2023.04.26更新
離婚後の姓
ご相談の中で「離婚後は旧姓に戻した方がよいでしょうか?」と質問されることがあります。
今回は、結婚の際に女性が夫に姓を合わせていたケースを念頭に置いて、離婚後に姓がどうなるかを解説します。
◆離婚後は旧姓に戻るのが原則
婚姻により姓を変えていた人が離婚すると、旧姓に戻るのが原則です(民法767条1項)。多いのは、妻が結婚の際に夫の姓に改め、離婚により元の姓に戻るケースです。
離婚すると姓が変わるだけでなく、戸籍も別になります。妻が親の戸籍に戻るか、妻自身を筆頭者とする新たな戸籍を作成するかのいずれかになります。姓が変わらない夫の戸籍はそのままです。
両親が亡くなっていて戻る戸籍がないときには、新たな戸籍を作るしかありません。また、後述する通り、子の親権者となって子の姓も変えたいときには、新たな戸籍を作成してください。
旧姓に戻るときは、離婚届の該当欄に記入すれば手続きが済みます。
旧姓に戻るメリットとしては、以下が挙げられます。
- 夫の姓を名乗らなくて済み、心機一転を図れる
- 両親から受け入れてもらいやすい
他方で、姓を変えるデメリットもあります。
- 離婚の事実が周囲に明らかになる
- 各種名義変更の手続きが面倒である
◆離婚しても姓を変えたくないなら届出をする
離婚後も婚姻時の姓(夫の姓)をそのまま名乗ることも可能です。
離婚しても姓を変えないときには、離婚の日から3ヶ月以内に「離婚の際に称していた氏を称する届」を役所に提出しなければなりません(民法767条2項)。期限を過ぎてしまわないように、離婚届と同時に提出するとよいでしょう。
姓を変えないとしても、離婚すれば夫婦の戸籍は別になるため、妻は新しい戸籍を作成します。
姓を変えないメリットは以下の通りです。
- 離婚を周囲に知られにくい
- 名義変更手続きをしなくてよい
- 子の姓を変更せずに済む
他方で、次のデメリットもあります。
- 夫の姓を名乗ることへの心理的抵抗がある
- 再婚後に2度目の離婚をした際に、旧姓(生まれたときの姓)には戻れない
◆離婚後しばらくして姓を変えたくなったら裁判所の許可が必要
離婚して時間が経った後に選んだ姓を変えたくなった場合には、家庭裁判所に申立てて許可を得なければなりません。
変更が認められるには「やむを得ない事由」が必要です(戸籍法107条1項)。一般的な氏の変更に比べると許可は出やすいですが、思い通りに変更できるとは限りません。
◆離婚後の子どもの姓
離婚時に旧姓に戻した妻が親権者であるときには、子の姓も自分の旧姓にしたいと考えるケースも多いでしょう。
もっとも、子の姓は何もしなければ元のままです。勘違いされている方もいますが、自動的に親権者と同じになるわけではありません。
子の姓も変更したければ、家庭裁判所に「子の氏の変更許可申立て」を行います。子が15歳未満のときは親権者が、15歳以上のときは子本人が申立ててください。許可そのものは簡単に認められます。
許可が出たら、役所に入籍届を提出して、母(元妻)と同じ戸籍に入れます。同じ戸籍に3世代が入ることはできないため、母(元妻)は離婚時に両親の戸籍に戻らず、自分を筆頭者とする戸籍を作っておくようにしてください。
以上が離婚と姓の関係です。時間が経ってから変更するのは面倒であるため、離婚時によく考えて選択するようにしましょう。
当事務所では、離婚の初回相談は無料としております。姓の問題に限らず、離婚についてお悩みの方はお気軽にお問い合わせください。
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