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2025.06.16更新

モラハラの証拠になるもの

モラハラは家庭の外からは実態がわからない場合が多いです。離婚が争いになる際には、証拠の有無や内容がポイントになります。

今回は、モラハラの証拠になるものをご紹介します。

 

◆ 録音・録画データ

モラハラそのものを記録した録音・録画データは、客観的に事実を示すものであるため、証拠として非常に有効です。録画はやや難しいかもしれませんが、録音は比較的ハードルが低いでしょう。専用のレコーダーでなく、スマートフォンを利用しても構いません。

一部しか記録していないと、「切り取りだ」「ケンカの流れで言っただけだ」といった反論を受けるおそれがあります。一連の流れがわかるように、すぐに記録を開始できるようにしておき、前後の言動も含めて残しましょう。1度だけでなく複数回の記録があれば、日常的なモラハラであったことを示せるため効果的です。

くれぐれも録音・録画していることが相手にバレないように注意してください。発覚すると逆上し行動がエスカレートするおそれがあります。残したデータが消えないよう、バックアップを取っておくのも重要です。

 

◆ 日記・メモ

ご自身でモラハラの様子を書いた日記やメモも証拠になります。客観的な証拠を残すのが難しいときでも可能な方法です。

作成する際には、「いつ」「どこで」「何を」されたかを具体的に書くようにしてください。事実がなく心情ばかり記載されていると、説得力がなくなってしまいます。

相手から、「後から書いた」「改ざんした」と言われる可能性もあります。その都度書く、消えない筆記具(ボールペン)を用いる、不自然な余白を作らないといった点にも注意しましょう。スマートフォンで記録する場合には、書いた日時や編集の有無がわかるものがオススメです。

 

◆ メール・LINE・SNSのメッセージ

メール・LINE等で交わしたやり取りの中にモラハラ発言があれば証拠になります。メッセージは消去されない限り残っていますので、集めやすいはずです。

問題のある発言だけでなく、一連の流れも含めてスクリーンショットなどで残しておきましょう。やりとりの後に早めに記録に残し、バックアップもとっておくと安心です。

なお、相手のSNSに無断でログインするなど、違法な行為はしないようにしてください。

 

以上がモラハラの主な証拠です。他に精神科等に通院した際の診断書・カルテ、第三者の証言、警察や公的機関の相談記録なども証拠になります。証拠になるものや集め方がわからない場合は、弁護士にご相談ください。

 

当事務所では、離婚の初回相談を無料としております。モラハラにお悩みの方は、まずはお気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2025.05.23更新

モラハラは離婚の理由になる?

「モラハラで離婚できるの?」と聞かれることがあります。

モラハラ(モラルハラスメント)は相手を苦しめる行為ではありますが、離婚までは認められないケースが少なくありません。他の要因と合わせて離婚できるかが決まる場合も多いです。

今回は、モラハラによる離婚についてご説明します。

 

◆ モラハラとは?

「モラハラという言葉は聞いたことがあるが、意味はよくわからない」という方もいらっしゃるでしょう。

一般的にモラハラ(モラルハラスメント)とは、言葉や態度によって相手の心に苦痛を与える行為をいいます。すなわち精神的な虐待です。

夫婦におけるモラハラの具体例は次の通りです。

・大声で怒鳴る

・ささいなミスで激怒する

・人格を否定する、バカにする

・理由もなく無視する、機嫌が悪くなる

・大きな音をたててドアを閉める

・聞こえるようにわざと大きなため息をつく

・「誰のおかげで飯が食えると思っているんだ」などと収入の少ない相手を見下す

・生活費を渡さない

・外で働くのを認めない

・親族や友人と交流するのを妨げる、束縛する

・相手の金の使い道に細かく口出しする

・子どもに配偶者の悪口を吹き込む

モラハラ加害者は、社会的地位が高く、外面はいい傾向にあります。家庭の外からはわかりづらいため、被害を受けている側は誰にも相談できず、自分が悪いと思い込んでしまうケースが多いです。

身体的な暴力ではないものの、モラハラは相手の心を深く傷つける言動といえます。

 

 

◆ モラハラは離婚の理由になる?

モラハラで離婚できるかはケースバイケースです。

モラハラは離婚理由として法律に明記されていません。裁判離婚の場合には、「婚姻を継続し難い重大な事由」(民法770条1項5号)に該当するかが問題になります。単なる夫婦げんかの延長とされてしまい、離婚までは認められないケースも多いです。モラハラそのものの内容や程度だけでなく、別居期間など、様々な理由から離婚の可否が判断されます。

協議離婚や調停離婚の場合には、相手の合意さえあれば離婚は可能です。もっとも、モラハラ加害者はプライドが高く、自分の非を認めない傾向にあります。そのため、協議や調停は難航しやすいです。

(参考記事)

離婚の種類

離婚できる理由は?5つの法定離婚事由

 

モラハラは外部からはわかりづらいため、証拠が重要になります。モラハラの証拠については、今後改めて解説する予定です。

当事務所では、離婚の初回相談を無料としております。モラハラで離婚できるかお悩みの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2025.04.11更新

不倫した側からのよくある反論

不倫(不貞)を理由に慰謝料請求をしたとき、相手から様々な反論がくる場合があります。今回は、不倫した側からのよくある反論をご紹介します。

 

◆ 不貞行為はなかった

まずは「そもそも不貞行為はなかった」という反論が考えられます。法律上、不貞行為に該当するのは性行為に及んだ場合です。したがって「肉体関係はなかった」という反論になります。

本当に不貞行為があったか否かは、証拠をもとに判断します。たとえば、ラブホテルに2人で入っている写真があれば、特別な事情がない限り性行為があったと認定されるのが通常です。

不貞行為の意味や証拠については、以下の記事をお読みください。

(参考記事)

不貞行為とは?

不倫の証拠になるもの

 

◆ 既婚者だと知らなかった

不倫相手から「既婚者だとは知らなかった」という反論がなされる場合があります。不倫相手に慰謝料を請求するには、既婚者であると知っていたか(故意あり)、知らなかったことに落ち度がある(過失あり)と証明しなければなりません。

とはいえ、職場など何らかのコミュニティ内で知り合った場合には既婚者であると認識しているのが普通です。たとえ知らなかったとしても、周囲に確認するなどして簡単に把握できるでしょう。

したがって、「既婚者とは知らなかった」という反論が認められるのは、マッチングアプリや婚活パーティなどで出会い、独身と偽って交際していたようなケースに限られます。

 

◆ 夫婦関係が破綻していた

「不貞行為に及んだ際には既に夫婦関係が破綻していた」というのもよくある反論です。もともと夫婦関係が壊れていたのであれば、不貞による損害はないと考えられます。

もっとも、実際には「夫婦関係が破綻していた」との主張はなかなか認められません。反論が認められやすいのは、不倫開始時から別居していた、離婚に向けた話し合いが始まっていたといったケースです。

また、「夫婦関係が破綻していたと聞いて信じていた」という反論もあります。しかし、安易に信用すべきではないとされ認められない場合が多いです。

 

◆ 時効により請求権が消滅している

不貞行為に関する慰謝料請求権は、損害と加害者を知った時から3年経過すると時効により消滅します。したがって、時間が経ってから主張すると「請求権は時効により消滅している」と反論される可能性があります。

時効にかからないうちに、早めに請求するようにしましょう。

 

以上が不倫をした側からのよくある反論です。いずれについても、最初から証拠を揃えていれば再反論ができます。不倫慰謝料請求では、証拠が非常に重要です。

当事務所では、離婚の初回相談を無料としております。配偶者の不倫が発覚した際は、まずはお気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2025.03.13更新

有責配偶者からの離婚請求

「不倫した側から離婚は請求できるの?」と聞かれることがあります。

不貞行為をして離婚の原因を作った人(有責配偶者)から離婚を求めることは可能です。ただし、通常の離婚よりもハードルが高くなります。

今回は、有責配偶者からの離婚請求について解説します。

 

◆ 有責配偶者とは?

有責配偶者とは、自ら離婚の原因を作った配偶者(夫や妻)のことです。不貞行為は法定離婚事由に該当するため、不貞をした人は有責配偶者にあたります。

法定離婚事由については、以下の記事をお読みください。

参考記事:離婚できる理由は?5つの法定離婚事由

 

◆ 有責配偶者から離婚できる?

有責配偶者から離婚を請求したとしても、相手が応じるのであれば離婚は可能です(協議離婚)。また、裁判所で調停を行い、話し合いがまとまった場合にも離婚できます(調停離婚)。

調停でも離婚できないときは裁判により争われますが、裁判では有責配偶者からの離婚請求は簡単には認められません。離婚の原因を作ったにもかかわらず、「不倫相手と結婚したい」などと考えて離婚を要求するのはあまりに身勝手であるためです。次に説明する通り、通常の離婚よりも厳しい条件を満たす必要があります。

離婚の種類について詳しくは、以下の記事をお読みください。

参考記事:離婚の種類

 

◆ 有責配偶者からの離婚が認められる要件

判例上、有責配偶者からの離婚請求は以下の3つの要件を満たした場合に限って認められます。

 

①別居が長期間に及んでいる

別居期間が10年以上になっていると、長期間だと認められやすいです。5~7年程度であっても、年齢や同居期間と比べて別居期間が長いといえれば、要件を満たすと判断される可能性があります。

 

②未成熟の子がいない

「未成熟」といえるかは、年齢だけでなく社会的・経済的に自立しているかを考慮して判断されます。高校生以上の場合には、今後の養育期間が短いと考えられ離婚が認められる可能性があります。成人であっても障害を抱えていて自立が難しいときには、未成熟の子と判断されやすいです。

 

③離婚により相手方が極めて苛酷な状態におかれることがない

離婚された側が経済的に厳しい状況におかれないかどうかが主なポイントです。十分な財産分与や養育費により、離婚された側が苛酷な状態におかれないといえれば、離婚が認められやすくなります。

 

以上が有責配偶者からの離婚請求に関する基礎知識です。実際に離婚が可能であるかはケースバイケースです。ご自身の場合はどうか知りたい方は、弁護士にご相談ください。

当事務所では、離婚の初回相談を無料としております。お悩みの方は、まずはお気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2025.02.12更新

不貞行為とは?

不貞行為が認められるときは、離婚や慰謝料請求ができます。もっとも、「どこからが不貞といえるのか」と疑問に思われる方も多いでしょう。

今回は不貞行為とは何かについて、不倫・浮気との違いにも触れつつ説明します。

 

◆ 不貞行為の意味

不貞行為とは「配偶者以外の者と、自由な意思に基づいて性的関係を結ぶこと」です。すなわち、結婚している人が、配偶者(妻や夫)以外の人と性行為に及べば不貞行為に該当します。結婚していなくても、内縁(事実婚)関係にある人がパートナー以外と性行為に及べば不貞になり得ます。

いくら仲が良くても、肉体関係がない場合には基本的に法律上の不貞行為にはなりません。また、「自由な意思に基づいて」いることが条件なので、性行為を強要された場合も不貞には該当しません。

現実には、本当に肉体関係があったかが問題になります。性行為の場面を直接撮影しているケースは稀であり、ホテルから出てきた際の写真、LINEでのやりとりなど、様々な証拠から肉体関係の有無を証明できるかがポイントです。

不貞の証拠について詳しくは、以下の記事をご覧ください。

参考記事:不倫の証拠になるもの

 

◆ 不倫・浮気との違い

日常的には、不倫や浮気といった言葉を使う場合が多いでしょう。不貞は法律用語ですが、不倫・浮気は法律用語ではありません。不倫や浮気に明確な定義はなく、人によって使い方が異なります。

大まかにいえば、不倫とは、既婚者が配偶者以外の異性と交際することをいいます。性的関係がなくても、手をつないだ、キスをしたなどで不倫にあたると考える方もいるでしょう。浮気も不倫と似た意味ですが、既婚者だけでなく独身の人にも用いられます。

日常的に用いられる不倫・浮気よりも、法律用語である不貞行為の指す範囲は狭いです。たとえ不倫・浮気があっても、法的には問題がない場合があります。

 

◆ 不貞行為に対して法律上できること

不貞行為は法定離婚事由に該当します(民法770条1号)。すなわち、パートナー以外と肉体関係を結んだ配偶者に対しては、離婚を請求できます。ただし、不貞をした側からの離婚請求は基本的に認められません。

なお、性行為に至っていなくても、状況によって「婚姻を継続しがたい重大な事由」があると認められれば離婚は可能です(民法770条5号)。

離婚理由については、以下の記事で解説しています。

参考記事:離婚できる理由は?5つの法定離婚事由

 

また、不貞は民法上の不法行為に該当するため、慰謝料請求もできます。配偶者だけでなく、不倫相手に対しても請求が可能です。不倫相手に請求できるものについて詳しくは、以下の記事をお読みください。

参考記事:不倫相手に請求できるもの

 

なお、肉体関係がなく離婚事由としての不貞は認められなくとも、不法行為には該当して慰謝料を請求できるケースもあります。離婚の場面と慰謝料請求の場面とで、若干範囲が異なるということです。

 

以上が不貞行為に関する基礎知識になります。実際に離婚や慰謝料請求が認められるかはケースバイケースです。ご自身の場合はどうか知りたい方は、ぜひご相談ください。

当事務所では、離婚に関する初回相談を無料としております。不貞・不倫についてお悩みや疑問がある方は、まずはお気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2025.01.10更新

不倫相手に請求できるもの

夫や妻が不倫(法律上は「不貞行為」と呼ばれます)をしたときには、不倫相手に慰謝料をはじめとする金銭を請求できます。

今回は、不倫相手に請求できるものをご説明します。

 

◆ 慰謝料

まず考えられるのが慰謝料です。慰謝料とは、精神的苦痛に対して支払われる金銭をいいます。不倫による精神的なショックについては、配偶者だけでなく、不倫相手に対しても金銭による賠償を請求できます。

気になる慰謝料相場は、おおむね50~300万円程度です。不倫により夫婦関係が破綻したかどうかが金額を大きく左右します。別居あるいは離婚していないと50~100万円程度であり、別居や離婚にまで至っていれば高額になります。

他には、婚姻期間、不貞行為の回数・期間、未成年の子どもの有無などが金額に影響を及ぼす要素です。

参考記事;離婚慰謝料の相場と金額を決める要素について

 

◆ 慰謝料以外の金銭(調査費用、弁護士費用)

慰謝料がメインになりますが、他の費目で金銭を請求できるケースもあります。

たとえば、探偵や興信所に支払った調査費用です。ただし、調査費用の支払いを受けられる可能性があるのは、「調査を依頼しないと不倫を証明できなかった」といえるケースに限られます。しかも、実際に支払った金額の一部しか認められない場合が多いです。

他には、弁護士費用も請求できます。こちらも全額ではなく、訴訟をして判決まで至った場合に、「弁護士費用以外の損害」の1割が弁護士費用として認められるに過ぎません。損害が300万円と認定されれば、その1割の30万円が弁護士費用として認められるということです。実際に支払った金額には及ばないケースが大半でしょう。

 

◆ 金銭以外を要求できる?

お金以外に、謝罪や配偶者との接触禁止を求めたい方もいるでしょう。しかし、法律上は強制できません。交渉の中で相手に求めていけば、要求を受け入れてもらえる可能性はあります。

 

以上が不倫相手に請求できるものです。慰謝料が基本にはなりますが、交渉や訴訟の結果として、その他の金銭や金銭以外の要求を認めてもらえるケースもあります。そもそも請求できるか、できるとして内容がどうなるかはケースバイケースですので、まずはご相談ください。

当事務所では、離婚の初回相談を無料としております。配偶者に不倫されお悩みの方は、お気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2024.12.19更新

子の連れ去りへの対処法

別居中や離婚協議中などに、相手方に子を連れ去られてしまうケースがあります。子を取り返すにはどうすればいいのでしょうか?

今回は、子の連れ去りへの対処法をご紹介します。

 

◆ 子の連れ去りの違法性

「子の連れ去り」といっても、態様は様々考えられます。違法になるかはケースバイケースです。

別居時に子を連れていく行為は、一般的には違法になりづらいです。とりわけ、主に監護していた側が子を連れていくケースや、配偶者による虐待・DVがあったケースでは正当と考えられます。

別居後に相手の元から子を奪うと、違法になる可能性が高まります。特に、保育園に迎えに行って連れ去る行為や、相手から無理やり奪う行為は違法と判断されやすいです。

違法に連れ出す行為は、親権者を決定する際には不利に評価されます。他にも、精神的苦痛に対する慰謝料が発生したり、刑法上の未成年者略取罪が成立したりする可能性があります。

 

◆ 子を連れ去られたときの対処法

子を連れ去られたからといって、実力行使により取り戻してはなりません。強引に取り戻す行為が違法となります。自力で取り戻すのではなく、法的な手続きを利用してください。

考えられる法的手続きはいくつかありますが、連れ去りの場合に一般的なのは「子の引渡し審判」の申立てです。調停も考えられますが、話し合いのため時間を要します。迅速に取り戻すためには審判を申立てましょう。引き渡しが認められたにもかかわらず相手が応じなければ、強制執行が可能です。

また、早期の引き渡しを実現するために、審判とあわせて「審判前の保全処分」も申立ててください。認められれば、仮に子の引き渡しが命じられます。

加えて、「子の監護者指定の審判」も申立てましょう。子の監護者として認められるかは、親権と同様の基準で判断されます。

参考記事:親権の判断基準

他には、人身保護請求や未成年者略取罪での刑事告訴も考えられますが、ハードルは高いです。「子の引渡し審判+審判前の保全処分+監護者指定の審判」が一般的になります。

 

以上が子の連れ去りへの基本的な対処法です。とはいえ、連れ去りが違法になるか、いかなる対処法をとるべきかは、ケースバイケースです。いずれにせよ実力行使はしてはなりません。相手の元に子がいる状態が続くと親権決定の際に不利に働くおそれがあるため、お早めに弁護士にご相談ください。

当事務所では、離婚の初回相談を無料としております。子を連れ去られてお困りの方は、すぐにお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2024.11.08更新

父親が親権を獲得できるケース

男性の方から「親権を取りたい」とご相談いただくケースがよくあります。現実問題として、父親が親権を取りづらいのは事実です。とはいえ、親権を獲得できるケースもあるので諦める必要はありません。

今回が、父親が親権を獲得できるケースについて解説します。親権の基礎知識を知りたい方は、以下の記事をお読みください。

参考記事:親権とは?内容や監護権との違い

 

◆ 父親が親権を取るのは難しい

離婚時の親権をいずれが得るかは、父母間の話し合いや調停などで決まります。実際には、母が親権を獲得するケースが多いです。裁判所での調停・審判においては、9割以上で母が親権者となっています(参考:令和5年司法統計年報 3家事編p.43|最高裁判所)。

父親が親権を取るのが難しい理由としては、以下が考えられます。

  • 母親の方が子と一緒にいる時間が長い
  • 特に乳幼児の場合、「母性優先」の考えが強い
  • 子が母を希望しやすい

父親の方が収入が多いとしても、養育費でカバーすればいいと考えられてしまい、経済力はさほど重要な要素にはなりません。

親権の判断基準については、以下の記事で詳しく解説しています。

参考記事:親権の判断基準

 

◆ 父親が親権を獲得できるケース

一般的には、父親が親権を得るハードルは高いです。とはいえ、以下のケースでは父親に親権が認められる可能性が高まります。

  • 父親が主に世話をしてきた
  • 母親がDVや育児放棄をしている
  • 母親が精神疾患など心身に深刻な問題を抱えている
  • 子が父の親権獲得を希望している(子が大きい場合)

これらの事情がある場合には、十分に可能性があります。

なお、「母親が不倫したから親権者にふさわしくないですよね」と質問される場合がありますが、不倫の事実は必ずしも親権の判断には直結しません。不倫相手に気をとられて育児放棄をしているようなケースでは考慮されます。

 

◆ 父親が親権を取るためにすべきこと

父親が親権を得られる可能性を上げるためには、以下が効果的です。

  • 「母親は親権者にふさわしくない」と証明するための証拠を集める
  • 養育実績を重ねる
  • 仕事を調整するなどして子といられる時間を確保する
  • 両親・兄弟など親族のサポートを得られる体制を構築する

具体的な方法はケースバイケースです。男性側の離婚に強い弁護士にご相談ください。

 

当事務所では、離婚の初回相談を無料としております。ご依頼いただき、男性の方が親権を獲得できた事例もございます。諦めずに、まずはお気軽にご相談ください。

投稿者: 松村法律事務所

2024.10.09更新

面会交流を拒否されたときの対処法

面会交流について話し合いや調停で取り決めたにもかかわらず、相手がルールを守ってくれない場合があります。

今回は、面会交流を拒否された際の対処法をご紹介します。面会交流に関する基本的な内容は以下を参照してください。

参考記事:面会交流の基礎知識

 

◆ 調停

父母の話し合いで面会交流について決めていたのに守られないときは、家庭裁判所に面会交流調停を申し立てる方法があります。

調停は、裁判所における話し合いです。調停委員を間に挟むため互いに冷静になれる点がメリットです。

調停で合意できれば裁判所により内容が書面化され、応じてもらえる可能性が高まります。合意できないときは審判手続きに移行し、裁判官による審判(判決のようなもの)が下されます。

なお、調停で決めたルールが守られないときは以下で紹介する方法が考えられますが、再度調停で話し合うことも可能です。

 

◆ 履行勧告

調停や審判で決まった内容が守られないときは、家庭裁判所に履行勧告をするよう求められます。裁判所は履行状況を調査したうえで、面会交流の義務を負っている人に対して、合意通りに義務を果たすように勧告します。

履行勧告には強制力はありません。とはいえ、裁判所から言われれば面会交流に応じてくれる場合もあります。

 

◆ 間接強制

より強力な手段が間接強制です。

いくら裁判所で決まった内容だとはいえ、子どもを無理やり連れてくるわけにはいきません。そこで、義務者に対して裁判所が「1回応じないごとに〇万円支払え」と命じて義務を果たすように促す方法がとられ、間接強制と呼ばれます。

強制的に履行を促す方法であるため、間接強制をするには、義務者が何をすればいいかが明確でなければなりません。調停条項において、面会交流の日時や頻度、時間の長さ、子どもの引き渡し方法などが特定されている必要があります。特定されていないケースでは間接強制はできません。

 

◆ 損害賠償請求

場合によっては、面会交流に応じないことを理由とした損害賠償請求ができます。認められる金額の相場は、数十万円から100万円程度です。

ただし、損害賠償が認められるのは、具体的なルールが存在しているうえに、拒否に合理的な理由がないケースに限られます。抽象的な取り決めしかない場合や、過去に虐待があったなど拒否に正当な理由がある場合は、損害賠償は認められません。

 

 

以上が面会交流を拒否されたときにできる対処法です。ケースに応じてとれる手段や実効性には差があります。ご自身で判断して手続きをするのは大変であるため、ぜひ弁護士にご相談ください。

当事務所では、離婚の初回相談を無料としております。面会交流に応じてもらえずにお困りの方は、まずはお気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2024.09.12更新

面会交流調停の流れ

面会交流について父母だけで決められないときは、面会交流調停の場で話し合いができます。

今回は、面会交流調停の流れについてご説明します。

面会交流に関する基本的な事項については、以下の記事をお読みください。

参考記事:面会交流の基礎知識

 

◆ 面会交流調停とは?

面会交流調停とは、面会交流を行うか否か、行うとしてルールをどうするかを裁判所における話し合いで決める手続きです。

面会交流については、まずは父母の間で話し合いをします。父母だけで決められない場合の方法として一般的なのが、面会交流調停です。離婚後だけでなく、離婚前の別居期間中でも申立てができます。

面会交流調停の件数は、父親の育児参加や当事者の意識の高まりなどを背景に増加傾向にあります。

 

◆ 面会交流調停の流れ

面会交流調停は、おおむね以下の流れで進みます。

 

  • 申立て

一般的には、現在子と別居している側の親(非同居親)が、子と暮らしている親(同居親)に対して申立てます。同居親からの申立ても可能です。

申立て先は、通常は相手方の住所地を管轄する家庭裁判所です。たとえば、相手方が京都市に住んでいれば、京都家庭裁判所(本庁)になります。管轄裁判所はこちらのサイトから確認できます。

申立ての基本的な必要書類・費用は以下の通りです。

・申立書(書式・記入例

・子の戸籍謄本

・収入印紙1200円分(子1人につき)

・連絡用の郵便切手(種類・枚数は裁判所により異なる)

その他、裁判所によって提出書類が定められています。京都家庭裁判所については、こちらのサイトの「面会交流」の箇所をご確認ください。

 

  • 調停当日

調停は、男女各1名の調停委員を介して行われます。平日に2時間程度の枠をとり、30分程度ずつ交互に話を聞くのが通常です。時間が延びたり、片方の話を聞く時間が長かったりする場合もあります。基本的に当事者同士は顔を合わせません。

調停が行われるのは、法廷ではなく、会議室のような場所(調停室)です。過度に身構える必要はありません。

調停の終わりに次回の日程を決めます。頻度は通常1か月~1か月半に1回です。一般的には、終結するまで半年~1年程度かかります。

 

  • 調査官調査、試行的面会交流

調停と並行して、家庭裁判所調査官による調査が行われる場合も多いです。家庭裁判所調査官は行動科学の専門家であり、当事者・子との面談や家庭訪問などを行い、調査報告書が作成されます。

「試行的面会交流」が実施される場合もあります。これは、家庭裁判所の児童室などで、調査官が関与している中で非同居親と子が交流を行うものです。単に非同居親が子と会う機会になるだけでなく、調停やその後の審判の結果に大きな影響を与えます。

 

  • 調停の終了

話し合いの結果、面会交流のルールが決まれば合意事項を書面にして終了となります。作成した書面は「調停調書」と呼ばれ、具体的なルールが記載されていれば強制執行(間接強制)も可能になる効力を有します。

話し合いがまとまらなければ調停は不成立です。審判手続きに移行し、裁判官による審判(判決のようなもの)が下されます。審判内容に不服があれば、不服申し立ても可能です。

 

以上が面会交流調停の大まかな流れです。決定事項が守られなかった場合にとれる手段については、今後改めて解説します。

当事務所では、離婚に関する初回相談を無料としております。面会交流について話し合いができずにお困りの方は、まずはお気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所