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2025.03.25更新

交通事故の入院雑費

交通事故により入院すると、治療費以外にも、日用品や新聞・雑誌などにお金がかかる場合があるでしょう。入院に際して必要な諸費用は「入院雑費」として相手方に請求できます。

今回は入院雑費について解説します。

 

◆ 入院雑費とは?

入院していると、治療費の他にも、衣類、洗面具、電話、新聞・雑誌など様々な支出が生じます。入院中に支出する諸費用は「入院雑費」と呼ばれます。

入院雑費に含まれる代表的なものは以下の通りです。

  • 日用品雑貨費(寝具、衣類、洗面具、食器、ティッシュなど)
  • 栄養補給費(栄養ドリンクなど)
  • 通信費(電話代、切手代など)
  • 文化費(新聞雑誌代、テレビレンタル代など)
  • 家族通院交通費(付添人交通費は別途請求可能)

入院に際して要したこれらの費用は、相手方に対して請求できます。

 

◆ 入院雑費の金額

入院雑費には様々なものが含まれるうえ、それぞれの金額はさほど大きくはありません。にもかかわらず個々に領収書等を提出して証明するとなると、双方にとって金額の割に大きな手間がかかります。

そこで、入院雑費は通常は定額とされています。基本的に個別に支出を証明する必要はありません。

自賠責保険基準においては、入院雑費は1日1,100円です。それ以上の支出が必要であったと証明できたときには、実費の支払いを受けられます。

裁判基準(弁護士基準)においては、入院雑費は1日1,500円です。これよりも高額な支出をしたときには、必要かつ相当であれば支払いが認められる可能性も存在します。

自賠責基準と裁判基準との差は1日400円であり、それほど大きくないと思われるかもしれません。とはいえ、入院期間が長くなれば数万~10万円程度の差が出てきます。

 

◆ 将来雑費

症状固定後にも、将来にわたって介護用品(紙おむつ、ゴム手袋等)の費用を要する場合があります。将来雑費についても、個々の状況に応じて支払いが認められる可能性があります。

 

以上が入院雑費に関する基礎知識です。賠償額全体から見ると、入院雑費が占める割合は低いです。とはいえ、入院が長引いているケースなどでは、無視できない金額になります。そもそも入院を要するほど重いケガをしている以上、賠償総額が大きく、弁護士に依頼する必要性は高いでしょう。

当事務所では、交通事故の初回相談を無料としております。交通事故によるケガで入院された方やご家族の方は、まずはお気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2025.03.13更新

有責配偶者からの離婚請求

「不倫した側から離婚は請求できるの?」と聞かれることがあります。

不貞行為をして離婚の原因を作った人(有責配偶者)から離婚を求めることは可能です。ただし、通常の離婚よりもハードルが高くなります。

今回は、有責配偶者からの離婚請求について解説します。

 

◆ 有責配偶者とは?

有責配偶者とは、自ら離婚の原因を作った配偶者(夫や妻)のことです。不貞行為は法定離婚事由に該当するため、不貞をした人は有責配偶者にあたります。

法定離婚事由については、以下の記事をお読みください。

参考記事:離婚できる理由は?5つの法定離婚事由

 

◆ 有責配偶者から離婚できる?

有責配偶者から離婚を請求したとしても、相手が応じるのであれば離婚は可能です(協議離婚)。また、裁判所で調停を行い、話し合いがまとまった場合にも離婚できます(調停離婚)。

調停でも離婚できないときは裁判により争われますが、裁判では有責配偶者からの離婚請求は簡単には認められません。離婚の原因を作ったにもかかわらず、「不倫相手と結婚したい」などと考えて離婚を要求するのはあまりに身勝手であるためです。次に説明する通り、通常の離婚よりも厳しい条件を満たす必要があります。

離婚の種類について詳しくは、以下の記事をお読みください。

参考記事:離婚の種類

 

◆ 有責配偶者からの離婚が認められる要件

判例上、有責配偶者からの離婚請求は以下の3つの要件を満たした場合に限って認められます。

 

①別居が長期間に及んでいる

別居期間が10年以上になっていると、長期間だと認められやすいです。5~7年程度であっても、年齢や同居期間と比べて別居期間が長いといえれば、要件を満たすと判断される可能性があります。

 

②未成熟の子がいない

「未成熟」といえるかは、年齢だけでなく社会的・経済的に自立しているかを考慮して判断されます。高校生以上の場合には、今後の養育期間が短いと考えられ離婚が認められる可能性があります。成人であっても障害を抱えていて自立が難しいときには、未成熟の子と判断されやすいです。

 

③離婚により相手方が極めて苛酷な状態におかれることがない

離婚された側が経済的に厳しい状況におかれないかどうかが主なポイントです。十分な財産分与や養育費により、離婚された側が苛酷な状態におかれないといえれば、離婚が認められやすくなります。

 

以上が有責配偶者からの離婚請求に関する基礎知識です。実際に離婚が可能であるかはケースバイケースです。ご自身の場合はどうか知りたい方は、弁護士にご相談ください。

当事務所では、離婚の初回相談を無料としております。お悩みの方は、まずはお気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2025.02.24更新

交通事故における付添看護費

交通事故によるケガで入通院をする際に、家族などの付き添いが必要になるケースがあります。その場合「付添看護費」の請求が可能です。

今回は、付添看護費についてご説明します。

 

◆ 入院付添費

入院中に付き添いが必要になった際に発生するのが入院付添費です。

認められるには、単なるお見舞いではなく、付き添いが必要なケースでなければなりません。実際には、病院が完全看護体制をとっているとして必要性が否定されやすいです。医師の指示があった場合のほか、症状が重い場合や被害者が子ども(12歳以下)・高齢者の場合などに認められる傾向にあります。

金額は、近親者が付き添う場合は1日6,500円程度、ヘルパーなどプロに依頼した場合は実費が基本になります。近親者に実際にお金が支払われていなくても賠償の対象です。

また、家族が付き添いのために仕事を休んでいて休業損害が1日6,500円を超えるときには、休業損害相当額の請求が可能です。ただし、プロに頼んだ場合に要する金額が限度となります。

 

◆ 通院付添費

一人で通院するのが難しい場合には、通院付添費も認められます。症状により自力での移動が難しい場合や、被害者が子どもである場合などです。

金額は、近親者で1日3,300円が目安になります。

 

◆ 自宅付添費

自宅で療養していても、付き添いが必要であるとして自宅付添費が認められる可能性があります。症状が重く、日常生活で介護が必要なケースです。

自宅付添費の対象になるのは、症状固定までです。症状固定後については、次の将来介護費として請求できます。症状固定については以下の記事をお読みください。

参考記事:症状固定が交通事故賠償において持つ意味

 

◆ 将来介護費

症状固定後も介護が必要な後遺障害が残った場合、将来介護費(将来付添費)が認められます。

金額としては、近親者で1日8,000円、プロの場合は実費が目安になり、基本的には一括で受け取ります。期間が長く額が大きくなるため、特に相手方と争いになりやすいです。

 

以上が付添看護費に関する基礎知識です。相手方が必要性を否定したり、金額を争ってきたりするケースもあります。疑問点や困りごとがある方はご相談ください。

当事務所では、交通事故の初回相談を無料としております。まずはお気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2025.02.12更新

不貞行為とは?

不貞行為が認められるときは、離婚や慰謝料請求ができます。もっとも、「どこからが不貞といえるのか」と疑問に思われる方も多いでしょう。

今回は不貞行為とは何かについて、不倫・浮気との違いにも触れつつ説明します。

 

◆ 不貞行為の意味

不貞行為とは「配偶者以外の者と、自由な意思に基づいて性的関係を結ぶこと」です。すなわち、結婚している人が、配偶者(妻や夫)以外の人と性行為に及べば不貞行為に該当します。結婚していなくても、内縁(事実婚)関係にある人がパートナー以外と性行為に及べば不貞になり得ます。

いくら仲が良くても、肉体関係がない場合には基本的に法律上の不貞行為にはなりません。また、「自由な意思に基づいて」いることが条件なので、性行為を強要された場合も不貞には該当しません。

現実には、本当に肉体関係があったかが問題になります。性行為の場面を直接撮影しているケースは稀であり、ホテルから出てきた際の写真、LINEでのやりとりなど、様々な証拠から肉体関係の有無を証明できるかがポイントです。

不貞の証拠について詳しくは、以下の記事をご覧ください。

参考記事:不倫の証拠になるもの

 

◆ 不倫・浮気との違い

日常的には、不倫や浮気といった言葉を使う場合が多いでしょう。不貞は法律用語ですが、不倫・浮気は法律用語ではありません。不倫や浮気に明確な定義はなく、人によって使い方が異なります。

大まかにいえば、不倫とは、既婚者が配偶者以外の異性と交際することをいいます。性的関係がなくても、手をつないだ、キスをしたなどで不倫にあたると考える方もいるでしょう。浮気も不倫と似た意味ですが、既婚者だけでなく独身の人にも用いられます。

日常的に用いられる不倫・浮気よりも、法律用語である不貞行為の指す範囲は狭いです。たとえ不倫・浮気があっても、法的には問題がない場合があります。

 

◆ 不貞行為に対して法律上できること

不貞行為は法定離婚事由に該当します(民法770条1号)。すなわち、パートナー以外と肉体関係を結んだ配偶者に対しては、離婚を請求できます。ただし、不貞をした側からの離婚請求は基本的に認められません。

なお、性行為に至っていなくても、状況によって「婚姻を継続しがたい重大な事由」があると認められれば離婚は可能です(民法770条5号)。

離婚理由については、以下の記事で解説しています。

参考記事:離婚できる理由は?5つの法定離婚事由

 

また、不貞は民法上の不法行為に該当するため、慰謝料請求もできます。配偶者だけでなく、不倫相手に対しても請求が可能です。不倫相手に請求できるものについて詳しくは、以下の記事をお読みください。

参考記事:不倫相手に請求できるもの

 

なお、肉体関係がなく離婚事由としての不貞は認められなくとも、不法行為には該当して慰謝料を請求できるケースもあります。離婚の場面と慰謝料請求の場面とで、若干範囲が異なるということです。

 

以上が不貞行為に関する基礎知識になります。実際に離婚や慰謝料請求が認められるかはケースバイケースです。ご自身の場合はどうか知りたい方は、ぜひご相談ください。

当事務所では、離婚に関する初回相談を無料としております。不貞・不倫についてお悩みや疑問がある方は、まずはお気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2025.01.27更新

交通事故の治療費

交通事故によるケガの治療費は、相手方に請求できます。実際には、相手方保険会社から病院に直接支払われ、いったん立て替える必要もないケースが多いです。ただし、必ずしも全額を負担してもらえるわけではありません。

今回は、交通事故の治療費についてご説明します。

 

◆ 交通事故の治療費は誰が払う?

交通事故でケガをした際の治療費は、相手方に支払ってもらえます。実務上は、相手方の任意保険会社から病院に直接支払われる場合が多いです。保険会社の案内にしたがって、同意書の提出などの必要な手続きを行ってください。

もっとも、いったん立て替えが必要なケースもあります。たとえば、相手方が任意保険に加入していないケースや、自身の過失が大きいケースです。こうした場合には、相手から回収できない、自己負担額が大きくなるといったリスクがあるため、健康保険の利用も検討するとよいでしょう。

交通事故で使える保険について詳しくは、以下の記事をご覧ください。

参考記事:交通事故で使える保険

 

◆ 治療費として認められる範囲

ケガからの回復のために通常必要な治療であれば、治療費として認められます。もっとも、必要のない治療や過剰になされた治療については、法律上相手方に請求できません。

特に問題になりやすいのが整骨院での施術費です。支払いを拒否されないために、医師の許可を得たうえで通う、病院(整形外科)にも定期的に通うといった点に注意しましょう。詳しくは以下の記事をお読みください。

参考記事:交通事故で整骨院に行くときの注意点

 

◆ いつまで治療費を支払ってもらえる?

相手方に治療費を支払ってもらえるのは、原則として治癒または症状固定までです。症状固定とは、それ以上治療を続けても症状の改善が見込めない状態をいいます。症状固定後に残った後遺症に対する補償は、後遺障害認定を通じてなされます。

問題になるのは、治療による効果が見込めるのに、相手方保険会社から治療費支払いの打ち切りを宣告されるケースです。主治医に治療の必要性を確認したうえで、延長を求める等の対応を検討しなければなりません。詳しくは、次の記事で解説しています。

参考記事:治療費打ち切りを宣告されたときの対処法

 

以上が交通事故の治療費に関する基礎知識です。状況によっては相手方から支払いを拒まれるケースもあるため、お困りであれば弁護士にご相談ください。

当事務所では、交通事故の初回相談を無料としております。治療費について疑問や困りごとがある方は、お気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2025.01.10更新

不倫相手に請求できるもの

夫や妻が不倫(法律上は「不貞行為」と呼ばれます)をしたときには、不倫相手に慰謝料をはじめとする金銭を請求できます。

今回は、不倫相手に請求できるものをご説明します。

 

◆ 慰謝料

まず考えられるのが慰謝料です。慰謝料とは、精神的苦痛に対して支払われる金銭をいいます。不倫による精神的なショックについては、配偶者だけでなく、不倫相手に対しても金銭による賠償を請求できます。

気になる慰謝料相場は、おおむね50~300万円程度です。不倫により夫婦関係が破綻したかどうかが金額を大きく左右します。別居あるいは離婚していないと50~100万円程度であり、別居や離婚にまで至っていれば高額になります。

他には、婚姻期間、不貞行為の回数・期間、未成年の子どもの有無などが金額に影響を及ぼす要素です。

参考記事;離婚慰謝料の相場と金額を決める要素について

 

◆ 慰謝料以外の金銭(調査費用、弁護士費用)

慰謝料がメインになりますが、他の費目で金銭を請求できるケースもあります。

たとえば、探偵や興信所に支払った調査費用です。ただし、調査費用の支払いを受けられる可能性があるのは、「調査を依頼しないと不倫を証明できなかった」といえるケースに限られます。しかも、実際に支払った金額の一部しか認められない場合が多いです。

他には、弁護士費用も請求できます。こちらも全額ではなく、訴訟をして判決まで至った場合に、「弁護士費用以外の損害」の1割が弁護士費用として認められるに過ぎません。損害が300万円と認定されれば、その1割の30万円が弁護士費用として認められるということです。実際に支払った金額には及ばないケースが大半でしょう。

 

◆ 金銭以外を要求できる?

お金以外に、謝罪や配偶者との接触禁止を求めたい方もいるでしょう。しかし、法律上は強制できません。交渉の中で相手に求めていけば、要求を受け入れてもらえる可能性はあります。

 

以上が不倫相手に請求できるものです。慰謝料が基本にはなりますが、交渉や訴訟の結果として、その他の金銭や金銭以外の要求を認めてもらえるケースもあります。そもそも請求できるか、できるとして内容がどうなるかはケースバイケースですので、まずはご相談ください。

当事務所では、離婚の初回相談を無料としております。配偶者に不倫されお悩みの方は、お気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2024.12.25更新

交通事故の時効期間と起算点・延長方法

交通事故による損害賠償請求権には、時効があります。物損については3年、人損については5年を経過すると、時効にかかって権利が消滅し、支払いを受けられなくなるおそれがあります。

今回は、交通事故の時効期間や起算点・延長方法について解説します。

 

◆ 交通事故の時効期間

交通事故により人的・物的損害が生じた場合には、法律上「不法行為に基づく損害賠償請求権」が発生します。しかし、請求権には消滅時効期間の定めがあり、経過すると賠償を受け取れなくなるおそれがあります。

時効期間は請求内容によって異なります。

車の修理代などの物損については、時効期間は3年です(民法724条1号)。

事故によるケガや死亡についての時効期間は5年です(民法724条の2)。かつては物損と同じく3年でしたが、民法改正に伴い2020年4月より5年に延長されました。

通常であれば、交通事故の時効期間は3年か5年です。ただし、物損・人損いずれについても、当て逃げ・ひき逃げで加害者がわからないときは20年となります(民法724条2号)。途中で加害者が判明したときは、そこから3年または5年で時効にかかります。

なお、上記は加害者に対する損害賠償請求権の時効期間です。自賠責保険に対する被害者請求権は3年で時効にかかるので注意してください。

 

◆ 交通事故の時効の起算点

時効を考える際には起算点、すなわち、いつからカウントをスタートするかが重要になります。起算点は請求内容により異なり、一般的には以下の通りです。

・物損                 :事故時(期間は3年)

・傷害分              :事故時(期間は5年)

・後遺傷害分       :症状固定時(期間は5年)

・死亡分              :死亡時(期間は5年)

後遺傷害に関する時効は症状固定時から進行すると考えられていますが、後遺障害の有無や症状固定日が争いになるおそれもあるため、事故日から5年と考えておく方が安全です。

症状固定については、以下の記事をお読みください。

参考記事:症状固定が交通事故賠償において持つ意味

 

◆ 交通事故の時効の延長方法

示談交渉が難航している、治療や後遺障害認定が長引いたなどの理由で時効が迫っているときには、延長する必要があります。延長方法としては以下が挙げられます。

・訴訟を提起する

・催告をする

・相手方に権利の存在を承認してもらう

いずれにしても、権利が消滅しないように対応しなければなりません。

 

以上が交通事故の時効に関する基礎知識になります。

実際には交通事故で時効が問題になるケースはさほど多くないため、慌てて示談する必要はありません。しかし、何らかの理由で解決まで時間を要している場合には注意が必要です。もちろん時効が迫っていなくても早期解決するメリットは大きいので、お早めに弁護士にご相談ください。

当事務所では、交通事故の初回相談を無料としております。まずはお気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2024.12.19更新

子の連れ去りへの対処法

別居中や離婚協議中などに、相手方に子を連れ去られてしまうケースがあります。子を取り返すにはどうすればいいのでしょうか?

今回は、子の連れ去りへの対処法をご紹介します。

 

◆ 子の連れ去りの違法性

「子の連れ去り」といっても、態様は様々考えられます。違法になるかはケースバイケースです。

別居時に子を連れていく行為は、一般的には違法になりづらいです。とりわけ、主に監護していた側が子を連れていくケースや、配偶者による虐待・DVがあったケースでは正当と考えられます。

別居後に相手の元から子を奪うと、違法になる可能性が高まります。特に、保育園に迎えに行って連れ去る行為や、相手から無理やり奪う行為は違法と判断されやすいです。

違法に連れ出す行為は、親権者を決定する際には不利に評価されます。他にも、精神的苦痛に対する慰謝料が発生したり、刑法上の未成年者略取罪が成立したりする可能性があります。

 

◆ 子を連れ去られたときの対処法

子を連れ去られたからといって、実力行使により取り戻してはなりません。強引に取り戻す行為が違法となります。自力で取り戻すのではなく、法的な手続きを利用してください。

考えられる法的手続きはいくつかありますが、連れ去りの場合に一般的なのは「子の引渡し審判」の申立てです。調停も考えられますが、話し合いのため時間を要します。迅速に取り戻すためには審判を申立てましょう。引き渡しが認められたにもかかわらず相手が応じなければ、強制執行が可能です。

また、早期の引き渡しを実現するために、審判とあわせて「審判前の保全処分」も申立ててください。認められれば、仮に子の引き渡しが命じられます。

加えて、「子の監護者指定の審判」も申立てましょう。子の監護者として認められるかは、親権と同様の基準で判断されます。

参考記事:親権の判断基準

他には、人身保護請求や未成年者略取罪での刑事告訴も考えられますが、ハードルは高いです。「子の引渡し審判+審判前の保全処分+監護者指定の審判」が一般的になります。

 

以上が子の連れ去りへの基本的な対処法です。とはいえ、連れ去りが違法になるか、いかなる対処法をとるべきかは、ケースバイケースです。いずれにせよ実力行使はしてはなりません。相手の元に子がいる状態が続くと親権決定の際に不利に働くおそれがあるため、お早めに弁護士にご相談ください。

当事務所では、離婚の初回相談を無料としております。子を連れ去られてお困りの方は、すぐにお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2024.11.20更新

後遺障害診断書とは?

交通事故における後遺障害認定の際に不可欠なのが「後遺障害診断書」です。後遺障害診断書の記載内容によって、認定結果は大きく左右されます。

今回は後遺障害診断書について解説します。そもそも後遺障害とは何かについては、以下の記事をお読みください。

参考記事:後遺障害とは?後遺症との違いは?

 

◆ 後遺障害認定に不可欠な書類

交通事故によって後遺症が残っても、後遺障害認定がおりないと適正な補償を受けられません。後遺障害の認定手続きにおいて必ず提出する書類が「後遺障害診断書」です。

正式名称は「自動車損害賠償責任保険後遺障害診断書」であり、様式が決まっています。書式は保険会社から受け取れますし、ネット上での入手も可能です。歯科用だけ書式が異なるので注意してください。

後遺障害診断書を作成するのは医師です。患者自身はもちろん、整骨院で施術をする柔道整復師でも作成できません。交通事故で整骨院を利用できますが、後遺障害認定を受けるには必ず病院に通院して、医師に後遺障害診断書を作成してもらう必要があります。交通事故で整骨院に行く際の注意点については、以下をお読みください。

参考記事:交通事故で整骨院に行くときの注意点

 

後遺障害認定は原則として書面審査であり、とりわけ後遺障害診断書の記載内容が重視されます。後遺障害の有無や認定される等級によって賠償総額が大きく変動するため、後遺障害診断書は非常に重要な書類です。

後遺障害の認定がおりた際に受け取れる賠償金については、以下の記事を参照してください。

参考記事:後遺障害の認定を受けるメリット

 

◆ 後遺障害診断書の作成時期

後遺障害診断書を作成するのは、症状固定後です。症状固定とは、それ以上治療を続けても症状の改善が見込めない状態をいいます。症状固定時に残った症状が後遺障害の認定対象になります。

症状固定について詳しくは、以下の記事をお読みください。

参考記事:症状固定が交通事故賠償において持つ意味

 

◆ 後遺障害診断書の作成費用

後遺障害診断書の作成費用は病院によって異なります。概ね5000円~1万円程度です。一般的には、後遺障害が認定されると相手方から作成費用が支払われます。

 

◆ 後遺障害診断書の記載内容

後遺障害診断書には、以下の内容が記載されます。

  • 被害者の基本情報(氏名・性別・住所・生年月日・職業など)
  • 受傷日時
  • 症状固定日
  • 入通院期間
  • 傷病名
  • 自覚症状
  • 部位ごとの後遺障害の内容(検査結果)
  • 今後の見通し

特に重要なのが検査結果です。認定に必要な検査がなされていない、記載が漏れているといった問題があると、正しく等級が認定されません。

また、自覚症状の欄も重要です。自覚症状は患者自身でないとわからないので、医師にしっかりと伝えて反映してもらいましょう。

作成してもらったら、他の必要書類とともに提出します。後遺障害認定の流れについては、以下の記事をお読みください。

参考記事:後遺障害認定までの流れ|事前認定と被害者請求の違い

 

以上が後遺障害診断書に関する基礎知識です。重要書類であるにもかかわらず、医師に適切に記載してもらえないケースが少なくありません。医師は後遺障害認定に詳しくない場合が多いため、交通事故に精通した弁護士にご相談ください。

当事務所では、交通事故の初回相談を無料としております。「医師に後遺障害診断書を書いてもらえない」「記載内容が適切かわからない」などとお困りの方は、まずはお気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2024.11.08更新

父親が親権を獲得できるケース

男性の方から「親権を取りたい」とご相談いただくケースがよくあります。現実問題として、父親が親権を取りづらいのは事実です。とはいえ、親権を獲得できるケースもあるので諦める必要はありません。

今回が、父親が親権を獲得できるケースについて解説します。親権の基礎知識を知りたい方は、以下の記事をお読みください。

参考記事:親権とは?内容や監護権との違い

 

◆ 父親が親権を取るのは難しい

離婚時の親権をいずれが得るかは、父母間の話し合いや調停などで決まります。実際には、母が親権を獲得するケースが多いです。裁判所での調停・審判においては、9割以上で母が親権者となっています(参考:令和5年司法統計年報 3家事編p.43|最高裁判所)。

父親が親権を取るのが難しい理由としては、以下が考えられます。

  • 母親の方が子と一緒にいる時間が長い
  • 特に乳幼児の場合、「母性優先」の考えが強い
  • 子が母を希望しやすい

父親の方が収入が多いとしても、養育費でカバーすればいいと考えられてしまい、経済力はさほど重要な要素にはなりません。

親権の判断基準については、以下の記事で詳しく解説しています。

参考記事:親権の判断基準

 

◆ 父親が親権を獲得できるケース

一般的には、父親が親権を得るハードルは高いです。とはいえ、以下のケースでは父親に親権が認められる可能性が高まります。

  • 父親が主に世話をしてきた
  • 母親がDVや育児放棄をしている
  • 母親が精神疾患など心身に深刻な問題を抱えている
  • 子が父の親権獲得を希望している(子が大きい場合)

これらの事情がある場合には、十分に可能性があります。

なお、「母親が不倫したから親権者にふさわしくないですよね」と質問される場合がありますが、不倫の事実は必ずしも親権の判断には直結しません。不倫相手に気をとられて育児放棄をしているようなケースでは考慮されます。

 

◆ 父親が親権を取るためにすべきこと

父親が親権を得られる可能性を上げるためには、以下が効果的です。

  • 「母親は親権者にふさわしくない」と証明するための証拠を集める
  • 養育実績を重ねる
  • 仕事を調整するなどして子といられる時間を確保する
  • 両親・兄弟など親族のサポートを得られる体制を構築する

具体的な方法はケースバイケースです。男性側の離婚に強い弁護士にご相談ください。

 

当事務所では、離婚の初回相談を無料としております。ご依頼いただき、男性の方が親権を獲得できた事例もございます。諦めずに、まずはお気軽にご相談ください。

投稿者: 松村法律事務所