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2024.03.21更新

後遺障害による逸失利益の計算方法

交通事故で後遺障害を負った場合には、逸失利益を相手方に請求できます。逸失利益は、交通事故の賠償金の中でも大きなウエイトを占め、重要な項目です。

今回は、後遺障害による逸失利益の計算方法について解説します。

 

◆ 後遺障害逸失利益とは?

後遺障害逸失利益とは、事故による後遺障害がなければ得られたであろう、将来の収入です。

事故で後遺障害が残ると、思うように体が動かずに労働に支障が出てしまい、収入が減少すると考えられます。そこで、将来にわたって続く減収分を「逸失利益」という費目で相手方に請求できます。

 

◆ 逸失利益の計算式

逸失利益の計算式は以下の通りです。

「 基礎収入 × 労働能力喪失率 × 労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数 」

3つの要素を掛け合わせれば計算できます。以下で各要素について解説します。

 

◆ 基礎収入

基礎収入は、原則として事故前年の年収です。

会社員については、源泉徴収票を確認して、事故前年の実際の収入を基礎収入とします。もっとも、30歳未満の若者については、現時点での賃金が低いため、全年齢平均の賃金センサスをベースとするケースがあります。

自営業者についても同様に事故前年の確定申告を基準にしますが、収入から必要経費は除かれるので注意してください。

その他、実際の収入がない人の扱いは以下の通りです。

 

・主婦・主夫

専業主婦(主夫)で収入がないとしても、家事労働に価値があります。したがって、女性の平均賃金を基礎収入として逸失利益の請求が可能です。兼業主婦(主夫)については、実際の収入と女性の平均賃金のうち高い方が基礎収入となります。

 

・子ども

まだ働いていない子どもについては、原則として全年齢の平均賃金を用います。男子については男性の、女子については男女合わせた平均賃金をもとに請求するのが一般的です。

 

・無職

無職であれば、基本的には逸失利益は認められません。ただし失業中であっても、今後働く可能性が高かったと認められれば、逸失利益の請求が可能です。

 

◆ 労働能力喪失率

労働能力喪失率は、後遺障害によって労働がしづらくなった程度を数値化したものです。基本的には、後遺障害等級によって以下の通り定められています。

 

後遺障害等級

労働能力喪失率

1級

100%

2級

100%

3級

100%

4級

92%

5級

79%

6級

67%

7級

56%

8級

45%

9級

35%

10級

27%

11級

20%

12級

14%

13級

9%

14級

5%

 

 

◆ 労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数

労働能力喪失期間は、原則として症状固定時から67歳までとされています。未就労であれば、基本的に18歳から67歳です。

もっとも、むちうちの場合には、12級で10年程度、14級で5年程度に制限されるケースが多いです。

賠償金は一括で支払われるため、受け取った後で運用が可能です。運用益を考えると、単に労働能力喪失期間を掛け合わせるだけだと、受け取る側に有利になり過ぎます。そこで、想定される運用益を除くために、ライプニッツ係数という数字を利用します。実際に計算する際には、以下を参考にしてください。

参考;就労可能年数とライプニッツ係数表|国土交通省

 

以上の3つの要素がわかれば、後遺障害逸失利益の金額を計算できます。もっとも、現実には「実際の収入は減っていない」「労働には影響がないはずだ」などと相手に主張され、逸失利益の有無や金額が争いになるケースは多いです。

当事務所では、交通事故の初回相談を無料としております。「逸失利益がいくらになるか知りたい」「相手方と争いになっている」といった方は、お気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2024.03.11更新

親権とは?内容や監護権との違い

離婚する際に親権が争いになるケースは多いです。

今回は、そもそも親権とは何かについて解説します。

 

◆ 親権とは?

親権とは、未成年の子どものために、世話をしたり、財産を管理したりする権利・義務です。子どもが一人前の大人になるために育てる権利・義務といえます。権利だけでなく、義務でもある点がポイントです。親権は、子どもの利益になるように行使しなければなりません。

2022年から成人年齢が18歳に引き下げられていますので、現在親権は18歳未満の子に対して行使できます。

親権者は基本的に父母です。結婚している間は、父母が協力して親権を行使します。

もっとも、離婚した後には単独親権とされ、片方の親だけが親権者となります。法改正の議論も進んでいますが、現在のルールでは離婚後の共同親権は認められておらず、親権者を決めないと離婚できません。一方にしか認められないがゆえに、親権をめぐって離婚時に争いになるケースは非常に多いです。

親権の内容は、大きく「財産管理権」と「身上監護権」に分けられます。それぞれについて詳しく解説します。

 

◆ 財産管理権

子の財産を管理する権利・義務です。親権者は、預金などの財産を管理するとともに、財産に関する法律行為を代わりに行います。

たとえば、お年玉や祖父母から子に贈与された財産を管理する、子どもの代わりにスマートフォンの利用契約をするといった行為が可能です。

 

◆ 身上監護権

子どもの世話や教育をする権利・義務です。親が子を身体的に保護するとともに、教育によって精神的に成長させる必要があります。民法では、子の住む場所を決められる「居所指定権」や子が仕事をする際の「職業許可権」も定められています。

以前は「懲戒権」も定められていましたが、児童虐待を正当化する根拠になっているとの批判があり、2022年の法改正により削除されました。また、かつては未成年者が結婚する際の同意権がありましたが、婚姻可能年齢が男女とも18歳となり成人年齢と同じになったため、削除されています。

 

◆ 親権者と監護権者は別にできる?

監護権は親権の一部です。ただし、離婚する際には、親権者とは別に監護権者を定める方法もとれます。そのため、争いがあった際に「親権者(財産管理)は父、監護権者は母」といった解決が提案されるケースもあります。

とはいえ、子どもの利益を考えると、普段世話をしている親が財産管理も含めて親権を行使するのが、スムーズであり望ましいです。裁判所においては、親権者と監護権者を分けるのを認めない傾向にあります。

 

以上が親権に関する基礎知識です。今後、親権の判断基準などについても詳しく解説します。

当事務所では、離婚の初回相談を無料としております。親権についてお悩みの方は、お気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所