休業損害の計算方法

休業損害の計算方法は、基本的には「1日あたりの収入×休業日数」です。ただし職業ごとに注意すべき点があります。

今回は、休業損害の計算方法を職業別にご紹介します。

 

◆ 給与所得者(会社員・アルバイトなど)

通常は「事故前3か月の給与総額÷90日×休業日数」で算出されます。給与総額は手取りではなく、税・社会保険料が控除される前の金額です。暦上の日数(90日)ではなく、実際に稼働した日数を用いて計算する場合もあります。

休業日数に含まれるのは、入通院のために仕事ができなかった日です。有給を取得した日についても休業損害が認められます。休業日数は、勤務先が作成する休業損害証明書で証明します。

 

◆ 会社役員

会社役員の報酬には、利益の配当という性質があります。利益配当分は事故の影響で実際に働いていないとしても支払われるため、休業損害は発生しません。

そこで、報酬全体のうち労働の対価といえる部分がどれほどかを検討して、1日あたりの収入を算出する必要があります。

 

◆ 自営業者

自営業者は、一般的に「事故前年の確定申告書の所得額÷365日×休業日数」で算出します。

休業により発生しなかった経費は、損害には含まれません。ただし、休業していても生じる固定費(家賃、損害保険料、従業員への給与など)については損害として認められます。

 

◆ 主婦・主夫

主婦・主夫で収入がなくても、事故の影響で家事労働ができなくなっていれば休業損害を請求できます。

計算のもとになる基礎収入としては、女性の平均賃金が利用されます。男性(主夫)であっても女性の平均賃金を365日で割って1日あたりの収入を計算するのが一般的です。兼業主婦・主夫の場合には、実際の収入と女性の平均賃金のうち高い方を基準にします。

事故直後は家事が一切できなかった(100%休業)としても、回復するにつれてできる範囲が広がっていくため、時期に応じて休業割合を減らしていく計算方法をとる場合もあります。たとえば「最初の30日は100%、次の60日は70%、それ以降は50%」といった具合です。

 

◆ 無職

無職の場合には、基本的には休業損害は発生しません。

既に内定が出ていたときには、内定先の予定給与額から1日あたりの収入を計算して請求できます。内定がなくても、就職活動をしていて就労する蓋然性が高いと認められれば請求が可能です。

 

◆ 学生

学生でもアルバイトをしていれば、給与所得者として休業損害を計算できます。

卒業前で内定が出ていたときには、内定先の給与から1日あたりの収入を計算します。事故の影響で留年して卒業が遅れたときにも、年齢別の平均賃金をもとに請求が可能です。

 

 

以上が職業別の休業損害の計算方法です。会社員であれば比較的わかりやすいですが、自営業者など、算定自体が難しく相手方と争いになるケースもあります。

当事務所では、交通事故の初回相談を無料としております。休業損害の計算方法がわからない方や、相手方の提示額に疑問がある方は、まずはお気軽にお問い合わせください。