交通事故 離婚 不貞 不倫 慰謝料 財産分与のことを種々記載しております。

2024.11.20更新

後遺障害診断書とは?

交通事故における後遺障害認定の際に不可欠なのが「後遺障害診断書」です。後遺障害診断書の記載内容によって、認定結果は大きく左右されます。

今回は後遺障害診断書について解説します。そもそも後遺障害とは何かについては、以下の記事をお読みください。

参考記事:後遺障害とは?後遺症との違いは?

 

◆ 後遺障害認定に不可欠な書類

交通事故によって後遺症が残っても、後遺障害認定がおりないと適正な補償を受けられません。後遺障害の認定手続きにおいて必ず提出する書類が「後遺障害診断書」です。

正式名称は「自動車損害賠償責任保険後遺障害診断書」であり、様式が決まっています。書式は保険会社から受け取れますし、ネット上での入手も可能です。歯科用だけ書式が異なるので注意してください。

後遺障害診断書を作成するのは医師です。患者自身はもちろん、整骨院で施術をする柔道整復師でも作成できません。交通事故で整骨院を利用できますが、後遺障害認定を受けるには必ず病院に通院して、医師に後遺障害診断書を作成してもらう必要があります。交通事故で整骨院に行く際の注意点については、以下をお読みください。

参考記事:交通事故で整骨院に行くときの注意点

 

後遺障害認定は原則として書面審査であり、とりわけ後遺障害診断書の記載内容が重視されます。後遺障害の有無や認定される等級によって賠償総額が大きく変動するため、後遺障害診断書は非常に重要な書類です。

後遺障害の認定がおりた際に受け取れる賠償金については、以下の記事を参照してください。

参考記事:後遺障害の認定を受けるメリット

 

◆ 後遺障害診断書の作成時期

後遺障害診断書を作成するのは、症状固定後です。症状固定とは、それ以上治療を続けても症状の改善が見込めない状態をいいます。症状固定時に残った症状が後遺障害の認定対象になります。

症状固定について詳しくは、以下の記事をお読みください。

参考記事:症状固定が交通事故賠償において持つ意味

 

◆ 後遺障害診断書の作成費用

後遺障害診断書の作成費用は病院によって異なります。概ね5000円~1万円程度です。一般的には、後遺障害が認定されると相手方から作成費用が支払われます。

 

◆ 後遺障害診断書の記載内容

後遺障害診断書には、以下の内容が記載されます。

  • 被害者の基本情報(氏名・性別・住所・生年月日・職業など)
  • 受傷日時
  • 症状固定日
  • 入通院期間
  • 傷病名
  • 自覚症状
  • 部位ごとの後遺障害の内容(検査結果)
  • 今後の見通し

特に重要なのが検査結果です。認定に必要な検査がなされていない、記載が漏れているといった問題があると、正しく等級が認定されません。

また、自覚症状の欄も重要です。自覚症状は患者自身でないとわからないので、医師にしっかりと伝えて反映してもらいましょう。

作成してもらったら、他の必要書類とともに提出します。後遺障害認定の流れについては、以下の記事をお読みください。

参考記事:後遺障害認定までの流れ|事前認定と被害者請求の違い

 

以上が後遺障害診断書に関する基礎知識です。重要書類であるにもかかわらず、医師に適切に記載してもらえないケースが少なくありません。医師は後遺障害認定に詳しくない場合が多いため、交通事故に精通した弁護士にご相談ください。

当事務所では、交通事故の初回相談を無料としております。「医師に後遺障害診断書を書いてもらえない」「記載内容が適切かわからない」などとお困りの方は、まずはお気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2024.10.23更新

交通事故証明書とは?利用場面や取得方法

交通事故に遭ったことを公的に証明する書類が「交通事故証明書」です。事故の概要が記載されており、保険金請求の際に使われます。一般には馴染みが薄い書類かもしれません。

今回は交通事故証明書についてご説明します。

 

 

◆ 交通事故証明書とは?

交通事故証明書とは、交通事故が発生したことを公的に証明する書類です。「自動車安全運転センター」という機関が発行しています。

主な記載事項は以下の通りです。

  • 事故の発生日時・場所
  • 当事者の氏名・住所・生年月日
  • 車両の情報
  • 事故類型(例:「正面衝突」「追突」)
  • 人身事故か物件事故(物損事故)か

あくまで事故があったことを証明する書類であり、詳細な事故状況や過失割合は記載されていません。

 

◆ 交通事故証明書を利用する場面

交通事故証明書は、自賠責保険や任意保険に保険金を請求する際に必要です。他に、裁判所に訴訟を提起する際にも提出します。実況見分調書などの刑事記録を取り寄せるときにも、記載された情報を利用します。

いずれにせよ、交通事故で何らかの請求をする際には不可欠といえる書類です。ただし、警察に事故を届け出ていないと発行されません。事故に遭った際には、必ず警察に通報してください。

 

◆ 交通事故証明書のもらい方

交通事故証明書は、保険会社が取得してくれるのが通常です。とはいえ、任意保険に加入していなかったなど、自分で取り寄せるケースもあります。

取得方法は以下の3つです(参考:申請方法|自動車安全運転センター)。

  • 自動車安全運転センターの窓口

各地に所在する自動車安全センターの窓口で、必要事項を記載して申請できます。同一都道府県であれば原則として即日交付であり、最速で入手できる方法です。

  • ゆうちょ銀行・郵便局

ゆうちょ銀行・郵便局で手数料を支払って申請することも可能です。申込用紙は警察署・交番で入手できます。郵送で手元に届くまで10日程度要します。

  • インターネット

インターネットでも申請できます。申請できるのは本人に限られ、発生時に警察に届け出た住所と現住所が同じでなければなりません。書面が届くまで郵送で10日程度かかります。

 

 

以上が交通事故証明書の概要になります。あまり自分で申請するケースは多くありませんが、交通事故においては必須の書類です。警察への申告が前提になりますので、事故に遭った際は必ず通報してください。

当事務所では、交通事故に関する初回相談を無料としております。保険金請求などでお悩みの方は、まずはお気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2024.09.24更新

交通事故で使える保険

交通事故では、様々な保険を利用できる可能性があります。使い方によってご自身に有利になる場合もあるため、保険の知識は思いのほか重要です。

今回は交通事故で使える保険の種類、各保険の概要をご紹介します。

 

◆ 自賠責保険

まず知っておきたいのが自賠責保険です。自賠責保険への加入は、すべての自動車に義務付けられています。事故に遭った場合、相手方が加入している自賠責保険から支払いを受けられます。

限度額は次の通りです。

・死亡                 :3000万円

・後遺障害          :75万円~4000万円(等級による)

・傷害                 :120万円

強制保険であるため、補償内容は最低限です。対人のみの補償であり、物損は対象ではありません。自賠責保険でカバーできない損害については、他の保険を利用します。

 

◆ 任意保険

自賠責保険でまかなえない損害をカバーするために加入するのが任意保険です。

相手方が加入している任意保険の「対人責任賠償保険」や「対物賠償責任保険」から、自賠責の対象外となる損害について補償を受けられます。

また、自分が加入している任意保険から支払いを受けるとよい場合もあります。一般的な保険内容は以下の通りです。

 

・人身傷害保険

過失にかかわらず、死亡・ケガにより生じた損害に応じた金額を補償

・搭乗者傷害保険

死亡・ケガに対して定額で支払われる見舞金

・無保険車傷害保険

保険に加入していない車との事故やひき逃げ事故による死亡・後遺障害への補償

・車両保険

自分の車の損害に対する補償

・弁護士費用特約

弁護士の相談料、依頼費用を負担

 

これらのうち、よく利用されるのは人身傷害保険や弁護士費用特約です。

(参考記事)

交通事故での弁護士特約の使い方

弁護士特約のメリット・デメリット

弁護士特約が使えないケース|使えないときの対処法も解説

 

◆ 健康保険

交通事故でも健康保険が使えます。

健康保険を利用するメリットとしては、過失があるときに自己負担額を抑えられる、上限がある自賠責保険において治療費を圧縮できるといった点が挙げられます。

病院によっては「交通事故に健康保険は使えない」と言われる場合もあるようです。しかし、実際には「第三者行為による傷病届」を提出すれば健康保険を利用できます。

なお、次に紹介する労災保険の対象となる場合は、健康保険は使えません。

 

◆ 労災保険

業務中あるいは通勤中の事故については、労災保険が利用できます。

自賠責保険も使えるときは、通達では自賠責保険から先行して利用するものとされていますが、実際には労災保険から利用しても構いません。

慰謝料など、労災保険では補償されない部分もあります。しかし、過失に関係なく支払いを受けられる、治療費の上限がないといったメリットが存在します。うまく活用すれば利用価値が高いです。

 

 

以上が交通事故で使える保険の種類と概要になります。

状況によって各保険を効果的に活用すると、最大限の補償を受けられます。とはいえ、相手方が親切に教えてくれるわけではありません。弁護士にアドバイスを受けるのがオススメです。

当事務所では、交通事故の初回相談を無料としております。保険をどのように使えば有利かを知りたい方は、まずはお気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2024.08.09更新

休業損害の計算方法

休業損害の計算方法は、基本的には「1日あたりの収入×休業日数」です。ただし職業ごとに注意すべき点があります。

今回は、休業損害の計算方法を職業別にご紹介します。

 

◆ 給与所得者(会社員・アルバイトなど)

通常は「事故前3か月の給与総額÷90日×休業日数」で算出されます。給与総額は手取りではなく、税・社会保険料が控除される前の金額です。暦上の日数(90日)ではなく、実際に稼働した日数を用いて計算する場合もあります。

休業日数に含まれるのは、入通院のために仕事ができなかった日です。有給を取得した日についても休業損害が認められます。休業日数は、勤務先が作成する休業損害証明書で証明します。

 

◆ 会社役員

会社役員の報酬には、利益の配当という性質があります。利益配当分は事故の影響で実際に働いていないとしても支払われるため、休業損害は発生しません。

そこで、報酬全体のうち労働の対価といえる部分がどれほどかを検討して、1日あたりの収入を算出する必要があります。

 

◆ 自営業者

自営業者は、一般的に「事故前年の確定申告書の所得額÷365日×休業日数」で算出します。

休業により発生しなかった経費は、損害には含まれません。ただし、休業していても生じる固定費(家賃、損害保険料、従業員への給与など)については損害として認められます。

 

◆ 主婦・主夫

主婦・主夫で収入がなくても、事故の影響で家事労働ができなくなっていれば休業損害を請求できます。

計算のもとになる基礎収入としては、女性の平均賃金が利用されます。男性(主夫)であっても女性の平均賃金を365日で割って1日あたりの収入を計算するのが一般的です。兼業主婦・主夫の場合には、実際の収入と女性の平均賃金のうち高い方を基準にします。

事故直後は家事が一切できなかった(100%休業)としても、回復するにつれてできる範囲が広がっていくため、時期に応じて休業割合を減らしていく計算方法をとる場合もあります。たとえば「最初の30日は100%、次の60日は70%、それ以降は50%」といった具合です。

 

◆ 無職

無職の場合には、基本的には休業損害は発生しません。

既に内定が出ていたときには、内定先の予定給与額から1日あたりの収入を計算して請求できます。内定がなくても、就職活動をしていて就労する蓋然性が高いと認められれば請求が可能です。

 

◆ 学生

学生でもアルバイトをしていれば、給与所得者として休業損害を計算できます。

卒業前で内定が出ていたときには、内定先の給与から1日あたりの収入を計算します。事故の影響で留年して卒業が遅れたときにも、年齢別の平均賃金をもとに請求が可能です。

 

 

以上が職業別の休業損害の計算方法です。会社員であれば比較的わかりやすいですが、自営業者など、算定自体が難しく相手方と争いになるケースもあります。

当事務所では、交通事故の初回相談を無料としております。休業損害の計算方法がわからない方や、相手方の提示額に疑問がある方は、まずはお気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2024.07.24更新

交通事故の休業損害とは?

交通事故によるケガの影響で仕事ができなかったときには、休業損害を受け取れます。今回は、休業損害とは何か、誰が受け取れるのか、いつまでもらえるのかをご紹介します。

 

◆ 休業損害とは?

休業損害とは、交通事故によるケガが原因で減少した収入をいいます。事故によるケガで治療が必要になり仕事を休まざるを得なくなると、本来は得られるはずであった収入が得られなくなります。休業損害は、得られなかった収入を補償するためのものです。

大まかにいうと、1日あたりの収入に休業した日数を掛け合わせて算出した金額を、相手方に請求できます。

似た言葉に「休業補償」がありますが、これは労災によって生じた休業に対して支払われるものです。交通事故では休業損害という用語を用います。

 

◆ 休業損害は誰がもらえる?

多くの人が休業損害を受け取れます。

給与所得者(会社員や公務員)であれば、受け取れるはずの収入額はわかりやすいです。もちろん休業損害を受け取れます。

事業所得者(自営業・個人事業主)の方についても、売り上げの減少が発生すれば休業損害の対象です。ただし仕事ができないために減少した分の経費については差し引かれます。

収入がない主婦・主夫についても、家事労働ができなくなっていれば、女性の平均賃金を基準として休業損害を請求できます。仕事をしている兼業主婦・主夫は、実際の収入額と女性の平均賃金の高い方で請求が可能です。

学生であっても、アルバイトで収入があれば、会社員と同様に扱われます。事故の影響で就職が遅れたときにも対象です。

無職であれば、収入がない以上は基本的に受け取れません。内定が出ていたなど、近いうちに働くのが確実であったケースでは請求が可能です。

 

◆ 休業損害はいつまでもらえる?

休業損害の対象になるのは、治癒もしくは症状固定までです。

ケガが完全に治癒したときには、その後は問題なく働けるはずであり、休業損害は発生しません。

症状固定とは、それ以上治療を続けても症状の改善が見込めない状態です。症状固定後には休業損害は受け取れません。症状固定後に労働に制限があるときは、後遺障害認定を受ければ「逸失利益」として補償を受けられます。

症状固定や逸失利益については、以下の記事を参考にしてください。

症状固定が交通事故賠償において持つ意味

後遺障害による逸失利益の計算方法

 

 

以上が休業損害に関する基礎知識になります。職種ごとの計算方法については今後改めて詳しく解説します。

当事務所では、交通事故の初回相談を無料としております。休業損害について疑問や困りごとがある方は、まずはお気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2024.06.28更新

交通事故で死亡した際の葬儀費用

交通事故で亡くなった場合、死亡慰謝料や死亡逸失利益のほかに、葬儀費用も相手方に請求できます。

今回は、交通事故の葬儀費用について解説します。死亡慰謝料や死亡逸失利益については、以下の記事を参照してください。

交通事故の死亡慰謝料の相場

死亡逸失利益とは?計算方法を解説

 

◆ 死亡事故で葬儀費用は賠償の対象になる?

かつては「人は遅かれ早かれ亡くなるから、葬儀費用は事故と関係なくいずれ支払うものだ」との理由で、死亡事故における葬儀費用は賠償の対象外だとする考えもありました。

しかし、判例上は葬儀費用も賠償対象になると認められています。葬儀費用の支払いを受けられる点に問題はありません。

 

◆ 葬儀費用に含まれる範囲

葬儀そのものだけでなく、関係する費用の一部も「葬儀関係費用」として補償の対象です。

葬儀関係費用に含まれるものとしては、たとえば以下が挙げられます。

・葬儀そのものにかかる費用

・火葬費用

・読経代、戒名代、お布施

・法要にかかる費用(四十九日まで)

・墓碑建設費用

・仏壇・仏具購入費用

ただし、葬儀関係費用の範囲は明確でない部分もあります。墓碑建設費用、仏壇・仏具購入費用、遺体処置・搬送費用などについて、葬儀関係費用とは別に損害として認められたケースも存在します。

いずれにしても、領収書等をとっておき、支出を証明できるようにしておくのが重要です。

なお、受け取った香典の金額を差し引く必要はありません。その反面、香典返しの費用は損害には含まれないとされています。

 

◆ 交通事故で賠償される葬儀費用の金額

支出した金額が大きいからといって、全額を支払ってもらえるわけではありません。

実際に葬儀関係費用として支払ってもらえる金額は、自賠責基準では100万円です。任意保険会社が提示するのも100万円に近い金額となります。

対して、弁護士基準では150万円です(赤い本の場合)。上限が150万円であり、下回る場合は実際に支出した金額となります。

基本的には、150万円を超える部分については請求できません。ただし、社会的地位が高い、若年であるといった理由で葬儀が大規模になるのが妥当だと考えられ、150万円を超える金額が認められたケースは存在します。あくまで例外ですので、原則として弁護士に依頼しても上限は150万円になります。

とはいえ、弁護士基準で請求すれば、自賠責基準や任意保険基準に比べると高額です。加えて、弁護士に依頼すれば、死亡慰謝料や死亡逸失利益については大幅な上乗せが期待できます。

 

大切なご家族が亡くなったにもかかわらず、相手方に不誠実な対応をされている方も多いかと思います。当事務所では、交通事故の初回相談は無料です。悩みや疑問を抱えている方は、まずはご相談ください。

投稿者: 松村法律事務所

2024.05.22更新

交通事故の死亡慰謝料の相場

交通事故で亡くなった本人やご遺族の苦しみ・悲しみは、計り知れないものかと思います。その精神的苦痛への賠償金として、ご遺族は死亡慰謝料を相手方に請求できます。

もちろん、すべてをお金で解決できるわけではありません。とはいえ、気持ちの整理をつけるためには、適正な慰謝料を受け取ることも重要になります。

今回は交通事故の死亡慰謝料について解説します。

 

 

◆ 交通事故における死亡慰謝料とは?

一般的に慰謝料とは、精神的苦痛に対する賠償金です。

死亡事故においては、2種類の死亡慰謝料があります。

 

 ・被害者本人の死亡慰謝料

 ・遺族固有の死亡慰謝料

 

「被害者本人の死亡慰謝料」は、思いもよらぬ形で亡くなった方が受けた精神的苦痛を賠償するものです。たとえ即死であったとしても発生します。

「遺族固有の死亡慰謝料」は、近親者を亡くしたご遺族の精神的苦痛に対する賠償金です。請求できるのは、民法上は父母・配偶者・子のみとなっています。もっとも、これらの親族と同等の関係があり、甚大な精神的苦痛を受けた人についても、遺族固有の死亡慰謝料が認められるケースがあります。たとえば、被害者と同居していた兄弟姉妹などです。

いずれの死亡慰謝料についても、ご遺族が相手方に請求できます。

 

◆ 交通事故の死亡慰謝料の相場

死亡慰謝料の相場は、誰が算出するかによって異なります。

自賠責保険の支払い基準においては、以下の通り定められています。

 

 ・被害者本人の慰謝料  400万円

 ・遺族固有の慰謝料
   請求者1人   550万円
   請求者2人   650万円
   請求者3人以上 750万円
   被扶養者がいる (上記に加え)200万円

 

被害者本人の慰謝料は一律400万円です。遺族固有の慰謝料は請求権者(父母・配偶者・子)の人数によって変わります。たとえば、家族を養っている夫が妻と子1人を残して亡くなった場合には「400万円(本人)+650万円(請求権者2人)+200万円(被扶養者あり)」で計1250万円です。

任意保険会社が提示してくる金額は、自賠責保険基準と同等か多少の上乗せをした程度に過ぎないケースが多いです。

 

弁護士は、過去の裁判例をもとに請求します。被害者の立場によって変わり、目安は以下の通りです。

 

 ・一家の支柱 2800万円

 ・母親、配偶者 2500万円

 ・その他(独身の男女、子どもなど) 2000~2500万円

 

上記は、本人と遺族固有の慰謝料を合わせた金額です。いずれの場合でも、自賠責保険基準に比べて大幅に高いとおわかりいただけるでしょう。あくまで目安ですので、個々の事情によって増額されるケースもあります。

 

 

以上が死亡慰謝料に関する基本的な知識です。死亡事故においては、死亡慰謝料の他にも、死亡逸失利益や葬儀費用なども請求できます。

賠償総額は高額になりますが、相手方が不当に低い金額を示してくるケースは非常に多いです。また、相手の不誠実な対応によって感情を害されている方もいらっしゃるでしょう。弁護士にご依頼いただければ、増額が期待できるとともに、相手とのやり取りによるストレスも軽減できます。

当事務所では、交通事故の初回相談を無料としております。まずはお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2024.04.25更新

死亡逸失利益とは?計算方法を解説

交通事故により亡くなってしまった場合には、本人に代わってご遺族が相手方に賠償金を請求します。死亡事故の際に相手に請求できる賠償金の費目のひとつが「死亡逸失利益」です。

今回は死亡逸失利益について解説します。

 

◆ 死亡逸失利益とは?

死亡逸失利益とは、事故により亡くならなければ得られたであろう、将来の収入です。

交通事故により亡くなると、今後得られるはずであった生涯分の収入を得られなくなってしまい、損害が生じます。そこで、得られなかった将来の収入を「死亡逸失利益」という費目で相手方に請求できます。

 

◆ 死亡逸失利益の計算方法

死亡逸失利益は以下の計算式で算出されます。

基礎収入×(1-生活費控除率)×就労可能年数に対応するライプニッツ係数

それぞれの要素について解説します。

 

●基礎収入

基礎収入は、基本的には事故前年の収入です。

会社員など給与所得者の方であれば、源泉徴収票から比較的簡単に明らかになるでしょう。自営業など事業所得者については、確定申告書などを確認します。

収入がない主婦(主夫)であっても家事労働をしていますので、女性の平均賃金をもとに請求が可能です。今後働く予定の子どもについては、一般的には男子は男性の、女子は男女合わせた平均賃金を基準にします。失業者であっても、今後働ける蓋然性が高い場合には、再就職によって得られる見込みの収入をもとに死亡逸失利益の請求が可能です。

 

●生活費控除率

亡くなった際には将来得られるはずの収入を失いますが、今後の生活費がかからなくなる側面もあります。「生活費控除率」とは、今後かかるはずであった生活費を除くための割合です。亡くなった方の立場によって、以下の通り割合が変わります。

被害者の立場

生活費控除率

一家の支柱(被扶養者1人)

40%

一家の支柱(被扶養者2人以上)

30%

女性(主婦・独身・幼児など)

30%

男性(独身、幼児など)

50%

 

●就労可能年数に対応するライプニッツ係数

就労可能年数は67歳までです。

計算する際には、就労可能年数をそのままは使いません。賠償金は一括で受け取り運用が可能であるため、運用益を除くためにライプニッツ係数という数値を利用します。年齢別の具体的な数値は、以下を参照してください。

参考;就労可能年数とライプニッツ係数表|国土交通省

 

これら3つを掛け合わせれば、死亡逸失利益を計算できます。

たとえば、30歳で基礎収入600万円の独身男性が死亡した場合の計算式は、以下の通りです。

600万円×(1-0.5)×22.167=6650万1000円

死亡逸失利益は金額が大きくなりやすく、基礎収入額などをめぐってトラブルになるケースも多いです。

 

以上が死亡逸失利益に関する基本的な知識になります。死亡事故においては、他に死亡慰謝料や葬儀費用なども請求できます。いずれの費目についても、相手方が不当に低額な賠償金を提示してくるケースが非常に多いです。

大切なご家族の命が奪われているにもかかわらず、相手方に不誠実な対応をされてしまい、追い打ちをかけられる方も少なくありません。当事務所では交通事故の初回相談を無料としております。お悩みや疑問点がある方は、まずはご相談ください。

投稿者: 松村法律事務所

2024.03.21更新

後遺障害による逸失利益の計算方法

交通事故で後遺障害を負った場合には、逸失利益を相手方に請求できます。逸失利益は、交通事故の賠償金の中でも大きなウエイトを占め、重要な項目です。

今回は、後遺障害による逸失利益の計算方法について解説します。

 

◆ 後遺障害逸失利益とは?

後遺障害逸失利益とは、事故による後遺障害がなければ得られたであろう、将来の収入です。

事故で後遺障害が残ると、思うように体が動かずに労働に支障が出てしまい、収入が減少すると考えられます。そこで、将来にわたって続く減収分を「逸失利益」という費目で相手方に請求できます。

 

◆ 逸失利益の計算式

逸失利益の計算式は以下の通りです。

「 基礎収入 × 労働能力喪失率 × 労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数 」

3つの要素を掛け合わせれば計算できます。以下で各要素について解説します。

 

◆ 基礎収入

基礎収入は、原則として事故前年の年収です。

会社員については、源泉徴収票を確認して、事故前年の実際の収入を基礎収入とします。もっとも、30歳未満の若者については、現時点での賃金が低いため、全年齢平均の賃金センサスをベースとするケースがあります。

自営業者についても同様に事故前年の確定申告を基準にしますが、収入から必要経費は除かれるので注意してください。

その他、実際の収入がない人の扱いは以下の通りです。

 

・主婦・主夫

専業主婦(主夫)で収入がないとしても、家事労働に価値があります。したがって、女性の平均賃金を基礎収入として逸失利益の請求が可能です。兼業主婦(主夫)については、実際の収入と女性の平均賃金のうち高い方が基礎収入となります。

 

・子ども

まだ働いていない子どもについては、原則として全年齢の平均賃金を用います。男子については男性の、女子については男女合わせた平均賃金をもとに請求するのが一般的です。

 

・無職

無職であれば、基本的には逸失利益は認められません。ただし失業中であっても、今後働く可能性が高かったと認められれば、逸失利益の請求が可能です。

 

◆ 労働能力喪失率

労働能力喪失率は、後遺障害によって労働がしづらくなった程度を数値化したものです。基本的には、後遺障害等級によって以下の通り定められています。

 

後遺障害等級

労働能力喪失率

1級

100%

2級

100%

3級

100%

4級

92%

5級

79%

6級

67%

7級

56%

8級

45%

9級

35%

10級

27%

11級

20%

12級

14%

13級

9%

14級

5%

 

 

◆ 労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数

労働能力喪失期間は、原則として症状固定時から67歳までとされています。未就労であれば、基本的に18歳から67歳です。

もっとも、むちうちの場合には、12級で10年程度、14級で5年程度に制限されるケースが多いです。

賠償金は一括で支払われるため、受け取った後で運用が可能です。運用益を考えると、単に労働能力喪失期間を掛け合わせるだけだと、受け取る側に有利になり過ぎます。そこで、想定される運用益を除くために、ライプニッツ係数という数字を利用します。実際に計算する際には、以下を参考にしてください。

参考;就労可能年数とライプニッツ係数表|国土交通省

 

以上の3つの要素がわかれば、後遺障害逸失利益の金額を計算できます。もっとも、現実には「実際の収入は減っていない」「労働には影響がないはずだ」などと相手に主張され、逸失利益の有無や金額が争いになるケースは多いです。

当事務所では、交通事故の初回相談を無料としております。「逸失利益がいくらになるか知りたい」「相手方と争いになっている」といった方は、お気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2024.02.15更新

弁護士特約が使えないケース|使えないときの対処法も解説

交通事故で弁護士特約(弁護士費用特約)が利用できれば、多くのケースで自己負担ゼロで弁護士に依頼できます。交通事故に遭った方にとって、弁護士特約は大きな味方です。

しかし、弁護士特約が使えないケースもあります。今回は弁護士特約が使えないケースや対処法について解説します。

弁護士特約の使い方については、以下の記事を参照してください。

参考記事:交通事故での弁護士特約の使い方

 

◆ 弁護士特約が使えないケース

弁護士特約に加入していても、保険約款の定めにより利用できないケースがあります。弁護士特約を使えない主なケースは、以下の通りです。

  • 被保険者の故意・重大な過失による事故
  • 無免許運転、飲酒運転、薬物使用時に生じた事故
  • 闘争行為、自殺行為、犯罪行為により生じた事故
  • 自然災害(地震、噴火、津波、台風、洪水、高潮)
  • 戦争、革命、内乱など
  • 事故の相手方が家族(父母、配偶者、子など)
  • 自動車・バイク以外の事故(自転車など)
  • 事業用車両での事故(保険会社による)

これらは、多くの保険約款において弁護士特約が使えないとされるケースです。契約している保険によって異なる場合があるため、ご自身の保険をよくご確認ください。

また、弁護士特約を利用するには、事故時点で加入していなければなりません。事故後に加入しても補償は受けられないので注意してください。

 

◆ 弁護士特約が使えないときの対処法

上記のいずれかに該当して弁護士特約が使えなくても、弁護士に依頼した方がよいケースは多いです。賠償金増額や交渉の代行など、費用を支払ってでも弁護士への依頼には大きなメリットがあります。

ご自身に弁護士をつけるべきかわからない方は、無料法律相談を利用するとよいでしょう。状況を元に、弁護士に依頼するべきかをアドバイスしてもらえます。

参考記事;交通事故で弁護士に依頼するメリット

 

◆ 弁護士特約の利用を保険会社に断られたら?

意外と多いのが、弁護士特約を利用しようとしたものの、保険会社に嫌がられるケースです。

担当者が保険約款を誤解して、利用できないと判断している場合もあります。しかし、現実には使えないケースは例外的であり、十分な確認が必要です。

保険会社が弁護士費用の負担を避けたい、あるいは弁護士をつけるほどではないと考えているケースもあるでしょう。しかし、保険料を払っているのですから、遠慮する必要はありません。

 

以上が弁護士特約を使えないケースや対処法になります。実際には多くのケースで利用できますので、保険会社に難色を示されても諦めないでください。

当事務所では、交通事故の初回相談を無料としております。弁護士特約を使えない、あるいは使えるかわからない方も、お気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所