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2024.12.25更新

交通事故の時効期間と起算点・延長方法

交通事故による損害賠償請求権には、時効があります。物損については3年、人損については5年を経過すると、時効にかかって権利が消滅し、支払いを受けられなくなるおそれがあります。

今回は、交通事故の時効期間や起算点・延長方法について解説します。

 

◆ 交通事故の時効期間

交通事故により人的・物的損害が生じた場合には、法律上「不法行為に基づく損害賠償請求権」が発生します。しかし、請求権には消滅時効期間の定めがあり、経過すると賠償を受け取れなくなるおそれがあります。

時効期間は請求内容によって異なります。

車の修理代などの物損については、時効期間は3年です(民法724条1号)。

事故によるケガや死亡についての時効期間は5年です(民法724条の2)。かつては物損と同じく3年でしたが、民法改正に伴い2020年4月より5年に延長されました。

通常であれば、交通事故の時効期間は3年か5年です。ただし、物損・人損いずれについても、当て逃げ・ひき逃げで加害者がわからないときは20年となります(民法724条2号)。途中で加害者が判明したときは、そこから3年または5年で時効にかかります。

なお、上記は加害者に対する損害賠償請求権の時効期間です。自賠責保険に対する被害者請求権は3年で時効にかかるので注意してください。

 

◆ 交通事故の時効の起算点

時効を考える際には起算点、すなわち、いつからカウントをスタートするかが重要になります。起算点は請求内容により異なり、一般的には以下の通りです。

・物損                 :事故時(期間は3年)

・傷害分              :事故時(期間は5年)

・後遺傷害分       :症状固定時(期間は5年)

・死亡分              :死亡時(期間は5年)

後遺傷害に関する時効は症状固定時から進行すると考えられていますが、後遺障害の有無や症状固定日が争いになるおそれもあるため、事故日から5年と考えておく方が安全です。

症状固定については、以下の記事をお読みください。

参考記事:症状固定が交通事故賠償において持つ意味

 

◆ 交通事故の時効の延長方法

示談交渉が難航している、治療や後遺障害認定が長引いたなどの理由で時効が迫っているときには、延長する必要があります。延長方法としては以下が挙げられます。

・訴訟を提起する

・催告をする

・相手方に権利の存在を承認してもらう

いずれにしても、権利が消滅しないように対応しなければなりません。

 

以上が交通事故の時効に関する基礎知識になります。

実際には交通事故で時効が問題になるケースはさほど多くないため、慌てて示談する必要はありません。しかし、何らかの理由で解決まで時間を要している場合には注意が必要です。もちろん時効が迫っていなくても早期解決するメリットは大きいので、お早めに弁護士にご相談ください。

当事務所では、交通事故の初回相談を無料としております。まずはお気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2024.12.19更新

子の連れ去りへの対処法

別居中や離婚協議中などに、相手方に子を連れ去られてしまうケースがあります。子を取り返すにはどうすればいいのでしょうか?

今回は、子の連れ去りへの対処法をご紹介します。

 

◆ 子の連れ去りの違法性

「子の連れ去り」といっても、態様は様々考えられます。違法になるかはケースバイケースです。

別居時に子を連れていく行為は、一般的には違法になりづらいです。とりわけ、主に監護していた側が子を連れていくケースや、配偶者による虐待・DVがあったケースでは正当と考えられます。

別居後に相手の元から子を奪うと、違法になる可能性が高まります。特に、保育園に迎えに行って連れ去る行為や、相手から無理やり奪う行為は違法と判断されやすいです。

違法に連れ出す行為は、親権者を決定する際には不利に評価されます。他にも、精神的苦痛に対する慰謝料が発生したり、刑法上の未成年者略取罪が成立したりする可能性があります。

 

◆ 子を連れ去られたときの対処法

子を連れ去られたからといって、実力行使により取り戻してはなりません。強引に取り戻す行為が違法となります。自力で取り戻すのではなく、法的な手続きを利用してください。

考えられる法的手続きはいくつかありますが、連れ去りの場合に一般的なのは「子の引渡し審判」の申立てです。調停も考えられますが、話し合いのため時間を要します。迅速に取り戻すためには審判を申立てましょう。引き渡しが認められたにもかかわらず相手が応じなければ、強制執行が可能です。

また、早期の引き渡しを実現するために、審判とあわせて「審判前の保全処分」も申立ててください。認められれば、仮に子の引き渡しが命じられます。

加えて、「子の監護者指定の審判」も申立てましょう。子の監護者として認められるかは、親権と同様の基準で判断されます。

参考記事:親権の判断基準

他には、人身保護請求や未成年者略取罪での刑事告訴も考えられますが、ハードルは高いです。「子の引渡し審判+審判前の保全処分+監護者指定の審判」が一般的になります。

 

以上が子の連れ去りへの基本的な対処法です。とはいえ、連れ去りが違法になるか、いかなる対処法をとるべきかは、ケースバイケースです。いずれにせよ実力行使はしてはなりません。相手の元に子がいる状態が続くと親権決定の際に不利に働くおそれがあるため、お早めに弁護士にご相談ください。

当事務所では、離婚の初回相談を無料としております。子を連れ去られてお困りの方は、すぐにお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所