面会交流をしない方がいいケース

離れて暮らしている親(非同居親)との面会交流は、子どもの健全な成長にとって必要なものです。とはいえ、かえって悪影響が生じる場合には、子の利益になりません。

今回は、面会交流をしない方がいいケースについて解説します。

 

◆ 子に虐待をしていた

別居・離婚前に、非同居親が子に虐待をしていた場合には、面会交流はすべきではありません。

虐待には、身体的な暴力はもちろん、精神的な攻撃も含まれます。面会交流をすると虐待が繰り返され、子が暴行を受ける、精神的なダメージを受けるといったリスクが高いです。

虐待があったケースは、面会交流をしない方がよい典型例といえます。

 

◆ 配偶者にDVをしていた

非同居親が子には虐待をしていないものの、(元)配偶者にはDVをしていたケースもあります。DVにより心身に傷を負った被害者としては「あんな人と会わせたくない、連絡をとりたくない」と思うのはもっともです。

両親の間でDVがあると子どもにも精神的な傷が残り、非同居親と会えば記憶が喚起される恐れがあります。また、同居親にとっては、DV加害者と関わりを持つこと自体が大きな苦痛になるでしょう。

ただし、非同居親と子との関係に問題がなければ、子の成長のためには会わせるべきケースもあります。子ども本人への暴力と配偶者への暴力は少し性質が異なる点を頭に入れて、判断しなければなりません。

 

◆ 子を連れ去る恐れがある

過去に連れ去った事実があるなど、連れ去りのリスクが高いケースでは面会交流をすべきではありません。ただし、単に「連れ去りそうである」と主張するだけでは十分でなく、ある程度の根拠が必要です。

また、完全に預けるのではなく、同居親が立ち会う、第三者機関のもとで行うといった方法も考えられます。電話・メールなどでの間接交流も選択肢のひとつです。

 

◆ 子が拒絶している

子自身が非同居親と会うのを嫌がっているときにも、面会交流が適切でない場合があります。

注意して欲しいのが、子の本心であるかどうかです。「会いたくない」と口では言っていても、同居親に気を遣っているだけのケースは多いです。

また、子が会いたくないと考えていても、健全な成長のために会うべき場合もあります。「子どもが会いたがっていない」という理由のときは、本当に面会交流をすべきでないかをよく検討しなければなりません。

 

以上が面会交流をしない方がいい代表的なケースです。他にも、再婚した、アルコール依存症であるなど、是非を検討すべきケースは多々あります。

ただし、一律に「○○だから面会交流はしない」と決められるわけではありません。子の健全な成長の観点から判断されるべきです。なお、養育費の支払いは別問題ですので、「養育費を支払わないから会わせない」との主張は認められません。

直接会わずとも電話・メールなどでの交流を検討すべき場合もあります。ケースバイケースなので、まずは弁護士にご相談ください。

当事務所では、離婚に関する初回相談を無料としております。「面会交流を拒否したい」あるいは「相手が応じてくれない」とお悩みの方は、お気軽にお問い合わせください。