親権とは?内容や監護権との違い

離婚する際に親権が争いになるケースは多いです。

今回は、そもそも親権とは何かについて解説します。

 

◆ 親権とは?

親権とは、未成年の子どものために、世話をしたり、財産を管理したりする権利・義務です。子どもが一人前の大人になるために育てる権利・義務といえます。権利だけでなく、義務でもある点がポイントです。親権は、子どもの利益になるように行使しなければなりません。

2022年から成人年齢が18歳に引き下げられていますので、現在親権は18歳未満の子に対して行使できます。

親権者は基本的に父母です。結婚している間は、父母が協力して親権を行使します。

もっとも、離婚した後には単独親権とされ、片方の親だけが親権者となります。法改正の議論も進んでいますが、現在のルールでは離婚後の共同親権は認められておらず、親権者を決めないと離婚できません。一方にしか認められないがゆえに、親権をめぐって離婚時に争いになるケースは非常に多いです。

親権の内容は、大きく「財産管理権」と「身上監護権」に分けられます。それぞれについて詳しく解説します。

 

◆ 財産管理権

子の財産を管理する権利・義務です。親権者は、預金などの財産を管理するとともに、財産に関する法律行為を代わりに行います。

たとえば、お年玉や祖父母から子に贈与された財産を管理する、子どもの代わりにスマートフォンの利用契約をするといった行為が可能です。

 

◆ 身上監護権

子どもの世話や教育をする権利・義務です。親が子を身体的に保護するとともに、教育によって精神的に成長させる必要があります。民法では、子の住む場所を決められる「居所指定権」や子が仕事をする際の「職業許可権」も定められています。

以前は「懲戒権」も定められていましたが、児童虐待を正当化する根拠になっているとの批判があり、2022年の法改正により削除されました。また、かつては未成年者が結婚する際の同意権がありましたが、婚姻可能年齢が男女とも18歳となり成人年齢と同じになったため、削除されています。

 

◆ 親権者と監護権者は別にできる?

監護権は親権の一部です。ただし、離婚する際には、親権者とは別に監護権者を定める方法もとれます。そのため、争いがあった際に「親権者(財産管理)は父、監護権者は母」といった解決が提案されるケースもあります。

とはいえ、子どもの利益を考えると、普段世話をしている親が財産管理も含めて親権を行使するのが、スムーズであり望ましいです。裁判所においては、親権者と監護権者を分けるのを認めない傾向にあります。

 

以上が親権に関する基礎知識です。今後、親権の判断基準などについても詳しく解説します。

当事務所では、離婚の初回相談を無料としております。親権についてお悩みの方は、お気軽にお問い合わせください。