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2025.10.30更新

損益相殺されるケース・されないケース

交通事故を理由としてお金を受け取っていると、相手方に請求できる賠償金が減額される場合があり、「損益相殺」と呼ばれます。

何が差し引かれるかわかりづらい部分もありますので、今回は損益相殺についてご説明します。

 

◆ 損益相殺とは?

損益相殺とは、交通事故を理由として金銭的利益を得たときに、相手方に請求できる損害賠償金から差し引くことです。法律に明確な定めはありませんが、判例で示されており、実務上は当然に行われています。

損益相殺がなされるのは、賠償金の二重取りを防ぐためです。

交通事故に遭うと、治療費や休業損害のといった損害が発生しますが、相手方からの支払いとは別に、給付金などを受け取れる場合があります。事故を原因として金銭を既に受け取っているのに、それと関係なく損害賠償を相手方に請求できるとなると、利益を受け過ぎていることになります。不公平が生じないように調整としてなされるのが、損益相殺です。

損益相殺がなされるかどうかは、受け取った給付等の種類によって変わります。

 

◆ 損益相殺されるケース

損益相殺がなされ、相手方に請求できる賠償金から差し引かれるものとしては、以下が挙げられます。

・自賠責保険金(政府補償事業によるてん補金も含む)

・公的制度(健康保険・年金・労災など)による給付金(例外あり)

・所得補償保険金

・人身傷害保険金

・加害者から支払われた弁済金

上記のお金については、相手方に請求する際には賠償額から除かなければなりません。

 

◆ 損益相殺されないケース

損益相殺がなされない給付等もあります。損害の補てんを目的としていないものや、定額で支払われるものなどです。

・見舞金、香典

・労災保険の特別支給金

・搭乗者傷害保険金

・生命保険金

これらについては、相手方に請求する金額から差し引く必要がありません。

 

以上が損益相殺に関する基礎知識になります。差し引かれるもの・差し引かれないものは細かく分かれており、一般の方にとっては区別が難しいでしょう。差し引く対象となる費目が決まっているなど、実際のルールはさらに複雑です。相手方に請求する際には、弁護士への相談をオススメします

 

当事務所では、交通事故の初回相談を無料としております。損益相殺で何が差し引かれるのかわからない方は、お気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2025.10.07更新

婚姻費用はいつからいつまで発生する?

「婚姻費用はいつから(いつまで)発生するの?」と聞かれることがあります。婚姻費用は金額が大きくなりやすいため、支払われる時期は重要です。

今回は、婚姻費用の始まりと終わりについてご紹介します。婚姻費用の基礎知識は以下をご覧ください。

参考記事:婚姻費用とは?含まれるものや養育費との違い

 

◆ 婚姻費用はいつから?

夫婦が同居しているときは、通常であれば婚姻費用をめぐる争いは生じません。別居すると生活費が別々に発生するため、婚姻費用が問題になります。

婚姻費用は生活のために必要な費用である以上、素直に考えれば別居した時点から支払い義務が生じるはずです。もっとも実務上は、原則として請求時から支払われるものとされています。別居後に支払われていない期間があったとしても、過去にさかのぼっての請求はできません。

過去にさかのぼれないとされる理由は、請求されるまで扶養が必要だとわからない場合があり、後からまとめて多額の支払いを強いられるのは酷であるためです。請求する側は、別居したらすぐに請求するようにしましょう。

「請求時」とは、具体的には調停を申立てた時を指す場合が多いです。調停の申立てがあれば、請求の意思は明確といえます。調停申立て前に内容証明郵便やメール等で請求したと証明できるときには、その時点から発生します。

 

◆ 婚姻費用はいつまで?

婚姻費用は夫婦であるがゆえに発生する費用です。したがって、離婚が成立し夫婦でなくなった時点で発生しなくなります。

子どもがいて引き取った場合には、婚姻費用に代わって養育費の請求が可能です。ただし、配偶者自身の生活費が除かれる分、婚姻費用と比べて金額は少なくなります。

離婚が成立した場合のほか、別居を解消し同居を再開した場合にも、婚姻費用の支払いは終了します。

 

以上が婚姻費用の始期と終期になります。別居後に請求した時点(主に調停申立時)から発生し、離婚成立時(または別居解消時)に義務がなくなるのが通常です。

当事務所では、離婚の初回相談を無料としております。婚姻費用についてお悩みの方は、まずはお気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所