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2024.11.08更新

父親が親権を獲得できるケース

男性の方から「親権を取りたい」とご相談いただくケースがよくあります。現実問題として、父親が親権を取りづらいのは事実です。とはいえ、親権を獲得できるケースもあるので諦める必要はありません。

今回が、父親が親権を獲得できるケースについて解説します。親権の基礎知識を知りたい方は、以下の記事をお読みください。

参考記事:親権とは?内容や監護権との違い

 

◆ 父親が親権を取るのは難しい

離婚時の親権をいずれが得るかは、父母間の話し合いや調停などで決まります。実際には、母が親権を獲得するケースが多いです。裁判所での調停・審判においては、9割以上で母が親権者となっています(参考:令和5年司法統計年報 3家事編p.43|最高裁判所)。

父親が親権を取るのが難しい理由としては、以下が考えられます。

  • 母親の方が子と一緒にいる時間が長い
  • 特に乳幼児の場合、「母性優先」の考えが強い
  • 子が母を希望しやすい

父親の方が収入が多いとしても、養育費でカバーすればいいと考えられてしまい、経済力はさほど重要な要素にはなりません。

親権の判断基準については、以下の記事で詳しく解説しています。

参考記事:親権の判断基準

 

◆ 父親が親権を獲得できるケース

一般的には、父親が親権を得るハードルは高いです。とはいえ、以下のケースでは父親に親権が認められる可能性が高まります。

  • 父親が主に世話をしてきた
  • 母親がDVや育児放棄をしている
  • 母親が精神疾患など心身に深刻な問題を抱えている
  • 子が父の親権獲得を希望している(子が大きい場合)

これらの事情がある場合には、十分に可能性があります。

なお、「母親が不倫したから親権者にふさわしくないですよね」と質問される場合がありますが、不倫の事実は必ずしも親権の判断には直結しません。不倫相手に気をとられて育児放棄をしているようなケースでは考慮されます。

 

◆ 父親が親権を取るためにすべきこと

父親が親権を得られる可能性を上げるためには、以下が効果的です。

  • 「母親は親権者にふさわしくない」と証明するための証拠を集める
  • 養育実績を重ねる
  • 仕事を調整するなどして子といられる時間を確保する
  • 両親・兄弟など親族のサポートを得られる体制を構築する

具体的な方法はケースバイケースです。男性側の離婚に強い弁護士にご相談ください。

 

当事務所では、離婚の初回相談を無料としております。ご依頼いただき、男性の方が親権を獲得できた事例もございます。諦めずに、まずはお気軽にご相談ください。

投稿者: 松村法律事務所

2024.10.09更新

面会交流を拒否されたときの対処法

面会交流について話し合いや調停で取り決めたにもかかわらず、相手がルールを守ってくれない場合があります。

今回は、面会交流を拒否された際の対処法をご紹介します。面会交流に関する基本的な内容は以下を参照してください。

参考記事:面会交流の基礎知識

 

◆ 調停

父母の話し合いで面会交流について決めていたのに守られないときは、家庭裁判所に面会交流調停を申し立てる方法があります。

調停は、裁判所における話し合いです。調停委員を間に挟むため互いに冷静になれる点がメリットです。

調停で合意できれば裁判所により内容が書面化され、応じてもらえる可能性が高まります。合意できないときは審判手続きに移行し、裁判官による審判(判決のようなもの)が下されます。

なお、調停で決めたルールが守られないときは以下で紹介する方法が考えられますが、再度調停で話し合うことも可能です。

 

◆ 履行勧告

調停や審判で決まった内容が守られないときは、家庭裁判所に履行勧告をするよう求められます。裁判所は履行状況を調査したうえで、面会交流の義務を負っている人に対して、合意通りに義務を果たすように勧告します。

履行勧告には強制力はありません。とはいえ、裁判所から言われれば面会交流に応じてくれる場合もあります。

 

◆ 間接強制

より強力な手段が間接強制です。

いくら裁判所で決まった内容だとはいえ、子どもを無理やり連れてくるわけにはいきません。そこで、義務者に対して裁判所が「1回応じないごとに〇万円支払え」と命じて義務を果たすように促す方法がとられ、間接強制と呼ばれます。

強制的に履行を促す方法であるため、間接強制をするには、義務者が何をすればいいかが明確でなければなりません。調停条項において、面会交流の日時や頻度、時間の長さ、子どもの引き渡し方法などが特定されている必要があります。特定されていないケースでは間接強制はできません。

 

◆ 損害賠償請求

場合によっては、面会交流に応じないことを理由とした損害賠償請求ができます。認められる金額の相場は、数十万円から100万円程度です。

ただし、損害賠償が認められるのは、具体的なルールが存在しているうえに、拒否に合理的な理由がないケースに限られます。抽象的な取り決めしかない場合や、過去に虐待があったなど拒否に正当な理由がある場合は、損害賠償は認められません。

 

 

以上が面会交流を拒否されたときにできる対処法です。ケースに応じてとれる手段や実効性には差があります。ご自身で判断して手続きをするのは大変であるため、ぜひ弁護士にご相談ください。

当事務所では、離婚の初回相談を無料としております。面会交流に応じてもらえずにお困りの方は、まずはお気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2024.09.12更新

面会交流調停の流れ

面会交流について父母だけで決められないときは、面会交流調停の場で話し合いができます。

今回は、面会交流調停の流れについてご説明します。

面会交流に関する基本的な事項については、以下の記事をお読みください。

参考記事:面会交流の基礎知識

 

◆ 面会交流調停とは?

面会交流調停とは、面会交流を行うか否か、行うとしてルールをどうするかを裁判所における話し合いで決める手続きです。

面会交流については、まずは父母の間で話し合いをします。父母だけで決められない場合の方法として一般的なのが、面会交流調停です。離婚後だけでなく、離婚前の別居期間中でも申立てができます。

面会交流調停の件数は、父親の育児参加や当事者の意識の高まりなどを背景に増加傾向にあります。

 

◆ 面会交流調停の流れ

面会交流調停は、おおむね以下の流れで進みます。

 

  • 申立て

一般的には、現在子と別居している側の親(非同居親)が、子と暮らしている親(同居親)に対して申立てます。同居親からの申立ても可能です。

申立て先は、通常は相手方の住所地を管轄する家庭裁判所です。たとえば、相手方が京都市に住んでいれば、京都家庭裁判所(本庁)になります。管轄裁判所はこちらのサイトから確認できます。

申立ての基本的な必要書類・費用は以下の通りです。

・申立書(書式・記入例

・子の戸籍謄本

・収入印紙1200円分(子1人につき)

・連絡用の郵便切手(種類・枚数は裁判所により異なる)

その他、裁判所によって提出書類が定められています。京都家庭裁判所については、こちらのサイトの「面会交流」の箇所をご確認ください。

 

  • 調停当日

調停は、男女各1名の調停委員を介して行われます。平日に2時間程度の枠をとり、30分程度ずつ交互に話を聞くのが通常です。時間が延びたり、片方の話を聞く時間が長かったりする場合もあります。基本的に当事者同士は顔を合わせません。

調停が行われるのは、法廷ではなく、会議室のような場所(調停室)です。過度に身構える必要はありません。

調停の終わりに次回の日程を決めます。頻度は通常1か月~1か月半に1回です。一般的には、終結するまで半年~1年程度かかります。

 

  • 調査官調査、試行的面会交流

調停と並行して、家庭裁判所調査官による調査が行われる場合も多いです。家庭裁判所調査官は行動科学の専門家であり、当事者・子との面談や家庭訪問などを行い、調査報告書が作成されます。

「試行的面会交流」が実施される場合もあります。これは、家庭裁判所の児童室などで、調査官が関与している中で非同居親と子が交流を行うものです。単に非同居親が子と会う機会になるだけでなく、調停やその後の審判の結果に大きな影響を与えます。

 

  • 調停の終了

話し合いの結果、面会交流のルールが決まれば合意事項を書面にして終了となります。作成した書面は「調停調書」と呼ばれ、具体的なルールが記載されていれば強制執行(間接強制)も可能になる効力を有します。

話し合いがまとまらなければ調停は不成立です。審判手続きに移行し、裁判官による審判(判決のようなもの)が下されます。審判内容に不服があれば、不服申し立ても可能です。

 

以上が面会交流調停の大まかな流れです。決定事項が守られなかった場合にとれる手段については、今後改めて解説します。

当事務所では、離婚に関する初回相談を無料としております。面会交流について話し合いができずにお困りの方は、まずはお気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2024.08.26更新

面会交流をしない方がいいケース

離れて暮らしている親(非同居親)との面会交流は、子どもの健全な成長にとって必要なものです。とはいえ、かえって悪影響が生じる場合には、子の利益になりません。

今回は、面会交流をしない方がいいケースについて解説します。

 

◆ 子に虐待をしていた

別居・離婚前に、非同居親が子に虐待をしていた場合には、面会交流はすべきではありません。

虐待には、身体的な暴力はもちろん、精神的な攻撃も含まれます。面会交流をすると虐待が繰り返され、子が暴行を受ける、精神的なダメージを受けるといったリスクが高いです。

虐待があったケースは、面会交流をしない方がよい典型例といえます。

 

◆ 配偶者にDVをしていた

非同居親が子には虐待をしていないものの、(元)配偶者にはDVをしていたケースもあります。DVにより心身に傷を負った被害者としては「あんな人と会わせたくない、連絡をとりたくない」と思うのはもっともです。

両親の間でDVがあると子どもにも精神的な傷が残り、非同居親と会えば記憶が喚起される恐れがあります。また、同居親にとっては、DV加害者と関わりを持つこと自体が大きな苦痛になるでしょう。

ただし、非同居親と子との関係に問題がなければ、子の成長のためには会わせるべきケースもあります。子ども本人への暴力と配偶者への暴力は少し性質が異なる点を頭に入れて、判断しなければなりません。

 

◆ 子を連れ去る恐れがある

過去に連れ去った事実があるなど、連れ去りのリスクが高いケースでは面会交流をすべきではありません。ただし、単に「連れ去りそうである」と主張するだけでは十分でなく、ある程度の根拠が必要です。

また、完全に預けるのではなく、同居親が立ち会う、第三者機関のもとで行うといった方法も考えられます。電話・メールなどでの間接交流も選択肢のひとつです。

 

◆ 子が拒絶している

子自身が非同居親と会うのを嫌がっているときにも、面会交流が適切でない場合があります。

注意して欲しいのが、子の本心であるかどうかです。「会いたくない」と口では言っていても、同居親に気を遣っているだけのケースは多いです。

また、子が会いたくないと考えていても、健全な成長のために会うべき場合もあります。「子どもが会いたがっていない」という理由のときは、本当に面会交流をすべきでないかをよく検討しなければなりません。

 

以上が面会交流をしない方がいい代表的なケースです。他にも、再婚した、アルコール依存症であるなど、是非を検討すべきケースは多々あります。

ただし、一律に「○○だから面会交流はしない」と決められるわけではありません。子の健全な成長の観点から判断されるべきです。なお、養育費の支払いは別問題ですので、「養育費を支払わないから会わせない」との主張は認められません。

直接会わずとも電話・メールなどでの交流を検討すべき場合もあります。ケースバイケースなので、まずは弁護士にご相談ください。

当事務所では、離婚に関する初回相談を無料としております。「面会交流を拒否したい」あるいは「相手が応じてくれない」とお悩みの方は、お気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2024.07.10更新

面会交流の基礎知識

別居・離婚により離れて暮らしているとしても、親である以上は子との「面会交流」ができます。もっとも、面会交流をめぐって両親が争うケースは非常に多いです。

今回は、面会交流とは何か、いかなる内容を決めるかといった基本的な知識を解説します。

 

◆ 面会交流とは?

面会交流とは、未成年の子どもと離れて暮らしている親が、子と会うなどして交流することです。離婚した後だけでなく、離婚前の別居状態のときにも問題になります。

面会交流が認められているのは、子の健全な成長に必要であるためです。たとえ親同士の仲が悪いとしても、子にとっては唯一の父・母である事実に変わりはありません。離れて暮らしているからこそ、面会交流により子が両親の愛情を実感するのが重要になります。

虐待や連れ去りのおそれがあるといった例外的なケースを除いて、子の健全な成長のためには面会交流を行うべきです。親権と異なり、面会交流について定めなくても離婚自体は可能ですが、円滑に行うためには離婚時に取り決めをしておくのが望ましいといえます。

しかし現実には、面会交流に関する争いは後を絶ちません。子を監護している側の親が嫌がるなどして、スムーズに進まないケースがよくあります。

「親の権利(義務)だ」という考えばかりが先走ってしまうと、子どもの都合を無視した争いになってしまいがちです。面会交流においては「子の利益が第一」という視点を頭に入れておいてください。

 

◆ 面会交流の内容・決めること

具体的な面会交流の内容としては、直接会うことがメインです。

直接会う際のルールとして、以下の点を事前に取り決めておく必要があります。

・頻度(例:月1回)

・日時(例:第1土曜日の10:00~17;00まで)

・場所(例:監護していない親の自宅)

・引き渡し方法(例:非監護親の自宅最寄り駅で引き渡す)

・連絡方法(例:親同士のLINE)

・その他(宿泊可能か、学校行事や長期休暇の際のルール、祖父母の立会いの可否など)

直接会う以外に、電話・メールなどでの交流について定めておく場合もあります。プレゼントやお小遣いについて決めておくのもよいでしょう。

あらかじめ一定のルールを定める必要はありますが、子の成長に伴って状況は変化するため、都度見直しするようにしてください。面会交流は子の利益のために行うものである点を忘れないようにしましょう。

 

以上が面会交流に関する基本的な知識です。次回以降、争いになったときの決め方や、面会交流をすべきでないケースなどについて解説していきます。

当事務所では離婚に関する初回相談を無料としております。面会交流についてお悩みの方は、まずはお気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2024.06.13更新

親権者を変更できるケースと必要な手続き

離婚の際に決めた親権者を後から変更できるケースがあります。もっとも、両親だけで勝手に決めることはできず、裁判所での手続きを経なければなりません。

今回は、親権者を変更できるケースや必要な手続きについて解説します。そもそも親権とは何かを知りたい方は、以下を参照してください。

参考記事:親権とは?内容や監護権との違い

 

◆ 親権者を変更できるケース

離婚時に決めた親権者は変更が可能です。変更できる例としては、親権者に以下の事情があるケースが挙げられます。

  • 虐待・育児放棄している
  • 重大な病気で子育てを続けるのが難しい
  • 海外転勤で養育環境が大きく変わる

親権者をコロコロ変えるのは子どものためになりません。子どもの利益にかなう場合にのみ変更が認められるのであり、ハードルは必然的に高くなります。たとえば、単に相手の子育て方針が気に入らない、面会交流に応じないといった理由だけで親権者を自分にしてもらうのは困難です。

 

◆ 親権者を変更するための手続き

親権者を変更するためには、裁判所での手続きを踏む必要があります。たとえ両親が合意したとしても、勝手な変更は認められていません。離婚の際には両親の話し合いだけで決められますが、一度決めた親権者を離婚後に変更するときには裁判所への申立てが要求されるので注意してください。

変更を求める際には、裁判所に親権者変更調停を申立てます。調停とは、裁判所でする話し合いです。第三者である調停委員を間に挟んで、親権者を変える理由があるかどうかを、提出された資料などをもとに話し合います。両親の合意があればスムーズに進みますが、対立が激しければ時間を要します。

調停で結論が出ないときには審判に移行し、最終的には裁判官が判断をくだします。

調停や審判で「親権者を変更する」との結論が確定したときは、親権者になった人が役所に届出を提出しなければなりません。

 

親権者の変更を求める際には、変更するだけの十分な理由があると示す必要があります。ご自身だけで進めるのは難しい場合も多いので、弁護士に相談・依頼するのがオススメです。

当事務所では、離婚に関する初回相談を無料としています。アドバイスだけ受けて依頼しなくても構いません。「親権者を変更したい」「変更できるのか知りたい」といった方は、お気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2024.05.08更新

親権の判断基準

離婚後に子の親権者を誰にするかは夫婦間の話し合いで決められますが、最終的には裁判所が判断します。

今回は、裁判所が親権者を決める際の判断基準について解説します。

 

◆ 子どもの利益が最優先

親権を父母のいずれが取得するかは、様々な要素を総合的に考慮して判断されます。何かひとつの基準だけで決まるわけではありません。

以下で個々の判断基準を紹介しますが、基本的な考えは「子の利益になるか」です。両親の都合ではなく、「子どもの成長のためにどうすべきか」との観点から判断されます。

 

◆ 父母側の事情

父母の側の事情としては、以下の要素が考慮されます。

  • これまでの監護状況
  • 現在の監護状況
  • 監護能力(年齢、健康状態、経済力、生活環境、実家の援助、監護意欲、子どもへの愛情の程度など)
  • 面会交流に協力的か

「収入が少ない自分が親権をとれるのか」と気にする方がいますが、相手に養育費の支払い義務が生じる以上、過度に心配する必要はありません。また、不貞行為をした側であっても、子どもへの影響が少ない場合には親権の獲得が可能です。

 

◆ 子ども側の事情

子どもの側の事情としては、以下が挙げられます。

  • 年齢・性別
  • 心身の発育状況
  • 兄弟姉妹との関係
  • 現在の環境への適応状況
  • 環境変化への適応性
  • 父母との結びつき
  • 子ども自身の意思

 

◆ 特に重視される点

考慮要素を網羅的に挙げましたが、特に知っておいて欲しいのは以下の観点です。

 

・監護の継続性

現在監護している親のもとで安定した生活ができていれば、現状が重視されます。環境が変化しないことが子の利益になると考えられるためです。

もっとも、違法に子どもを連れ去って手元に置いている場合には、この限りではありません。

 

・母性優先 

特に乳幼児の場合には母親の役割が重要と考えられており、母が親権を得るケースが多いです。

ただし「必ず母親になる」というわけではありません。性別だけで決めるのではなく、メインで面倒を見ていた側が監護を続けるのがよいと考えられています。

 

・子の意思

一定以上の年齢であれば、子の意思も重要です。

子どもが15歳以上のときには、裁判所が判断する際に子の意見を聴かなければならないと法律上定められています。実務上は、15歳未満であっても、10歳程度以上であれば意思を確認しています。

 

・兄弟姉妹不分離 

兄弟姉妹がいるときには、なるべく親権者を分けない方がよいとされています。兄弟姉妹は精神面のつながりが強いと考えられるためです。

もっとも、長年別々に生活してきた、ある程度成長しているといった状況であれば、あまり重視されません。

 

・面会交流への寛容さ

面会交流に寛容であるかも、ひとつの判断基準とされています。子の成長にとっては、親権者でない親との交流も重要であるためです。

面会交流に協力的な姿勢を示せば、親権獲得のために多かれ少なかれプラスになります。

 

 

以上が親権の判断基準です。様々な要素を紹介しましたが、総合的に判断されるのであり、ひとつの理由だけで決まるわけではありません。気になる方は、弁護士に相談してみるとよいでしょう。

当事務所では離婚の初回相談を無料としています。「自分は親権をとれるのか」と不安・疑問をお持ちの方は、お気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2024.04.10更新

親権の決め方|決定するまでの流れ

離婚後の親権について法改正の議論が進んでいますが、現在の法律では離婚後は単独親権となります。親権を父母のいずれが取得するか争いになるケースは非常に多いです。

親権が決まるまでの流れは、大まかにいえば「協議→調停→裁判」です。以下で詳しく解説します。

 

◆ 夫婦での協議

まずは、夫婦間の話し合いによって離婚後に親権をどちらが取得するかを決めます。離婚届には親権者を記載する欄があり、親権者を決めないと離婚できません。

夫婦の協議によって決める際には、合意さえできればどちらが親権を取得するかは自由です。「小さい子だから母になる」「母は専業主婦でお金がないから父になる」といったルールはありません。

複数の子がいるときには、全員の親権を片方が持ってもいいですし、「長男は父、長女は母」などと分けることも可能です。

自由であるとはいえ、何より重要なのは子の成長や幸せです。子どもにとって何がよいかを考えて決めるようにしましょう。

 

◆ 調停

夫婦での話し合いがまとまらないときには、裁判所に調停を申立てます。調停とは、裁判所でする話し合いです。調停委員が間に入って別々に話を聞くため、冷静になりやすいです。

親権が争いになっている調停では、調停委員が双方の意見を聞いて調整するほか、家庭裁判所の調査官による調査が入るケースがあります。調査では、父母や子との面接、家庭や学校への訪問などを行い、報告書が作成されます。

ただし、調停はあくまで話し合いであるため、夫婦で合意できなければ親権者は決定しません。

 

◆ 裁判所による指定

調停でも話し合いがまとまらなければ、通常は裁判で決定します。調査官による報告書などを参考にして、最終的には裁判官が父母のいずれが親権者にふさわしいかを判断します。

判断要素は、これまでの養育実績、現状、今後の環境、子の年齢・意思などです。実際には母が獲得するケースが多いものの、父になるケースもあります。

 

以上が、親権が決まるまでの大まかな流れです。夫婦間の協議がまとまらなければ、裁判所を利用する流れになります。判断要素について詳しくは、また機会を改めて解説する予定です。

当事務所では、離婚の初回相談を無料としております。親権に関して疑問や悩みがある方は、お気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2024.03.11更新

親権とは?内容や監護権との違い

離婚する際に親権が争いになるケースは多いです。

今回は、そもそも親権とは何かについて解説します。

 

◆ 親権とは?

親権とは、未成年の子どものために、世話をしたり、財産を管理したりする権利・義務です。子どもが一人前の大人になるために育てる権利・義務といえます。権利だけでなく、義務でもある点がポイントです。親権は、子どもの利益になるように行使しなければなりません。

2022年から成人年齢が18歳に引き下げられていますので、現在親権は18歳未満の子に対して行使できます。

親権者は基本的に父母です。結婚している間は、父母が協力して親権を行使します。

もっとも、離婚した後には単独親権とされ、片方の親だけが親権者となります。法改正の議論も進んでいますが、現在のルールでは離婚後の共同親権は認められておらず、親権者を決めないと離婚できません。一方にしか認められないがゆえに、親権をめぐって離婚時に争いになるケースは非常に多いです。

親権の内容は、大きく「財産管理権」と「身上監護権」に分けられます。それぞれについて詳しく解説します。

 

◆ 財産管理権

子の財産を管理する権利・義務です。親権者は、預金などの財産を管理するとともに、財産に関する法律行為を代わりに行います。

たとえば、お年玉や祖父母から子に贈与された財産を管理する、子どもの代わりにスマートフォンの利用契約をするといった行為が可能です。

 

◆ 身上監護権

子どもの世話や教育をする権利・義務です。親が子を身体的に保護するとともに、教育によって精神的に成長させる必要があります。民法では、子の住む場所を決められる「居所指定権」や子が仕事をする際の「職業許可権」も定められています。

以前は「懲戒権」も定められていましたが、児童虐待を正当化する根拠になっているとの批判があり、2022年の法改正により削除されました。また、かつては未成年者が結婚する際の同意権がありましたが、婚姻可能年齢が男女とも18歳となり成人年齢と同じになったため、削除されています。

 

◆ 親権者と監護権者は別にできる?

監護権は親権の一部です。ただし、離婚する際には、親権者とは別に監護権者を定める方法もとれます。そのため、争いがあった際に「親権者(財産管理)は父、監護権者は母」といった解決が提案されるケースもあります。

とはいえ、子どもの利益を考えると、普段世話をしている親が財産管理も含めて親権を行使するのが、スムーズであり望ましいです。裁判所においては、親権者と監護権者を分けるのを認めない傾向にあります。

 

以上が親権に関する基礎知識です。今後、親権の判断基準などについても詳しく解説します。

当事務所では、離婚の初回相談を無料としております。親権についてお悩みの方は、お気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所

2024.02.22更新

離婚時に決めること(子ありの場合)

未成年のお子さんをお持ちの方が離婚する場合、財産分与や慰謝料などのほかに、子どもに関して決めなければならないポイントがあります。

主に以下の3つの点について、夫婦で話し合いましょう。

 

①親権者

夫婦のどちらが子どもの親権者となるかを決めなければなりません。法改正の議論は進んでいますが、現在の法律では離婚後の親権者は父母の片方だけとされています。

親権はお金と異なり分けられないため、特に争いが激しくなりやすいです。夫婦で話し合いがまとまらないときには、調停など裁判所での手続きで決めます。

判断要素は様々ありますが、子どもにとってどちらが親権者になるのがよいかがポイントです。実際には母親が親権者になるケースが多いものの、父親の方がふさわしい場合もあります。

離婚届には親権者の記載欄があり、決めないと離婚できません。なお、離婚後の親や子の姓については、以下の記事を参考にしてください。

参考記事:離婚後の姓

 

②養育費

養育費の定めも必要です。子どもを引き取らなかった親にも、養育にかかる食費、学費、医療費などのお金を負担する義務があります。

養育費に関しては、以下の点を決めておきましょう。

  • 1ヶ月あたりの金額
  • 何歳まで支払うか
  • 支払方法

養育費をいくらにするかも争いになりやすいポイントです。両親の年収・子供の年齢・人数に応じて、裁判所が算定表を公表しています。参考にするとよいでしょう。

参考:平成30年度司法研究(養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究)の報告について|裁判所

また、離婚後に養育費が支払われずにトラブルになるケースも多いです。合意内容を公証役場で公正証書にしておくと、トラブル予防になります。

参考記事:離婚協議の内容を公正証書にするメリット

 

③面会交流

離婚後の面会交流についても定めておきましょう。離婚しても、親子である事実は変わりません。離れて暮らす親も、子と会う権利を有しています。

面会交流に関しては、以下の点を決めましょう。

  • 時間、頻度
  • 場所
  • 子の引き渡し方法
  • プレゼント・宿泊・学校行事など、その他のルール

親権者が決まっても、面会交流の方法をめぐってトラブルになるケースが少なくありません。子どものことを考えて、十分に話し合って決めてください。

 

以上が離婚時に子どもに関して決めておくべき事項になります。それぞれについて詳しくは、次回以降に解説します。

幼い子どもがいると、離婚の際に特に揉めやすいです。当事務所では離婚の初回相談を無料としております。子持ちで離婚に関してお悩みであれば、まずはお気軽にお問い合わせください。

投稿者: 松村法律事務所