライブレコーダーの映像や実況見分調書などの客観的な証拠をもとに反論するのが理想です。

参考記事:交通事故において実況見分調書が持つ意味と入手方法

具体的な過失割合を主張する際には、「別冊判例タイムズ38号(民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準全訂5版)」という書籍を参照するのがよいでしょう。この本は、過去の裁判例をもとに、事故態様ごとの基本的な過失割合や修正要素をまとめたものです。保険会社の担当者も参照しているはずですので、知っておいて損はありません。

保険会社は、相手の足元をみて不合理な過失割合を主張する場合があります。もっとも、過失割合を一方的に決める権利は保険会社にありません。言われるがまま受け入れないようにしてください。

参考記事:交通事故の過失割合は誰が決める?どう決める?

 

◆ ADRを利用する

保険会社との交渉で合意できないときにとりうる方法として、ADRの利用が挙げられます。

ADRとは裁判外の紛争解決手続きです。交通事故に関するADRとしては、交通事故紛争処理センターが挙げられます。法律相談や和解あっせんができ、中立の立場で話し合いを仲介してくれます。

裁判よりはハードルが低い手続きであり、費用は無料です。とはいえ、書類の準備が必要になるなど手間はかかってしまい、一般の方にとって手軽な手続きとはいえないでしょう。

 

◆ 訴訟を提起する

最終的には裁判所に訴訟を提起します。最も強力な手段ですが、イメージされる通り、手続きが面倒であり慣れていない方にはハードルが高いです。

 

以上が、過失割合に納得がいかないときにとれる方法になります。ADRや訴訟は手続き面のハードルが高いです。とはいえ、交渉で保険会社に主張を認めさせるのは難しいでしょう。過失割合が争いになった際には、弁護士への依頼がオススメです。

 

当事務所では、交通事故の初回相談を無料としております。過失割合に納得がいかない方は、まずはお気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2025.09.11更新

婚姻費用をもらえないケース・払わなくていい場合

離婚トラブルにおいて、婚姻費用は必ず発生するわけではありません。今回は婚姻費用をもらえない(支払わなくていい)ケースをご紹介します。

「そもそも婚姻費用ってなに?」という方は以下をご覧ください。

参考記事:婚姻費用とは?含まれるものや養育費との違い

 

◆ 同居している・別居を解消した

夫婦が同居しているときは、基本的に婚姻費用を請求できません。いったん別居したものの、別居をやめて同居を再開したケースも同様です。

婚姻費用は夫婦の生活に必要な費用である以上、同居して生活費を分担しているのであれば別途請求できないのは当然といえます。ただし、同じ家に住んでいても家庭内別居の状態となっており、生活費を分担していないケースでは話は別です。

 

◆ 離婚が成立した

離婚が成立した後も婚姻費用は発生しません。婚姻費用は夫婦であるからこそ負担する義務が生じるためです。

離婚後は、子どもを引き取った側から養育費を請求できます。

 

◆ 請求する側に夫婦関係破綻の原因がある

本来であれば婚姻費用を受け取れる立場にあっても、夫婦関係を破綻させる原因を作ったのであれば、権利濫用だとして請求できない、あるいは減額される可能性があります。

たとえば、収入が少ない側の妻が不倫し、家を出ていったようなケースです。ただし、妻の生活費分を請求できないだけで、何の罪もない子どもの養育費分は請求できます。

 

◆ 収入の多い側が子どもと暮らしている

収入の少ない側が多い側に婚姻費用を請求できるのが通常です。もっとも、収入の多い側が子どもと生活していて養育費を負担しているときは、減額される、あるいは請求できない可能性があります。受け取れないどころか、収入の少ない側に支払い義務が生じるケースも考えられます。

裁判所が示している算定表は、養育費を受け取る側が子どもと暮らしているケースを想定したものです。その他の場合には、別途計算が必要になります。負担者や金額はケースバイケースですので、弁護士にご相談ください。

 

 

以上が、婚姻費用をもらえない・払わなくていいケースになります。個々の事情に応じて見通しは変わってきますので、ご自身の場合にどうなるかを知りたい方は、弁護士にご相談ください。

 

当事務所では、離婚の初回相談を無料としております。婚姻費用についてお悩みの方は、まずはお気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2025.08.27更新

婚姻費用の相場

「婚姻費用の相場はいくらぐらいですか」と相談されることがあります。婚姻費用は離婚まで毎月発生し金額が大きいだけに、離婚紛争においては重要なポイントのひとつです。

今回は、婚姻費用の相場を解説します。

 

◆ 婚姻費用の相場は算定表でわかる

婚姻費用の金額は、夫婦で合意できればいくらとしても構いません。もっとも、現実にはなかなか難しいでしょう。

婚姻費用の相場は、夫婦の年収や子どもの人数・年齢に応じて決まります。細かい計算式もあるのですが、慣れていない方にとって計算は簡単ではありません。実際には、裁判所が公表している算定表をもとにするケースが多いです。

算定表は子の人数や年齢に応じて分かれているため、まずはご自身に合った表を探してください。

たとえば、以下のケースで見ていきましょう。

・夫の年収:500万円(給与所得)

・妻の年収:100万円(給与所得)

・子:2人(10歳と5歳)

・妻が子2人を連れて別居した

 

このケースでは、子2人でともに0~14歳であるため、表13を使用します。婚姻費用を支払う夫が「義務者」、受け取る妻が「権利者」となります。

義務者の給与500万円と権利者の給与100万円が交わる部分を見ると「10~12万円」です。これが婚姻費用(月額)の目安になります。

年収は、給与所得者(会社員・アルバイト・パートなど)については源泉徴収票や課税証明書、自営業者については確定申告書で確認しましょう。

 

◆ 婚姻費用の相場から調整が必要になるケース

算定表の金額はあくまで目安であるとはいえ、基本的には算定表にしたがって婚姻費用を決めるケースが多いです。たしかに家庭ごとに生活に必要な費用は多少異なりますが、通常は細かな事情は考慮されません。

ただし、子が私立学校や学習塾に通い教育費が高い、子の病気で高額の医療費がかかるといった事情があれば、調整が必要です。また、権利者(受け取る側)が無職であるものの、働こうと思えば働けるはずであるときは、潜在的稼働能力が考慮されるケースもあります。

 

以上が婚姻費用の相場に関する基礎知識です。子が4人以上の場合など、算定表が用意されていないケースもあります。弁護士であれば正確な金額を計算できるので、ご相談ください。

 

当事務所では、離婚の初回相談を無料としております。婚姻費用についてお悩みの方は、まずはお気軽にお問い合わせください。

 

投稿者: 松村法律事務所

2025.08.11更新

過失割合に応じた賠償金の計算方法

交通事故では、過失割合によって相手に請求できる賠償金が大きく変わります。今回は、過失割合がどう賠償金の計算に影響してくるかについて、いくつかの例をもとに解説します。

 

◆ 「10対0」のとき

加害者に100%の過失があるときは話が単純です。被害者は、自身に生じた損害額をすべて加害者に請求できます。

ただし、過失がないケースでは、被害者が任意保険に加入していても保険会社の示談代行サービスを使えません。適正な賠償を受けるために、弁護士に依頼する必要性が高いです。

 

◆ 「9対1」のとき

加害者に9割、被害者に1割の過失があるときは、被害者が請求できる賠償金が減額されてしまいます。たとえば100万円の損害があっても、過失の1割が差し引かれるため、請求できるのは「100万円×0.9=90万円」です。

同じ事故で加害者にも50万円の損害が生じていれば、加害者から被害者にも過失分の1割を請求できます。すなわち、「50万円×0.1=5万円」の請求が可能です。(被害者が任意保険に加入していれば実際に負担するのは保険会社です。)

このとき、双方がそれぞれ90万円、5万円を相手方に支払う場合もあれば、差し引き85万円を加害者が被害者に支払う場合もあります。

 

◆ 「9対0」のとき

通常、過失割合は足して10になりますが、「9対0」のように足して10にならない場合もあります。「片側賠償(片賠)」と呼ばれる、加害者が請求権を放棄したケースです。

被害者の損害額が100万円であれば、加害者に請求できるのは90万円となり、この点は「9対1」のケースと同じです。ただし、片側賠償では加害者から被害者への請求は行われません。

片側賠償とすれば、被害者が賠償金を支払う必要はなくなります。加入している任意保険を使わずにすみ、保険等級が下がらず保険料が上がらない点がメリットです。また、高級車に乗っていたなど加害者側の損害が大きいと、被害者であるのに支払額が高額になってしまいますが、片側賠償ではそうした事態を回避できます。

ただし、片側賠償は双方の合意がなければできません。相手が応じることが前提になるので注意してください。

 

以上が過失割合に応じた賠償額の計算方法になります。ご自身の事故における過失割合や計算について詳しく知りたい方は、弁護士にご相談ください。

当事務所では、交通事故の初回相談を無料としております。過失割合についてお悩みの方は、まずはお気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2025.07.24更新

婚姻費用とは?含まれるものや養育費との違い

離婚に向けた協議で問題になるポイントのひとつが婚姻費用です。「聞いたことはあるけど養育費との違いがわからない」という方もいらっしゃるかもしれません。

今回は、婚姻費用の意味や含まれるもの、養育費との違いをご説明します。

 

◆ 婚姻費用とは?

婚姻費用とは、夫婦が生活するために必要な費用です。略して「婚費(コンピ)」とも呼ばれます。

夫婦には互いに協力して生活を支える義務があります。生活費すなわち婚姻費用は、夫婦で分担しなければなりません(民法760条)。

同居して夫婦円満であれば特に問題は生じませんが、別居すると婚姻費用の問題が表面化します。たとえば、収入の少ないあるいは無収入の妻が家を出て別居しても、十分な生活を送れません。夫婦である以上、別居していても婚姻費用を分担する義務があるため、妻は収入の多い夫に対して婚姻費用を請求できます。

 

◆ 婚姻費用に含まれるもの

婚姻費用には、生活に必要な様々な費用が含まれます。夫婦だけでなく子の生活費も含みます。

婚姻費用に含まれる主なものは以下の通りです。

・住居費(家賃など)

・食費

・被服費(衣類にかかるお金)

・医療費

・子の養育費、教育費

・常識的に必要な交際費、娯楽費

もちろん生活に必要な金額は家庭によって千差万別です。収入・資産や社会的地位、子の有無や年齢などによって婚姻費用は変わってきます。

 

◆ 婚姻費用と養育費の違い

婚姻費用と同様に離婚に際して問題になるのが養育費です。両者は似ていますが、対象となる範囲や支払い時期が異なります。

婚姻費用は、別居している配偶者と子の生活費を合わせたものです。対して養育費は、子の養育にかかる費用です。婚姻費用には配偶者分が含まれるのに対して、養育費には含まれません。したがって、金額としては婚姻費用の方が高額です。

時期については、婚姻費用は婚姻中(離婚前)に発生するのに対して、養育費は離婚後に生じるという違いがあります。

まとめると、離婚前(別居中)は「配偶者+子」について婚姻費用が発生し、離婚後は子についてのみ養育費が発生します。

 

以上が婚姻費用に関する基礎知識です。婚姻費用については説明したい内容が他にもありますので、何回かに分けてご紹介します。

当事務所では、離婚の初回相談を無料としております。婚姻費用についてお悩みの方は、まずはお気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2025.07.11更新

交通事故の過失割合は誰が決める?どう決める?

交通事故の過失割合は、受け取れる賠償金額に大きな影響を与えます。今回は、過失割合は誰がどのように決めるかを解説します。

 

◆ 当事者同士で話し合う

ほとんどの事故において、過失割合は当事者同士の話し合いで決まります。実際には被害者・加害者本人ではなく、加入している任意保険会社や当事者が依頼した弁護士が代わりに交渉を行う場合もよくあります。双方が任意保険に加入している場合には、保険会社同士の話し合いで決まるケースも多いでしょう。

具体的な割合は、「別冊判例タイムズ38号(民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準全訂5版)」という書籍にしたがって話し合われるのが一般的です。この本には、過去の裁判例をもとにした、事故類型ごとの基本的な過失割合や修正要素などが記載されています。交渉の際には、事故状況の認識をすり合わせてどの類型にあたるかを判断し、個々の事情に応じて修正がなされます。

 

◆ 相手方保険会社に言われた通りに応じる必要はない

ご自身で交渉していると、相手方保険会社から一方的に過失割合を通告される場合があります。もっとも、応じる義務はありません。

保険会社は、契約者から聞いた話をもとに、支払額を抑えるためにできる限り有利な割合を主張します。したがって、言われた通りにすると本来よりも不利な割合になる可能性が高いです。上で紹介した書籍を参照する、証拠を示す、専門家に相談するなどして、納得のいく限りご自身の主張をした方がよいでしょう。

保険会社に一方的に過失割合を決める権限はありません。言われるがまま応じる必要はない点を頭に入れておいてください。

 

◆ 最終的には裁判官が決める

話し合いがまとまらないときは訴訟になり、最終的には裁判官が判決により過失割合を決めます。確定した判決には従わなければなりません。

裁判では、当事者の主張だけでなく、実況見分調書、ドライブレコーダーなどの証拠が重視されます。

 

◆ 警察が決めるわけではない

勘違いされている方も多いのですが、警察が過失割合を決めるわけではありません。「民事不介入」の原則があり、警察は私的な紛争には口を出せないことになっています。

たしかに事故の際に警察が作成する実況見分調書は重要な証拠になりますが、警察には過失割合を決める権限はありません。たとえ口頭で「あなたは悪くない」などと言われたとしても、法的に意味はないので気をつけてください。

 

以上が過失割合を決める人や決め方に関する基礎知識です。基本的には当事者同士の話し合いで決まります。ご自身での交渉に不安をお持ちの方は、弁護士にご相談ください。

当事務所では、交通事故の初回相談を無料としております。過失割合についてお悩みの方は、まずはお気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2025.06.30更新

過失割合とは?交通事故において持つ意味

交通事故で争いになりやすいポイントのひとつが過失割合です。過失割合によって支払い金額が大きく左右されます。

今回は、過失割合の基礎知識をご説明します。

 

◆ 過失割合とは?

過失割合とは、交通事故における当事者の責任の大きさを割合で表したものです。

たとえば「9対1(90:10とも表されます)」であれば、一方の責任が9割、他方の責任が1割であることを意味します。数値が大きい方が加害者、小さい方が被害者です。

停車中に追突された場合や赤信号無視の場合などを除き、ほとんどのケースで被害者にも一定の過失があると認定されます。

 

◆ 過失割合が交通事故で重要な理由

過失割合は、交通事故において重要な意味を持ちます。相手方から受け取れる賠償金を大きく左右するためです。

たとえば、被害者に100万円の損害が生じた場合、過失割合が「10対0」であれば100万円全額を受け取れます。しかし「9対1」とされれば、90万円しか受け取れません。被害者の過失割合が大きくなればなるほど、損害額と実際に受け取れる金額に差が生じてしまうのです。この例では数十万円の差ですが、損害額が大きくなれば差もより拡大します。

支払額を左右するうえに、「自分の責任を認めたくない」と考える心理もあいまって、過失割合は非常に争いになりやすいです。

 

◆ 過失割合の例

基本的な過失割合は、事故のパターンによって類型化されています。たとえば四輪自動車同士の場合だと、次のような例があります。

・10対0:停車中に後ろから追突

・9対1:信号のない交差点で優先道路を走行する車と非優先道路から侵入した車が衝突

・8対2:双方青信号の交差点で直進車と右折車が衝突

これらは基本割合であり、合図の有無、徐行の有無、道路の見通し、著しい過失・重過失(わき見運転・飲酒運転等)の有無などにより修正されます。

事故類型別の過失割合に関する情報は「別冊判例タイムズ38号(民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準全訂5版)」という本にまとめられています。弁護士や裁判官など、交通事故を扱う専門家が実務上参照している本であり、一般の方でも購入が可能です。ご自身の事故における過失割合を知りたい方はご覧になるのもよいでしょう。

 

以上が過失割合に関する基礎知識になります。今後も何回かに分けて解説する予定ですので、もしよければご覧ください。

当事務所では、交通事故の初回相談を無料としております。相手の示す割合に納得がいかないなど、過失割合についてお悩みがある方は、まずはお気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2025.06.16更新

モラハラの証拠になるもの

モラハラは家庭の外からは実態がわからない場合が多いです。離婚が争いになる際には、証拠の有無や内容がポイントになります。

今回は、モラハラの証拠になるものをご紹介します。

 

◆ 録音・録画データ

モラハラそのものを記録した録音・録画データは、客観的に事実を示すものであるため、証拠として非常に有効です。録画はやや難しいかもしれませんが、録音は比較的ハードルが低いでしょう。専用のレコーダーでなく、スマートフォンを利用しても構いません。

一部しか記録していないと、「切り取りだ」「ケンカの流れで言っただけだ」といった反論を受けるおそれがあります。一連の流れがわかるように、すぐに記録を開始できるようにしておき、前後の言動も含めて残しましょう。1度だけでなく複数回の記録があれば、日常的なモラハラであったことを示せるため効果的です。

くれぐれも録音・録画していることが相手にバレないように注意してください。発覚すると逆上し行動がエスカレートするおそれがあります。残したデータが消えないよう、バックアップを取っておくのも重要です。

 

◆ 日記・メモ

ご自身でモラハラの様子を書いた日記やメモも証拠になります。客観的な証拠を残すのが難しいときでも可能な方法です。

作成する際には、「いつ」「どこで」「何を」されたかを具体的に書くようにしてください。事実がなく心情ばかり記載されていると、説得力がなくなってしまいます。

相手から、「後から書いた」「改ざんした」と言われる可能性もあります。その都度書く、消えない筆記具(ボールペン)を用いる、不自然な余白を作らないといった点にも注意しましょう。スマートフォンで記録する場合には、書いた日時や編集の有無がわかるものがオススメです。

 

◆ メール・LINE・SNSのメッセージ

メール・LINE等で交わしたやり取りの中にモラハラ発言があれば証拠になります。メッセージは消去されない限り残っていますので、集めやすいはずです。

問題のある発言だけでなく、一連の流れも含めてスクリーンショットなどで残しておきましょう。やりとりの後に早めに記録に残し、バックアップもとっておくと安心です。

なお、相手のSNSに無断でログインするなど、違法な行為はしないようにしてください。

 

以上がモラハラの主な証拠です。他に精神科等に通院した際の診断書・カルテ、第三者の証言、警察や公的機関の相談記録なども証拠になります。証拠になるものや集め方がわからない場合は、弁護士にご相談ください。

 

当事務所では、離婚の初回相談を無料としております。モラハラにお悩みの方は、まずはお気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2025.05.30更新

交通事故における遅延損害金

遅延損害金とは、債務の履行が遅れた際に発生する賠償金です。交通事故でも、裁判で判決まで至ると支払われます。解決まで時間がかかった場合や賠償金額が大きい場合には、遅延損害金も高額になりえます。2020年の民法改正により利率が変更された点にも注意が必要です。

今回は、交通事故における遅延損害金について解説します。

 

 

◆ 交通事故の遅延損害金とは

一般に遅延損害金とは、支払いが遅れた際に発生する賠償金です。偶然発生し、当事者間に事前の取り決めがない交通事故においても遅延損害金は生じます。

交通事故により発生する治療費・休業損害等の損害は、日々積み重なっていくものです。しかし判例・実務上は、後遺障害分や弁護士費用も含めたすべての損害について、事故当日から遅延損害金が発生するものとされています。民法では一般的に「初日不算入」のルールがありますが、交通事故の遅延損害金には適用されません。

 

◆ 交通事故における遅延損害金の計算方法

交通事故の遅延損害金は、以下の計算式で計算します。

遅延損害金=賠償額×利率×事故日から支払日までの日数÷365

利率は法定利率を用います。以前は5%とされていましたが、法改正により、2020年4月1日以降に発生した事故については3%となりました。

たとえば、賠償額が1000万円、事故日から支払日までが365日の場合の遅延損害金は、1000万円×3%×365日÷365=30万円です。

 

◆ 交通事故で遅延損害金が支払われるケース

賠償総額や支払いまでの期間によっては、遅延損害金は高額になりえます。もっとも、実際に支払われるケースは限られます。

まず、当事者の交渉で示談になった場合には基本的に支払われません。交通事故紛争処理センターなどのADRで解決したときも同様です。

遅延損害金が支払われるのは、裁判で判決にまで至ったケースです。裁判中に和解したときは、「調整金」という名目で一部を受け取れる場合があります。

 

以上が交通事故の遅延損害金に関する基礎知識です。理論上は発生していても、実際に支払われるのは裁判になったケースに限られます。解決まで時間がかかっても遅延損害金を受け取るのがよいか、早期に解決した方がいいのかはケースバイケースです。弁護士に相談するのがよいでしょう。

当事務所では、交通事故に関する初回相談を無料としております。遅延損害金を含めた賠償金について疑問やお悩みがある方は、まずはお気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所