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2025.04.25更新

交通事故において実況見分調書が持つ意味と入手方法

交通事故で過失割合が争いになった場合には「実況見分調書」が重要な証拠になります。今回は、実況見分調書の意味や入手方法をご紹介します。

 

◆ 実況見分調書とは?

実況見分とは、犯罪の捜査として、事件・事故が起きた現場の状況を調べることです。結果は「実況見分調書」という書面にまとめられます。

交通事故でも人が死傷すれば「過失運転致死傷罪」という犯罪になるため、実況見分が実施され、実況見分調書が作成されます。

交通事故での実況見分調書の主な記載内容は以下の通りです。

・実施日時、場所

・道路状況(路面状況、交通規制など)

・車両の状況(車種、大きさ、損害の部位・程度・状況など)

・立会人(被害者・加害者など)の説明内容

・現場の見取り図

実況見分調書では、現場の状況や立会人の説明などが客観的に記載されます。当事者の視点で語られる「供述調書」とは異なるものです。

なお、物損事故では基本的に実況見分調書は作成されません。「物件事故報告書」という簡易的な書類が作成されるだけです。

 

◆ 交通事故において実況見分調書が持つ意味

交通事故で実況見分調書が重要になるのは、主に過失割合が争いになったケースです。当事者の言い分が食い違っているときに、第三者である警察が作成した実況見分調書は信用できる証拠として扱われます。

過失割合が少し変わるだけでも、全体の支払額に及ぼす影響は大きいです。実況見分への当事者の立会いは強制ではありませんが、できるだけ立ち会い、自分の言い分を説明するようにしてください。「忙しい」といった理由で立会いをしないと、相手方に有利な調書が作成されてしまう恐れがあります。

 

◆ 実況見分調書の入手方法

そもそも実況見分調書は、犯罪捜査の一環として作成される書類です。民事上の示談交渉のために入手したいときには、一定の手続きを踏む必要があります。

不起訴処分となった後や、起訴され裁判の判決が確定した後の場合は検察庁に、裁判中の場合は裁判所に対して請求します。捜査中で起訴・不起訴が決まっていない段階では入手できません。事故直後の取り寄せはできないので注意してください。

実務上多いのは、不起訴処分の後に検察庁から入手するケースです。その場合、まずは交通事故証明書に記載された管轄警察署に対して送致先の検察庁、送致番号、送致日を問い合わせましょう。その上で検察庁に問い合わせをして必要事項を伝え、閲覧・謄写を請求します。予約を取ったうえで検察庁に出向く流れになります。地域によって扱いが異なりますので、指示に従ってください。

事故から時間が経つと廃棄される恐れがあるため、早めに請求しましょう。

 

以上が実況見分調書に関する基礎知識です。取り寄せる手続きは少し面倒ですが、弁護士に依頼できます。

当事務所では、交通事故の初回相談を無料としております。過失割合を争っているなど、実況見分調書が必要な場合にはお気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2025.04.11更新

不倫した側からのよくある反論

不倫(不貞)を理由に慰謝料請求をしたとき、相手から様々な反論がくる場合があります。今回は、不倫した側からのよくある反論をご紹介します。

 

◆ 不貞行為はなかった

まずは「そもそも不貞行為はなかった」という反論が考えられます。法律上、不貞行為に該当するのは性行為に及んだ場合です。したがって「肉体関係はなかった」という反論になります。

本当に不貞行為があったか否かは、証拠をもとに判断します。たとえば、ラブホテルに2人で入っている写真があれば、特別な事情がない限り性行為があったと認定されるのが通常です。

不貞行為の意味や証拠については、以下の記事をお読みください。

(参考記事)

不貞行為とは?

不倫の証拠になるもの

 

◆ 既婚者だと知らなかった

不倫相手から「既婚者だとは知らなかった」という反論がなされる場合があります。不倫相手に慰謝料を請求するには、既婚者であると知っていたか(故意あり)、知らなかったことに落ち度がある(過失あり)と証明しなければなりません。

とはいえ、職場など何らかのコミュニティ内で知り合った場合には既婚者であると認識しているのが普通です。たとえ知らなかったとしても、周囲に確認するなどして簡単に把握できるでしょう。

したがって、「既婚者とは知らなかった」という反論が認められるのは、マッチングアプリや婚活パーティなどで出会い、独身と偽って交際していたようなケースに限られます。

 

◆ 夫婦関係が破綻していた

「不貞行為に及んだ際には既に夫婦関係が破綻していた」というのもよくある反論です。もともと夫婦関係が壊れていたのであれば、不貞による損害はないと考えられます。

もっとも、実際には「夫婦関係が破綻していた」との主張はなかなか認められません。反論が認められやすいのは、不倫開始時から別居していた、離婚に向けた話し合いが始まっていたといったケースです。

また、「夫婦関係が破綻していたと聞いて信じていた」という反論もあります。しかし、安易に信用すべきではないとされ認められない場合が多いです。

 

◆ 時効により請求権が消滅している

不貞行為に関する慰謝料請求権は、損害と加害者を知った時から3年経過すると時効により消滅します。したがって、時間が経ってから主張すると「請求権は時効により消滅している」と反論される可能性があります。

時効にかからないうちに、早めに請求するようにしましょう。

 

以上が不倫をした側からのよくある反論です。いずれについても、最初から証拠を揃えていれば再反論ができます。不倫慰謝料請求では、証拠が非常に重要です。

当事務所では、離婚の初回相談を無料としております。配偶者の不倫が発覚した際は、まずはお気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所