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2025.12.11更新

婚姻費用の強制執行|支払われないときにとれる手段

婚姻費用につき、調停や審判で金額が決まったにもかかわらず、支払われない場合があります。支払いが実行されないときには、強制執行等の手段をとれます。

今回は、婚姻費用が支払われないときにとれる手段につきご説明します。婚姻費用に関する基礎知識は、以下の記事をお読みください。

参考記事;婚姻費用とは?含まれるものや養育費との違い

 

◆ 履行勧告

まずは、履行勧告が考えられます。婚姻費用を支払う旨の調停や審判が出たのに守られないときは、支払いを受ける側が、家庭裁判所に対して、相手に支払いを勧告するように申し出ができます。

申し出は、書面だけでなく、口頭や電話でも可能です。手続きに費用はかからず、手軽にできます。

しかし、あくまで支払いをするよう勧告するだけで、強制力はありません。また、調停や審判を経ている場合にのみとれる方法であり、当事者の合意により決められた婚姻費用については対象外です。

 

◆ 履行命令

家庭裁判所に対して履行命令を申立てることも可能です。調停や審判を守らない相手に対して、支払いを命じてもらえます。

履行勧告と比べてしっかりとした手続きがとられ、正当な理由なく命令にしたがわないときは「10万円以下の過料」というペナルティもあります。履行勧告と同様に、調停や審判を経ているのが前提です。

 

◆ 強制執行

より強力な手段が強制執行です。強制執行には「直接強制」と「間接強制」があります。

 

直接強制とは、相手の財産を差し押さえて、差し押さえた財産から支払いを受ける方法です。

不動産や動産(自動車など)の差押えも可能ですが、婚姻費用の場合には給与や預貯金を差し押さえる場合が多いです。婚姻費用に関しては、差押えできる範囲が給与の1/2まで拡大されているうえに、将来分についての差押えも認められています。

 

間接強制とは、「期間内に婚姻費用を支払わない場合には、別に金銭支払いを課す」として、心理的に支払いを促す方法です。

ただし、間接強制をしても支払いがないときは、別途、直接強制の手続きが必要になります。また、相手に支払い能力がない場合などには認められません。

強制執行は、調停や審判がある場合だけでなく、当事者の合意が公正証書になっているときにも利用できます。もっとも、手続きが面倒で費用が高額な点がデメリットです。

 

以上が、婚姻費用が支払われないときにとれる手段に関する基礎知識になります。特に強制執行はご自身で進めるのが難しいため、弁護士への相談がオススメです。

 

当事務所では、離婚の初回相談を無料としております。婚姻費用についてお悩みの方は、まずはお気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所