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2025.08.27更新

婚姻費用の相場

「婚姻費用の相場はいくらぐらいですか」と相談されることがあります。婚姻費用は離婚まで毎月発生し金額が大きいだけに、離婚紛争においては重要なポイントのひとつです。

今回は、婚姻費用の相場を解説します。

 

◆ 婚姻費用の相場は算定表でわかる

婚姻費用の金額は、夫婦で合意できればいくらとしても構いません。もっとも、現実にはなかなか難しいでしょう。

婚姻費用の相場は、夫婦の年収や子どもの人数・年齢に応じて決まります。細かい計算式もあるのですが、慣れていない方にとって計算は簡単ではありません。実際には、裁判所が公表している算定表をもとにするケースが多いです。

算定表は子の人数や年齢に応じて分かれているため、まずはご自身に合った表を探してください。

たとえば、以下のケースで見ていきましょう。

・夫の年収:500万円(給与所得)

・妻の年収:100万円(給与所得)

・子:2人(10歳と5歳)

・妻が子2人を連れて別居した

 

このケースでは、子2人でともに0~14歳であるため、表13を使用します。婚姻費用を支払う夫が「義務者」、受け取る妻が「権利者」となります。

義務者の給与500万円と権利者の給与100万円が交わる部分を見ると「10~12万円」です。これが婚姻費用(月額)の目安になります。

年収は、給与所得者(会社員・アルバイト・パートなど)については源泉徴収票や課税証明書、自営業者については確定申告書で確認しましょう。

 

◆ 婚姻費用の相場から調整が必要になるケース

算定表の金額はあくまで目安であるとはいえ、基本的には算定表にしたがって婚姻費用を決めるケースが多いです。たしかに家庭ごとに生活に必要な費用は多少異なりますが、通常は細かな事情は考慮されません。

ただし、子が私立学校や学習塾に通い教育費が高い、子の病気で高額の医療費がかかるといった事情があれば、調整が必要です。また、権利者(受け取る側)が無職であるものの、働こうと思えば働けるはずであるときは、潜在的稼働能力が考慮されるケースもあります。

 

以上が婚姻費用の相場に関する基礎知識です。子が4人以上の場合など、算定表が用意されていないケースもあります。弁護士であれば正確な金額を計算できるので、ご相談ください。

 

当事務所では、離婚の初回相談を無料としております。婚姻費用についてお悩みの方は、まずはお気軽にお問い合わせください。

 

投稿者: 松村法律事務所

2025.08.11更新

過失割合に応じた賠償金の計算方法

交通事故では、過失割合によって相手に請求できる賠償金が大きく変わります。今回は、過失割合がどう賠償金の計算に影響してくるかについて、いくつかの例をもとに解説します。

 

◆ 「10対0」のとき

加害者に100%の過失があるときは話が単純です。被害者は、自身に生じた損害額をすべて加害者に請求できます。

ただし、過失がないケースでは、被害者が任意保険に加入していても保険会社の示談代行サービスを使えません。適正な賠償を受けるために、弁護士に依頼する必要性が高いです。

 

◆ 「9対1」のとき

加害者に9割、被害者に1割の過失があるときは、被害者が請求できる賠償金が減額されてしまいます。たとえば100万円の損害があっても、過失の1割が差し引かれるため、請求できるのは「100万円×0.9=90万円」です。

同じ事故で加害者にも50万円の損害が生じていれば、加害者から被害者にも過失分の1割を請求できます。すなわち、「50万円×0.1=5万円」の請求が可能です。(被害者が任意保険に加入していれば実際に負担するのは保険会社です。)

このとき、双方がそれぞれ90万円、5万円を相手方に支払う場合もあれば、差し引き85万円を加害者が被害者に支払う場合もあります。

 

◆ 「9対0」のとき

通常、過失割合は足して10になりますが、「9対0」のように足して10にならない場合もあります。「片側賠償(片賠)」と呼ばれる、加害者が請求権を放棄したケースです。

被害者の損害額が100万円であれば、加害者に請求できるのは90万円となり、この点は「9対1」のケースと同じです。ただし、片側賠償では加害者から被害者への請求は行われません。

片側賠償とすれば、被害者が賠償金を支払う必要はなくなります。加入している任意保険を使わずにすみ、保険等級が下がらず保険料が上がらない点がメリットです。また、高級車に乗っていたなど加害者側の損害が大きいと、被害者であるのに支払額が高額になってしまいますが、片側賠償ではそうした事態を回避できます。

ただし、片側賠償は双方の合意がなければできません。相手が応じることが前提になるので注意してください。

 

以上が過失割合に応じた賠償額の計算方法になります。ご自身の事故における過失割合や計算について詳しく知りたい方は、弁護士にご相談ください。

当事務所では、交通事故の初回相談を無料としております。過失割合についてお悩みの方は、まずはお気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2025.07.24更新

婚姻費用とは?含まれるものや養育費との違い

離婚に向けた協議で問題になるポイントのひとつが婚姻費用です。「聞いたことはあるけど養育費との違いがわからない」という方もいらっしゃるかもしれません。

今回は、婚姻費用の意味や含まれるもの、養育費との違いをご説明します。

 

◆ 婚姻費用とは?

婚姻費用とは、夫婦が生活するために必要な費用です。略して「婚費(コンピ)」とも呼ばれます。

夫婦には互いに協力して生活を支える義務があります。生活費すなわち婚姻費用は、夫婦で分担しなければなりません(民法760条)。

同居して夫婦円満であれば特に問題は生じませんが、別居すると婚姻費用の問題が表面化します。たとえば、収入の少ないあるいは無収入の妻が家を出て別居しても、十分な生活を送れません。夫婦である以上、別居していても婚姻費用を分担する義務があるため、妻は収入の多い夫に対して婚姻費用を請求できます。

 

◆ 婚姻費用に含まれるもの

婚姻費用には、生活に必要な様々な費用が含まれます。夫婦だけでなく子の生活費も含みます。

婚姻費用に含まれる主なものは以下の通りです。

・住居費(家賃など)

・食費

・被服費(衣類にかかるお金)

・医療費

・子の養育費、教育費

・常識的に必要な交際費、娯楽費

もちろん生活に必要な金額は家庭によって千差万別です。収入・資産や社会的地位、子の有無や年齢などによって婚姻費用は変わってきます。

 

◆ 婚姻費用と養育費の違い

婚姻費用と同様に離婚に際して問題になるのが養育費です。両者は似ていますが、対象となる範囲や支払い時期が異なります。

婚姻費用は、別居している配偶者と子の生活費を合わせたものです。対して養育費は、子の養育にかかる費用です。婚姻費用には配偶者分が含まれるのに対して、養育費には含まれません。したがって、金額としては婚姻費用の方が高額です。

時期については、婚姻費用は婚姻中(離婚前)に発生するのに対して、養育費は離婚後に生じるという違いがあります。

まとめると、離婚前(別居中)は「配偶者+子」について婚姻費用が発生し、離婚後は子についてのみ養育費が発生します。

 

以上が婚姻費用に関する基礎知識です。婚姻費用については説明したい内容が他にもありますので、何回かに分けてご紹介します。

当事務所では、離婚の初回相談を無料としております。婚姻費用についてお悩みの方は、まずはお気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2025.07.11更新

交通事故の過失割合は誰が決める?どう決める?

交通事故の過失割合は、受け取れる賠償金額に大きな影響を与えます。今回は、過失割合は誰がどのように決めるかを解説します。

 

◆ 当事者同士で話し合う

ほとんどの事故において、過失割合は当事者同士の話し合いで決まります。実際には被害者・加害者本人ではなく、加入している任意保険会社や当事者が依頼した弁護士が代わりに交渉を行う場合もよくあります。双方が任意保険に加入している場合には、保険会社同士の話し合いで決まるケースも多いでしょう。

具体的な割合は、「別冊判例タイムズ38号(民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準全訂5版)」という書籍にしたがって話し合われるのが一般的です。この本には、過去の裁判例をもとにした、事故類型ごとの基本的な過失割合や修正要素などが記載されています。交渉の際には、事故状況の認識をすり合わせてどの類型にあたるかを判断し、個々の事情に応じて修正がなされます。

 

◆ 相手方保険会社に言われた通りに応じる必要はない

ご自身で交渉していると、相手方保険会社から一方的に過失割合を通告される場合があります。もっとも、応じる義務はありません。

保険会社は、契約者から聞いた話をもとに、支払額を抑えるためにできる限り有利な割合を主張します。したがって、言われた通りにすると本来よりも不利な割合になる可能性が高いです。上で紹介した書籍を参照する、証拠を示す、専門家に相談するなどして、納得のいく限りご自身の主張をした方がよいでしょう。

保険会社に一方的に過失割合を決める権限はありません。言われるがまま応じる必要はない点を頭に入れておいてください。

 

◆ 最終的には裁判官が決める

話し合いがまとまらないときは訴訟になり、最終的には裁判官が判決により過失割合を決めます。確定した判決には従わなければなりません。

裁判では、当事者の主張だけでなく、実況見分調書、ドライブレコーダーなどの証拠が重視されます。

 

◆ 警察が決めるわけではない

勘違いされている方も多いのですが、警察が過失割合を決めるわけではありません。「民事不介入」の原則があり、警察は私的な紛争には口を出せないことになっています。

たしかに事故の際に警察が作成する実況見分調書は重要な証拠になりますが、警察には過失割合を決める権限はありません。たとえ口頭で「あなたは悪くない」などと言われたとしても、法的に意味はないので気をつけてください。

 

以上が過失割合を決める人や決め方に関する基礎知識です。基本的には当事者同士の話し合いで決まります。ご自身での交渉に不安をお持ちの方は、弁護士にご相談ください。

当事務所では、交通事故の初回相談を無料としております。過失割合についてお悩みの方は、まずはお気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2025.06.30更新

過失割合とは?交通事故において持つ意味

交通事故で争いになりやすいポイントのひとつが過失割合です。過失割合によって支払い金額が大きく左右されます。

今回は、過失割合の基礎知識をご説明します。

 

◆ 過失割合とは?

過失割合とは、交通事故における当事者の責任の大きさを割合で表したものです。

たとえば「9対1(90:10とも表されます)」であれば、一方の責任が9割、他方の責任が1割であることを意味します。数値が大きい方が加害者、小さい方が被害者です。

停車中に追突された場合や赤信号無視の場合などを除き、ほとんどのケースで被害者にも一定の過失があると認定されます。

 

◆ 過失割合が交通事故で重要な理由

過失割合は、交通事故において重要な意味を持ちます。相手方から受け取れる賠償金を大きく左右するためです。

たとえば、被害者に100万円の損害が生じた場合、過失割合が「10対0」であれば100万円全額を受け取れます。しかし「9対1」とされれば、90万円しか受け取れません。被害者の過失割合が大きくなればなるほど、損害額と実際に受け取れる金額に差が生じてしまうのです。この例では数十万円の差ですが、損害額が大きくなれば差もより拡大します。

支払額を左右するうえに、「自分の責任を認めたくない」と考える心理もあいまって、過失割合は非常に争いになりやすいです。

 

◆ 過失割合の例

基本的な過失割合は、事故のパターンによって類型化されています。たとえば四輪自動車同士の場合だと、次のような例があります。

・10対0:停車中に後ろから追突

・9対1:信号のない交差点で優先道路を走行する車と非優先道路から侵入した車が衝突

・8対2:双方青信号の交差点で直進車と右折車が衝突

これらは基本割合であり、合図の有無、徐行の有無、道路の見通し、著しい過失・重過失(わき見運転・飲酒運転等)の有無などにより修正されます。

事故類型別の過失割合に関する情報は「別冊判例タイムズ38号(民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準全訂5版)」という本にまとめられています。弁護士や裁判官など、交通事故を扱う専門家が実務上参照している本であり、一般の方でも購入が可能です。ご自身の事故における過失割合を知りたい方はご覧になるのもよいでしょう。

 

以上が過失割合に関する基礎知識になります。今後も何回かに分けて解説する予定ですので、もしよければご覧ください。

当事務所では、交通事故の初回相談を無料としております。相手の示す割合に納得がいかないなど、過失割合についてお悩みがある方は、まずはお気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2025.06.16更新

モラハラの証拠になるもの

モラハラは家庭の外からは実態がわからない場合が多いです。離婚が争いになる際には、証拠の有無や内容がポイントになります。

今回は、モラハラの証拠になるものをご紹介します。

 

◆ 録音・録画データ

モラハラそのものを記録した録音・録画データは、客観的に事実を示すものであるため、証拠として非常に有効です。録画はやや難しいかもしれませんが、録音は比較的ハードルが低いでしょう。専用のレコーダーでなく、スマートフォンを利用しても構いません。

一部しか記録していないと、「切り取りだ」「ケンカの流れで言っただけだ」といった反論を受けるおそれがあります。一連の流れがわかるように、すぐに記録を開始できるようにしておき、前後の言動も含めて残しましょう。1度だけでなく複数回の記録があれば、日常的なモラハラであったことを示せるため効果的です。

くれぐれも録音・録画していることが相手にバレないように注意してください。発覚すると逆上し行動がエスカレートするおそれがあります。残したデータが消えないよう、バックアップを取っておくのも重要です。

 

◆ 日記・メモ

ご自身でモラハラの様子を書いた日記やメモも証拠になります。客観的な証拠を残すのが難しいときでも可能な方法です。

作成する際には、「いつ」「どこで」「何を」されたかを具体的に書くようにしてください。事実がなく心情ばかり記載されていると、説得力がなくなってしまいます。

相手から、「後から書いた」「改ざんした」と言われる可能性もあります。その都度書く、消えない筆記具(ボールペン)を用いる、不自然な余白を作らないといった点にも注意しましょう。スマートフォンで記録する場合には、書いた日時や編集の有無がわかるものがオススメです。

 

◆ メール・LINE・SNSのメッセージ

メール・LINE等で交わしたやり取りの中にモラハラ発言があれば証拠になります。メッセージは消去されない限り残っていますので、集めやすいはずです。

問題のある発言だけでなく、一連の流れも含めてスクリーンショットなどで残しておきましょう。やりとりの後に早めに記録に残し、バックアップもとっておくと安心です。

なお、相手のSNSに無断でログインするなど、違法な行為はしないようにしてください。

 

以上がモラハラの主な証拠です。他に精神科等に通院した際の診断書・カルテ、第三者の証言、警察や公的機関の相談記録なども証拠になります。証拠になるものや集め方がわからない場合は、弁護士にご相談ください。

 

当事務所では、離婚の初回相談を無料としております。モラハラにお悩みの方は、まずはお気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2025.05.30更新

交通事故における遅延損害金

遅延損害金とは、債務の履行が遅れた際に発生する賠償金です。交通事故でも、裁判で判決まで至ると支払われます。解決まで時間がかかった場合や賠償金額が大きい場合には、遅延損害金も高額になりえます。2020年の民法改正により利率が変更された点にも注意が必要です。

今回は、交通事故における遅延損害金について解説します。

 

 

◆ 交通事故の遅延損害金とは

一般に遅延損害金とは、支払いが遅れた際に発生する賠償金です。偶然発生し、当事者間に事前の取り決めがない交通事故においても遅延損害金は生じます。

交通事故により発生する治療費・休業損害等の損害は、日々積み重なっていくものです。しかし判例・実務上は、後遺障害分や弁護士費用も含めたすべての損害について、事故当日から遅延損害金が発生するものとされています。民法では一般的に「初日不算入」のルールがありますが、交通事故の遅延損害金には適用されません。

 

◆ 交通事故における遅延損害金の計算方法

交通事故の遅延損害金は、以下の計算式で計算します。

遅延損害金=賠償額×利率×事故日から支払日までの日数÷365

利率は法定利率を用います。以前は5%とされていましたが、法改正により、2020年4月1日以降に発生した事故については3%となりました。

たとえば、賠償額が1000万円、事故日から支払日までが365日の場合の遅延損害金は、1000万円×3%×365日÷365=30万円です。

 

◆ 交通事故で遅延損害金が支払われるケース

賠償総額や支払いまでの期間によっては、遅延損害金は高額になりえます。もっとも、実際に支払われるケースは限られます。

まず、当事者の交渉で示談になった場合には基本的に支払われません。交通事故紛争処理センターなどのADRで解決したときも同様です。

遅延損害金が支払われるのは、裁判で判決にまで至ったケースです。裁判中に和解したときは、「調整金」という名目で一部を受け取れる場合があります。

 

以上が交通事故の遅延損害金に関する基礎知識です。理論上は発生していても、実際に支払われるのは裁判になったケースに限られます。解決まで時間がかかっても遅延損害金を受け取るのがよいか、早期に解決した方がいいのかはケースバイケースです。弁護士に相談するのがよいでしょう。

当事務所では、交通事故に関する初回相談を無料としております。遅延損害金を含めた賠償金について疑問やお悩みがある方は、まずはお気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2025.05.23更新

モラハラは離婚の理由になる?

「モラハラで離婚できるの?」と聞かれることがあります。

モラハラ(モラルハラスメント)は相手を苦しめる行為ではありますが、離婚までは認められないケースが少なくありません。他の要因と合わせて離婚できるかが決まる場合も多いです。

今回は、モラハラによる離婚についてご説明します。

 

◆ モラハラとは?

「モラハラという言葉は聞いたことがあるが、意味はよくわからない」という方もいらっしゃるでしょう。

一般的にモラハラ(モラルハラスメント)とは、言葉や態度によって相手の心に苦痛を与える行為をいいます。すなわち精神的な虐待です。

夫婦におけるモラハラの具体例は次の通りです。

・大声で怒鳴る

・ささいなミスで激怒する

・人格を否定する、バカにする

・理由もなく無視する、機嫌が悪くなる

・大きな音をたててドアを閉める

・聞こえるようにわざと大きなため息をつく

・「誰のおかげで飯が食えると思っているんだ」などと収入の少ない相手を見下す

・生活費を渡さない

・外で働くのを認めない

・親族や友人と交流するのを妨げる、束縛する

・相手の金の使い道に細かく口出しする

・子どもに配偶者の悪口を吹き込む

モラハラ加害者は、社会的地位が高く、外面はいい傾向にあります。家庭の外からはわかりづらいため、被害を受けている側は誰にも相談できず、自分が悪いと思い込んでしまうケースが多いです。

身体的な暴力ではないものの、モラハラは相手の心を深く傷つける言動といえます。

 

 

◆ モラハラは離婚の理由になる?

モラハラで離婚できるかはケースバイケースです。

モラハラは離婚理由として法律に明記されていません。裁判離婚の場合には、「婚姻を継続し難い重大な事由」(民法770条1項5号)に該当するかが問題になります。単なる夫婦げんかの延長とされてしまい、離婚までは認められないケースも多いです。モラハラそのものの内容や程度だけでなく、別居期間など、様々な理由から離婚の可否が判断されます。

協議離婚や調停離婚の場合には、相手の合意さえあれば離婚は可能です。もっとも、モラハラ加害者はプライドが高く、自分の非を認めない傾向にあります。そのため、協議や調停は難航しやすいです。

(参考記事)

離婚の種類

離婚できる理由は?5つの法定離婚事由

 

モラハラは外部からはわかりづらいため、証拠が重要になります。モラハラの証拠については、今後改めて解説する予定です。

当事務所では、離婚の初回相談を無料としております。モラハラで離婚できるかお悩みの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2025.04.25更新

交通事故において実況見分調書が持つ意味と入手方法

交通事故で過失割合が争いになった場合には「実況見分調書」が重要な証拠になります。今回は、実況見分調書の意味や入手方法をご紹介します。

 

◆ 実況見分調書とは?

実況見分とは、犯罪の捜査として、事件・事故が起きた現場の状況を調べることです。結果は「実況見分調書」という書面にまとめられます。

交通事故でも人が死傷すれば「過失運転致死傷罪」という犯罪になるため、実況見分が実施され、実況見分調書が作成されます。

交通事故での実況見分調書の主な記載内容は以下の通りです。

・実施日時、場所

・道路状況(路面状況、交通規制など)

・車両の状況(車種、大きさ、損害の部位・程度・状況など)

・立会人(被害者・加害者など)の説明内容

・現場の見取り図

実況見分調書では、現場の状況や立会人の説明などが客観的に記載されます。当事者の視点で語られる「供述調書」とは異なるものです。

なお、物損事故では基本的に実況見分調書は作成されません。「物件事故報告書」という簡易的な書類が作成されるだけです。

 

◆ 交通事故において実況見分調書が持つ意味

交通事故で実況見分調書が重要になるのは、主に過失割合が争いになったケースです。当事者の言い分が食い違っているときに、第三者である警察が作成した実況見分調書は信用できる証拠として扱われます。

過失割合が少し変わるだけでも、全体の支払額に及ぼす影響は大きいです。実況見分への当事者の立会いは強制ではありませんが、できるだけ立ち会い、自分の言い分を説明するようにしてください。「忙しい」といった理由で立会いをしないと、相手方に有利な調書が作成されてしまう恐れがあります。

 

◆ 実況見分調書の入手方法

そもそも実況見分調書は、犯罪捜査の一環として作成される書類です。民事上の示談交渉のために入手したいときには、一定の手続きを踏む必要があります。

不起訴処分となった後や、起訴され裁判の判決が確定した後の場合は検察庁に、裁判中の場合は裁判所に対して請求します。捜査中で起訴・不起訴が決まっていない段階では入手できません。事故直後の取り寄せはできないので注意してください。

実務上多いのは、不起訴処分の後に検察庁から入手するケースです。その場合、まずは交通事故証明書に記載された管轄警察署に対して送致先の検察庁、送致番号、送致日を問い合わせましょう。その上で検察庁に問い合わせをして必要事項を伝え、閲覧・謄写を請求します。予約を取ったうえで検察庁に出向く流れになります。地域によって扱いが異なりますので、指示に従ってください。

事故から時間が経つと廃棄される恐れがあるため、早めに請求しましょう。

 

以上が実況見分調書に関する基礎知識です。取り寄せる手続きは少し面倒ですが、弁護士に依頼できます。

当事務所では、交通事故の初回相談を無料としております。過失割合を争っているなど、実況見分調書が必要な場合にはお気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2025.04.11更新

不倫した側からのよくある反論

不倫(不貞)を理由に慰謝料請求をしたとき、相手から様々な反論がくる場合があります。今回は、不倫した側からのよくある反論をご紹介します。

 

◆ 不貞行為はなかった

まずは「そもそも不貞行為はなかった」という反論が考えられます。法律上、不貞行為に該当するのは性行為に及んだ場合です。したがって「肉体関係はなかった」という反論になります。

本当に不貞行為があったか否かは、証拠をもとに判断します。たとえば、ラブホテルに2人で入っている写真があれば、特別な事情がない限り性行為があったと認定されるのが通常です。

不貞行為の意味や証拠については、以下の記事をお読みください。

(参考記事)

不貞行為とは?

不倫の証拠になるもの

 

◆ 既婚者だと知らなかった

不倫相手から「既婚者だとは知らなかった」という反論がなされる場合があります。不倫相手に慰謝料を請求するには、既婚者であると知っていたか(故意あり)、知らなかったことに落ち度がある(過失あり)と証明しなければなりません。

とはいえ、職場など何らかのコミュニティ内で知り合った場合には既婚者であると認識しているのが普通です。たとえ知らなかったとしても、周囲に確認するなどして簡単に把握できるでしょう。

したがって、「既婚者とは知らなかった」という反論が認められるのは、マッチングアプリや婚活パーティなどで出会い、独身と偽って交際していたようなケースに限られます。

 

◆ 夫婦関係が破綻していた

「不貞行為に及んだ際には既に夫婦関係が破綻していた」というのもよくある反論です。もともと夫婦関係が壊れていたのであれば、不貞による損害はないと考えられます。

もっとも、実際には「夫婦関係が破綻していた」との主張はなかなか認められません。反論が認められやすいのは、不倫開始時から別居していた、離婚に向けた話し合いが始まっていたといったケースです。

また、「夫婦関係が破綻していたと聞いて信じていた」という反論もあります。しかし、安易に信用すべきではないとされ認められない場合が多いです。

 

◆ 時効により請求権が消滅している

不貞行為に関する慰謝料請求権は、損害と加害者を知った時から3年経過すると時効により消滅します。したがって、時間が経ってから主張すると「請求権は時効により消滅している」と反論される可能性があります。

時効にかからないうちに、早めに請求するようにしましょう。

 

以上が不倫をした側からのよくある反論です。いずれについても、最初から証拠を揃えていれば再反論ができます。不倫慰謝料請求では、証拠が非常に重要です。

当事務所では、離婚の初回相談を無料としております。配偶者の不倫が発覚した際は、まずはお気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所