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2025.03.13更新

有責配偶者からの離婚請求

「不倫した側から離婚は請求できるの?」と聞かれることがあります。

不貞行為をして離婚の原因を作った人(有責配偶者)から離婚を求めることは可能です。ただし、通常の離婚よりもハードルが高くなります。

今回は、有責配偶者からの離婚請求について解説します。

 

◆ 有責配偶者とは?

有責配偶者とは、自ら離婚の原因を作った配偶者(夫や妻)のことです。不貞行為は法定離婚事由に該当するため、不貞をした人は有責配偶者にあたります。

法定離婚事由については、以下の記事をお読みください。

参考記事:離婚できる理由は?5つの法定離婚事由

 

◆ 有責配偶者から離婚できる?

有責配偶者から離婚を請求したとしても、相手が応じるのであれば離婚は可能です(協議離婚)。また、裁判所で調停を行い、話し合いがまとまった場合にも離婚できます(調停離婚)。

調停でも離婚できないときは裁判により争われますが、裁判では有責配偶者からの離婚請求は簡単には認められません。離婚の原因を作ったにもかかわらず、「不倫相手と結婚したい」などと考えて離婚を要求するのはあまりに身勝手であるためです。次に説明する通り、通常の離婚よりも厳しい条件を満たす必要があります。

離婚の種類について詳しくは、以下の記事をお読みください。

参考記事:離婚の種類

 

◆ 有責配偶者からの離婚が認められる要件

判例上、有責配偶者からの離婚請求は以下の3つの要件を満たした場合に限って認められます。

 

①別居が長期間に及んでいる

別居期間が10年以上になっていると、長期間だと認められやすいです。5~7年程度であっても、年齢や同居期間と比べて別居期間が長いといえれば、要件を満たすと判断される可能性があります。

 

②未成熟の子がいない

「未成熟」といえるかは、年齢だけでなく社会的・経済的に自立しているかを考慮して判断されます。高校生以上の場合には、今後の養育期間が短いと考えられ離婚が認められる可能性があります。成人であっても障害を抱えていて自立が難しいときには、未成熟の子と判断されやすいです。

 

③離婚により相手方が極めて苛酷な状態におかれることがない

離婚された側が経済的に厳しい状況におかれないかどうかが主なポイントです。十分な財産分与や養育費により、離婚された側が苛酷な状態におかれないといえれば、離婚が認められやすくなります。

 

以上が有責配偶者からの離婚請求に関する基礎知識です。実際に離婚が可能であるかはケースバイケースです。ご自身の場合はどうか知りたい方は、弁護士にご相談ください。

当事務所では、離婚の初回相談を無料としております。お悩みの方は、まずはお気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2025.02.12更新

不貞行為とは?

不貞行為が認められるときは、離婚や慰謝料請求ができます。もっとも、「どこからが不貞といえるのか」と疑問に思われる方も多いでしょう。

今回は不貞行為とは何かについて、不倫・浮気との違いにも触れつつ説明します。

 

◆ 不貞行為の意味

不貞行為とは「配偶者以外の者と、自由な意思に基づいて性的関係を結ぶこと」です。すなわち、結婚している人が、配偶者(妻や夫)以外の人と性行為に及べば不貞行為に該当します。結婚していなくても、内縁(事実婚)関係にある人がパートナー以外と性行為に及べば不貞になり得ます。

いくら仲が良くても、肉体関係がない場合には基本的に法律上の不貞行為にはなりません。また、「自由な意思に基づいて」いることが条件なので、性行為を強要された場合も不貞には該当しません。

現実には、本当に肉体関係があったかが問題になります。性行為の場面を直接撮影しているケースは稀であり、ホテルから出てきた際の写真、LINEでのやりとりなど、様々な証拠から肉体関係の有無を証明できるかがポイントです。

不貞の証拠について詳しくは、以下の記事をご覧ください。

参考記事:不倫の証拠になるもの

 

◆ 不倫・浮気との違い

日常的には、不倫や浮気といった言葉を使う場合が多いでしょう。不貞は法律用語ですが、不倫・浮気は法律用語ではありません。不倫や浮気に明確な定義はなく、人によって使い方が異なります。

大まかにいえば、不倫とは、既婚者が配偶者以外の異性と交際することをいいます。性的関係がなくても、手をつないだ、キスをしたなどで不倫にあたると考える方もいるでしょう。浮気も不倫と似た意味ですが、既婚者だけでなく独身の人にも用いられます。

日常的に用いられる不倫・浮気よりも、法律用語である不貞行為の指す範囲は狭いです。たとえ不倫・浮気があっても、法的には問題がない場合があります。

 

◆ 不貞行為に対して法律上できること

不貞行為は法定離婚事由に該当します(民法770条1号)。すなわち、パートナー以外と肉体関係を結んだ配偶者に対しては、離婚を請求できます。ただし、不貞をした側からの離婚請求は基本的に認められません。

なお、性行為に至っていなくても、状況によって「婚姻を継続しがたい重大な事由」があると認められれば離婚は可能です(民法770条5号)。

離婚理由については、以下の記事で解説しています。

参考記事:離婚できる理由は?5つの法定離婚事由

 

また、不貞は民法上の不法行為に該当するため、慰謝料請求もできます。配偶者だけでなく、不倫相手に対しても請求が可能です。不倫相手に請求できるものについて詳しくは、以下の記事をお読みください。

参考記事:不倫相手に請求できるもの

 

なお、肉体関係がなく離婚事由としての不貞は認められなくとも、不法行為には該当して慰謝料を請求できるケースもあります。離婚の場面と慰謝料請求の場面とで、若干範囲が異なるということです。

 

以上が不貞行為に関する基礎知識になります。実際に離婚や慰謝料請求が認められるかはケースバイケースです。ご自身の場合はどうか知りたい方は、ぜひご相談ください。

当事務所では、離婚に関する初回相談を無料としております。不貞・不倫についてお悩みや疑問がある方は、まずはお気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2025.01.10更新

不倫相手に請求できるもの

夫や妻が不倫(法律上は「不貞行為」と呼ばれます)をしたときには、不倫相手に慰謝料をはじめとする金銭を請求できます。

今回は、不倫相手に請求できるものをご説明します。

 

◆ 慰謝料

まず考えられるのが慰謝料です。慰謝料とは、精神的苦痛に対して支払われる金銭をいいます。不倫による精神的なショックについては、配偶者だけでなく、不倫相手に対しても金銭による賠償を請求できます。

気になる慰謝料相場は、おおむね50~300万円程度です。不倫により夫婦関係が破綻したかどうかが金額を大きく左右します。別居あるいは離婚していないと50~100万円程度であり、別居や離婚にまで至っていれば高額になります。

他には、婚姻期間、不貞行為の回数・期間、未成年の子どもの有無などが金額に影響を及ぼす要素です。

参考記事;離婚慰謝料の相場と金額を決める要素について

 

◆ 慰謝料以外の金銭(調査費用、弁護士費用)

慰謝料がメインになりますが、他の費目で金銭を請求できるケースもあります。

たとえば、探偵や興信所に支払った調査費用です。ただし、調査費用の支払いを受けられる可能性があるのは、「調査を依頼しないと不倫を証明できなかった」といえるケースに限られます。しかも、実際に支払った金額の一部しか認められない場合が多いです。

他には、弁護士費用も請求できます。こちらも全額ではなく、訴訟をして判決まで至った場合に、「弁護士費用以外の損害」の1割が弁護士費用として認められるに過ぎません。損害が300万円と認定されれば、その1割の30万円が弁護士費用として認められるということです。実際に支払った金額には及ばないケースが大半でしょう。

 

◆ 金銭以外を要求できる?

お金以外に、謝罪や配偶者との接触禁止を求めたい方もいるでしょう。しかし、法律上は強制できません。交渉の中で相手に求めていけば、要求を受け入れてもらえる可能性はあります。

 

以上が不倫相手に請求できるものです。慰謝料が基本にはなりますが、交渉や訴訟の結果として、その他の金銭や金銭以外の要求を認めてもらえるケースもあります。そもそも請求できるか、できるとして内容がどうなるかはケースバイケースですので、まずはご相談ください。

当事務所では、離婚の初回相談を無料としております。配偶者に不倫されお悩みの方は、お気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2024.12.19更新

子の連れ去りへの対処法

別居中や離婚協議中などに、相手方に子を連れ去られてしまうケースがあります。子を取り返すにはどうすればいいのでしょうか?

今回は、子の連れ去りへの対処法をご紹介します。

 

◆ 子の連れ去りの違法性

「子の連れ去り」といっても、態様は様々考えられます。違法になるかはケースバイケースです。

別居時に子を連れていく行為は、一般的には違法になりづらいです。とりわけ、主に監護していた側が子を連れていくケースや、配偶者による虐待・DVがあったケースでは正当と考えられます。

別居後に相手の元から子を奪うと、違法になる可能性が高まります。特に、保育園に迎えに行って連れ去る行為や、相手から無理やり奪う行為は違法と判断されやすいです。

違法に連れ出す行為は、親権者を決定する際には不利に評価されます。他にも、精神的苦痛に対する慰謝料が発生したり、刑法上の未成年者略取罪が成立したりする可能性があります。

 

◆ 子を連れ去られたときの対処法

子を連れ去られたからといって、実力行使により取り戻してはなりません。強引に取り戻す行為が違法となります。自力で取り戻すのではなく、法的な手続きを利用してください。

考えられる法的手続きはいくつかありますが、連れ去りの場合に一般的なのは「子の引渡し審判」の申立てです。調停も考えられますが、話し合いのため時間を要します。迅速に取り戻すためには審判を申立てましょう。引き渡しが認められたにもかかわらず相手が応じなければ、強制執行が可能です。

また、早期の引き渡しを実現するために、審判とあわせて「審判前の保全処分」も申立ててください。認められれば、仮に子の引き渡しが命じられます。

加えて、「子の監護者指定の審判」も申立てましょう。子の監護者として認められるかは、親権と同様の基準で判断されます。

参考記事:親権の判断基準

他には、人身保護請求や未成年者略取罪での刑事告訴も考えられますが、ハードルは高いです。「子の引渡し審判+審判前の保全処分+監護者指定の審判」が一般的になります。

 

以上が子の連れ去りへの基本的な対処法です。とはいえ、連れ去りが違法になるか、いかなる対処法をとるべきかは、ケースバイケースです。いずれにせよ実力行使はしてはなりません。相手の元に子がいる状態が続くと親権決定の際に不利に働くおそれがあるため、お早めに弁護士にご相談ください。

当事務所では、離婚の初回相談を無料としております。子を連れ去られてお困りの方は、すぐにお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2024.11.08更新

父親が親権を獲得できるケース

男性の方から「親権を取りたい」とご相談いただくケースがよくあります。現実問題として、父親が親権を取りづらいのは事実です。とはいえ、親権を獲得できるケースもあるので諦める必要はありません。

今回が、父親が親権を獲得できるケースについて解説します。親権の基礎知識を知りたい方は、以下の記事をお読みください。

参考記事:親権とは?内容や監護権との違い

 

◆ 父親が親権を取るのは難しい

離婚時の親権をいずれが得るかは、父母間の話し合いや調停などで決まります。実際には、母が親権を獲得するケースが多いです。裁判所での調停・審判においては、9割以上で母が親権者となっています(参考:令和5年司法統計年報 3家事編p.43|最高裁判所)。

父親が親権を取るのが難しい理由としては、以下が考えられます。

  • 母親の方が子と一緒にいる時間が長い
  • 特に乳幼児の場合、「母性優先」の考えが強い
  • 子が母を希望しやすい

父親の方が収入が多いとしても、養育費でカバーすればいいと考えられてしまい、経済力はさほど重要な要素にはなりません。

親権の判断基準については、以下の記事で詳しく解説しています。

参考記事:親権の判断基準

 

◆ 父親が親権を獲得できるケース

一般的には、父親が親権を得るハードルは高いです。とはいえ、以下のケースでは父親に親権が認められる可能性が高まります。

  • 父親が主に世話をしてきた
  • 母親がDVや育児放棄をしている
  • 母親が精神疾患など心身に深刻な問題を抱えている
  • 子が父の親権獲得を希望している(子が大きい場合)

これらの事情がある場合には、十分に可能性があります。

なお、「母親が不倫したから親権者にふさわしくないですよね」と質問される場合がありますが、不倫の事実は必ずしも親権の判断には直結しません。不倫相手に気をとられて育児放棄をしているようなケースでは考慮されます。

 

◆ 父親が親権を取るためにすべきこと

父親が親権を得られる可能性を上げるためには、以下が効果的です。

  • 「母親は親権者にふさわしくない」と証明するための証拠を集める
  • 養育実績を重ねる
  • 仕事を調整するなどして子といられる時間を確保する
  • 両親・兄弟など親族のサポートを得られる体制を構築する

具体的な方法はケースバイケースです。男性側の離婚に強い弁護士にご相談ください。

 

当事務所では、離婚の初回相談を無料としております。ご依頼いただき、男性の方が親権を獲得できた事例もございます。諦めずに、まずはお気軽にご相談ください。

投稿者: 松村法律事務所

2024.10.09更新

面会交流を拒否されたときの対処法

面会交流について話し合いや調停で取り決めたにもかかわらず、相手がルールを守ってくれない場合があります。

今回は、面会交流を拒否された際の対処法をご紹介します。面会交流に関する基本的な内容は以下を参照してください。

参考記事:面会交流の基礎知識

 

◆ 調停

父母の話し合いで面会交流について決めていたのに守られないときは、家庭裁判所に面会交流調停を申し立てる方法があります。

調停は、裁判所における話し合いです。調停委員を間に挟むため互いに冷静になれる点がメリットです。

調停で合意できれば裁判所により内容が書面化され、応じてもらえる可能性が高まります。合意できないときは審判手続きに移行し、裁判官による審判(判決のようなもの)が下されます。

なお、調停で決めたルールが守られないときは以下で紹介する方法が考えられますが、再度調停で話し合うことも可能です。

 

◆ 履行勧告

調停や審判で決まった内容が守られないときは、家庭裁判所に履行勧告をするよう求められます。裁判所は履行状況を調査したうえで、面会交流の義務を負っている人に対して、合意通りに義務を果たすように勧告します。

履行勧告には強制力はありません。とはいえ、裁判所から言われれば面会交流に応じてくれる場合もあります。

 

◆ 間接強制

より強力な手段が間接強制です。

いくら裁判所で決まった内容だとはいえ、子どもを無理やり連れてくるわけにはいきません。そこで、義務者に対して裁判所が「1回応じないごとに〇万円支払え」と命じて義務を果たすように促す方法がとられ、間接強制と呼ばれます。

強制的に履行を促す方法であるため、間接強制をするには、義務者が何をすればいいかが明確でなければなりません。調停条項において、面会交流の日時や頻度、時間の長さ、子どもの引き渡し方法などが特定されている必要があります。特定されていないケースでは間接強制はできません。

 

◆ 損害賠償請求

場合によっては、面会交流に応じないことを理由とした損害賠償請求ができます。認められる金額の相場は、数十万円から100万円程度です。

ただし、損害賠償が認められるのは、具体的なルールが存在しているうえに、拒否に合理的な理由がないケースに限られます。抽象的な取り決めしかない場合や、過去に虐待があったなど拒否に正当な理由がある場合は、損害賠償は認められません。

 

 

以上が面会交流を拒否されたときにできる対処法です。ケースに応じてとれる手段や実効性には差があります。ご自身で判断して手続きをするのは大変であるため、ぜひ弁護士にご相談ください。

当事務所では、離婚の初回相談を無料としております。面会交流に応じてもらえずにお困りの方は、まずはお気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2024.09.12更新

面会交流調停の流れ

面会交流について父母だけで決められないときは、面会交流調停の場で話し合いができます。

今回は、面会交流調停の流れについてご説明します。

面会交流に関する基本的な事項については、以下の記事をお読みください。

参考記事:面会交流の基礎知識

 

◆ 面会交流調停とは?

面会交流調停とは、面会交流を行うか否か、行うとしてルールをどうするかを裁判所における話し合いで決める手続きです。

面会交流については、まずは父母の間で話し合いをします。父母だけで決められない場合の方法として一般的なのが、面会交流調停です。離婚後だけでなく、離婚前の別居期間中でも申立てができます。

面会交流調停の件数は、父親の育児参加や当事者の意識の高まりなどを背景に増加傾向にあります。

 

◆ 面会交流調停の流れ

面会交流調停は、おおむね以下の流れで進みます。

 

  • 申立て

一般的には、現在子と別居している側の親(非同居親)が、子と暮らしている親(同居親)に対して申立てます。同居親からの申立ても可能です。

申立て先は、通常は相手方の住所地を管轄する家庭裁判所です。たとえば、相手方が京都市に住んでいれば、京都家庭裁判所(本庁)になります。管轄裁判所はこちらのサイトから確認できます。

申立ての基本的な必要書類・費用は以下の通りです。

・申立書(書式・記入例

・子の戸籍謄本

・収入印紙1200円分(子1人につき)

・連絡用の郵便切手(種類・枚数は裁判所により異なる)

その他、裁判所によって提出書類が定められています。京都家庭裁判所については、こちらのサイトの「面会交流」の箇所をご確認ください。

 

  • 調停当日

調停は、男女各1名の調停委員を介して行われます。平日に2時間程度の枠をとり、30分程度ずつ交互に話を聞くのが通常です。時間が延びたり、片方の話を聞く時間が長かったりする場合もあります。基本的に当事者同士は顔を合わせません。

調停が行われるのは、法廷ではなく、会議室のような場所(調停室)です。過度に身構える必要はありません。

調停の終わりに次回の日程を決めます。頻度は通常1か月~1か月半に1回です。一般的には、終結するまで半年~1年程度かかります。

 

  • 調査官調査、試行的面会交流

調停と並行して、家庭裁判所調査官による調査が行われる場合も多いです。家庭裁判所調査官は行動科学の専門家であり、当事者・子との面談や家庭訪問などを行い、調査報告書が作成されます。

「試行的面会交流」が実施される場合もあります。これは、家庭裁判所の児童室などで、調査官が関与している中で非同居親と子が交流を行うものです。単に非同居親が子と会う機会になるだけでなく、調停やその後の審判の結果に大きな影響を与えます。

 

  • 調停の終了

話し合いの結果、面会交流のルールが決まれば合意事項を書面にして終了となります。作成した書面は「調停調書」と呼ばれ、具体的なルールが記載されていれば強制執行(間接強制)も可能になる効力を有します。

話し合いがまとまらなければ調停は不成立です。審判手続きに移行し、裁判官による審判(判決のようなもの)が下されます。審判内容に不服があれば、不服申し立ても可能です。

 

以上が面会交流調停の大まかな流れです。決定事項が守られなかった場合にとれる手段については、今後改めて解説します。

当事務所では、離婚に関する初回相談を無料としております。面会交流について話し合いができずにお困りの方は、まずはお気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2024.08.26更新

面会交流をしない方がいいケース

離れて暮らしている親(非同居親)との面会交流は、子どもの健全な成長にとって必要なものです。とはいえ、かえって悪影響が生じる場合には、子の利益になりません。

今回は、面会交流をしない方がいいケースについて解説します。

 

◆ 子に虐待をしていた

別居・離婚前に、非同居親が子に虐待をしていた場合には、面会交流はすべきではありません。

虐待には、身体的な暴力はもちろん、精神的な攻撃も含まれます。面会交流をすると虐待が繰り返され、子が暴行を受ける、精神的なダメージを受けるといったリスクが高いです。

虐待があったケースは、面会交流をしない方がよい典型例といえます。

 

◆ 配偶者にDVをしていた

非同居親が子には虐待をしていないものの、(元)配偶者にはDVをしていたケースもあります。DVにより心身に傷を負った被害者としては「あんな人と会わせたくない、連絡をとりたくない」と思うのはもっともです。

両親の間でDVがあると子どもにも精神的な傷が残り、非同居親と会えば記憶が喚起される恐れがあります。また、同居親にとっては、DV加害者と関わりを持つこと自体が大きな苦痛になるでしょう。

ただし、非同居親と子との関係に問題がなければ、子の成長のためには会わせるべきケースもあります。子ども本人への暴力と配偶者への暴力は少し性質が異なる点を頭に入れて、判断しなければなりません。

 

◆ 子を連れ去る恐れがある

過去に連れ去った事実があるなど、連れ去りのリスクが高いケースでは面会交流をすべきではありません。ただし、単に「連れ去りそうである」と主張するだけでは十分でなく、ある程度の根拠が必要です。

また、完全に預けるのではなく、同居親が立ち会う、第三者機関のもとで行うといった方法も考えられます。電話・メールなどでの間接交流も選択肢のひとつです。

 

◆ 子が拒絶している

子自身が非同居親と会うのを嫌がっているときにも、面会交流が適切でない場合があります。

注意して欲しいのが、子の本心であるかどうかです。「会いたくない」と口では言っていても、同居親に気を遣っているだけのケースは多いです。

また、子が会いたくないと考えていても、健全な成長のために会うべき場合もあります。「子どもが会いたがっていない」という理由のときは、本当に面会交流をすべきでないかをよく検討しなければなりません。

 

以上が面会交流をしない方がいい代表的なケースです。他にも、再婚した、アルコール依存症であるなど、是非を検討すべきケースは多々あります。

ただし、一律に「○○だから面会交流はしない」と決められるわけではありません。子の健全な成長の観点から判断されるべきです。なお、養育費の支払いは別問題ですので、「養育費を支払わないから会わせない」との主張は認められません。

直接会わずとも電話・メールなどでの交流を検討すべき場合もあります。ケースバイケースなので、まずは弁護士にご相談ください。

当事務所では、離婚に関する初回相談を無料としております。「面会交流を拒否したい」あるいは「相手が応じてくれない」とお悩みの方は、お気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2024.07.10更新

面会交流の基礎知識

別居・離婚により離れて暮らしているとしても、親である以上は子との「面会交流」ができます。もっとも、面会交流をめぐって両親が争うケースは非常に多いです。

今回は、面会交流とは何か、いかなる内容を決めるかといった基本的な知識を解説します。

 

◆ 面会交流とは?

面会交流とは、未成年の子どもと離れて暮らしている親が、子と会うなどして交流することです。離婚した後だけでなく、離婚前の別居状態のときにも問題になります。

面会交流が認められているのは、子の健全な成長に必要であるためです。たとえ親同士の仲が悪いとしても、子にとっては唯一の父・母である事実に変わりはありません。離れて暮らしているからこそ、面会交流により子が両親の愛情を実感するのが重要になります。

虐待や連れ去りのおそれがあるといった例外的なケースを除いて、子の健全な成長のためには面会交流を行うべきです。親権と異なり、面会交流について定めなくても離婚自体は可能ですが、円滑に行うためには離婚時に取り決めをしておくのが望ましいといえます。

しかし現実には、面会交流に関する争いは後を絶ちません。子を監護している側の親が嫌がるなどして、スムーズに進まないケースがよくあります。

「親の権利(義務)だ」という考えばかりが先走ってしまうと、子どもの都合を無視した争いになってしまいがちです。面会交流においては「子の利益が第一」という視点を頭に入れておいてください。

 

◆ 面会交流の内容・決めること

具体的な面会交流の内容としては、直接会うことがメインです。

直接会う際のルールとして、以下の点を事前に取り決めておく必要があります。

・頻度(例:月1回)

・日時(例:第1土曜日の10:00~17;00まで)

・場所(例:監護していない親の自宅)

・引き渡し方法(例:非監護親の自宅最寄り駅で引き渡す)

・連絡方法(例:親同士のLINE)

・その他(宿泊可能か、学校行事や長期休暇の際のルール、祖父母の立会いの可否など)

直接会う以外に、電話・メールなどでの交流について定めておく場合もあります。プレゼントやお小遣いについて決めておくのもよいでしょう。

あらかじめ一定のルールを定める必要はありますが、子の成長に伴って状況は変化するため、都度見直しするようにしてください。面会交流は子の利益のために行うものである点を忘れないようにしましょう。

 

以上が面会交流に関する基本的な知識です。次回以降、争いになったときの決め方や、面会交流をすべきでないケースなどについて解説していきます。

当事務所では離婚に関する初回相談を無料としております。面会交流についてお悩みの方は、まずはお気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2024.06.13更新

親権者を変更できるケースと必要な手続き

離婚の際に決めた親権者を後から変更できるケースがあります。もっとも、両親だけで勝手に決めることはできず、裁判所での手続きを経なければなりません。

今回は、親権者を変更できるケースや必要な手続きについて解説します。そもそも親権とは何かを知りたい方は、以下を参照してください。

参考記事:親権とは?内容や監護権との違い

 

◆ 親権者を変更できるケース

離婚時に決めた親権者は変更が可能です。変更できる例としては、親権者に以下の事情があるケースが挙げられます。

  • 虐待・育児放棄している
  • 重大な病気で子育てを続けるのが難しい
  • 海外転勤で養育環境が大きく変わる

親権者をコロコロ変えるのは子どものためになりません。子どもの利益にかなう場合にのみ変更が認められるのであり、ハードルは必然的に高くなります。たとえば、単に相手の子育て方針が気に入らない、面会交流に応じないといった理由だけで親権者を自分にしてもらうのは困難です。

 

◆ 親権者を変更するための手続き

親権者を変更するためには、裁判所での手続きを踏む必要があります。たとえ両親が合意したとしても、勝手な変更は認められていません。離婚の際には両親の話し合いだけで決められますが、一度決めた親権者を離婚後に変更するときには裁判所への申立てが要求されるので注意してください。

変更を求める際には、裁判所に親権者変更調停を申立てます。調停とは、裁判所でする話し合いです。第三者である調停委員を間に挟んで、親権者を変える理由があるかどうかを、提出された資料などをもとに話し合います。両親の合意があればスムーズに進みますが、対立が激しければ時間を要します。

調停で結論が出ないときには審判に移行し、最終的には裁判官が判断をくだします。

調停や審判で「親権者を変更する」との結論が確定したときは、親権者になった人が役所に届出を提出しなければなりません。

 

親権者の変更を求める際には、変更するだけの十分な理由があると示す必要があります。ご自身だけで進めるのは難しい場合も多いので、弁護士に相談・依頼するのがオススメです。

当事務所では、離婚に関する初回相談を無料としています。アドバイスだけ受けて依頼しなくても構いません。「親権者を変更したい」「変更できるのか知りたい」といった方は、お気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所