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2023.07.20更新

年金分割は半分もらえるわけではない!離婚時の年金分割の基礎知識

離婚を考えている方(特に高齢の女性)から「年金分割で半分もらえるの?」と聞かれることがあります。

実際には、配偶者がもらえる年金の半額を受け取れるわけではありません。

今回は、少し制度がややこしい年金分割について、基礎知識を解説します。

 

◆年金分割とは?

年金分割とは、離婚時に婚姻期間中の厚生年金の記録を分ける制度です。主に高齢の専業主婦(夫)が、離婚した後の生活に困ってしまうのを防ぐために設けられています。

しかし、元配偶者が受け取れる年金の「半額」を分けてもらえる制度ではありません。

ポイントは「厚生年金」の「婚姻期間中」の納付記録を分ける点です。

 

◆厚生年金の記録を分ける→自営業者は対象外

年金分割は「厚生年金」の納付記録を分ける制度です。

大まかにいうと、日本の年金は、

  • 全国民が加入する「国民年金」(1階部分、基礎年金)
  • 会社員や公務員が加入する「厚生年金」(2階部分)

に分かれています。

年金分割の対象は、2階部分の厚生年金の納付記録になります。自営業者は厚生年金には加入していないため、対象外です。

したがって、夫が自営業者の場合には、そもそも年金分割を受けられません。

 

◆婚姻期間中の記録を分ける→結婚前は対象外

年金分割は「婚姻期間中」の納付記録を分ける制度です。

分割の対象になるのは婚姻期間中の記録だけであり、結婚前の期間は対象となりません。財産分与において、結婚前に築いた財産が対象にならないのと同様です。

 

◆合意分割と3号分割

年金分割には「合意分割」と「3号分割」の2種類があります。

合意分割とは、夫婦の合意に基づいて納付記録を分けることです。夫婦が共働きで2人とも厚生年金に加入しているケースや、2008年4月より前に結婚していたケースで利用されます。按分割合は夫婦で話し合いますが、通常は0.5、すなわち均等になります。

3号分割とは、夫婦の一方が「3号被保険者」であった場合の分割方法です。3号被保険者とは、配偶者が会社員や公務員で、自身は専業主婦(夫)あるいは扶養の範囲内で働いていた人をいいます。3号分割においては、話し合いは必要ありません。ただし、3号分割できるのは2008年4月以降の記録に限られます。

 

以上が年金分割に関する基礎知識です。単純に半分に分けるのではないとご理解いただけましたでしょうか?

なお、3号分割だとしても、離婚後2年以内に手続きが必要な点は忘れないでください。詳しい手続きや、合意分割と3号分割の細かい違いについては、機会を改めて解説します。

 

当事務所では、離婚の初回相談は無料です。年金分割に限らず、離婚に関して不安な点をご相談いただけます。お気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2023.07.10更新

通院交通費はどこまで認められる?タクシーは利用可能?

交通事故でケガを負われた方が病院に通った際の通院交通費は、事故がなければ生じなかった費用であるため、損害として相手方に請求が可能です。

通院交通費に関して、以下の質問を受けることがあります。

  • タクシーは使っていいの?
  • 自家用車を利用したときはどうなる?
  • 付き添いした家族の交通費は払ってもらえる?

 

そこで今回は、交通事故の通院交通費に関してご紹介します。

 

◆公共交通機関を利用したとき

電車・バスといった公共交通機関で通院したときには、通常は問題なく交通費を支払ってもらえます。「通院交通費明細書」に利用区間・金額など必要事項を記載して、保険会社に提出してください。公共交通機関であれば金額は一律であるため、領収書の添付は不要です。

ただし、実際に負担した分しか賠償してもらえません。会社から通院したときには、会社から病院までのルートでかかった交通費が対象になります。

 

◆自家用車を利用したとき

公共交通機関が不便な地域では、自家用車で通院する場合も多いでしょう。自家用車での通院の場合には、ガソリン代などを請求できます。ガソリン代は実費ではなく、通常は1kmあたり15円で計算した金額が賠償されます。

高速料金や駐車料金もかかっていれば、別途請求が可能です。領収書の添付が必要になるので、捨てずに残しておいてください。

 

◆タクシーを利用したとき

ケガの状況によっては、通院にタクシーを利用される方もいらっしゃいます。しかし、タクシー料金の請求が認められるのは、必要性が認められるケースに限られます。

ケガによって歩行が困難であった、公共交通機関が著しく不便であるなど、タクシーを利用せざるを得ない状況でないと、支払ってもらえません。

タクシー利用については争いになりやすいため、希望するときには事前に保険会社に確認をとるのが望ましいです。認められた場合でも、請求する際には領収書が必要になります。

なお、事故の影響で公共交通機関による通勤が困難になったときには、タクシーで通勤した分についても支払いを受けられる可能性があります。

 

◆家族が付き添いしたとき

家族などが通院に付き添った場合についても、必要性が認められれば付き添いに要した交通費の賠償を受けられます。たとえば、被害者が幼い子どもや高齢者である場合や、ケガが重い場合です。

ただし、付添費が支払われているときには、別途交通費が支払われないケースもあります。

 

以上が通勤交通費の概要です。

たしかに、通院交通費は交通事故におけるメインの損害ではありません。しかし、ときに高額になり、支払いをめぐって相手方と争いになるケースも想定されます。

当事務所では、交通事故の初回相談を無料としております。通院交通費に限らず、疑問点やお困りの点がある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所