損益相殺されるケース・されないケース

交通事故を理由としてお金を受け取っていると、相手方に請求できる賠償金が減額される場合があり、「損益相殺」と呼ばれます。

何が差し引かれるかわかりづらい部分もありますので、今回は損益相殺についてご説明します。

 

◆ 損益相殺とは?

損益相殺とは、交通事故を理由として金銭的利益を得たときに、相手方に請求できる損害賠償金から差し引くことです。法律に明確な定めはありませんが、判例で示されており、実務上は当然に行われています。

損益相殺がなされるのは、賠償金の二重取りを防ぐためです。

交通事故に遭うと、治療費や休業損害のといった損害が発生しますが、相手方からの支払いとは別に、給付金などを受け取れる場合があります。事故を原因として金銭を既に受け取っているのに、それと関係なく損害賠償を相手方に請求できるとなると、利益を受け過ぎていることになります。不公平が生じないように調整としてなされるのが、損益相殺です。

損益相殺がなされるかどうかは、受け取った給付等の種類によって変わります。

 

◆ 損益相殺されるケース

損益相殺がなされ、相手方に請求できる賠償金から差し引かれるものとしては、以下が挙げられます。

・自賠責保険金(政府補償事業によるてん補金も含む)

・公的制度(健康保険・年金・労災など)による給付金(例外あり)

・所得補償保険金

・人身傷害保険金

・加害者から支払われた弁済金

上記のお金については、相手方に請求する際には賠償額から除かなければなりません。

 

◆ 損益相殺されないケース

損益相殺がなされない給付等もあります。損害の補てんを目的としていないものや、定額で支払われるものなどです。

・見舞金、香典

・労災保険の特別支給金

・搭乗者傷害保険金

・生命保険金

これらについては、相手方に請求する金額から差し引く必要がありません。

 

以上が損益相殺に関する基礎知識になります。差し引かれるもの・差し引かれないものは細かく分かれており、一般の方にとっては区別が難しいでしょう。差し引く対象となる費目が決まっているなど、実際のルールはさらに複雑です。相手方に請求する際には、弁護士への相談をオススメします

 

当事務所では、交通事故の初回相談を無料としております。損益相殺で何が差し引かれるのかわからない方は、お気軽にお問い合わせください。