死亡逸失利益とは?計算方法を解説
交通事故により亡くなってしまった場合には、本人に代わってご遺族が相手方に賠償金を請求します。死亡事故の際に相手に請求できる賠償金の費目のひとつが「死亡逸失利益」です。
今回は死亡逸失利益について解説します。
◆ 死亡逸失利益とは?
死亡逸失利益とは、事故により亡くならなければ得られたであろう、将来の収入です。
交通事故により亡くなると、今後得られるはずであった生涯分の収入を得られなくなってしまい、損害が生じます。そこで、得られなかった将来の収入を「死亡逸失利益」という費目で相手方に請求できます。
◆ 死亡逸失利益の計算方法
死亡逸失利益は以下の計算式で算出されます。
基礎収入×(1-生活費控除率)×就労可能年数に対応するライプニッツ係数
それぞれの要素について解説します。
●基礎収入
基礎収入は、基本的には事故前年の収入です。
会社員など給与所得者の方であれば、源泉徴収票から比較的簡単に明らかになるでしょう。自営業など事業所得者については、確定申告書などを確認します。
収入がない主婦(主夫)であっても家事労働をしていますので、女性の平均賃金をもとに請求が可能です。今後働く予定の子どもについては、一般的には男子は男性の、女子は男女合わせた平均賃金を基準にします。失業者であっても、今後働ける蓋然性が高い場合には、再就職によって得られる見込みの収入をもとに死亡逸失利益の請求が可能です。
●生活費控除率
亡くなった際には将来得られるはずの収入を失いますが、今後の生活費がかからなくなる側面もあります。「生活費控除率」とは、今後かかるはずであった生活費を除くための割合です。亡くなった方の立場によって、以下の通り割合が変わります。
被害者の立場 |
生活費控除率 |
一家の支柱(被扶養者1人) |
40% |
一家の支柱(被扶養者2人以上) |
30% |
女性(主婦・独身・幼児など) |
30% |
男性(独身、幼児など) |
50% |
●就労可能年数に対応するライプニッツ係数
就労可能年数は67歳までです。
計算する際には、就労可能年数をそのままは使いません。賠償金は一括で受け取り運用が可能であるため、運用益を除くためにライプニッツ係数という数値を利用します。年齢別の具体的な数値は、以下を参照してください。
これら3つを掛け合わせれば、死亡逸失利益を計算できます。
たとえば、30歳で基礎収入600万円の独身男性が死亡した場合の計算式は、以下の通りです。
600万円×(1-0.5)×22.167=6650万1000円
死亡逸失利益は金額が大きくなりやすく、基礎収入額などをめぐってトラブルになるケースも多いです。
以上が死亡逸失利益に関する基本的な知識になります。死亡事故においては、他に死亡慰謝料や葬儀費用なども請求できます。いずれの費目についても、相手方が不当に低額な賠償金を提示してくるケースが非常に多いです。
大切なご家族の命が奪われているにもかかわらず、相手方に不誠実な対応をされてしまい、追い打ちをかけられる方も少なくありません。当事務所では交通事故の初回相談を無料としております。お悩みや疑問点がある方は、まずはご相談ください。