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2023.12.25更新

交通事故の弁護士費用の相場|相手に請求できる?費用倒れを防ぐには?

交通事故で弁護士に依頼すると、賠償金が増額する可能性が高いです。とはいえ、弁護士費用が気になる方も多いでしょう。

今回は、交通事故の弁護士費用について解説します。

 

◆ 交通事故における弁護士費用の相場

弁護士費用は、主に相談料、着手金、成功報酬などに分かれます。費目ごとに相場をご紹介します。

  • 相談料

相談料の相場は、30分で5000円程度です。相談だけで依頼しない場合にも支払いが必要です。

最近では、相談料を無料としている事務所も増えています。当事務所も、初回相談は無料です。時間制限は特に設けていないので、じっくりとお話を伺います。

  • 着手金

着手金は、依頼の際に最初にいただくお金です。結果にかかわらず返金はされません。

事故の大きさにもよりますが、交通事故の場合、着手金の相場は10~20万円程度です。交通事故については「着手金無料」としている事務所もあります。

当事務所でも、保険会社から示談金額の提示を受けているときには着手金を無料としております。

  • 成功報酬

成功報酬は、結果に応じて終了時にいただくお金です。通常は受け取った賠償金から差し引かれます。

交通事故では「獲得した金額」または「増加した金額」の10~20%程度が相場になります。着手金なしの完全成功報酬制の場合には、成功報酬の割合が高くなりやすいです。事務所によって差があるため、依頼の際には十分に確認してください。

  • その他

その他には、実費や日当がかかります。

実費は、交通費、印紙代、郵送代、コピー代など実際に要した費用です。日当は、裁判所や現地調査など事務所外で活動した場合に発生します。

 

◆ 弁護士費用を相手に請求できる?

交通事故で裁判をして勝訴した場合には、相手に弁護士費用を請求できます。実際に弁護士に払った費用ではなく、認められた損害額の10%程度が加算されます。

もっとも、裁判に至らずに示談交渉で解決した場合には、弁護士費用は受け取れません。多くのケースで裁判にはなりませんので、相手に弁護士費用を請求するのは困難です。

 

◆ 相談時に確認すれば費用倒れを防げる

弁護士費用を差し引いて手元に残った金額が、元々受け取れるはずだった金額よりも少なくなるのが「費用倒れ」です。

交通事故の場合には、費用倒れになる心配はほとんどありません。相談の段階で見通しを聞き、費用倒れになりそうな場合には依頼しなければいいのです。

ほとんどの弁護士は、費用倒れになりそうであれば伝えます。過度に費用倒れをおそれる必要はないので、まずはご相談ください。

 

◆ 弁護士費用特約を利用できれば自己負担がゼロになるケースが多い

弁護士費用特約を利用できるケースでは、300万円までの弁護士費用が保険会社から支払われます。

重傷でなければ300万円以内におさまり、自己負担はゼロのケースがほとんどです。費用の心配をせずに依頼できますので、弁護士費用特約がないかを必ず確認しましょう。

参考記事:交通事故での弁護士特約の使い方

 

以上が交通事故の弁護士費用に関する概要です。

弁護士費用は事務所によって異なります。必ず相談の際に確認し、疑問があったら遠慮せず聞くようにしてください。

当事務所では、交通事故の初回相談を無料としております。費用面を含めて見通しをお伝えしますので、交通事故に遭われた方はお気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2023.11.10更新

交通事故で弁護士に依頼するメリット

「弁護士に相談・依頼するのは、なかなかハードルが高い」という方は少なくないでしょう。

ですが、交通事故に遭った方にとっては、弁護士をつけるメリットが大きいです。「思い切って相談してよかった」とのお声もいただきます。

今回は、交通事故で弁護士に依頼する主なメリットを、5つに絞ってご紹介します。

 

◆ メリット①慰謝料を増額できる

弁護士に依頼すれば、慰謝料を増額できる可能性が高いです。

弁護士をつけていないと、相手方の保険会社は「自賠責保険基準」や「任意保険基準」で算定した慰謝料を提示してきます。しかし、弁護士が請求する際に用いる「弁護士基準」と比べると低い金額です。

弁護士が入って、慰謝料が2倍、3倍となるケースは珍しくありません。依頼した多くの方が、慰謝料増額のメリットを享受できます。

 

◆ メリット②適正な後遺障害等級を認定してもらえる

弁護士がついたことで、正しい後遺障害等級の認定を受けられるケースがあります。

保険会社に任せる「事前認定」の手続きでは、資料が不十分で、本来認められるべき等級が認定されない場合が少なくありません。弁護士に申請手続きを任せれば、有利な資料の添付ができ、認定の可能性を高められます。

より上位の等級の後遺障害が認められれば、慰謝料や逸失利益が増額します。

(参考記事)

後遺障害の認定を受けるメリット

後遺障害認定までの流れ|事前認定と被害者請求の違い

 

◆ メリット③治療についてもアドバイス・サポートを受けられる

後遺障害認定のためには、治療の頻度や検査内容も重要になります。

もちろん、治療方針を決めるのは医師です。しかし、医師は後遺障害認定には詳しくない場合が多いです。交通事故に精通した弁護士であれば、後遺障害認定をみすえて、通院頻度、受けるべき検査などをアドバイスできます。

加えて、相手方の保険会社から治療費打ち切りを宣告された場合でも、必要に応じて治療期間延長の交渉が可能です。

弁護士に依頼すれば、示談金の交渉だけでなく、事故直後から治療に関してサポートを受けられます。

 

◆ メリット④正しい過失割合を主張できる

交通事故では、過失割合が争いになるケースも多いです。相手から言われた割合に納得のいかない方も少なくないでしょう。

弁護士は、現地調査や捜査資料の取り寄せなどを通じて、正しい過失割合を主張します。過失割合によって、受け取れる賠償金が大きく変わる場合もあります。

 

◆ メリット⑤相手方とのやりとりを任せられる

相手方保険会社とのやりとりにストレスを抱えている方も多いでしょう。「難しい専門用語を使われた」「こちらの心情に配慮してくれない」といった声をよく耳にします。

弁護士に交渉を任せてしまえば、面倒なやりとりから解放されます。金銭面だけでなく、精神面でも弁護士に依頼するメリットは大きいです。

 

以上が、交通事故で弁護士に依頼するメリットになります。

弁護士費用の心配をされる方も多いですが、当事務所では、状況によっては着手金無料でご依頼いただけます。また、弁護士費用特約が利用できれば、ほとんどのケースで自己負担はゼロです。

(参考記事)

交通事故での弁護士特約の使い方

 

当事務所では、交通事故の初回相談を無料としております。

「提示された示談金が低すぎる」「後遺障害等級は正しいのか」「保険会社とのやりとりがストレス」など、疑問や不満をお持ちの方は、まずはお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2023.10.18更新

治療費打ち切りを宣告されたときの対処法

交通事故に遭われた方から「相手方の保険会社に治療費の支払いを打ち切ると言われた」とよく相談を受けます。

交通事故の治療費は、相手方の任意保険会社から病院に直接支払われ、窓口で自己負担をせずにすむケースが多いです。しかし、打ち切られてしまうと、窓口で支払いをしなければなりません。

今回は、治療費を打ち切られる理由や問題点を踏まえて、対処法を解説します。

 

◆ 治療費を打ち切られる理由

相手方の保険会社が治療費の支払いを打ち切ろうとするのは、自社の支払額を抑えるためです。

治療期間が長くなると、治療費のみならず、入通院慰謝料の額が大きくなります。また、後遺障害が認定されやすくなり、後遺障害慰謝料や逸失利益が発生する可能性もあります。

保険会社も営利企業である以上、支払い額を抑えたいと考えるのはある意味当然です。また、必要のない通院をして賠償金を増額させようとする方もいるため、対策として治療費を打ち切る側面もあるでしょう。

 

◆ 治療費打ち切りにより生じる問題

治療費の支払いを打ち切られてしまうと、必要な治療をやめてしまう問題があります。保険会社から支払いがなくても、治療を続けて構いません。しかし実際には、自己負担になると通院をやめてしまう方も多いです。

身体の問題だけでなく、受け取れる賠償金も減ってしまいます。入通院慰謝料は通院期間によって決まるため、途中で治療をやめると減少します。

より深刻なのは、後遺障害認定の問題です。たとえば、むち打ちで後遺障害が認定されるには、6か月以上の通院が必要とされます。保険会社の治療費打ち切りの宣告にしたがって6か月未満で通院をやめてしまうと、まず認定がおりません。治療を続けていれば認定されるケースであっても、後遺障害慰謝料や逸失利益を受け取れなくなってしまうのです。

 

◆ 治療費打ち切りへの対処法

本来であれば「治療を続けても症状の改善が見込めない状態」である症状固定までは、治療を続けるべきです。

治療費の打ち切りを打診されたら、即答せずに、まずは主治医に治療の継続が必要か相談してください。

「すでに症状固定である」との見解であれば、治療を打ち切り、後遺障害申請をするか、すぐに示談金の交渉に入るかを検討します。

症状固定に至っておらず治療の効果が見込めるようであれば、医師の意見をもとに保険会社に延長の交渉をする方法があります。ひとつのコツとしては、無期限ではなく、期間を区切って延長を求めることです。

それでも治療費を打ち切られるようであれば、健康保険などを利用した治療の継続も可能です。ただし、最終的に相手に支払ってもらえないリスクもある点には注意してください。

 

以上が治療費打ち切りに関する基礎知識になります。

実際には、治療費打ち切りの宣告に対して、ご自身だけで対応するのは困難です。弁護士に依頼して延長の交渉や、その後の後遺障害申請、示談交渉まで任せてしまうのがよいでしょう。

当事務所では、交通事故の初回相談を無料としております。「保険会社に治療費を支払わないと言われた」「今後治療を続けるべきかわからない」といった悩みをお持ちの方は、まずはお気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2023.09.25更新

合意分割と3号分割の違い

以前の記事で、年金分割の概要を紹介しました。

参考記事:年金分割は半分もらえるわけではない!離婚時の年金分割の基礎知識

年金分割とは、離婚に際して婚姻期間中の厚生年金の納付記録を分ける制度です。「合意分割」と「3号分割」の2種類があります。

「2つはどう違うの?」「併用できる?」といった疑問を耳にするので、今回はそれぞれの内容や違いを詳しく解説します。

 

◆合意分割とは?

合意分割は、夫婦で合意したうえでする年金分割です。主に共働きの場合に利用されます。

納付記録をいかなる割合で按分するかを、夫婦間の話し合いで決めなければなりません。2人の話し合いでまとまらなければ、家庭裁判所の調停や審判で決めます。実際には、按分割合は「0.5」、すなわち半分ずつとするケースがほとんどです。

婚姻期間中のすべての納付記録が合意分割の対象になります。合意内容を元に、離婚後2年以内に請求手続きをしなければなりません。

 

◆3号分割とは?

3号分割は、夫婦の一方が3号被保険者であったケースで、合意なしで年金分割できる方法です。

3号被保険者とは、公務員や会社員である配偶者の扶養に入っている人をいいます。専業主婦が典型例です。パートで収入があっても、扶養の範囲内であれば該当します。

2008年4月1日以降に3号被保険者であった場合には、3号分割の対象となります。分割割合は必ず2分の1であり、夫婦間での話し合いは不要です。ただし、自動的に分割されるわけではありません。離婚後2年以内の請求手続きは不可欠です。

 

◆合意分割と3号分割の違い

両者の違いをまとめると、以下の表の通りです。

 

◆合意分割と3号分割は併用できる?

両者は併用可能です。

そもそも、3号分割の対象になるのは、2008年4月以降の期間に限られます。専業主婦であっても、2008年4月よりも前の期間については合意分割が必要です。2008年3月以前に

婚姻し結婚生活が長い夫婦では、両者を併用します。

他にも、出産のために一時的に仕事を辞めて3号被保険者となり、子育てが一段落してから再就職して厚生年金に加入したケースでは、合意分割も必要です。

簡単にいえば「2008年4月以降に結婚し、ずっと扶養されていた」方は3号分割だけで済みます。それ以外の方は、合意分割も必要です。

もっとも、合意分割の請求をすれば、3号分割の対象期間については自動的に3号分割が請求されたとみなされます。したがって、分けて請求する必要はありません。

 

以上が合意分割と3号分割の概要です。「自分がどちらに該当するかわからない」「相手が合意分割に応じてくれない」といった方は、弁護士にご相談ください。

当事務所では、離婚の初回相談を無料としております。年金分割に限らず、離婚全般に関してお悩みの方は、お気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2023.09.11更新

症状固定が交通事故賠償において持つ意味

交通事故に遭われた方から「保険会社に症状固定と言われたが、どういう意味なの?」と聞かれる場合があります。

症状固定は、交通事故の賠償請求において重大な意味を持ちます。

 

◆症状固定とは?

症状固定とは、治療を続けても症状の改善が見込めない状態です。

交通事故のケガに対して治療をすると、当初は症状の改善が進みます。そのまま事故前の状態に戻り、治癒する場合もあります。

もっとも、完全には事故前の状態に戻らないケースも少なくありません。その場合、症状が改善しなくなり一進一退となった時点で「症状固定」とされます。

 

◆症状固定の持つ意味①治療費が打ち切られる

症状固定と判断されると、相手方が治療費を支払う義務がなくなります。症状固定後は治療の効果が見込めなくなるためです。

それまで任意保険会社から治療費が支払われていたとしても、打ち切られてしまいます。治療を続けても構いませんが、自己負担となります。負担額を抑えるために、健康保険の利用が可能です。

 

◆症状固定の持つ意味②休業損害が支払われなくなる

症状固定となると、休業損害も支払われなくなります。

症状固定後もケガの影響で働けない場合は「逸失利益」という費目で請求が可能です。もっとも、逸失利益を請求するには、後遺障害の認定を受けなければなりません。

後遺障害の認定対象になるのは、症状固定時に残っていた症状です。後遺障害申請をしないときには、示談交渉に進みます。

 

(参考記事)

後遺障害とは?後遺症との違いは?

後遺障害の認定を受けるメリット

後遺障害認定までの流れ|事前認定と被害者請求の違い

 

◆症状固定の持つ意味③入通院慰謝料の対象期間が決まる

症状固定日は、入通院慰謝料の対象期間を定める意味もあります。入通院慰謝料の金額は、事故から症状固定日までの入通院した期間によって決定されます。

症状固定後の精神的苦痛に対しては「後遺障害慰謝料」の請求が可能です。逸失利益と同様に、後遺障害等級の認定を受けなければなりません。

 

以上の通り、症状固定は交通事故の損害賠償請求において重大な意味を持ちます。

症状固定の時期を決めるのは、基本的には主治医です。保険会社が症状固定時期を伝えてきたときには、まず医師に確認してください。保険会社は、支払い金額を抑えるために、早めに症状固定にしたいと考えている可能性があります。

 

いずれにしても、症状固定は交通事故において大きな節目です。症状固定の時期、保険会社とのやりとり、後遺障害請求などについてお悩みの方は、弁護士にご相談ください。

当事務所では、交通事故の初回相談を無料としております。まずはお気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2023.08.08更新

交通事故で整骨院に行くときの注意点

交通事故に遭われた直後の方に「整骨院(接骨院)に行ってもいいのか?」と聞かれる場合があります。

交通事故の治療は、整形外科で受けるのが原則です。とはいえ、病院の診察時間に通院するのが難しい方や、自宅近くに整形外科がない方にとっては、整骨院の方が通いやすいでしょう。

病院に頻繁に行くのが難しい場合には、整骨院で施術を受けても構いません。

ただし、以下の点には注意してください。

 

◆事故直後は整形外科に行く

最初から整骨院に通うのは避けてください。

事故直後はケガの状態を詳しく調べ、的確な治療方針を決める必要があります。整骨院では十分な検査はできません。まずは病院に行き、正確な診断を受けるのが重要です。

検査の結果、思わぬケガが発覚するケースも少なくありません。ご自身で勝手に「大したケガではないから整骨院でいいや」と判断しないでください。

 

◆医師の許可を得る

整骨院への通院を希望するときには、医師の許可を得るのが望ましいです。

原則として、交通事故の治療は整形外科で行われます。整骨院で治療するには、必要性などが認められなければなりません。必要性がないのに整骨院に通うと、治療費の賠償を受けられないおそれがあります。

整骨院での治療の必要性は、医師の許可があれば認められやすいです。実際に整骨院に行く前に、通院を希望する旨を医師に伝えてください。

 

◆保険会社にも連絡する

医師に承諾を得たら、相手方の保険会社にも整骨院に通う旨を連絡しましょう。

保険会社に必要性を否定され、整骨院での治療費を支払ってもらえないケースがたびたびあります。後からトラブルが生じないように、事前に伝えておくのがよいでしょう。

 

◆病院にも定期的に通う

整骨院だけでなく、病院にも定期的に通ってください。

病院で診察を受けて治療の必要性を判断してもらわないと、整骨院の施術費を支払ってもらえないリスクがあります。

また、最終的に後遺障害の認定を求める場合には、継続的に医師に診てもらい、後遺障害診断書を書いてもらう必要があります。整骨院では診断書を作成してもらえません。

最低でも月に1回は病院に通院するようにしてください。

 

以上が、交通事故で整骨院に通う際の注意点になります。どうしても整骨院で治療を受けたいときには、段階を踏んで慎重に進めましょう。

当事務所では、交通事故の初回相談を無料としております。「整骨院に通っていいかわからない」「相手方に施術費を支払ってもらえない」といった悩みを抱えている方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2023.07.10更新

通院交通費はどこまで認められる?タクシーは利用可能?

交通事故でケガを負われた方が病院に通った際の通院交通費は、事故がなければ生じなかった費用であるため、損害として相手方に請求が可能です。

通院交通費に関して、以下の質問を受けることがあります。

  • タクシーは使っていいの?
  • 自家用車を利用したときはどうなる?
  • 付き添いした家族の交通費は払ってもらえる?

 

そこで今回は、交通事故の通院交通費に関してご紹介します。

 

◆公共交通機関を利用したとき

電車・バスといった公共交通機関で通院したときには、通常は問題なく交通費を支払ってもらえます。「通院交通費明細書」に利用区間・金額など必要事項を記載して、保険会社に提出してください。公共交通機関であれば金額は一律であるため、領収書の添付は不要です。

ただし、実際に負担した分しか賠償してもらえません。会社から通院したときには、会社から病院までのルートでかかった交通費が対象になります。

 

◆自家用車を利用したとき

公共交通機関が不便な地域では、自家用車で通院する場合も多いでしょう。自家用車での通院の場合には、ガソリン代などを請求できます。ガソリン代は実費ではなく、通常は1kmあたり15円で計算した金額が賠償されます。

高速料金や駐車料金もかかっていれば、別途請求が可能です。領収書の添付が必要になるので、捨てずに残しておいてください。

 

◆タクシーを利用したとき

ケガの状況によっては、通院にタクシーを利用される方もいらっしゃいます。しかし、タクシー料金の請求が認められるのは、必要性が認められるケースに限られます。

ケガによって歩行が困難であった、公共交通機関が著しく不便であるなど、タクシーを利用せざるを得ない状況でないと、支払ってもらえません。

タクシー利用については争いになりやすいため、希望するときには事前に保険会社に確認をとるのが望ましいです。認められた場合でも、請求する際には領収書が必要になります。

なお、事故の影響で公共交通機関による通勤が困難になったときには、タクシーで通勤した分についても支払いを受けられる可能性があります。

 

◆家族が付き添いしたとき

家族などが通院に付き添った場合についても、必要性が認められれば付き添いに要した交通費の賠償を受けられます。たとえば、被害者が幼い子どもや高齢者である場合や、ケガが重い場合です。

ただし、付添費が支払われているときには、別途交通費が支払われないケースもあります。

 

以上が通勤交通費の概要です。

たしかに、通院交通費は交通事故におけるメインの損害ではありません。しかし、ときに高額になり、支払いをめぐって相手方と争いになるケースも想定されます。

当事務所では、交通事故の初回相談を無料としております。通院交通費に限らず、疑問点やお困りの点がある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2023.06.12更新

後遺障害の異議申し立て

交通事故によるケガについて後遺障害申請をしても、思ったより低い等級にされたり、非該当とされたりするケースがよくあります。

原因としては、

  • そもそも認定される症状がなかった
  • 後遺障害診断書の記載内容が不適切だった
  • 必要な検査をしていなかった
  • 資料が足りなかった

などが考えられます。

「後遺障害の認定結果に納得がいかない」という方が取り得る手段として最も一般的なのが「異議申立て」です。

 

 

◆異議申立ての方法

異議申立てとは、後遺障害の認定結果について、審査した「損害保険料率算出機構」に対して再審査を求めることです。

異議申立てをするには「異議申立書」を作成します。決まった書式はなく、保険会社から送られてきた書式を利用しても構いません。異議申立書には、認定されるべき等級やその理由などを記載してください。

申請方法としては、相手方の任意保険会社に提出する「事前認定」と、自賠責保険会社に提出する「被害者請求」があります。初回の申請が事前認定でも、異議申立てを被害者請求で行うことが可能です。

 

◆異議申立ての成功率は低い

異議申立ては何度でも可能です。しかし、成功率は低くなっています。理由が不十分なのに申立てをしても、結果は覆りません。

成功率を上げるためのポイントとしては、以下が挙げられます。

  • 認定されなかった理由を分析する
  • 新たな資料を用意する

新たな資料とは、医師の意見書や、事故状況を示す書類などです。結果を覆すには、認定を後押しする新たな資料が不可欠といえます。

 

◆異議申立てが認められなかったら?

異議申立てをしても認められなかった場合には「紛争処理申請」という方法があります。紛争処理申請は「自賠責保険・共済紛争処理機構」という第三者機関に対して行います。異議申立てと異なり1度しかできないため、入念に準備してください。

紛争処理申請でも納得のいく結果を得られなければ、最終手段として裁判所への訴訟提起が考えられます。訴訟はハードルが高く時間を要するケースが多いため、自力で進めるのは困難です。

 

 

後遺障害の認定結果に納得がいかなかった場合には、弁護士への相談をオススメします。

異議申立てが認められるには新たな資料が必要となりますが、法律に詳しくない方がご自身で用意するのは難しいです。また、そもそも認定が難しい場合には、早期解決のために、異議申立てをせずに示談交渉に進むのが得策といえます。

当事務所では、交通事故の初回相談を無料としています。後遺障害の認定結果に納得がいかず、異議申立てをすべきか迷っている方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2023.04.11更新

後遺障害の認定確率

交通事故に遭われた方から、よく「後遺障害は認定されそうですか」とご相談を受けます。

以下の参考記事でも紹介した通り、後遺障害が認定されると「後遺障害慰謝料」と「逸失利益」を受け取れるため、認定の有無や等級は重要になります。

参考記事:後遺障害の認定を受けるメリット

 

もっとも、後遺障害の認定確率は決して高くありません。

今回は、後遺障害の認定確率に加えて、認定されない理由や対処法を解説します。

 

 

◆後遺障害の認定確率は低い

後遺障害の認定確率は、一般的に非常に低いです。

2020年度のデータによると、自賠責保険の支払件数が89万8407件であるのに対し、何らかの後遺障害が認められたのは4万9267件に過ぎません(参考:2021年度自動車保険の概況|損害保険料率算出機構)。

支払件数には後遺障害申請をしていない事案もあるため正確な値ではないものの、認定確率は約5.5%です。例年おおむね5%程度で推移しており、後遺障害の認定確率は低いといえるでしょう。

 

 

◆後遺障害が認定されない理由

認定されるべき症状があるのに認定されなかった理由は、様々考えられます。

  • 後遺障害診断書の記載に不備があった
  • 認定に必要な検査をしていなかった
  • 治療期間、日数が不十分だった
  • 症状に一貫性がなかった

原因を特定するには専門知識が不可欠であるため、交通事故に精通した弁護士に相談してみるとよいでしょう。

そもそも「事故前の状態に戻っていないのになぜ後遺障害と認められないのか」と疑問をお持ちの方は、以下の記事をご参照ください。

参考記事:後遺障害とは?後遺症との違いは?

 

 

◆後遺障害が認定されなかったときの対処法

認定を受けられるはずの症状なのに非該当、あるいは想定より低い等級であった場合には、主に以下の対処法が考えられます。

  • 異議申立てをする
  • 紛争処理申請をする
  • 訴訟を提起する

まずは審査機関に異議申立てをして、結果が変わらないときに他の方法を検討するのが一般的です。いずれの方法をとるにせよ、結果を覆すだけの説得力のある証拠を揃えなければなりません。

 

 

後遺障害の認定確率は低く、等級を認めてもらうハードルは高いです。「認定を受けられるか知りたい」「非該当になったのはおかしい」などとお悩みであれば、弁護士にご相談ください。

当事務所では、交通事故の初回相談を無料としております。認定の見通しはもちろん、後遺障害以外の点もアドバイスが可能です。ぜひお気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2023.03.10更新

後遺障害認定までの流れ|事前認定と被害者請求の違い

交通事故でケガを負った方にとって、大きなポイントになるのが後遺障害の認定手続きです。

後遺障害が認定されるまでの流れは、おおむね以下の通りになります。

 

①症状固定

ケガの治療を続けていると、やがて「症状固定」という状態を迎えます。症状固定とは、治療を続けても症状の改善が望めない状態です。後遺障害認定は、症状固定時に残った症状を対象としてなされます。

注意して欲しいのが、相手方保険会社が一方的に「症状固定による治療費打ち切り」を宣告してきたケースです。症状固定でないのに治療をやめると、後遺障害認定が遠のく可能性があります。疑問があれば、まずは本当に症状固定といえるかを主治医に確認すべきです。

 

②後遺障害診断書作成

後遺障害申請をする際には「後遺障害診断書」の提出が必要です。後遺障害診断書は医師が作成する書類で、症状や検査結果などが記載されます。書式を保険会社から入手し、医師に作成をお願いしてください。

後遺障害診断書の内容は認定を左右しますので、間違いなく記載してもらうのが重要です。

 

③申請手続き

申請手続きには「事前認定」と「被害者請求」の2つの方法があります。

 

事前認定

事前認定とは、相手方の保険会社に手続きを任せる方法です。

後遺障害診断書を提出するだけでよく、他の手続きは保険会社に任せられるため、簡単な方法といえます。

もっとも、相手方の保険会社は一般的に等級獲得に積極的ではありません。被害者に有利な資料が提出されず、結果として、本来認められるべき等級が認定されない可能性もあります。

 

被害者請求

被害者請求とは、すべての手続きを被害者自身で行う方法です。

必要書類の収集と申請を自分で行うため、手間がかかります。

メリットは、提出書類を自分で決められる点です。プラスになる資料を提出できれば、等級認定の可能性を上げられます。

 

④結果の通知

申請がなされると、自賠責保険の調査機関により審査され、結果が通知されます。症状にもよりますが、数ヶ月で届くのが通常です。

結果を受け入れる場合には、そのまま示談金の交渉に進みます。納得がいかないときは「異議申立て」などの不服申立て手続きも可能です。最終的に訴訟まで争われるケースもあります。

 

以上が後遺障害認定までの流れです。

後遺障害認定についてお悩みの方は、弁護士にご相談ください。

弁護士は

□ 不当な治療費打ち切りへの対応

□ 後遺障害診断書の内容チェック

□ 被害者請求の代行

などでお役に立てます。

後遺障害認定には専門的な知識が必要であり、ご自身で対応するのは難しい側面があります。賠償総額に大きく関わるため、弁護士が関与するメリットは大きいです。

当事務所では、交通事故の初回相談を無料としております。後遺障害の認定手続きはもちろん、相手方とのやりとりなどに悩みをお持ちの方は、お気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所